チートあるけどまったり暮らしたい
056 死闘2
八岐大蛇・・・8つの頭と8本の尾を持つ神代の生き物。蛇ではなく龍であると言われる。水の神や氷の神とも言われ清らかな水を棲家にする習性がある。気性は攻撃的であり棲家に近付くものに容赦なくその力を見せ付ける。
これだけだ。
奴を心理の目で見て得られた情報はたったこれだけ。
ステータスなんて何一つ見えない・・・
まいったね。
どうやらこの坑道の最奥は廃坑になって数百年が経ち、奴の棲家になっていたようだ。
洒落にならんな。
棲むなら、表札ぐらい立てておけよってんだ。
爆煙がようやく晴れた。
俺の放った8つの魔法は・・・
火魔法のクラスターボムは多少のダメージを与えているようだが、奴が水の神だからかダメージは少ないようだ。
水属性のポセイドンアローはまったくダメージが通っていないように見えるな、やっぱ水の神には効かないようだ。
風属性のウィンドストームは首のあちこちから血が噴出しているのを見る限り高いダメージを与えている。
土属性のアイアンカタパルトも奴の首に幾つか風穴を開けているので有効だな。
氷属性のダイヤモンドダストは効いていないようだ、氷の神ってのは伊達ではないか。
雷属性のサンダーソードはいい感じだね、首が1本なくなっているよ。
光属性のサン・レイも雷属性同様有効で、首を吹き飛ばしてくれてる。
闇属性のダークミストレインは今でも継続して奴を闇の力で侵食しているけど、即効性に欠けるな・・・闇はジワジワ系ダメージだから仕方がないね。
水と氷は無効。
火は効果が激減。
風と土は有効で、雷と光は弱点なのか大ダメージを与えている。
闇に関しては微妙かな?
恐らく8つの頭と8本の尾を胴体から切り離すか破壊するしか倒せないんだろうな。
厄介な奴だよ。
憤怒の形相だとおもうのだけど、無傷の2つの頭が俺を睨んでいる気がするんですが・・・
闇属性や時空属性で弱体させ雷と光でごり押しで良いかな?
俺には難しい戦闘の駆け引きなんてできないからな。
いくぞ・・・って思ったら、風のウィンドストームと土のアイアンカタパルトでダメージを受けていた首の傷口が再生しているのに気が付いた。
てか、その再生の早さって反則だよね。
だが、その再生速度を上回るダメージを与えれば!
『クイック!』『身体強化!』
自分に素早さを上げるクイックと身体能力を底上げする身体強化を重ねかけする。
そして奴にはこれをおみまいしてやる!
『スロウ!』『ダークバインド!』『ウィークン!』
弱体祭りじゃぁぁぁぁ!
精神ダメージを与えようと思ったが、無差別に暴れられても困るのでそれは止めておく。
よし!
覚悟しろ蛇野郎!
って思ったら、コイツ飛べるのかっ?!
スーッと浮上したと思ったら一気に俺の方に突進してきた。
俺はそれをギリギリで躱すと俺がいた場所が奴の巨体で整地されていた。
てか、弱体してそのスペックかよ!
その巨体でそのスピードって反則じゃん!
いつまでも寝転んでいるわけにも行かないので、起きたら奴はブレスを吐く動作に入っていた。
ヤベッ
ウッラァァァァ!
ドッガァァァァァンゥゥン
くっ、直撃は避けたが流石にノーダメージってわけにはいかなかった。
水のブレスで吐き出された大量の水流に押し流されまた壁に直撃し、更に水圧がかかる。
身体強化していなかったら死んでたかも・・・
くそ、奴は俺に攻撃の隙を与えるつもりはないって事か。
起きろ、俺!
立ち上がれ!
直ぐ動かないと死ぬぞ!
そんなわけで、あれから奴の怒涛の攻撃を避けるのに終始しております。
奴も攻撃に集中しているせいか再生はしていないようだ。
でも奴が再生に注力したら吹っ飛ばした2つの首も再生するんじゃないのか?
このままではジリ貧ってやつだな。
俺が魔法を放つ前に奴がブレスや体当りを放ってくるのでダメージも蓄積してきてるし、正直ヤバイな。
何かこの戦局を覆す切欠がほしいが・・・
「クリストフ様ぁぁぁ、私達が時間を稼ぎますのでその内に!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ」
レビスとプリメラが奴の背中に飛び乗ったと思ったらそれぞれ無事な頭にめがけジャンプする。
レビスは最も右の頭に、プリメラその横の頭に取り付き目に剣を突き立てる。
流石の奴も目に剣を突き刺されたら痛いのか悲鳴のような声をあげ2人を振り落とそうとしている。
2人が命懸けで時間を作っている内に俺は俺のやるべき事をする!
『汝は無限、汝は彼方。我が命の輝きを与えん、故に我の求めに応じよ、我は無限を支配しもの。汝、時空の狭間を開き我の求めに応じ彼のものを喰い尽くせ。・・・時空断裂!』
俺の詠唱によってこじ開けられた時空の狭間。
それと同時に奴の胴体は時空断裂に飲み込まれ6つの頭と8本の尾を残すだけとなった。
胴体から頭と尾を切り離す必要があるなら、その胴体を消し去れば良いだけだ。
恐らくこれで奴は、八岐大蛇は倒せる筈だ。
だが、この時奴は俺への攻撃は無理だと判断したのか、瞬時にレビスの胴体を喰いちぎり下半身を飲み込みやがった。
レビスはそれでも剣を放す事なく奴の頭と一緒に地上に叩きつけられる。
「れぇぇぇびぃぃぃぃぃぃっすぅ」
「レビス殿っ!」
うっ、魔力が枯渇して意識が・・・
だめだ!
今はまだ寝るな!
レビスを・・・今ならまだ・・・くっ
「プリメラ!私をレビスのところに!」
下半身を喰いちぎられ上半身だけになったレビスに寄り添い必死で呼びかけていたプリメラを呼び、俺をレビスの横に連れて行ってもらう。
俺も自力では動けないのだ。
「ハァハァ、レビスまだ行くな!レストレーション!・・・ぐあぁぁぁっ!戻って来いっ!」
レビスの下半身を再生するには今の俺の魔力では足りない。
だが、俺の為にレビスを死なせるわけにはいかない!
たとえ俺の代わりに死ぬのが護衛騎士の使命であっても俺の為に誰かが死ぬなど俺は許さんっ!
魔力がないなら俺の命を与える!
だからレビスよ、戻って来い!
うおおおおおぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「クリストフ様!これ以上はクリストフ様が!」
構うものか!
そして俺は意識を失う。
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