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なんじゃもんじゃ

015 首席合格

 


 この世界で鑑定と言うスキルやギフトは一般的ではない。
 なので大神殿の石板かギルドや国で使われている廉価石板によって鑑定のような効果が独占されている。
 これらの鑑定効果のあるマジックアイテムは聖遺物で遺跡で発見されるか、過去の大魔術師が作った物らしい。


 遺跡とは現代人には作る事が出来ないような技術を持っていた太古に滅んだ文明の跡だと俺は思っているが、一般的には神の住んでいた街と言う認識らしい。


 聖遺物と言われる物に日本語が使われているので一度は地球の数千年先の未来かとも思ったけど、獣人やエルフなどの人間について説明ができそうにないし、何より聖遺物が日本語ってのもおかしいよね。
 地球の言語的には英語が最も多く使われていた筈なのに英語じゃなくて日本語なのが引っ掛かる。
 まぁ、石板しか見た事ないから判断材料としてはN数が少なすぎる。


 色々考えていたら王立魔法学校に着いた。
 受験生と思われる子供とその親が合格発表用のボードの前に屯っている。
 泣いている子や、喜んでいる子、怒って?いる子もいるし、ションボリして帰って行く子もいる。
 俺は試験の出来から言えば合格は間違いないだろうが、実技試験で校舎を壊したからな・・・校長は不問と言っていたけど見えない所で不合格にされないとも限らないからね。


 まぁ、王立魔法学校に入れなくても金を稼ぐ伝手も出来たし俺的には問題ないかも知れないが、父上には叱られるだろうな。


 俺の受験番号は564だ。
 受験番号に何か作為的なものを感じなくもないが、合格発表のボードに目を走らせる。


 ・・・有ったよ。
 あの校長も思い切った事をしたな。俺なら校舎を壊すような奴に入学許可を出す気はないぞ(笑)


「受験番号564のクリストフ・フォン・ブリュトゼルスです」


 受付の御姉さんに受験票を差し出し入学の手続きをする。
 合格をしたらその場で手続きをするらしい。


「えーっと、ありました。クリストフ・フォン・ブリュトゼルス君ですね。合格おめでとう御座います。クリストフ君は首席合格になりますので特待生制度を利用する事ができますが、使われますか?」


 あ、首席なのね。トップ10入りは目指していたけど首席かぁ~。
 金には困っていないので不要だ。
 父上からもそう言われているし・・・貴族の子弟が特待生制度を利用すればそれだけ平民階級の者が特待生制度を利用できなくなる。って言っていたしな。


「特待生制度は不要です」


「分かりました。ではクリストフ君は優秀者として入学金は免除になります。それと毎月の授業料と寮費は有料ですが寮は他の方と同じ寮費で1人用のハウスを使用する事ができます。ただ、授業料と寮費も補助が受けることができますが、どうしますか?」


 へ~、入学金は特待生制度に関係なく優秀だから免除なんだ。
 それに寮って言っているのにハウスって何だよ?


「補助は不要です」


「はい、分かりました。・・・ハウスには従者の方のお部屋もご用意されておりますので、5人までであれば御連れくださって結構です」


 何と言うことでしょう~。
 てか、俺って自活できるから従者は要らないのだけど、母上や父上は連れて行けって言うんだろうな・・・


「入学式では新入生代表の挨拶をして頂きますので、3月に入りましたら当校よりご連絡します」


 えぇ~、新入生代表の挨拶なんて面倒臭いなぁ~。


「え~っと、新入生代表については辞退させて頂きます」


「・・・はぁ?」


 あ、眉間に皺がよったぞ。美人が台無しだからそんな顔をしてはいけません!


「・・・新入生代表については別の方にお願いします」


 何かブツブツ言って何かメモっているけど・・・俺の主張は通ったのか?
 受付の御姉さんの顔が元の笑顔に変わった・・・


「一応、新入生代表についての辞退を受け付けます。上層部が却下する場合も御座いますのでその時は諦めてください」


「はい、有難うございます」


 俺は満面の笑みで御姉さんに礼を言う。


「こちらは新入学生用の冊子になりますので、3ページ目を開いて下さい」


 日本の学習帳程度の厚みの冊子を渡されたが、使っている紙は羊皮紙なのでページ数は少ない。


「3ページ目には教科書や授業に必要な教材など用意して頂く物と取り扱っている店を記載しておりますので、できるだけ早めに店に行き用意しておいて下さい。特に制服は出来上がるのに時間が掛かる場合も御座いますので」


 指定店で買い物をしろって事だな。


「次に6ページを開けて下さい。当校は全寮制ですので寮について記載をしております。クリストフ君は先ほども触れましたが専用のハウスを使用して頂きますが、通常は4人部屋になります。ハウスも一応は寮と言う扱いなので寮の規則を守って頂きますので確りと読んでおいて下さい」


 一応って言っちゃうんだ(笑)


 基本的には全ページを読んでおけと最後に言われて受付は終了したので、振り返り帰ろうとしたら声を掛けられた。


「御久し振りね」


「・・・・・・・・・・・・・・誰?」


 だって、思い出せないんだもん。


「なっ!・・・良いでしょう。私はドロシー・フォン・バンダム。入学試験の時にお会いしたと思いますよ」


 ああぁぁぁ、思い出した!ペッタンコの胸の第3王女だ!
 うわっ、睨まれた!


「今失礼な事を考えていませんでした?」


「・・・いいえ?」


「・・・ったく、それより首席合格おめでとうと言っておきます」


「はぁ、有難うございます」


「しかし、2回生になる時には私が首席の座を頂きますので、そのつもりでいて下さいね」


 これって宣戦布告ってやつかな?


「そうですか・・・頑張ってくださいね」


 としか言いようがないじゃんね。


 最後に一睨みして踵を返して行った王女だった。
 面倒臭い人のようだ。


「クリストフ様、女の子にはもっと優しくしないと・・・」


「そうなのか?」


「そうなのです」


 フィーリアに何やら説教をされてしまった。


 帰りの馬車の中では街の中を行く人のステータスを覗き見ている。
 これまで集めた情報からヒューマンの一般の成人男性で隠しステータスの【筋力】【耐久】【俊敏】【器用】【知力】【精神】【魅力】【幸運】は100前後で、【体力】は150、【魔力】は100くらいだ。
 エルフとかドワーフは多少違いが有る。


 兵士だと【体力】が200程度で【筋力】と【耐久】がやや高く、騎士レベルになれば【体力】が400以上の者も居るし、【魔力】が高い者は【知力】【精神】が高いようで【俊敏】と【器用】は【体力】や【魔力】にも関係するとは思うが確証はない。


 つまり俺の隠しステータスは【筋力】と【耐久】は兵士程度で、【俊敏】は騎士程度、【器用】は人類最高レベルって感じで、【知力】と【精神】と【魅力】と【幸運】は人外レベルだ。
 【体力成長】が普通に対し【魔力成長】が神級なので魔法特化って言うのは分っていたが、ここまで高いと自分でもドン引きしちゃうね。


 てか、【魅力】が高いのに第3王女のように睨んでくる存在も居るんだ・・・まぁ、【魅力】の値が高いからと言って敵が全く居なくなるとは思えないから良いけどね。


 ただ、体の強度は一般成人男性に毛が生えた程度なので不意を突かれたら致命傷を貰いそうだな。
 幸い、創造神の加護の効果に即死無効があるので、最悪でも大怪我だと思うがその後の追撃があれば死ねるよね?


 入学までに改善だな。


 それと新入生総代を断った事で帰ってから父上にまた叱られてしまった。
 母上には体調が悪かったので後日報告したんだけど、笑い飛ばしてくれた。


 

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