痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

130 僕の知らない場所で

『ねぇねぇ見た?』

『みたみた!』

『こんな話って本当にあるわけぇ~?』

『あっ、でもあたし、不思議な力あるよマジで、マジだってば!』

『は?超信じらんないんですけど!』

『でも作者、行方不明なんだってね!』

『えっ?二人とも?』

『警察が動いてるらしーよー!なんか出版社も困惑してるんだって。』

『けど…あえて探さないのも手なのかも。』

『何それ?信じらんない!あたしだったら今の彼氏失ったら超切ないんですけど!』

『どうやら足取りは掴めてるみたいなんだけど…ニュースでもやってた。』

『なんだって?今速報見てみてよ、何て書いてある?』

『太宰○、もしくは野島○司の真似なのか知らないけどって。』

『で?』

『片方は電車でらしき人発見…意識不明の重体…』

『でっ!もう片方は?』

『片方は不明だって、どーしよー!あたし望君のファンだったのに!もしそれが望君だったとしたら、生きてけなぁい。』

『彼の事よく知らないし実際、小説家なんてそんなもんなのかもしんないけど。芸術家って自分に酔ってるから描けるって言うしね。』

『らしいね~。あたしら馬鹿には解んないよね!普通に今リアル彼氏と結婚したいし!』

『マジでー?』

『結構いい職なんだよね!…でも、現実的に考えて無理だよね、そんなの。』

『何がぁ?』

『この本の生活がリアルだったらあたしマジ耐えられない様な気するよー。けど望君達が描いてくれてたからこの本が今日まで男性不信のあたしを救ってくれてたから望居なくなっちゃ彼氏とも考えられなくなりそ。』

『あんた大袈裟ー!』

『遠くから見守る愛ってあるっしょ!所謂ファンなんだから仕方ないっしょ。やだやだぁ。』

…私は街を歩いた。
誰の声も届かない。
街は、ざわめき、マイナー作家の話題作でもないのに行方不明で盛り上がる。

真実は皆知らない。

ねぇ望…
…真冬さんと出逢えて本当に幸せだったのかな…。

私は誰って?
最初に少しだけ出てきた女だよ。

真冬さんには驚かされた。
だけど総ては望が選んだ道。

1輪の花を庭に育てよう。
貴方をずっと愛してる。
ねぇ……望。
もう苦しまないなら、それが貴方の幸せなのかな。

夢見がちな望は、沢山の小説家やアーティストに憧れ染まった。

人生そのものがアートでした。

私は永遠に貴方を愛してる…
望へ。

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