クランを追い出されたのでクランを作って最強になる
014
「ぺ、ペルトっていいます。よろしくお願いします」
「キャナルトです。よろしくお願いいたします」
ペルトは少し緊張しているみたいだ。
人見知りだから仕方がないね。
対照的にキャナルトの方は緊張していないようだ。
ポーターは色々なパーティーに入って仕事をすることが多いから人見知りでは何かと不便があると思うので、性格的には合っているのかもしれないね。
僕たちは早速、ソロモンの天支塔に入った。
今回はソロモンの天支塔の中で二泊する予定で、アサルトボアやナイトバードを狙おうと思っている。
だから二泊分の水と野営に使うテントなんかをキャナルトが背負っている大きなバックパックに詰め込んでいる。
食料はアサルトボアを倒してドロップした肉を焼いて食べるという感じなので、多少の調味料を持ってきている。
アサルトボアが出てくるエリアに向かうのがメインなので、コボルトやレギルンとの戦闘は必要最小限にとどめて先へ進む。
大きく迂回しなければならない場合は僕が不意打ちして倒した。
最近はコボルトに気づかれずに不意打ちができるようになったので、一体なら戦闘にはならない。
「凄いですね。初心者って言っていたからもっと苦労するかと思っていました」
「コボルトやレギルンが一体ならね。全部不意打ちだけど」
僕は頬をかきながらキャナルトに答える。
時々、二体でいる魔物もいるので、そういう時はペルトが突っ込んで僕が後ろから急所を攻撃する。
コボルトやレギルンでは苦戦しなくなった。
そうしてアサルトボアの出現エリアに差し掛かった。
アサルトボアは奥に行けば行くほど遭遇率が上がる。
だからある程度奥に行く。
「せいっ!」
アサルトボアを受け止めてペルトが鉄槌を振る。
僕も負けじとアサルトボアの側面から攻撃をする。
相変わらずアサルトボアの毛皮は硬くて短剣が通りにくい。
こういう相手は短剣使いには不利なんだよね。
でも、今はペルトがいる。ペルトの鉄槌は当たれば大きなダメージになるので、僕はアサルトボアがペルトの鉄槌を避けられないようにタイミングを計って攻撃をしかける。
「はっ!」
五分ほどの戦闘で僕とペルトはアサルトボアを倒した。
「ペルト、怪我はない?」
「大丈夫です。連戦しても問題ありません!」
最初の頃よりも戦闘時間はかなり短くなったので、ペルトも自信をつけたのか頼もしい言葉が返ってきた。
「お疲れ様です。しかしアサルトボアの突進をそのままで受けるなんて凄いですね!」
「え? そのまま?」
キャナルトの言葉に僕とペルトは「どういうこと?」と顔を見合わせる。
「あれ? 知りませんか? アサルトボアの突進は凄いので、段差を作っておいて勢いを殺すのが一般的ですよ?」
「「……知らなかった!?」」
僕とペルトは初めて知った事実に驚愕した。
考えてみれば、アサルトボアの短い足だと段差があるとそのままの勢いを持続させるのは難しいだろう。
僕とペルトは顔を見合わせて力なく笑うしかなかった。
キャナルトの話ではアサルトボアの突進力を削ぐには30㎝ほどの段差があればよいらしい。
だから斥候職がアサルトボアを釣ってきて、段差を越えたところで盾職が待ち受けるのが一般的な戦い方らしい。
だからウィラーはベースとなる場所を決めてあまり動かないそうだ。
「キャナルトは色々知っているんだね」
「凄いですね」
「そんなことありません」
僕とペルトが褒めるとキャナルトは恥ずかしそうにはにかんだ。
ウサギ耳の少年が恥ずかしそうにはにかむ姿はなかなか絵になる。
「どうする? 段差を作る?」
「……増長していると思われるかもしれませんが、おいらはアサルトボアを止められますから段差は要らないと思います」
たしかに今のペルトはアサルトボアの突進を完全に受け止めている。
それを考えれば一定の場所に留まるよりも全員でアサルトボアを探して狩った方が効率がいいかもしれない。
「ペルトがそう言うなら、今まで通りでやろうか」
「はい!」
「私もできるだけバックアップします!」
「ありがとう。キャナルトもよろしくね」
僕たちは移動しながらのアサルトボア狩りを行った。
見つけたそばから戦闘に入るので、かなり効率よく狩れていると思う。
「凄いです。一日目でこんなに肉が手に入るなんて思っていませんでした!」
僕たちにはアイテムのドロップ率を上げる腕輪があるから通常よりかなり多く肉を得ている。
ロース肉はさすがにドロップしていないけど、狩り続ければその内ドロップすると思う。
夕方近くなったので、野営の場所を探しながらアサルトボアを狩った。
他のウィナーの近くに野営するとアサルトボアに襲われた時の優先権が問題になるので、離れてキャンプをするのが礼儀だ。
キャナルトが野営の準備をてきぱきと行い、僕たちは夜の見張りに備えて休憩をしている。
見張りはポーターもするので、三人で交代でする。
「じゃぁ、キャナルト、僕、ペルトの順で見張りをしよう」
「「はい」」
夕食はアサルトボアからドロップしたばら肉を焼いて食べる。
他に簡単なスープをキャナルトが作ってくれた。
こういった料理もポーターの役目なので、料理の腕はポーターにとって重要になってくるそうだ。
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コメント
リナ
こういう話大好きです!これからも頑張って下さい!
よろしければ、私の作品も読んでみて下さい。