チートあるけどまったり暮らしたい

なんじゃもんじゃ

053 坑道1

 


「ちょっとクリストフ聞いてよ!」


 何だよいきなり。


「ショーウインドウにルビーのネックレスがあったから買おうと思って店に入ろうとしたら入店を拒否されたのよ!あの野郎、ボクが子供だからって舐めてるのよ!」


 仮にも子爵家のご息女がそんな汚い言葉使いをしてはいけませんよ。


「あ、それ、私達もいったけど、私達も入店拒否されたわ。ね、プリッツ」


「うん」


 しかし子供とは言え、カルラ達は十分に貴族だとか金持ちと分かる服装で護衛もついているんだからそれを入店拒否するとは・・・面白い!
 時間があったら行って見たいけど、時間がないだろうから今回は放置で場所と店名だけ聞いておこう。


 とりあえず笑っておこう。


 さて、一応明日からの予定を確認しておくか。


「私は明日から明後日の昼まで鉱山に行くけど、4人はどうするの?」


「まだまだ回っていない所が一杯あるからクリストフが帰って来るまではショッピングでもしているよ。ね、ペロン」


「・・・そうだね」


「私達もショッピングかな」


「・・・」


 完全に尻に引かれているペロン君とプリッツ君は大変だね。
 しかしクララはプリッツにベッタリだからプリッツに彼女ができたら大変だろうな・・・プリッツが。


「何かあれば護衛の騎士に相談してほしい。騎士で対応できなければ行政官のジリザスさんに相談できるようにしておくから」


 そんな感じで夕食を摂り温泉につかりましたよ。
 そうなんだ!このセジャーカの街は温泉が湧き出ているんだよ!
 嬉しいじゃないですか、元日本人の俺には何年かぶりの温泉ですよ。
 気持ち良いよね。


「プリッツは彼女とかつくらないのかい?」


 俺の質問に疲れ果てた感じでプリッツが答えてくれた。


「僕には常に小姑がついているからね・・・」


 俺とペロンはそれぞれプリッツの肩に手を置き元気を出すんだと心で励ますのだった。


「でも、婚約者はいるよ」


 何だと!
 貴様、俺を裏切るのか!


「そう言うクリストフ君は彼女つくらないの?ドロシー殿下なんかお似合いだと思うけど?」


 ペロン君、君は何と言う爆弾を投下するのだ!
 確かにドロシー様は美少女だし、負けず嫌いではあるが心根は御優しい方だと思う。
 だがっ、残念な事に胸がないのだよ!
 やっぱ胸がないと俺はもえ・・ゴホン、俺のタイプはボン・キュ・ボンなのだ。


「ドロシー様はないよ」


「クリストフ君は胸が大きい女の子が好きだもんね」


 プリッツ君、何で知っているのですか?
 今まで誰にも言った事がない俺の好みを何故知っている!


「クリストフ君、・・・自分では気付いていないようだけど、胸の大きい娘がいると必ず胸を見ているから・・・」


 なんだと!
 し、知らなかった!
 それって・・・変態じゃん!
 ヤバイ!
 俺って変態に見られている・・・だから女の子から声を掛けてもらえなかったの・・・か?


 ・・・だめだ・・・暫く立ち直れないよ。


 そう言う事は早く言ってほしかったよ・・・


「だ、大丈夫だよ。クリストフ君なら彼女ぐらい直ぐにできるから・・・」


「あ・・り・・が・・・とう」


 真っ白に燃え尽きた灰のようになって俺はベッドに潜り込み傷付いた心を癒す事にした。
 この神聖バンダム王国の貴族であれば自由恋愛より親の命令やすすめでの婚約や結婚が多いのだが、俺は病弱だったせいでそういった話はない。
 しかし、カルラはれっきとした子爵家の子なのでそういった話があったそうだが、あの性格なので全部断った(・・・られた?)そうで、親も諦めているそうだ。
 ペロンは身分としては自由民なので、貴族ほどそういった話はないらしい。
 くそっ!リア充は爆ぜろ!


 そんな感じで傷心の俺は寂しく鉱山に来ている。
 俺が選んだ坑道は既に廃坑になっているので今は誰も出入りはしていない。
 早速廃坑に入ろうとしたら、俺専用の護衛騎士6人が俺の前に立ちはだかる。


「せめてレビスとプリメラを御連れ下さい。でないと我らの役目が果たせません」


 俺は1人で良いと言っているんだが、護衛騎士長のゲールとしては受け入れる事が出来ないんだろう。


「分かった。2人を連れて行くよ」


 プリメラは猫獣人で臭いや音に敏感なので斥候として優秀だ。
 レビスは相変わらずやる気は見えないが、盾の扱いに長けているので何かあった時は前面に立って攻撃を受ける役目だね。


 1人の方が早く進めるし、気楽で良いのだけど彼らには彼らの役目があるし我が侭を言って困らせてもいけないね。
 俺は見た目は子供だが、中身は大人なのだよ!


 早速、2人を伴い廃坑に入って行く。
 ゲール達は廃坑の入り口でキャンプを張り不測の事態に備えるそうだ。


 先頭はプリメラで、真ん中に俺、後方にレビスの順に廃坑を奥に進んで行く。
 廃坑内は所々水が滴り落ちており水溜りを作っている。
 プリメラは猫獣人なので暗い坑道を暗視で索敵しながら進むのだが、俺とレビスはヒューマンなのでランプのマジックアイテムで坑道を照らしながら進む。


 暫く進むと坑道は2つに分かれていたので、予定通り右側に進む。
 廃止されてはいるが坑道だったので、しっかりと地図が作成されているので俺は1番深い場所に続く坑道を進む。




 

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