新・痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

13

長谷川さんが病室を出て行った頃だった。
吉井真冬が何か言っている。
耳を傾けると、やっぱりさっきのは幻聴ではないと思い知る。

真冬(麗華)「のぞむ…好きよ…のぞむ…」

私は出社当初に目を通したものを再確認する。
椅子に長谷川さんが置いていった。

赤いタイトル、黄色がかったクリーム色の。

『痛々しく甘いチョコレェト』

…本名なんだ…真冬さん。
そうなんだね。

先程知るが、私と同じ年だ。
同世代とゆうのは、この目に狂いは無かった。

真冬さん…貴方の望君は、亡くなったの。
看取ったのは、寛大なる海。

深海を追い求める、未だ青い少年…。

失う辛さを私は知らない。
知人・親戚に該当する者以外への。

ーー愛する人を失う感覚を知らない。

逆に、どれだけ哀しい事なのか。
愛する人…私には存在してない。

真冬(麗華)「のぞむ…おいで望…。」

私は口を開いてしまいそうな自分を、抑え切れなかった。

私「あのね…望君は、もう…居ないんだ。」

その時だった。
彼女の眼がカッと開いた。
そして、起き上がった。

真冬(麗華)「…?今、貴方はなんて?今貴方はなんて言ったの…!?」

私は彼女に現実を伝え無ければならない。

私「…やっと、起きてくれましたか…。良かった。真冬さん…望君に…もう触れる事は…出来ない。」

彼女は慌てて私のスーツの裾を掴み揺さぶる。

真冬(麗華)「皆が私を…真冬と呼ぶ。貴方は麗華と呼んだ…。私の名前は?本名は…?とにかく急がないと…私は確か電車に乗り…急がないと…。早く此処から出して!!もうこんな日々、うんざりなの!私には、行かないとならない場所があるの…!!」

嗚呼、きっとこの人は、彼の死から前身していないんだ。
現実を受け止める事も出来ないのだ。

私「本当なんです。…哀しくも…。でも彼は幸せだったと思います…。行く場所は…もう何処にも無い…何故なら望君はもう二度と…戻らない…!!」

真冬(麗華)「ねぇ!私はJRに乗って約束のあの場所へ向かわないといけないの。だから早く此処から出してお願い!お願い!いやぁぁああああ!」

私の声も無視して暴れたので、急いでナースコールをした。

私「此処が何処なのか、解りますか!?東京都です。
貴方を救急車に乗せた時、身分証明証を見させて貰ったわ。貴方の所在地も東京都文京区なの、解って麗華さん!!貴方は麗華さんじゃなくて、吉井真冬さんなの!!麗華と言うのはさっき私が勝手に名付けた名前。そう、イメージで。御免なさい…。」

乱れて暴れるのを必死に取り抑えて、そしたら長谷川さんが看護師と共に入って来た。

そして私の頬に一撃した。

長谷川「もう、やめてあげて。原稿の届け先の切手を見なさい!!文京区だわ。…彼女よ。」

私は呆然とし、何故か置いてきた筈のA4の封筒が鞄の中に入って居た事を知り、確認する。

私「……東京都…文京区…。」

長谷川さんは看護師に医者を要請した。
間も無く医師がそこに現れた。

医師「彼女…吉井さんの事なのですが…。…以前、北海道の病院先での入院履歴が確認取れました。身元引受人は誰も居ない。」

ーそうなんだ。
この人…私と同じ北海道なんだ。

長谷川「私が…彼女の身元引受人です。」

医師「詳しい話は後で…。彼女…吉井真冬さんは…解離性健忘の兆候から…診断されて来たのは…解離性同一性障害です。ハッキリと、北海道の病院にて診断されています。」

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