ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】

なんじゃもんじゃ

ガベージブレイブ(β)_040_キャンプの定番はカレーだ!

 


 レベル九十三となったハンナとレベル八十四となったサーニャの二人をオーガジェネラル率いるオーガと戦わせる。
 雑魚オーガを二人が連携して殲滅させていく姿は狩猟種族の逞しさを感じるものだった。
 ハンナが先行して殴る蹴るジャンプすると、サーニャがハンナの死角から攻撃をしようとするオーガに斧を投げてけん制したり倒したりする。
 お互いの位置を見なくても認識していることでアイコンタクトなども不要だ。
 何故ここまでできるのか不思議なくらい二人の連携は素晴らしい。
 そう言えば、俺は使う機会がなかったけど【連携】や【集団行動】といったスキルもあったな。
 二人には不要かもしれないが、与えておこう。
 もしかしたらもっと高い次元でシンクロして戦えるかもしれない。


 オーガジェネラルの攻撃がことごとく空を切る。
 ハンナが蝶のように舞い、蜂のように刺すを繰り返す。
 見事なヒットアンドアウェイだ。
 オーガジェネラルはハンナの美しい体捌きに翻弄されなす術がない感じだ。


 更にオーガジェネラルの死角からサーニャが斧を投げつけるとドスッと大腿骨を切断した。
 太い足が切断されたことで絶叫をあげて倒れこむオーガジェネラルの隙を見逃さすハンナではなかった。
 ハンナの後ろ回し蹴りが倒れこんで丁度良い高さになったオーガジェネラルの顔面を捉えたのだ。
 口からはみ出していた大きな牙が無残に折られ意識を刈り取られたオーガジェネラルは大の字に倒れる。
 そこにサーニャが投げた斧が脳天にめり込み勝負ありだ。
 レベルが自分たちよりも高いオーガジェネラルであっても圧勝する二人は戦闘民族なのだろうか。


 地面に倒れている大量のオーガを回収して、このボルフ大森林へきた目的を果たしに向かう。
 そう、魔物の大群の殲滅だ。


 ボルフ大森林を北上する。
 そうすると俺が確認した魔物の群れではない小規模の群れがいくつも南下してくる。
「ご主人様、これがそうですか?」
 ケモミミをピコピコさせサーニャが確認をしてくる。
「いや、こいつらは南下してくる大群に押し出されるように移動してきた群れだろう」
「では、これも潰しておかないと森の外に出てしまいますね」
「ハンナの言う通りだ。カナン、焼き尽くしてくれ」
「畏まりました!」
 赤き賢者の杖を両手に持ち顔の前で掲げると瞑っていた目をカッと開く。
「焼き尽くしなさい!フレアストーム!」
 視界が炎の渦によって真っ赤に染まる。
 カナンが放った魔法は魔物だけではなく木々や地面、そして大気さえも焼き尽くさんとする勢いだ。


「あ、熱いです」
「これは凄いですね」
 サーニャとハンナは常識外れのカナンの魔法を目の当たりにして驚いている。
 離れていても頬がチリチリと焼けるほどの威力の炎は百体ほどの魔物の群れの半分を飲み込み、半分程には大きなダメージを与えた。
「よし、ハンナ、サーニャ、GO!」
「「はい!」」


 生き残った魔物の殆どはダメージを受けているので、ハンナが殴る、蹴る、を繰り出す度に魔物の死体ができていく。
 そのハンナを援護するようにサーニャの斧が飛んでいき魔物を死体にする。
 ハンナが魔物に囲まれてもサーニャが上手くフォローすることでレベルが上の魔物ばかりなのにハンナは無傷でいる。
 そして二十分もすると魔物を完全に殲滅して二人は戻ってきた。


「ご苦労さん」
「いえ、この程度であれば大した苦労はありません!」
「お姉ちゃんの言う通りです。ご主人様に頂いた装備に恥じることのない働きをお見せします!」
 俺とカナンは二人の鼻息の荒さに気押される。
 ここで二人ばかりを褒めるとカナンが拗ねるのでカナンも褒める。
 実際、カナンの先制攻撃によって半数を倒しているのだから褒めて当然だ。
「あ、ありがとうございます!」


 いくつかの小規模の群れを殲滅しながら進むと夕方になる。
「今日はここで野営だなカナンはテントの設置、ハンナとサーニャは周囲に魔物避けのマジックアイテムを設置してきてくれ」
「「「はい!」」」


 カナンが設置するテントは見た目は二人用の小さなテントだが、中に入ると三十帖ほどの広さがあり、四台のベッドとソファーセットが設置されている。
 勿論、空調も完備だ。快適空間を作っている。
 これはサイドルの店で買った魔法のテントを【等価交換】によって能力を大幅に上げている。
 設置も簡単で地面において魔力を供給するだけだ。
 ただし、この快適空間を維持するにはそれなりの魔力がいるので、ハンナとサーニャでは設置ができないのだ。


「テントを設置します!」
 同じくサイドルの店で購入した安物のマジックバッグから魔法のテントを取り出し魔力を供給する。
 言うまでもないが、このマジックバッグも【等価交換】によって能力を大幅に上げている。
 魔法のテントの他には食べ物があのマジックバッグには入っている。
 元は安物なので容量は少ないし時間経過もあったが、今では大容量で時間経過もないのでカナン用の非常食が沢山入っているのだ。


「「ご主人様、魔物避けの設置を完了しました」」
 ハンナとサーニャには四カ所に魔物避けを設置してきてもらった。
 魔物避けもサイドルの店で買ったが、そのままではこのボルフ大森林に生息しているような高レベルの魔物には効果がない。
 だからこれも俺の【等価交換】で効果を増幅している。
 エンペラードラゴンクラスならともかく、レベル二百のヘルベアー程度ならしっかりと効果を発揮してくれるはずだ。


 森の中での野営キャンプなのでやっぱりあれだよね。
「三人とも、ご苦労だった。今日の夕食はカレーだ」
 キャンプと言えば、カレーだ。
 カレーこそキャンプの正義なのだ!


「本当ですか!やった~カレーだ、カレーだ、わ~い、わ~い」
 カナンが小躍りして喜んでいる。お前は子供か、と突っ込みたくなる。
 以前、香辛料スパイスが手に入った時にカレーを試しに作ってみたのだが、これがカナンには大好評だった。
 それ以来、カナンはカレーの虜になってしまったのだ。
 ハンナとサーニャは初めてのカレーなのでカナンがここまで喜ぶのが理解できない表情で踊っているカナンを見ている。


 数種類の香辛料を実のまま鍋に投入して炒める。
 香りが立ってきたら玉ねぎに似た野菜をみじん切りにしてから投入してあめ色になるまで炒める。
 む~似たという表現は面倒だな。使うのをよそう。
 弱火にしてすり下ろしたショウガとニンニクを加え炒める。
 トマトを加え、モウ乳から作ったヨーグルトも加えて炒める。
 ここで香辛料を粉にしたものを入れ、塩で味を調える。
 軽く混ぜ美味しいエルリン川の水を加えてのばしてから強火で沸騰させて水分を飛ばす。
 更に香りを付けるために粉にした香辛料を加え煮立たせる。
 これでルーの方は完成だ。


「そう言えば狼の獣人は玉ねぎを食べて大丈夫なのか?」
「狼と言いましても私たちは獣人ですから問題ありません。私は玉ねぎを使った料理が好きです」
「私は玉ねぎの辛みがちょっと……」
「ハンナは好きでサーニャは辛みが苦手と」
 玉ねぎは問題ない。基本的に人族の食べる物は食べられるそうだ。
 寧ろ、生肉も食べることができるので人族よりも幅は広いそうだ。
 そうか、こっちでは牛肉や馬肉などを生で食べたりはしないのか……。


 レベル百八十のジャイアントバッファローのバラ肉をサイコロ状に切り、別の鍋で炒める。
 適度に焼き色が付いたら先ほどのルーと混ぜて更にトマト、モウ乳を加える。
 最後に隠し味としてコーヒー豆を粉にしたものを加えると完成だ。


 カレーだけでは寂しいのでから揚げとトンカツの揚げ物コンビを作って、他にゆで卵とチーズも付ける。
 後はエルリン川の水で炊いた米とカレーを皿に盛り付けて四人分用意する。
 勿論、米もルーもカナン用に大量に用意しているし、揚げ物コンビも大量だ。


 テーブルに大量の料理。
 それをライオンが獲物を狙うような獰猛な目で見つめるカナン。
 涎を拭けよ……。
「じゃぁ、食べるか。いただきます」
「「「いただきます!」」」
 その瞬間、カナンは物凄い速度でカレーと米を一緒にスプーンですくい口に運ぶ。
「お、美味しいぃぃぃぃぃっ!」
 美味しいと言ってくれるのは嬉しいが、泣かなくてもいいと思うぞ。


「「本当に美味しいです!」」
 ハンナ、サーニャ姉妹も喜んでくれたようだ。
「ご主人様、アムアム、このから揚げも、パクパク、美味しいです!カミカミ」
「……そうか、カナンのために沢山作ったからな」
 食べるか喋るかどちらかにしろよな。
「ひゃい!ゴホゴホ、み、みず~」
 食べ物を喉に詰まらせたカナンはハンナから水をもらうと一気に流し込む。
「ぷっは~、生き返った~」
「そんなに急いで食べながら喋るからだぞ。沢山あるのだからゆっくり食え」
「はい!」
 本当に分かっているのかよ。


 食事はカナンの一人舞台だった。
 山盛りだったから揚げやトンカツも平らげカレーだって大鍋で作ったのに空になった。
 あの細い体のどこに入っているのか不思議だと思っているのは俺だけではないだろう。
 ハンナとサーニャの姉妹も口をあんぐりと開けカナンを見ていた。
 この世界に大食い選手権があればカナンは有名選手となれるだろう。
 因みに一人前だろうが十人前だろうが、得られる効果は一緒だ。
 料理の数だけ効果もあるが、量による効果アップはない……はずだが……。
 カナンの魔法の威力を考えるともしかしたら食べた量が一定以上になると……今度検証してみるか。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 翌朝、俺とハンナとサーニャはおにぎりを食べて軽く腹を満たす。
 ただし、カナンだけはガッツリと食べていた。
「よし、いくか」
「「「はい!」」」


 レベル百五十のハイエナウルフとレベル百四十のボアグノンが半数以上を占める魔物の大群。
 その大群に追われるように更に弱い魔物の群れが現れるのでそれをせん滅しながら進む。
 今回はオーガの群れのようだ。


 多くのオーガは体の一部がなくなって死んでいる。
 それだけでハンナとサーニャの攻撃力が既にオーガを凌駕していることが分かる。
 二人の戦闘センスは俺の常識を超えていた。
 流石にここまでの才能があるとは思わなかった。
 現在、ハンナはオーガキングを相手に一歩も引かず戦っている。
 オーガキングはレベル百二十の魔物でハンナとサーニャよりレベルが高い。
 ハンナはオーガキングの攻撃をことごとく避け、避けるだけではなくカウンターで攻撃を返すのだ。
 それだけでオーガキングの体はボロボロで満身創痍なのに、更にサーニャの斧がガツンッ、ガツンッとオーガキングを襲うのでたった二分ほどでオーガキングが地面に倒れ伏した。


 

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