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なんじゃもんじゃ

146 リュートレクス五歳

 


 5章からは基本設定を書籍の方に合わせて書かせて頂きます。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 こんにちは、僕はリュートレクス・フォン・ブリュトイースです。
 今年で五歳になりました。
 僕はブリュトイースという貴族の家に生まれました。長男です。弟や妹はまだいません。


 この国は神聖バンダム王国という国です。
 父のクリストフはこの国の公爵で、母のドロシーは現国王様の三女です。
 つまり僕はかなり高い地位の家に生まれたことになります。


 僕はこれから日課の訓練に向かいます。
 ブリュトイース家の屋敷には騎士団用の訓練場が併設されていますので、そこまで向かいます。
「リュートレクス様、木刀です」
「ありがとう。マーニア」


 マーニアは僕専属の侍女です。ケモミミです。とっても柔らかいのです。もふもふです。
 彼女は聖オリオン教国という国で奴隷だったけど、お父さんたちが聖オリオン教国を滅ぼしたので奴隷から解放されてうちの侍女として働いています。
 彼女がうちに来た頃の僕は赤ちゃんだったけど、今では僕も五歳です。
 猫耳のマーニアは僕に長さ40㎝ほどの木刀を渡してくれました。
 これが僕の訓練の相棒となる木刀で、お父さんがトレントという魔物の素材から作ってくださったのです。
 僕の成長と共に木刀も成長するってお父さんが言っていました。


 訓練所では騎士たちが訓練をしています。普通のショートソードから成人男性の背丈ほどあるロングソード、それに槍などを騎士たちが振っています。
「リュートレクス様、おはようございます」
 後方から声がかけられたので振り返ると、そこには僕の剣のお師匠様がいました。
「レビスさん、おはようございます」
 ぺこりと頭を下げて挨拶をします。
 お師匠様のレビスさんはブリュトイース家の第一騎士団を預かる団長さんです。身分的には僕の方が主家の長男なので頭を下げる必要はないのですが、剣のお師匠様には敬意を払わないといけないのです!


「では、準備運動から始めてください」
 レビスさんはお父さんの護衛だった頃からお父さんと一緒に色々な戦いを経験したと聞いています。その話を聞きたいとレビスさんにお願いしても、のらりくらりと躱されてしまうので、いつか必ず聞いてやろうと思っています。
「はい。よろしくお願いします」
 準備運動は僕が考えたものです。僕には前世の記憶がありますので、前世で過ごした日本のラジオ体操を準備運動として取り入れています。


 ラジオ体操第一をしてから、体を柔らかくするストレッチをします。筋肉をほぐして体が温まったころにレビスさんが近づいてきました。
 僕が準備運動をしている間に部下の騎士たちに指示を与えていたのです。
「体の方も温まったと思いますので、素振りをしてください」
「はい!」
 僕は木刀を振りかぶり、一歩踏み込むと同時に木刀を振り下ろします。レビスさんは素振りの最後、木刀を止めるところが一番重要だと言います。
 木刀をピタッと止められるようになったら次のステップに移行すると言っていました。
 だから止めることを意識します。でも、止めることを意識すると木刀の振りが悪くなると指摘されます。
 素振りと言えども一回一回全力で振らなければ意味がないとレビスさんは言うのです。


 父は僕の魔力量は多いけど、無属性しかないと言っていました。無属性の魔力は身体強化に特化した属性です。
 ですが、僕は魔力量が多いせいか無属性の魔力で離れた場所にある物を動かせたりします。日本では念力とか念動力といわれるような力です。


 素振り時は無属性の魔力は使いません。無属性は身体強化ができますが、身体強化をしながらでは体に負担がかかり過ぎるのでお父さんに止められているのです。僕はまだ体ができていないので身体強化を使わずに少しづつ体を作るようにと父が言っていました。


 一回の素振りに今の僕の全力を注ぎこみます。
 まだ五歳なので木刀を振っても風切り音がしません。ブンッという音が聞きたいです。風切り音をたてて木刀を振るなんてカッコいいじゃないですか。


 僕は前世で寝たきりの人生をおくりました。
 生まれた時から心臓が弱く、同じ年の皆が学校へ行っているのに僕は病院のベッドの上で過ごしていました。
 両親は僕の看病で疲れ果てているのが分かりましたし、僕も成人を迎えるのは諦めていました。でも、この世界の僕はとても健康です。
 こうして毎日木刀を振れるのがどれだけ幸せなのか、僕は知っています。どうしてこの世界に転生したのかは分かりませんが、丈夫な体に生まれ変わった人生を一生懸命生きようと思います。


「りゅーとしゃま!」
 この声は僕の幼馴染のブレッドです。僕は木刀を振るのを止めて、ブレッドの方に体を向けました。
「ブレッド、おはよう」
「おひゃようごじゃいましゅ」
 金髪碧眼のブレッド君はその綺麗な金髪を揺らしてトテトテと走ってきました。母親のクララ・クド・デシリジェムさんにそっくりのかわいらしい顔をしています。
 今年で三歳なのでまだ舌足らずな感じでしか喋れないけど、僕にとっては弟のような子なんです。僕にぺこりと頭を下げる仕草がかわいいのです。


「もうしゅぐ、ルビィちゃんもくるでしゅ」
「うん、ブレッドも準備運動をしておこうね」
「はい」
 ルビィちゃんも僕の幼馴染で、一歳下の女の子です。
 お父さんのペロン・フォン・クックさんに似た赤毛のかわいらしい女の子です。


「ぶれっど~、待ちなさいよ~」
 ルビィちゃんです。おしゃまな女の子です。
「あ、りゅーとさま、ごきげんよう」
 ブレッドのところまできて、僕のことに気がついたようで佇まいを正して挨拶をするのが可愛らしいです。
「るびぃちゃん、おはよう」


 二人は準備運動をしてから素振りを始めました。
 僕の横で「えい」「やぁ」とかわいらしい声を出している二人を見ると和みます。僕たち三人が並んで素振りをしていると騎士さんたちがにこにこして見ながら通っていきます。
 僕は五歳だし、ルビィちゃんが四歳、そしてブレッドが三歳なので、大人からすれば微笑ましい光景なのでしょう。


 素振りをしている僕たちに影が差します。後ろを振り向くとそこにはウィックさんがいました。
「リュートレクス様、おはようございます」
「ウィックさん、おはようございます」
 ウィックさんはルビィちゃんとブレッド君にも挨拶をして、頭を撫でています。僕の頭は撫でてくれません。主家の子供なのでと遠慮しているのでしょう。
 でも僕は知っています。この強面大男のウィックさんは子供好きなのです。
 奥さんのリリイアさんなんて小人族なので、小学生にしか見えません。日本だったらロリコンと言われそうです。
 こんなウィックさんですが、実は第二騎士団の団長さんなんです。戦闘力では騎士団一だそうです。この強面を見ればそれも納得です。


「リュートレクス様、今日はここまでにしましょう」
 木刀を振り続けているとレビスさんが終わりだと言ってきました。
 僕は汗だくなので侍女のマーニアがタオルを持ってきてくれました。ルビィちゃんとブレッド君にもそれぞれの侍女がタオルを渡しています。
 フワフワのタオルはブレッド君の家が生産しているもので、とても肌触りがよいのです。王国全土だけではなく他国にも輸出している特産品のタオルです。肌に当てただけで汗をスーッと吸い取る吸水力とこの手触りなら売れるのも分かります。


 少し休憩したら勉強の時間です。
 ルビィちゃんとブレッド君も一緒に勉強をしますが、勉強の時間は他に二人の幼馴染と合流します。
「「リュートレクス様!」」
 二人は既に部屋で待っていました。一人はガンダルバ君。一人はフリッガー君です。二人とも七歳なので僕よりも二歳年上になります。


 ガンダルバ君はトーレス伯爵家の三男で、フリッガー君はフビス子爵家の次男です。
 ガンダルバ君は騎士を目指しているそうで、将来はブリュトイース家の騎士団に入りたいと言っています。
 フリッガー君は魔法使いの素質が高いらしいので、魔法使いになると言っています。
「おはよう、ガンダルバ君。フリッガー君」


 

コメント

  • ノベルバユーザー385074

    続きがとても気になる!

    1
  • yuna

    主人公かわいいです♪

    0
  • ノベルバユーザー323904

    面白い作品ですね、最近巷で話題になっている「異世界転生」というものの
    一例として見てみたのですがファンタジーの世界を大事に描かれている所で
    作者様の世界観が書き出されているのを感じます。ただ私の感想としてはもう少し面白味を出して欲しいです。
    小説は文字のみで大きな世界を伝えるという利点があります。しかしこの作品を見ていても頭に浮かぶのはまるで二次元のようなのっぺり感です。折角こんな良いアイデアを形にしているのなら、もっと臨場感を与えられると信じております。
    長文失礼致します。

    0
  • ノベルバユーザー300239

    なぜ?日本、プチ、初めは、良かったです。後は、現代に?まつたり?何か違うようですけど。

    0
  • ノベルバユーザー287656

    とても面白く何回も呼んでしまいました!なので、最新話を出してくれると嬉しいです。最新話がでることを楽しみにしています!

    0
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