ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】
025_毒
「ご、ご主人様……先ほどの魔物は……?」
「あれは俺が召喚した魔物で名をベーゼという」
「しょ、召喚ですか……」
カナン用装備を創り終わったので他にも色々と装備を創ってカナンが起きるのを待っていた。
その間、今のカナンにベーゼの姿は刺激が強すぎたかと少し反省していたらカナンが起き出してきた。
「ベーゼのことはそういうものだと思ってくれれば良い」
「分かりました!」
「それでだ、カナンに相談がある」
「相談ですか?」
可愛らしく首を傾げるカナン。
そう言えば俺はこんな可愛いカナンと同じ部屋で過ごしているんだよな。
夜寝る時だって隣のベッドでカナンが寝ているんだ。
考えたらメッチャ興奮するシチュエーションじゃないか!
くそ~っ!全然そんなこと考えていなかった!?俺の馬鹿~!
「あ、あの、ご主人様?」
おっと、考えの底に落ちていたようだ。
「お前は強くなりたいか?」
カナンは困惑した表情を見せる。
「自分自身を守り不当な権力から身を守れるほどの力がほしいか、と聞いているのだ」
「っ!……はい!ほしいです!」
「強くなるためには死ぬほどつらいことも我慢できるか?」
「はい、我慢します!」
カナンの瞳に炎が宿ったように見えた。
カナンがその気なら問題ない。現実世界で初めてのパワーレベリングをしようじゃないか。
「先ずはこれを食え」
調書の山が置いてある机を離れ丸いテーブルの上に【素材保管庫】から焼肉を出して置く。
言わずと知れたスキルを覚える効果のある焼肉だ。
カナンの職業は魔術師だが、使える魔法は【火魔法】だけだ。
装備としては【火魔法】をかなりブーストしているが、【火魔法】だけでは融通が利かないだろう。
だから【風魔法】と【木魔法】、それに一時的に防御において無敵状態になる【鉄壁】を覚えさせる。
「さぁ、食え!」
「はい!」
カナンが【風魔法】と【木魔法】の焼肉を食べるとそれぞれビクッとする。
恐らくスキルを覚えたと文章が現れたのだろう。
しかし【鉄壁】の焼肉を食べてもカナンの表情に変化はない。
それどころか首を傾げる。
氏名:カナン
ジョブ:魔術師 レベル二十三
スキル:【火魔法】【魔力操作】【魔力ブースト】【風魔法】【木魔法】
能力:体力G、魔力C、腕力G、知力C、俊敏E、器用D、幸運E
NEW ⇒ 【風魔法】【木魔法】
そうしたのかとステータスを見てみるが、三番目に食べた【鉄壁】の表示がない。
何故だ?と考えるもさっぱり分からん。
分からんどころか、俺の場合は『スキル二』の欄が現れたが、カナンは一括表示になっている。分からんわ~。
もしかしたら魔術師のカナンでは【鉄壁】が覚えられないのか?と思った俺は試しに【怪力】の焼肉を食べさせてみた。
結果は予想通りというか残念ながら【怪力】を覚えることはなかった。
次は装備を与えようと思い【素材保管庫】から取り出そうと思ったのだが、ドアをノックする音がした。
俺は頷きカナンがドアへ向かい開けるとそこには領主の娘であるアルテリアスが立っていた。
アルテリアスを迎え入れる。
「ごきげんよう、スメラギ様」
綺麗なお辞儀をするキツネ耳の美少女。その尻尾はゆっくりと左右に揺れている。
モフモフさせてくれないよな?
「ああ、姫様もごきげんよう、だ」
「姫様だなんて、いやですわ。アリーと呼んで下さいまし」
「そうか、ならアリーと呼ぼう。それで、今日はどうしたんだ?」
嬉しそうに尻尾を振るアリー。
「休憩をされては如何かと、お茶に誘いに来ました」
ニコッとそんな可愛い笑顔を向けられると大概の男はイチコロなんだろうな、と思ってしまう。
しかもアリー自身にそういった意図はないので破壊力は抜群なんだろう。
この世界の時間の概念が分からないが、お茶の時間なんだろう。
日本ではスマホで時間を知ることができたので腕時計をしていなかったが、この世界に召喚された時にスマホは召喚されなかった。
服のポケットに入れていたはずなのにポケットは空だったのだ。
朝一でサイドルの店に行き帰ってきて山積みの調書と格闘していたので適度に喉が渇いている。
だからアリーのお誘いにのることにした。
お茶は部屋ではなく、館の中庭で頂くそうで中庭に出る。
冬なので時折冷たい風が吹く中庭なんかでお茶をしたくないな、と思っていたが、行ってみると何故か風はなくしかも温かい。
「うふふふ、ここはマジックアイテムによって常に春のような温かさになるように調整されているのですよ」
マジか、そんなマジックアイテムがあるなんて凄いな。
俺たちの前にお茶が運ばれてくる。
アキバでは見られない裾の長いスカートに地味なエプロンのメイドさんは音もなくティーカップやお菓子の皿を並べていく。
カナンにアキバメイドの衣装を着させてみようかな……いやいや、そんなことしたら俺変態じゃん!でも良いかも……う~む、悩むな。
「お口にあえば良いのですが?」
アリーは左手でソーサーを持ち上げ香りを楽しんでからカップを右手で持って優雅に口をつける。
あ~あのカップになりたい……なんて思ってないぞ!
さて、俺の方だが……
「紅茶はお嫌いでしたか?」
俺がカップをジーっと見つめていたのでアリーが不安そうな表情で俺を見てくる。
どうしたものか……正直に言うのが吉なのか、とぼける方が吉か。
俺はカップを持ち上げ紅茶を口に含む。
その爽やかな香りが鼻を伝う。上品な香りとスッキリとした口当たりのお茶だ。
とても美味しいと思う。毒が入っていなければ。
いや、紅茶に毒は入っていない。毒はカップの縁に塗られておりアリーの方には塗られていない。
俺も人外になったと思う。毒耐性系のスキルがなくても大概の毒は効かないし、猛毒に侵されても【究極調理】で調理した食べ物を食べれば解毒できる。
俺が紅茶を飲んでもピンピンしているものだからメイドが僅かに表情を変えた。
ほんの僅かなので普通なら見逃しているほどの変化だが俺の目はごまかせない。
つまりこのメイドは毒のことを知っていたということだ。
対してアリーは美味しいお茶を普通に楽しんでいる。
もし犯人がアリーだったらポーカーフェイスレベルが高すぎるだろうと思う。
お茶会が終わり自室に戻るとベーゼを呼び出す。
「お呼びでしょうか、主様」
「ああ、アリー付きのメイドを調べろ」
「畏まりまして御座います」
霧となって消えていくベーゼを真っ青な顔で見送るカナン。
今度は気絶しなかっただけましだ。
「さて、中途半端で終わっていたが、カナンにこの装備を与える」
「これは……」
「カナン専用の装備だ。これからカナンのレベルを上げるからそれを身につけろ」
カナンはレオタードじゃなかった、魔性のボディースーツを手に取り神妙な顔をしている。
「どうした?」
「これを……着るのですか……?」
「嫌か?」
「い、いえ!ご主人様が着ろと仰るのであれば、喜んで!」
そう言うとカナンはその場でワンピースを脱ぎ出す。俺が見ているから!
「あ、その装備の時は下着は脱ぐように」
「え、あ、はい!」
下着をつけたまま魔性のボディースーツを着ようとしていたのでちゃんと指摘しておいた。
しっかりと見てますが何か?
もう鼻血ダラダラですが何か?
「ご、ご主人様……鼻血が……」
「お、おう、大丈夫だ!」
しかし俺に出血を強いるとはカナンの裸はエンペラードラゴンのブレス以上の破壊力を持っているな!
もうボン、キュッ、ボン、だ!
羨ましいか!やらんぞ!俺のものだ!
魔性のボディースーツを着たカナンはまさに魔性の女だ。
破壊力抜群のプロポーションにハイレグ網タイツは俺の理性を駆逐しようとこれでもかと攻めたてる。
「ご主人様、これで宜しいでしょうか?」
その場でクルっと回り俺にしっかりと全身を見せてくれた。
しかし大きすぎず引き締まっているけど筋肉質ではないお尻がプルンとして触り……あ、いや、お見事です!
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