戦国生産無双伝!
55話
ロイド歴三八八九年一月下旬
ミズホから帰った俺は精力的に弟妹の縁組について動いた。
最初はシュテン、次にシロウ、その次がソウコの縁組となる。
それと並行してニシバタケ討伐とアサクマ防衛戦の論功行賞も骨格を固め最後に漏れがないかシゲアキ、コウベエ、キザエモンに確認をさせた。
基本的に論功行賞の内容は俺が一人で考えるが漏れがあっては君臣の信が崩れることになってしまうので三人に確認をさせる形をとる。
今回手に入れた三ヶ国では先ずイゼ大神宮と王家の荘園を返上した。とは言っても荘園にはカモン家から代官を入れカモン家がイゼ大神宮や王家に代わって徴税をし収めることになる。
更にニシバタケ家の家臣だった国人衆をバラバラにするために領地替えを行い、功を立てた家臣たちをイゼやキエに入れた。
そしてこいつだ……
「トシマサ・マツナミ、面を上げい」
「はっ!」
斎藤道三だと思われるトシマサ・マツナミ。
その職業は【謀略家】なのであまり力を与えたくはないが、功を立てた以上は褒美を与えなければならない。
「此度のアサクマの乱入を防いだ功を認め、八山城を与える」
「ははー、有り難き幸せ!」
今現在の知行四〇〇〇石に八山城の六〇〇〇石が加わり都合一〇〇〇〇石を領有することになった。
平伏して俺に感謝の意を向けているであろうトシマサ・マツナミを見下ろし俺はこれで良かったのかと自問自答を繰り返す。
しかし功は功としてしっかりと評価してやらないと不満が溜まり謀叛の切っ掛けとなり得る。
だから俺の感情は後回しにする。
おおとりはダンベエの論功行賞だ。
ダンベエはニシバタケ討伐で一番の功を立てたので先ずは従五位上左衛門佐だった官位官職を正五位下左近衛少将に昇進させる。これは王家に働きかけているので僭称ではなくちゃんとした官位官職だ。
それから領有して間もない為に一番情勢が不安定なキエの国に領地を与えキエの国の国守代に任じて貰いキエの国を任せることにした。
そしてダンベエの直轄軍として一万五千の兵を与えた。
暫くはキエの国の仕置きで忙しいだろう。
話は変わるが以前から考えていたアワウミでの居城を築城することにした。
湖桟山城を改修はしたが滅んだハッカク家の居城だったので縁起が悪いと思ってのことだ。
そして常備兵を遊ばせておくのも勿体ないので築城でしっかりと働いて貰おうと思ってのことだ。
新しい城に関してはコウザン・イブキを普請奉行として一切を任せる。
今までコウザン・イブキには京の都をはじめとしたヤマミヤの国の防衛を担当させていたので替わりにエイベエ・イズミをその任にあてた。
流石にエイベエはまだ二六歳と若いので反対の意見もあったが、年齢ではなく能力で決めると一喝したら皆押し黙った。
それにエイベエは【罠士】なので防衛戦にこそ力を一番発揮できる職業だからね。
それから京の都を守るのに正六位下兵部大丞では官位官職が低いので従五位下兵部少輔に昇進させた。これも僭称ではないよ。
「金に糸目はつけぬ、城下町を丸ごと一つの廓にした堅牢な城を建てるのだ」
「城下町を廓に……また壮大なことを仰りますな」
コウザン・イブキは俺の構想を聞きその規模に絶句する。
でも折角造るのであれば妥協せずに納得いく城と城下町を築きたいと思うわけよ。
「必要な人材が居れば配置換えを行う。思う存分力を発揮するが良い」
何故コウザン・イブキを城普請の責任者にしたのかと言えば、今までヤマミヤの国の防衛を担ってきた中で廃城や築城を行いヤマミヤの防衛網を構築してきた手腕を買ってのことだ。
コウザン・イブキが築いた城や砦はシゲアキやコウベエが唸るほどのものだったのでコウザン・イブキにこの大任を任せたのだ。
ロイド歴三八八九年二月上旬
境港の支配を移譲したホウオウの義父殿から手紙が来た。
内容は境港の増改築と新しい城を築くのに境商人に費用を捻出させると言うものだった。今回の支配権の移譲で境港にもカモン家の艦隊を寄港させる代わりに費用の全額負担をさせると言う鬼のような内容だ。
流石の俺もここまで鬼のようなことはしないだろう。
でもまぁ、境商人は今までワ国一の商い量を誇っていたのだからたんまりと貯め込んでいるはずなので、財力を削るのには良い案だと思う。
商人は財力が有れば有るほど傲慢になる傾向があるように感じるのは俺だけじゃないだろう。初心を忘れてはいけないと思うわけよ。
これについては俺にも言えることなので俺も初心を忘れずに傲慢にならずやって行こうと思う。
境の港が増改築されヘル・シップが寄港できるようになれば琉球交易などの太平洋方面の艦隊を寄港させるのも良いだろう。
呉国やそれ以南の東南アジア諸国、更にはインド、中東、ヨーロッパとの交易は今まで通り嘉東港を考えている。
そう言えば南北アメリカ大陸やオーストラリア大陸はまだ発見されていないのだろうか?
その前にそれらの大陸は存在しているのだろうか?
……情報が足りないな、南蛮の情報をもっと入手すれば南北アメリカ大陸やオーストラリア大陸が発見されているのか分かるのだろうが……ちょっと待てよ、俺が自分で調べれば良いんじゃね?
そうだよ、他所の国からの情報じゃなく俺自身で情報を得れば良いのだ!
飛行機や偵察衛星を作って情報を簡単に得られるようにすれば……先ずは飛行機だが……設計がさっぱり分からない……てか、前世の飛行機を作る必要はないんだ、この世界には魔法があるのだから魔法を組み込んだ飛行機を創れば良いのだ!
情報を入手するのにはカメラや通信装置も作らないとな。
そうと決まれば先ずはイメージだ。
できるだけ小型のカメラ、それでいて高画質の映像を取り込む。取り込んだその画像を受信端末に送る送信機。どれだけ離れていても情報を送れる送受信のシステムを創るんだ!
そうだ、電気はないので動力源はMPで良いかな、電池の様に補給できるタイプのものにしよう。
映像は録画できるタイプで録画媒体は外部出力ができるように。
後は細かい構造なんてどうでも良い。どういう機能が必要なのか兎に角、イメージだ、イメージを固めろ!今の俺ならそれでカメラと送受信の通信機を創れるはずだ!
膨大なMPが体から抜けていく。かなり気だるいので今までにないほどのMPを持って行かれたと思われる。
俺のスキルである【神生産】ではMPを消費して物質や道具などを創ることができる。
これまでにも何度も使ってきたスキルだがここまで膨大なMPの消費はなかった。
「いや~久しぶりに気合入れちゃったな~」
「それは何ですの?」
「ん~何と言って良いか……そうだアズ姫とカナ姫、そこに並んでくれるかい?」
俺の私室で考えに浸り、そして集中して創作していたらいつの間にか二人が部屋の中にちょこんと座っていた。
流石に集中し過ぎたと思ったよ。
二人を直ぐ横に並ばせると俺はカメラや通信装置を起動させる。特に機動音はせず受信機のモニターに二人が映る。
「「えっ?」」
「よし、上手く行ったぞ!」
驚いた二人の顔をしっかりと録画している。俺の妻たちは現代美人&ロリ巨乳だ。
こうして妻たちと憩いのひと時を過ごすのは心休まるな。
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