ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】
ガベージブレイブ(β)_046_第二の試練2
戦局は拮抗していた。
ラーデ・クルード帝国の援軍としてルク・サンデール王国も参戦したことで拮抗することになった。
数では亜人連合軍の方が圧倒的に多いが、人族連合軍の方には勇者がいるし、装備も亜人よりよい物なので質で数をカバーしているのだ。
「うりゃぁぁぁぁぁぁっ!」
狂戦士のカズキ・フジサキは自分の背丈ほどある大剣を振り回し、亜人連合軍の中に斬り込んだ。
彼の傍、特に前にいると味方でも攻撃されてしまうので味方は後方にいる。
これが狂戦士のデメリットだ。
一度血をみてしまうと、血の臭いを嗅いでしまうと、止められなくなる。
攻撃力は勇者の中でもぴか一だが、その分、味方にも襲い掛かるリスクがあるのだ。
「フジサキに続け!」
ラーデ・クルード帝国の勇者たちを束ねるヒデオ・クジョウがよく通る声で勇者たちを指揮する。
聖騎士という勇者の中でも飛びぬけた職業に就くヒデオは勇者たちを指揮しているのだ。
これまでヒデオが勇者たちを指揮して多くの魔物と戦ってきた。
戦いは連戦連勝。おかげでヒデオのレベルは既に百に到達していた。
ヒデオだけではなく、カズキもレベル百に到達している。
他にも数人、レベル百に到達しているが、全員が対人戦は初めてだ。
相手が亜人でも同じ言葉を話し、同じような容姿だ。
自分たちと少ししか違わない亜人と戦う為にヒデオは勇者たちを指揮する。
「けっ、人間もどきがっ!」
聖闘士のガイ・サルヤマがクマの獣人を殴り倒す。
ガイにしてみれば獣人も魔物も変わらない。
ただ殴り、蹴り、そして倒すだけだ。
この戦場にはラーデ・クルード帝国所属の勇者だけではなく、ルク・サンデール王国、ガーマ王国、ペータル王国、デル王国、アルファイド王国、イプス王国、東ブリタニア共和国の七カ国から勇者が派遣されている。
その数は四十人。ラーデ・クルード帝国の勇者を含めれば実に六十人の勇者がこの戦いに投入されている。
「聖女様、この兵士をお願いします!」
「そこに寝かせてください」
スズノ・イチノセは聖女として怪我人の治療にあたっていた。
他にも回復魔法を使える魔法使いが何人もいるが、スズノは聖女というだけあって回復の効果が高く重傷者が彼女のところに担ぎ込まれる。
「綺麗な布をもっと持ってきてください。それとお湯もお願いします」
聖女と言えども大怪我を一瞬で治すことは難しい。
ツクルの焼き肉のように欠損した部位を完全に再生することも、今のスズノでは無理である。
だから大怪我を普通の怪我にまで治したら他の回復魔法師に任せる。
そうやって魔力の消費を抑えているのだ。
そこにスズノと一緒にルク・サンデール王国に所属しているミキ・ハヤマが駆け込んできた。
「スズノン! オクヤマがオクヤマが!?」
ミキはスズノの親友だ。
そのミキが慌てて駆け込んできて支離滅裂に叫ぶ。
「ミキ、どうしたの?」
ミキの慌てぶりにスズノもただごとではないと感じた。
そこに血だらけの男が担ぎこまれる。
その男に見覚えがあるスズノは顔を真っ青にした。
「オクヤマ君!?」
コウタロウ・オクヤマは勇者の一人で、ルク・サンデール王国の所属だ。
そのオクヤマは出血が酷く顔から血の気が失われている。
何よりも右手が肘の先からなくなっているのが痛々しい。
「しっかりして、オクヤマ君!」
オクヤマは気絶していて意識はないが、まだ生きている。
「スズノン! 回復を!?」
逆にミキの方が冷静になってしまい、スズノに冷静になるように促す。
オクヤマはスズノの回復魔法で傷を塞ぎ死ぬことはなかったが、右腕を失った。
このことに勇者たちの中に動揺が走る。
戦闘訓練をしてきて怪我をしたこともあるが、右腕を失うような大怪我を同級生が負ったのだから仕方がない。
そして翌日の戦いでも悪夢が勇者たちを襲う。
「……なんでよ……なんでウシジマが死ぬのよ……」
勇者の中には明らかに戦意を喪失する者も現れるほどに動揺が広がった。
初めての勇者の戦死。
これは戦争なんだと勇者たちが実感した瞬間だった。
「けっ! ウシジマは雑魚なんだよ! 雑魚は雑魚らしく俺たちの後ろにいりゃ~よかったんだよ!」
ラーデ・クルード帝国所属であるコウガ・タカシマが辛気臭い雰囲気の中、ウシジマが死んだのは自業自得だという。
その主張はある意味正しいが、この場でそれを言うのは空気を読まないタカシマらしい。
「そんな言い方ないじゃない!」
タカシマの言葉に反論の声があちらこちらからあがり、勇者たちに用意された休憩所の中は騒然とする。
「止めないか! 今、僕たちが言い争ってなんになるんだ! 死んでしまったウシジマ君には悪いけど、僕たちは生きているんだ。生きている僕たちまで死者に引き込まれないようにしないといけないと思うんだ!」
元生徒会長で、今でも勇者たちのリーダー格のヒデオが全員に言い聞かせる。
翌日の戦いは勇者たちが精彩を欠いたことで人族側がやや不利な戦いを繰り広げる。
精神的なダメージは簡単には回復しないのだ。
そう考えるとツクルの焼き肉がいかに凄い物か分かるだろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ついに。ついに母親のオムライスを再現したぞ!
長かった。何十ではきかないほどにオムライスを作った。
そして完成したのが、このオムライスだ。
ケチャップライスの塩味が異常に濃くて、薄焼き卵(殻あり)を乗せただけのシンプルなオムライス!
「あむ……しょっぱーっ!? そうこれだよ! このしょっぱさ! そして時々感じるじゃりっとした卵の殻」
俺はやったぞ! 母親の味を再現したんだ!
俺にとってこれほど恐ろしい試練はない!
木刀を千回、素振りをした方がよっぽど楽だった!
『よくぞ、再現をした。さぁ、それを完食するがよい』
「……完……食……」
追い打ちをかけるやつだな、エント!
母親の前では完食をしたが、とても食えたもんじゃないんだぞ!
くそ! なんて恐ろしい試練なんだ!?
「ご、ごしゅじんしゃみゃ……」
「っ!?」
不意にかけられた声。
聞き覚えのあるその声は……カナン!
振り返ると、そこには地面をはいずって俺のところに来ようとするカナンの姿があった。
「おいカナン! しっかりしろ!」
駆け寄り、カナンを抱き起す。
「お……」
「どうした!? 何が言いたいんだ!?」
「おにゃかが、すきみゃした……」
「……」
俺の感動を返してほしい。
そうだ、カナンにぴったりの料理があったじゃないか!
俺はカナンを椅子に座らせると、俺が一口食べたオムライスを差し出す。
「俺の食いさしだが、腹が減っているんだろ? 食っていいぞ」
エントは俺が完食しなければならないとは言っていない。
完食さえすればいいんだろ?
カナンは震える手でスプーンを持ち上げると、オムライスをすくい口に運んだ。
「っ!」
目を見開くカナン。
「こ、これは……」
さすがのカナンも塩辛くて食べれないようだ。残念。
「美味しい!」
「へ?」
カナンはスプーンでまたオムライスをすくうと口に運ぶ。
涙を流して嬉しそうにオムライスを食べるカナン。
なんだ、これが食えるんなら、なんでもOKじゃん。と思ってしまう。
見事に塩辛いオムライスを完食したカナン。
しかしカナンのお腹は俺の一人前程度の量では満足いかなかったようだ。
「エント、カナンに料理を作ってやりたいんだが、いいか?」
『すでに二人の第二の試練は完了している。好きにするがよい』
カナンに食べてもらう用だと量が半端ない。
スキルが使えるようになっている。そんな気がしたので試しに【素材保管庫】から食材を取り出してみたら、できた。
まずは、マグロの刺身をこれでもというほどに乗せたマグロ丼を作る。
ワサビがあれば言うことなしだが、ワサビはまだ発見できていない。
だから醤油を小皿に垂らして一緒に出してやる。
「わー、美味しそうです! はむ……っ! とっても美味しいです!」
カナンがマグロの切り身を箸で器用に持ち上げて食べる。
最初はぎこちなかったが、最近では箸も使えるようになった。
「はむ、あむあむ、はむはむ」
美味しそうに食べてくれると俺も嬉しい。
マグロ丼だけではカナンの腹は満たされないだろうから、もう一品作る。
カナンの大好物のカレーだ。
数種類のスパイスをブレンドしたオリジナルカレーだ。
ご飯も沢山炊いてあるので、カナンが満腹になるまで食べさせてやろう!
「わーい、カレーだー! ご主人様、ありがとうございます!」
大皿にドンと盛り付けた米。米だけで二キログラムはある。
そこになみなみとカレーを注ぐ。
カナンの目が俺の一挙手一投足を追う。
マグロを食いながら目だけはこっちに向いている。カレーに対する半端ない執着心が窺い知れる。恐ろしいやつだ。
「ご、ご主人様!」
「あ、ハンナさん!?」
「ハンナも来たか!」
ハンナはよろよろとだが、二本の足で歩きながら俺に近づいてくる。
ハンナがふらつき倒れそうになるのを俺はダッシュして受け止める。
「ご主人様……」
ハンナが目に涙を溜て俺を見る。
「よく頑張ったぞ」
「わたし……汗……臭くないですか?」
「汗なら俺もかいているし、カナンもかいているぞ。それにお前たちの汗の匂いは嫌いじゃない」
「「っ!?」」
二人が俺に抱きついてきた。
ハンナは元々抱きかかえていたので、俺の首にぶら下がるような格好だ。
しかしカナンは俺の腰に手を回し、俺の背中に顔をうずめている。
二人が小刻みに震えているのが伝わってくる。泣いているようだ。
「お前たちは俺の家族だ。決して手放さない!」
嗚咽が聞こえてきて俺を抱きしめる力が強まる。
日本でも実の両親と死別して皇の家に引き取られた俺は、その皇の両親、そして妹の歩を交通事故で失った。
こっちの世界でもサーニャを失い、今の俺にはカナンとハンナはこの世でたった二人の家族だ。
もう二度と家族を失いたくない。
クソジジィと会おうとももう冷静さを失わない。
俺のミスでもう誰も失いたくないんだ。
二人をギュッと抱きしめて、この世界での家族、今の俺にとっての唯一無二の家族を感じる。
「あらあら、主従の感動の再開ですね」
聞き覚えのある声だ。
「アンティアか」
背中越しだけど分かる。感じたことのある気配だ。
「三人が試練をクリアされたと聞いて迎えにきたのですが、少し早かったようですね」
第三の試練もあるかと思っていたが、俺たちは試練をクリアしたのか。
木刀を振って、オムライスを作るだけの試練で俺は強くなれたのか?
一歩引いて、木刀は訓練になっただろう。しかしオムライスを作るのにはどんな意味があったんだ?
「そうだ、カレーを作ったんだ。ハンナも食べるだろ?」
「は、はい! いただきます」
ハンナは涙でぐちゃぐちゃの顔を上げて、返事をする。
いつもクールなハンナの可愛らしい一面を見れて、思わず頭を撫でてしまった。
「ご主人様、私もカレーを食べます!」
「沢山あるから、腹がはちきれるまで食え!」
「はい!」
俺はアンティアに顔を向ける。
「アンティアも一緒にどうだ?」
「いいのですか?」
「もちろんだ、ご飯はみんなで食べた方が美味しんだぞ」
「では、ご相伴にあずかるとしましょう」
アンティアも嬉しそうに椅子に座る。
俺はみんなの分を皿に盛りつけて出してやる。
「さぁ、食ってくれ。お代わりもあるぞ」
「「「いただきます!」」」
「いただきます? それは?」
「俺の故郷では食事の時に食材や、食材を作ってくれた人に感謝をしてから食べる風習があるんだ。それが、いただきます。だ」
「なるほど、よい風習ですね。では、わたしも、いただきます」
四人でカレーを食べた。
カナンは大皿二杯を完食して腹をさすりながら至福の時を過ごしているようだ。
ハンナも珍しくお代わりをした。と言ってもハンナの場合は普通の皿なので、二杯といってもカナンのような爆食いではない。
アンティアも美味しいと言いながら完食した。
三人が満足してくれたなら俺も嬉しい。
皆が満足して和んでいるところを見ると俺は『調理師』でよかったとつくづく思うのだった。
この世界に召喚されてボルフ大森林に捨てられたが、必死で生きようともがいてきた。
そのおかげで、黒霧、カナン、ハンナ、そしてサーニャに会えた。
俺のミスでサーニャは死なしてしまったが、もうそんなミスはしない。
どんな奴が相手だろうと、どんな逆境に立とうと、俺は仲間を、家族を守ってみせる!
「さて、美味しい料理もご馳走になりましたし、本題に入ってもいいですか?」
アンティアの雰囲気が変わった。これから真面目な話をするのだというのが雰囲気で分かる。
「ああ、頼む」
カナンとハンナも頷いて了承する。
「三人には、エント様に会って頂きます」
「「エント様?」」
俺はエントという名を知っているが、カナンとハンナは知らないようだ。
「三人に今回の試練を与えたお方です」
その説明で二人も理解したようだ。
「エントはどこにいるんだ?」
『ここにいるぞ』
「「「っ!」」」
スーッと何かが目の前を覆う感じがした。
見るとアンティアの後ろに巨大な影が……これがエントか?
エントは簡単に言うと世界樹だ。
あの巨大な世界樹がアンティアの後ろに現れたのだ。
『試練を乗り越えし者たちよ、よくぞ生き残った』
「世界樹がエントなのか?」
俺は疑問に思ったことを率直に聞いてみた。
「いいえ、エント様は世界樹ではありません。エント様は『世界樹の護り手』なのです」
「『世界樹の護り手』……世界樹ではないのか……」
見た目は世界樹だが……あ、目と鼻があるよ……確かに世界樹ではないようだ。
ぎょろりとエントの目が動く。
『アンティアよ、説明をせよ』
「はい」
そこからアンティアの講義が始まった。
アンティアはエントのことから世界樹のこと、それにあのクソジジィのことも色々と教えてくれた。
「つまり、エントは神の使い的な存在で、アンティアはエントに創られた最初のエルフ族なのか?」
「そうです。ツクルがクソジジィと呼んでいるハーゲン・テマスもエント様とは違う別の神の使いがお創りになった人族のエンシェント種です」
あのクソジジィの上にはエントみたいな存在と、さらにその上に神がいるのか。
ふふふ、俺の敵が明確になった。
あとは、俺が最終的に神をもぶっ飛ばす力を手に入れられるか、だな。
「自分のステータスを確認してみて」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
氏名:ツクル・スメラギ
ジョブ:調理師・レベル三百五十五
スキル一:【究極神調理】【詳細鑑定】【素材保管庫】
スキル二:【暗視】【俊足】【気配感知】【野生の勘】【連携】【集団行動】【囁き】【怪力II】【屈強II】【剛腕II】【頑丈II】【鉄壁】【気配遮断】【偽装】【逃げ足】【絶対防御】【闘神II】【覇動】【超再生II】【物理攻撃耐性】【魔法攻撃耐性】【念話】【手加減】
スキル三:【木魔法】【風魔法】【影縫い】【闇魔法】【死霊召喚術】【土魔法】【スキル付与】【クリーン】
ユニークスキル:【等価交換II】
能力:体力EX、魔力EX、腕力EX、知力S、俊敏S、器用EX、幸運EX
称号:変出者、魔境の覇者、剣聖、世界樹の試練を乗り越えし者
NEW
究極神調理 : 【究極調理】【着火】【解体】【湧き水】【道具整備】【食材探知】【皮剥ぎ】【鱗落とし】【三枚おろし】を統合したスキル。
世界樹の試練を乗り越えし者 : 世界樹の誘いに入り、試練を乗り越えた者。能力の上限が解放される。
UP
【怪力II】【屈強II】【剛腕II】【頑丈II】【闘神II】【超再生II】【等価交換II】
体力S→EX、腕力S→EX
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
氏名:カナン
ジョブ:賢者 レベル二百七十
スキル:【魔力操作IV】【魔力ブーストIV】【魔力感知IV】
ユニークスキル:【全魔法】
能力:体力S、魔力EX、腕力D、知力EX、俊敏C、器用B、幸運B
称号:世界樹の試練を乗り越えし者
NEW
賢者 : 魔術師から昇華した職業。世界樹の試練を乗り越えると昇華することがある。全魔法の扱いに長ける。
全魔法 : 全ての魔法を扱え、魔法を複数同時に使用可能。【爆風魔法II】【大地魔法II】【氷雷魔法II】【光魔法III】は【全魔法】に統合された。
UP
体力C→S、魔力A→EX、知力B→EX、幸運C→B
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
氏名:ハンナ
ジョブ:武帝 レベル二百七十
スキル:【暗視】【気配感知III】【鉄壁II】【偽装】【逃げ足】【絶対防御II】【手加減】【影縫い】【連携】【集団行動】
種族スキル:【嗅覚強化III】【聴覚強化III】
ユニークスキル:【武帝術】
能力:体力S、魔力E、腕力EX、知力C、俊敏EX、器用B、幸運C
称号:世界樹の試練を乗り越えし者
NEW
武帝 : 武闘王から昇華した職業。世界樹の試練を乗り越えると昇華することがある。
武帝術 : 【武闘術III】が他の【身体強化III】【屈強III】【剛腕III】【俊足III】【怪力III】【頑丈III】【直感IV】を統合し昇華したスキル。
UP
体力A→S、腕力A→EX、俊敏A→EX、幸運F→C
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
何と言っていいのか……まずは俺のステータスから検証をしよう。
スキル一の欄がすっきりした。調理系のスキルが【究極神調理】に統合されてしまったのだ。
何度も俺の命を救ってくれた【解体】も【究極神調理】に統合された。
だからと言って【解体】が使えなくなったのではなく、複数のスキルが全て【究極神調理】にまとめられただけだ。
次はユニークスキルの【等価交換】だ。スキルレベルが上がってレベルがIIになった。
効果は今までと同じだが、消費魔力が少なくなった。まぁ、俺は魔力が多い方なので誤差範囲なのかもしれない。
それでも消費魔力が少なくなったのはいいことだ。
あとは【怪力】などの身体強化系スキルのレベルが上がった。
これは木刀を振りぬいたからだと思う。
そして、能力の『体力』と『腕力』が上がった。
これも木刀効果だと思うけど、本当のところは分からない。
次はカナンのステータスだ。
職業が『賢者』になっている。まさか職業まで変わるとは思っていなかった。
職業が『賢者』になったせいか、魔法系のスキルが全て統合されユニークスキルの【全魔法】になっている。
どう考えても魔法チートだ。
能力としては『体力』、『魔力』、『知力』、『幸運』が上がっているが、特に『魔力』と『知力』は『EX』になっており、能力も魔法チートだ。
ハンナも職業が変わっていた。
何故俺だけ職業が変わらないのか、不思議だ? 虐めだろうか?
こちらも職業が変わっているからか、ユニークスキルの【武帝術】にスキルが統合されている。
能力は『体力』、『腕力』、『俊敏』、『幸運』があがっているが、『腕力』と『俊敏』が『EX』になっているので、武術チートも夢ではないだろう。
「あの試練では能力はあがりません」
アンティアが不思議なことを言う。
ステータスを見れば能力が上がっているのは誰の目にも明らかだ。
「なら、なんで能力が上がっているだ?」
「精神力が向上したことで、本来の身体能力になったのです。誰もが精神を鍛えずして身体能力の向上はかないません」
なるほど、今までは精神が未熟だったから体の方もリミッターがかかった状態だった。
それが今回の試練で精神力を鍛えたので身体能力のリミッターが解除されて本来の身体能力になったのか。
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