ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】

なんじゃもんじゃ

ガベージブレイブ(β)_059_家

 


「結局、今日は金が手に入らなかったので、今日は野宿になった。すまん」
「ツクル君と一緒ならどこでもいいよ」
 一ノ瀬はなんていい奴なんだ……あれ? こういうコメントは……いやいやいや、ないだろ~……まさかな……。
「ご主人様のいるとこであれば、どこでも行きます!」
 カナンもいい娘だ。
「ですから、美味しい料理をお願いします!」
 前言撤回! 食欲が俺についてくる理由だった!
「私はご主人様のそばにいられれば、地獄でも構いません!」
 ハンナ、俺はいい仲間を持ったよ。……カナンのような落ちはないよな?


 町の外に出て適当な場所を見つけて野宿をすることにした。
 今後も同じようなことがあるかも知れないので、家でも創るか。
 俺は近くの森から木を伐り出して【等価交換】を発動させた。目の前に積んであった木が見る見るうちに積み重なってログハウス風の家に変わっていった。
「うわー、ツクル君はなんでも創れるんだね~♪」
 野宿だと思っていたらログハウス風の家で寝られるのだから、一ノ瀬はとても嬉しそうだ。
「ご主人様のお創りになった家です~。木のいい匂いがします~」
 カナンは木の匂いが気に入ったようだ。
「ここにテーブルを設置してよろしいでしょうか?」
 ハンナはぶれないメイドぶりだ。
「どこに何を置くかは三人で決めてくれ。俺はそういうのは苦手だから」
「「「はい!」」」
 こういう時の女性はとても楽しそうだ。
「ねぇ、ツクル君。この部屋にベッドを置きたいけど、ベッドはないよね?」
 一ノ瀬は俺の【素材保管庫】にはなんでも入っていると思っているらしい。
「少し時間をくれれば創るぞ」
 なければ創ればいいのだ。ログハウスを創ってもスキルを創るより魔力の消費は少ないので幾らでもこいだ。
「本当!? じゃぁ、お願いね♪」
 その後にカナンから窓のカーテン、ハンナから台所を頼まれた。三人とも俺を便利に使うが、それで住環境がよくなるので俺も恩恵に預かれるわけだ。


 三人から希望された物を創ってから、俺の拘りを一つ創ることにした。
「何をするの?」
 不思議そうに一ノ瀬が聞いてきた。
「できてからのお楽しみだ」
 余っている木でログハウスに部屋を増築すると、そこに三帖ほどの部屋を二つ創った。
 一つの部屋には鏡と洗面台、もう一つの部屋には俺がゆったりと入れる長方形の桶を設置した。そうだ、俺の創ったのは風呂である。
「わーーー、お風呂だーーー♪」
 一ノ瀬はぴょんぴょんと跳ねて喜んだ。カナンとハンナは風呂は貴族の入る物だからと恐縮しきりだ。
 台所もそうだが、水やお湯は魔石のエネルギーを使って生成する。その機構を組み込んだ蛇口を創った。これはこの世界の金持ちの家では一般的に使われている技術で、伯爵の屋敷ではトイレも水洗だった。
 そうだ、トイレも創っておかないと大変だな。また増築になるが木はまだまだ余っているし、足りなければ伐ってこればいいので二つ用意しておこう。
 俺は若い女性陣に配慮ができる男なのだよ。


「トイレまで創ったんだね。とっても助かるよ」
 一ノ瀬は素直に水洗トイレに喜んでくれた。
「トイレは女性にとって課題ですから」
 カナンも嬉しそうにした。
「このハンナ、ご主人様の為ならトイレなど行きません!」
 俺はそんなことを言わないから、我慢せずトイレに行ってくれ。


 今日の夕食は寿司にしようと思ったが、最近は魚料理ばかりだったのでラーメンを作ることにした。
 水、塩、卵をあらかじめ混ぜておいて、強力粉と薄力粉が入ったボウルに入れる。ここで重曹があればいいけど、重曹はないので魔力で代用することにした。
 小麦粉が手につかなくなるまでこねて、さらに数分こね続ける。足で踏んだりする場合もあるが、俺の両手は一般人の両足よりもはるかに力があるから手だけで構わない。
 丸く形どって本来なら数時間寝かせるけど、ここはスキルで時間短縮だ。
 最後は打ち粉をして伸ばしてから麺をお好みの太さに切っていく。後はたっぷりのお湯で茹でれば麺は出来上がりだ。


 スープは鶏がらベースにした。鶏がらと言っても使うのはロックバードの骨だから鳥ガラになるのかな。
 アクをとりながらロックバードの骨を煮込む。別の鍋で玉ねぎやニンジンなどの野菜を煮込んで、こちらの鍋もアクをとるのは大事なことだ。共にスキルで時短をする。
 この二つのスープを合わせることで、なんとも言えない深みのあるスープができ上がるのだ。
 鳥ガラスープの塩ラーメンで、トッピングにゆで卵ともやし、そしてダンガーピッグのチャーシューを載せる。


「この世界にきて初めてラーメンを食べるよ。美味しそうな匂いがするね♡」
 一ノ瀬は久しぶりのラーメンに感動しているようだ。
「ご主人様、これは……もっとないのですか?」
 カナンは相変わらずだ。
「麺が伸びると不味くなるから、大盛ではなくお代わりで出してやる」
「わーい、ご主人様~ありがとうございます~♪」
 現金な奴だ。
「よい匂いがします。食欲がそそられますね」
「麺が伸びると不味くなるから給仕はいいからハンナも食べろよ」
「ありがとうございます」
 綺麗なお辞儀をするハンナのぶれない態度は好感が持てると思う。


「いただきます」
「「「いただきます」」」
 俺の音頭で食事が始まった。
「「「美味しい!」」」
 スープをレンゲにすくい飲んだ一ノ瀬と麺をすすったカナンとハンナが同じタイミングで声を出した。そうかそうか、美味しいか、沢山食えよ。
 それ以降は俺が麺をすする音とカナンの「お代わり」という声しかしなかった。ラーメンってけっこう無言で食べるよね。


 風呂もよかった。やっぱ日本人なら風呂は必須だよな。一ノ瀬も泣いて喜んでいたぞ。
 女性三人で風呂に入ったが、俺は覗かなかったぞ。俺は紳士だからな。ただ、妄想するのは自由だろ?
 今度は露天風呂を創って月見をしながら入ろうと思った。酒もこの世界では飲めるので冬になったら雪の露天風呂で月見酒なんて乙な物だろう。


 その夜。俺専用の小さめの部屋で寝ようとしていたら、三人がやってきた。
「その……一緒に寝たいかな……と思って……」
 一ノ瀬が恥ずかしそうにそう言うと、カナンとハンナも頷いた。
「いや、それは拙いだろ……それに、この部屋は小さいからさ……」
「なんだか不安で……」
 この世界に無理やり拉致されて、最低な奴らにいいように利用されて、同級生たちが数十人も死んだのだから不安なのは分かるけどさ……。
 目をうるうるさせて俺を見る一ノ瀬の顔を見ると断れないよな……。
 結局、二部屋に分けていた壁をとっぱらい、大きな一部屋にした。その部屋でベッドを四つ並べて寝た。
 てか、近いよ……俺の右には一ノ瀬、左にはカナン、足元にはハンナがいる。ハンナさん、足の臭いをかがないでくれ。


 寝不足だ。頭がぽや~っとする。
 軽く朝食を済ませて一ノ瀬の今後のことについて話合うことにした。
 あまり頭が回らない。たった一日徹夜しただけなのになんでこんなに疲れているんだろうか? まぁいい、今は一ノ瀬だ。
「私はツクル君の足手まといにはなりたくないけど、今の私は足手まといだよね……」
「なら、一ノ瀬が足手まといにならないように鍛えるしかないな」
 一ノ瀬のことはレベルを上げることに決まった。話は単純だからな。
 町でワイバーンを売って金を得たら一ノ瀬のレベル上げをしよう。パワレベしてクソジジィにも負けないくらいに育ててやろう。
「本当に強くなれるのなら、お願いします! 私はツクル君に護ってもらうだけの存在でいたくないの!」
「了解だ。厳しい修行になるけど、一ノ瀬は俺が必ず強くする!」


 

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