ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】

なんじゃもんじゃ

008_死闘

 


 このボルフ大森林が非常に大きい森だというのが分かった。
 このボルフ大森林に飛ばされて九日が終わり十日目の朝を迎えた俺。
 【調理】でスキルを覚えたり能力がランクアップできたおかげでそれなりに自分を強化できてもいる。
 出てくる魔物はハイエナウルフ、ボアグノン、ダークバット、ベノムウィスパーだ。
 特にハイエナウルフとボアグノンは毎日のように遭遇して戦闘になっているので、アイツらが持っていたスキルは身体的に覚えられるものは覚えたはずだ。


 それとヘルベアーと昨日の夜遭遇した。
 直前に覚えたスキルの【野生の勘】が警鐘を鳴らしたと思ったら【気配感知】で巨大な殺気を感じ、慌てて逃げたが追いつかれてしまったのだ。
 俺にはスキルの【俊足】もあるから逃げ切れると思っていたが、ヘルベアーの奴は乱立する大木をなぎ倒して直進してくるし、大木など無いかのようにスピードが落ちないんだ。
 徐々に差がつまってきたので俺も腹をくくってヘルベアーと対峙した。


 ヘルベアーは見た目だけではなく、能力やスキルを見ても分かるように脳筋だ。
 先制攻撃は俺が行い、【湧き水】で大量の水を落としてやったが、びくともしない。
 そしたらヘルベアーが猛スピードで【突進】してくるので俺は【木魔法】でヘルベアーの足に葦を絡めてやったが、それをブチブチちぎって近づいてくるので、【影縫い】も発動してダブルで拘束してやっと止めることができた。
 そこで俺は河原で拾い大量に【素材保管庫】に収納しておいた石を【投擲】スキルで投げつける。
 ハッキリ言って【投擲】はヘルベアーにあまり効果がなかった。
 残念なことにヘルベアーをただ怒らせるだけだったのだ。


 怒ったヘルベアーは【木魔法】と【影縫い】のダブル拘束を脳筋特有の力技で引きちぎり俺に【突進】してきた。
 反応が少し遅れてしまったがヘルベアーの【突進】を躱した瞬間にダンプカーにでも弾かれたような衝撃を受け弾き飛ばされた俺。
 ヘルベアーの【突進】で発生した風圧で弾き飛ばされたようだ。


 風圧に飛ばされただけなのに体へのダメージは計り知れないものがあり、立とうと思っても手や足がガクガクと震える。
 ヘルベアーがノッシノッシと余裕の表情で近づいてくる恐怖は言いようがないものだったよ。
 だが、ヘルベアーは俺が弱いと油断した。
 俺の間近までゆっくりと強者の余裕をかましてきてくれたおかげで俺は【着火】を使えたのだ。
 顔を火に包まれたヘルベアーはもがき苦しみ周囲の大木を薙ぎ払うわ、地面にクレーターができるほどに飛び跳ねたりと大変だった。
 だけど一度ついた火は俺が消えろと命じるかヘルベアーが死ぬまで消えないのは、分かっている。
 そんな窮地においやられたヘルベアーが爛れた顔で俺を恨めしそうに見る。
 その次の瞬間、奴は【咆哮】を発動した。
「ギャオォォォォォォォォォッ!」
 ヘルベアーの【咆哮】を受けたおれはただでさえ手足が震えまともに立つこともできないのに、そこに追い打ちとも言える【咆哮】を受け、体を硬直させ動くこともできずに地面に倒れ込む。
 効果は一時的な萎縮といった感じだが、その一時的な時間が長い。


 ヘルベアーは怒り狂った表情で炎に包まれた顔などお構いなしに俺に猛スピードで近づきその巨大な前足のひと振りで俺を弾き飛ばした。
 レベルが上がり能力の『体力』が『C』に上がっていた俺だけど、その一撃でほぼ全身の骨が粉砕されたような衝撃を受ける。
 二度三度と地面に叩き付けられた俺は満身創痍以上のダメージを受けた。
 視界が歪み更に血で視界が狭くなる。
 生きているのが不思議なほどの状態で意識を保っている俺って凄いと素直に褒めてやりたい。


 痛みを通り越して全身の感覚がなくなったような感じだ。
 そんな状況でも何故か寒いとだけ感じる。
 脳の命令が寸断され体を起こすどころか指の一本も動かすことができない。
 ああ、俺はここで死ぬんだな、と悟ってしまう。
 短い人生だったな、と俺の人生が走馬灯のように脳裏に流れる。
 くそ、復讐してやりたかった。
 アイツらに俺の味わったこの苦しみを味わせてやりたかった……


 視界がぐるりと動く。
 ヘルベアーがうつ伏せで倒れていた俺を仰向けにしたようだ。
 牙をむき、にたりと笑っているように見える。ムカつく。
 ペロリと俺の顔を舐め俺の血を味わうヘルベアー。
 短い人生にさようならだ……
 喋れないけど最後に足掻いてみるか……【解体】。
 ボトッ、ボトッ、ボトッ、ボトッ、ボトッ、ボトッ、バッスン。
 ……あれ?【解体】できたのか?
 ははは、声に出さないとスキルを発動できないと勝手に思い込んでいたよ。
 俺のお馬鹿さん……でも、また生き残れた。
 これで復讐にまた一歩近づいたぞ。
『レベルが上がりました』
 狭い視界の中に文章が浮かび上がる。
 しかもネコの化け物を倒した時のように視界を埋める大量のレベルアップロールだ。


 レベルアップの文章が大量に流れ終わった。
 俺は【素材保管庫】から口の中に直接肉を放り込む。
 噛む力さえ今はないので咀嚼にとても長い時間がかかったと思う。
 それでも飲み込んだ瞬間に体の感覚が少し戻ってきた。
 二切れ目、三切れ目、四切れ目と飲み込むほどに体の感覚が戻り、俺は回復していった。


 周囲に落ちていたヘルベアーの素材を【素材保管庫】に回収した俺は地面に座り込み激戦の痕をボーっと見ていた。
 周囲はまるで隕石でも落ちてきたんじゃないかと思えるほど木々がなぎ倒されクレーターが幾つもできている。
 俺、こんなことをする魔物に勝ったんだ、と感慨深い。


 暫くして周囲が完全に暗闇に包まれていると気付いた。
 スキルの【暗視】の効果で暗闇の中でも視界は良好だが、今日の野宿の場所を探すのも面倒なのでこの戦場から少し離れた大木の上に登り【木魔法】の葦で体を固定する。
 そしてヘルベアーの肉を取り出して【究極調理】を行使する。
 この【究極調理】は先ほどのレベルアップ時に【調理】と【回復食】が融合して新しいスキルとなったものだ。


 死熊の肩肉焼き ⇒ スキル【怪力】を覚えちゃって、病気や怪我、それに状態異常も治しちゃうから!
 死熊の胸肉焼き ⇒ スキル【屈強】を覚えちゃって、病気や怪我、それに状態異常も治しちゃうから!
 死熊の尻肉焼き ⇒ スキル【剛腕】を覚えちゃって、病気や怪我、それに状態異常も治しちゃうから!
 死熊の手肉焼き ⇒ 『腕力』をちょっとだけ底上げして、病気や怪我、それに状態異常も治しちゃうから!


 俺の【究極調理】パネェ!
 早速、肉を食らう。まだ焼いていない肉もあるけど取り敢えずほしい効果は手に入ったから四種類の肉をそれぞれ食らった。
 視界に文章がながれる。(ガッツポーズ)
 意気揚々とステータスを確認する。


 氏名:ツクル・スメラギ
 ジョブ:調理師・レベル百九十五
 スキル一:【究極調理】【着火】【解体】【詳細鑑定】【素材保管庫】【湧き水】【道具整備】【食材探知】
 スキル二:【暗視】【俊足】【投擲】【気配感知】【臭覚強化】【野生の勘】【連携】【集団行動】【囁き】【怪力】【屈強】【剛腕】
 スキル三:【木魔法】【風魔法】【影縫い】
 能力:体力B、魔力B、腕力A、知力A、俊敏A、器用EX、幸運EX


 究極調理 ⇒ スキルを覚えるか能力アップするとともに病気、怪我、状態異常を回復させるけど、食べ過ぎるとオデブになっちゃうぞ♪
 臭覚強化 ⇒ ニオイに敏感になるけど、女の子の匂いをスンスンするのは禁止ね♡
 野生の勘 ⇒ え?野生なの?人間やめちゃった?直感を信じなさい!
 連携 ⇒ 仲間との連携がスムーズに……ボッチには関係ないね♪
 集団行動 ⇒ 大人数と行動を共にすると能力が上がるよ。でもボッチには……
 囁き ⇒ 耳元でささやけば君の思いのまま……犯罪には手を染めるな!
 怪力 ⇒ 『腕力』を常に一ランクアップさせる(非表示)。私も持ち上げてほしいわ♡
 屈強 ⇒ 『体力』を常に一ランクアップさせる(非表示)。分厚い胸板ってす・て・き♡
 剛腕 ⇒ 『腕力』を一時的に一ランクアップさせる。太い腕の男性はす・て・き♡


 一番嬉しいのは【屈強】だ。レベルアップの効果でステータスも底上げされているが、この【屈強】があることで生存率が更に上がる。
 ルンルン気分で川を下る。
 そして川の水面に映った今の自分の姿が視界にはいる。
 着ていた服はもう服とは言えずぼろ布になってしまったが、大事な部分は何とか隠せている。
 原始人的な今の俺の容姿、何度か水浴びはしたけど石鹸などないのであまり衛生的な状態ではない俺。
 髪の毛はボサボサだし、もう嫌だ。
 自分の姿に落ち込む俺。先ほどのルンルン気分はどこへやら……


 

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