チートあるけどまったり暮らしたい

なんじゃもんじゃ

050 学生旅行3

 


 マジかよっ!
 本気と書いてマジと読むっ!


 てなわけで、マジで盗賊が襲ってきました。
 金貨数千枚って情報は流しておいたけど、護衛の騎士がいるのによく襲う気になったな?
 俺ならそんなリスクは避けるけどね。


 ともかく、襲って来るように仕向けたんだし、きっちりと盗賊討伐をするつもりですよ。
 馬車は護衛の騎士達に防御を固めてもらいカルラ達移動砲台で迎撃をしています。
 盗賊の数は40人ちょっとってところですかね。
 盗賊団総出のお出ましっぽい。


 魔力感知で周囲を警戒していると色々と分かってしまうのだけど少し離れた場所にこちらを伺う3つの反応があるので俺の心理の眼の能力の1つである千里眼でそちらを確認すると3人が仲良くこちらを監視しているようだ。
 千里眼を使用中であってもステータス確認はできるので、バッチリと確認させてもらったけど、3人の内の1人は盗賊の頭だとしっかりと表示されている。
 ・・・問題は一緒にいる他の2人だ。
 この2人、盗賊と繋がっているのは一緒にいる事で間違いないのだが、さてどうするかな・・・


「クリストフ様、数名逃しましたが盗賊の殲滅はほぼ完了しました」


「ゲール、雑魚は追撃不要。だが、この方向にやつらの仲間が3人ほど隠れている反応がある。恐らく頭だろう。できるだけ生かして捕らえろ」


「はっ!」


 ゲールが10人を引き連れて俺の指差した方に向う。
 残っているのは7人の騎士と俺達学生に荷馬車の御者をしていた騎士だけだ。
 俺は残った騎士達の怪我を確認し軽度でも怪我をしていれば回復し、そして周囲に倒れている盗賊の死体を1ヶ所にまとめるように指示を出す。
 生きている盗賊は武装解除させ回復させ縄で縛る。


「そこの盗賊さん。この中に幹部はいるかな?」


 俺は縄で縛られている盗賊の1人に話しかけるのだが、盗賊は俺を睨み俺に唾をかけてきた。
 汚いのでしっかり避けましたよ。
 それを見ていた俺専属護衛のウィックがナイフを抜いて盗賊の右足の太ももにナイフを突き立てた。


「グアァァァゥ」


 そら痛いわな。
 しかしウィック君、躊躇なくナイフを突き立てたね。
 おいらもビックリだわ。
 カルラ達もビックリしている。
 これぐらいは出来なければ騎士なんてできないのかも知れないけど、おいら何の指示もしていませんよね?


「クリストフ様の質問に答えたくない者はこうなる。お前たちの中でクリストフ様の質問に答えたくない者はいるか?」


 獰猛な笑いを浮かべ口から獣人特有の鋭い牙が恐怖を誘う。
 ウィックは虎の獣人なのだが戦闘力で言えば俺の護衛の中で1番だろう。
 ただ、レビス同様俺の事をディスってくれているようで、あまり護衛っぽくない。
 ・・・いつもこれぐらい働けよ。
 ゲールがウィックを10人の中に入れて連れて行かなかったのは攻撃力が高く生け捕りに向かないからだろう。


 ウィックの威圧にビビッタ数人の者が幹部を教えてくれた。
 死体の中だけではなく生きている盗賊の中にも幹部がいたようでしっかりと教えてくれました。
 ギャーギャー騒ぐな!


 で、幹部は全部で4人、死体が2体と生きているのが2人。
 この2人は他の盗賊から隔離して尋問をする。


「アナタ達は盗賊の幹部ですか?・・・領主に引き渡したら死罪ですかね?・・・でも私の質問に答えてくれたら犯罪奴隷にして良い主人に売られるように口ぞえしても良いですよ」


「お前みたいな餓鬼にそんな事ができるわけがないだろっ!」


「そうとも限りませんよ。私はクリストフ・フォン・ブリュトゼルスと言います。ブリュトゼルス辺境伯家の者なのでそれなりに力はあると思うんですがね」


「ぶ、ぶ、ぶ、ブリュトゼルス・・へ、へ、へ、辺境伯っ!」


 おならじゃないんだから、もう少し考えて驚いてほしいな。


「あの馬車にブリュトゼルス辺境伯家の紋章がついているでしょ」


 紋章をみて2度ビックリの幹部たち。


 カルラ達は他の盗賊達を尋問しているのだけど・・・クララが活躍しているようですね・・・クララは闇属性の適性が高いから精神系の魔法を使える恐ろしい娘ですよ!


「分かってもらえたかな?・・・で、質問なんですがアナタ達の後ろ盾は誰ですか?居るんでしょ?」


「「・・・」」


「あっちを見てください。彼女は闇属性持ちなんですよ。アナタ達が話さなくても彼女に任せればこの世に産まれてきた事を後悔するような拷問がまっていますよ?」


 クララ君、ゴメンな。
 君は拷問好きなイッテいる魔女って設定です。
 幹部の2人がガタガタと震えています。


「仕方がないですね。あとは彼女に任せますかね」


 俺が2人の幹部の前から立ち去ろうとしたら呼び止められ、幹部君たちから聞いてもいない事をスラスラ、ペラペラと饒舌にお喋りしてくれましたよ。


 そうこうしている間にゲールが3人を捕縛して戻ってきた。
 やるじゃないの!
 怪我はさせているけど命に別状はないレベルだ。


「アナタが頭ですね?」


 知っているけど本人の口から聞かないとね。


「・・・」


「そうですか、まぁ構いません。すでに幹部の方から後ろ盾が誰か聞きましたしアナタにはしっかり罪を償ってもらいます」


 そして頭と一緒に捕縛した2人に向き直る。


「アナタ達は盗賊の仲間ですが、厳密には盗賊ではありませんね?盗賊の幹部からアナタ達の事は聞いていますが念の為に確認しますね。名前と身分を聞かせてください。」


「「・・・」」


「ステータスカードを確認すればすぐ分かる事ですから無駄な黙秘は自分の立場を悪くしますよ?」


「貴様は何者だ」


「私が何者か、の前にアナタ達の事を教えて下さいよ。ね、犯罪者さん」


「ふざけるな!我らにこんな事をして唯で済むと思うなよ!」


「そ、そうだ!」


 お決まりの台詞頂きましたっ!
 あざーっす!


 しかしこんなにお決まりの台詞を言ってくれるとは、この世界は日本文化に感化されていないだろうか?


 俺は教えていないからね?


 と思っていたらウィックが大言をほざいてくれた男の目にナイフを差し込んだ。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」


 ウィックはしっかり働いてくれています。
 しかし容赦がない。
 こいつ絶対にSだ!
 カルラ達4人とは別で尋問していて良かったよ。
 防音の結界を張っておいたし、認識阻害もしておいたから向こうからは普通に尋問しているようにしか見えないはずだ。


 でも、俺は一言も拷問をしろとは言っていないからね。


 で、俺は横でガタガタ震えているもう1人の男に目線を送る。


「アナタは喋ってくれますか?」


「な、何でも喋ります・・・」


 色々聞きました。
 この2人はベレス男爵の家臣だ。
 ベレス男爵というのはこの土地を治めている貴族で、ブレナン侯爵の遠縁の娘が嫁いでいる貴族派の貴族だ。
 つまりブリュトゼルス辺境領との領境に近い領内に盗賊を飼いブリュトゼルス辺境領を目指す者や入ってくる者を襲っていたらしい。
 嫌がらせもここまで来ると笑えないね。
 後は父上に任せるとします。


 ここに現れた盗賊は全部で43人、死体が24体と捕縛したのが17人なので逃げたのが2人だ。
 盗んだ物資は既にベレス男爵の屋敷に運び込まれたそうなのだが、アジトに監禁している人達がいると聞いた以上は放置できない為、護衛騎士の5人を盗賊のアジトに差し向ける事にした。


 後始末として盗賊達の死体を燃やし、生け捕りにした者達を次の村に連行した。
 盗賊を捕まえたのはベレス男爵の領地だが、連行したのはブリュトゼルス辺境領の村だ。
 この村の代官も盗賊に悩まされており、再三に渡りベレス男爵に盗賊討伐を依頼したそうだが、討伐するわけないよね、盗賊とグルなんだから。


「クリストフ様、ご迷惑をお掛け致し申し訳ありませんでした。この不手際は私めの責、部下達には寛容なる処分をお願い申し上げます」


 この人はこの村の代官のゼイリスって言う初老のおっちゃんだ。
 盗賊を捕まえる事ができなかった事は褒められた事ではないけど、ブリュトゼルス辺境領以外の出来事であればどうしようもないしね。
 それに自分の事より部下の事を庇うっていうのは好感がもてるね。


「私にはゼイリス達を処分する権限はありませんよ。それに他家の領内の事でゼイリスを責める事はないでしょう」


「あ、有難うございます!」


 部下達もゼイリスと一緒に頭を下げる。


 その後は盗賊を引き渡す。
 但しベレス男爵の家臣の2人はこのままセジャーカの街まで俺達が連行する事にした。
 この村に2人をおいて行くのは人員的に不安があるのでセジャーカの街で引き渡す事にしたのだ。
 何しろ、ここは村だし、代官がおかれているのもベレス男爵に対するものらしいのだが、流石においておける警備隊の人員には限度がある。


 あ、ウィックのナイフが刺さって・・・・しまった・・・・者はしっかりと回復しておいたから身体的には一切問題ない。
 ・・・身体的にはね。


 

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