異世界の転生者達

神崎桜哉

プロローグ

澄み切った青い空には二つの太陽が燦々と輝いていた。その空の下では、一面に緑が広がり、所々で爆炎やら竜巻やらが巻き起こっていた。 
「リョウ!そっちに四匹行ったから処理頼む。」 
『了解。ユイの方はどうだ?』 
『私はもう片付くから、終わったら教えて』 
「了解!とっとと終わらせますか」 
 トオルは、目の前から迫ってくる巨大な魔物の頭に、右手に持った一本の剣を投げたと同時に魔物の頭上へ移動し、音を出して飛んでくる剣を魔物の頭越しに難なくキャッチする。 
 この行動にかかった時間はわずか一秒。次々に襲いかかる魔物をある時は剣で、ある時は素手で、ある時は魔法で、全て一撃で屠っていく。 

 魔物との戦い、いや、魔物の殲滅が終わり、彼方此方で死体の山ができていた。 
「これで全部かな。こっちは終わったぞ」 
『こっちも終わってる』 
『お疲れ〜。あっちの丘でご飯食べよう?』 
「わかった」 
 徹は、魔物の死体をアイテムボックスに全てしまった後、浄化魔法で身体を綺麗にして丘に向かった。 
  
 みんなで集まり、ユイが持ってきた弁当を準備し終わったとき、森に空から光が舞い降りたかと思うと、森の中で強く光った。 
 やがて光が治ると森の中から一つの人影が現れた。 
「やあ君達、また派手にやったみたいだね」 
「お、エルミラ!遅かったな!」 
「エルちゃんおかえり〜」 
「あのさ、みんな忘れてるかもだけどさ、僕一応神様だからね? 何が言いたいかわかるよね? ね?」 
「そんな怒るなって、ほらユイの作ったご飯やるから、な?」 
「ユイちゃんのご飯⁈ 仕方ないな。今回は許してあげるよ」 
(((ちょろい))) 

「こっちにもだいぶ慣れてきたなぁ~」 
  ユイの弁当を食べて、すっかり機嫌を直したエルミラと共に雑談をしていると、トオルが思い出したように呟いた。 
「そうだな。この世界に産まれた時は、どうすればいいのか分かんなくてだいぶ焦ったけどな」 
 リョウが昔を思い出すように笑った。 
「まさかこっちの世界に三人とも転生するとはね。知った時は驚いたよ。二人とも死んだと思ってたら、ずっと隣に居たんだもん。」 
 ユイの笑っていた顔が、より一層笑顔になった。 
「僕も驚いたよ。本来、転生者は一つの世界から一人が原則、僕が決めた理だからね。それが三人も、しかも、同年代に産まれたときた。もう原則がなんだか分かんなくなっちゃったよ」 
 おそらく、かなり問題視すべきところをサラッと笑い話にしてしまう神様に三人は苦笑いしかできなかった。 

 四人はそれからしばらくの間、昔話を続けていた。 

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