ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】

なんじゃもんじゃ

021_商談

 


 カナンが体の汚れを気にして水で体を拭きたいという。
 そう言えば、俺も二日前に風呂に入ったきりだな、と思い起こす。
 ボルフ大森林の中じゃ殆ど風呂に入っていなかったけどここは人間世界なので身だしなみには気を付けないとな。
 しかし宿屋に風呂などないし、大衆浴場もない。
 仕方がないので【等価交換】でスキルを創ることにした。
 この【等価交換】でスキルを創る時は気を付けないといけない。
 創りたいスキルのコストが高いとえらい目にあうのだ。
 一度それで死にかけたので慎重になる。


 そう言えば、【等価交換】と言うのだから他のスキルを代価として消費することはできるのだろうか?
 そうなれば不要なスキルを代価にでき有用なスキルを得ることができるので俺的にかなり助かる。
 今回創るスキルは体や物の汚れを綺麗にする【クリーン】だ。
 ラノベではお馴染みのスキルだ。


 代価にするのは【直感】で良いだろう。【直感】は【野生の勘】の下位互換なので【野生の勘】があると使うことはないスキルだ。
『スキル【直感】を消費して【クリーン】を覚えました』
 お、成功のようだ。
 早速、カナンに【クリーン】をかけてやる。
「え?え?……ご主人様……」
「体や服の汚れを綺麗にする魔法をかけた。これで大丈夫だろう」
「あ、有難う御座います!」
 カナンが俺に抱き着いてくる。おお、意外と……ムニムニで……むふふふ。
 考えたらワンピースのような服の下は下着も着ていないのだった。
 これはこれで気持ちが良いので嬉しいのだが、カナンにも下着を作ってやろう。
「あ、申し訳ありません!」
「いや、結構なお手前でした」
「はい?」
「いやいや、何でもない」
 しかし良く育ってらっしゃる。着やせするタイプですな、ウンウン。
 何を納得しているのか自分でもわからないが、再び【等価交換】を発動してスリーピングシープの羊毛でブラジャーとビキニショーツを作る。
 それをカナンに渡すとすぐに着けてもらう。
 って、俺がいるのにワンピースを脱がないでくれ!
 いや、眼福なんだけど……後ろを向いておこう。自主規制だ。
「ご主人様、どうですか?」
 振り向くと下着姿のカナンがいた。ブッ!鼻血が……
「ご主人様、大丈夫ですか!」
「ああ、俺には刺激が強いから服を着てくれ」
「は、はい……」
 残念そうなカナン。
 俺だって残念だ。だけど俺が出血多量で倒れてしまうので、涙を呑んで服を着てもらう。
 しかしワンピースを脱ごうとした時に見えた形の良いお尻様も破壊力抜群だったが、下着姿の美少女の恥ずかしそうにしている姿は違った意味で危険だ!
「しかしこのブラジャーという下着は素晴らしいですね。これなら胸の形が崩れないでしょうし、動きやすいです!」
「それは良かった。長くつけていて痛くなったり不具合があったら言ってくれ。改良するから」
「はい、有難う御座います!」
 嬉しそうなカナン。人族なので尻尾はないが、尻尾があれば振り切れていただろう。


 昨日に引き続きサイドルの店に足を進める。
 昨日の夜に寄付をしてくれた大人たちはいないけど、朝から俺をつけてきていた奴はまだいる。
 敵意は感じないが、あまり気分の良いものではない。明日もいるようならご退場願おう。


 サイドルの店に入る。
 これだけ大きな店なので色々な物がおいてあるだろう。だから今日は全てを見て回る覚悟でいる。
 それとサイドルへに商売についての相談をしなければならない。
 流石に使い過ぎた……まぁ、その半分はカナンの購入金額なのだけどね。
 サイドルの野郎、カナンを俺に押し付けたくせにきちんと金をとりやがった。
 商人というのは油断ならん生き物だ。


 店に入ると周囲を見渡す。
 見える範囲にサイドルはいないが、気配ではこの建物の中にいるのは分かった。
 まぁ、サイドルは俺に興味があるようだから店の中を見て回っていたら向こうからやってくるだろう。
「カナン、店の中のことは詳しいか?」
「はい、何度も来ておりますのでそれなりに詳しいです」
「なら、全部見て回るから案内を頼む」
「はい!」


 先ずは一階、この階は穀物類や野菜類、肉類などが所狭しと並べられている。
 そして俺はこの一階で目的の大豆を見つけるのだった。
「それはダイーズという家畜のエサです」
 大豆が家畜のエサなのか?家畜も良い物を食べているな~。
「これは幾らなんだ?」
「はっきりとは分かりませんが、一袋五百ゴールド程度だと思います。家畜のエサなので安いのです」
 本当に安いな。二・三十キログラムは入っていそうな大きめの袋がたった五百ゴールドとは思ってもいなかった。
 俺はそれを二袋購入し、更に見て回ると何とトウモロコシもあった。
「それはコーンです」
 まんまか!今までの流れで少しもじった名前かと思ったが、そのままのコーンだった。
 コーンもほしいが金が心もとないので金ができたら買いにこよう。


 早速目的の物が手に入ったのでカナンの案内で店内を見て回る。
 そうしているとサイドルが近づいてくるのが分かった。
「これはこれはスメラギ様」
「邪魔しているぞ」
「はい。……カナンッ!しょ、正気を取り戻したのか?」
 サイドルは俺の傍で姿勢正しく立っているカナンを見て驚いていた。
 まぁ、驚くのも無理はないだろう。昨日、俺がカナンを引き取った時には視線は定まらず意思疎通もままならない状態だったのだからな。
 その後はサイドルが涙ぐみ鼻声で嬉しさを表す時間が続いた。


「スメラギ様には何とお礼を言ってよいやら」
「礼はいらないが、ちょっと頼みがあってやってきた」
「頼み、で御座いますか?私にできることであれば何なりとっ!」
 俺はカナンを購入したので金策をしなければばらないことを素直に伝える。
 そしてその金策の手段として俺が作った食べ物を売りたいとサイドルに相談する。
「食べ物ですか……それはどのような物で?」
 食べ物と聞いてサイドルの顔が曇る。
 事前にカナンに聞いていたことだが、どうも食べ物を売るには役所の書類審査と商人ギルドへの届け出が必要となる。
 商人ギルドの方はサイドルがこの町の顔役をしているということから問題ないが、役所の方はカナンのこともありもしかしたら許可が下りない可能性があるという。
 つまり貴族の子供を殺したカナンを購入した俺を役人がどう見るかによるそうだ。
「わ、私は殺していません!」
「分かっている、分かっているが、許可を出す役人はスメラギ様ではなく貴族の顔色を窺いましょう」
「確かに、役人にとっては貴族の機嫌を損ねるわけにはいかないか……」
「申し訳ありません……私なんかを購入したばかりに……」
 あからさまに落ち込むカナン。
 彼女が子供を殺していないのであれば奴隷落ちもそうだが、あまりにも理不尽な話だ。
 しかし役人としてみれば面倒ごとに巻き込まれたくないというのは仕方がない。
 だが、それだと俺はこの町で食べ物を売ることができないので冒険者ギルドか傭兵ギルドに登録し魔物を倒して金を得ることになる。
 冒険者ギルドや傭兵ギルドは緊急依頼なんて面倒なシステムがあるとカナンが言っていたので登録したくない。
 できることなら人間世界では食べ物を売って生計をたてたいと思うわけだ。
「なぁ、サイドル」
「何でございましょう?」
「アンタのこの店は食べ物の販売許可は持っているのか?」
「はい、私どもは何でも扱うというのが信条でして、その為に必要な許可は全て得ております……っ!そういうことですね!?」
「え?何ですか、おじ様?」
 流石は商人のサイドルだ、俺の考えたことをすぐにくみ取ったようだ。
 それに対して俺の考えが分からないカナンは頭の上に『???』を付けている。
「しかし宜しいのですか?スメラギ様の儲けが少なくなりますよ?」
「むしろ、頼みたい。俺には商売のイロハは分からないからな」
「そういうことでしたらお引き受け致しますが、いったいどのような食べ物をお売りに?」
 よくぞ聞いてくれたと俺が自信満々に出したのは、おにぎりだ!
 皿に載せた六種類のおにぎりをサイドルに渡す。
「これ……は?」
 見て驚け、聞いて戦慄せよ!
「これは米で作った携帯食だ」
「携帯食と言いますと……」
「どうした?」
 あまりにも落胆の表情を見せるサイドル。
「スメラギ様があまりにも自信満々に仰るのでもっと凄い料理かと期待しておりましたから……少し拍子抜けしてしまって」
「そう言うな、見た目の派手さはないが中身はゴッツイぞ。サイドルも商人なら【鑑定】を持っているだろ?見てみろよ」
「ええ、【鑑定】は持っておりますが……それでは…………っ!」
 驚いているな。そうだろう、そうだろう、俺がただのおにぎりを作るわけがないさ、俺の特別製おにぎりを刮目せよ!
「こ、こ、こ、これはっ!?」


 体力のおにぎり ⇒ 食べると二時間の間、体力が上昇する。
 魔力のおにぎり ⇒ 食べると二時間の間、魔力が上昇する。
 腕力のおにぎり ⇒ 食べると二時間の間、腕力が上昇する。
 知力のおにぎり ⇒ 食べると二時間の間、知力が上昇する。
 俊敏のおにぎり ⇒ 食べると二時間の間、俊敏が上昇する。
 器用のおにぎり ⇒ 食べると二時間の間、器用が上昇する。


「こんな食べ物が……いやしかしここに……は、ははは!」
 サイドルがおかしくなった?
「お、おじ様?」
「スメラギ様!日にどれほどお作りになれますか!?それに保存期間はどれほどでしょうか?」
 おにぎりから視線を外し俺を見た目が$マークになっているぞ。初めて見たよ!
「材料さえあれば日に百個は作れる。保存はこのような葉で包み保管すれば二日だな」
「分かりました!(ぶつぶつぶつぶつ……)して、取り分ですが」
「それなら、このおにぎりの販売価格の半額を俺がもらうということでどうだ?但し、米と塩は格安で提供してくれよ」
「本当に半額で宜しいので?七割と言われても手を打ちますよ?」
「構わないさ、その変わりにそっちは毎日完売させてくれよ」
「分かりました!では早速商談を持ち込みたいと思いますので、宜しければ同じ物をもう一セット用意頂けないでしょうか?」
「流石だな、これで良いか?」
 俺は同じように六個のおにぎりをサイドルに差し出す。
 そのおにぎりを受け取ったサイドルと最後に細々とした条件を詰めた。
 そしてサイドルは店員たちに声をかけ奥に消えていった。
 落ち着きのない奴だ。


「さて、店内の案内を再開してくれ」
「あ、はい!」
 カナンに再び店内の案内をしてもらう。
 流石に総合商店というだけあってデパートのような品揃えだった。
 そして昼も過ぎたころにサイドルの店を出て宿に向かう。
 相変わらず後をついてくる奴がいるが、無視して宿に帰った。


 宿に到着すると早速大豆を出す。
 これで味噌と醤油を作ることができる。
 鍋に大豆を入れて【湧き水】で水を出し綺麗に洗う。
 まぁ、洗う必要はないけどこれは気分だ。
 そして鍋をもう一つ取り出し空のまま置く。
 塩を取り出して、本来だとここに麹が必要だが、麹はない。
 恐らくだが、いや、確信しているのだが、【究極調理】は麹がなくても味噌と醤油は作れる!
 俺は【究極調理】を発動させる!
 すると鍋の中に茶色いペースト状の物が入っていた。
 別の空いていた鍋を見るとそちらには黒い液体が入っている。
 先ずはペースト状の味見をする……味噌だ!よし、これでみそ汁が……って忘れていた!?出汁用の煮干しか昆布……サイドルの店でも見当たらなかった……川に行って魚でも取って乾燥させるかな……はぁ……みそ汁を作るのにこんなに苦労するとは思わなかった。


 気を取り直して黒い液体の味見をする……よし!醤油だ!濃い口醤油のような味だが、これができれば後は幾らでも改良ができるだろう!
 醤油があるのだから刺身が食べたい……海は無いのか?
「カナン、海って近くにないのか?」
「馬車で一日ほどのところにポートという港町があります」
 おお、思ったより近いな。できるだけ早くいくぞ!
 しかも安直な名前が良いね。


 

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