痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

128 陽炎


何て暖かいんだろう。
何故だか冷たく感じない。

僕は
これを
…求めていたんだ

真冬『私はいつだって貴方を裏切らないでしょ。』

望『そうだね。』

真冬『やっと…やっと叶うんだよ望。』

その時だった。

真冬ちゃんの背中に羽根がはえて、銀髪になった。

真冬『…懐かしい?』

望『…なんて綺麗なんだ。まるでいつかの時の懐かしい微笑み。』

真冬『もうすぐ叶えられる。望…。』

水がゆっくりと太股までに到達した。

今迄にない幸せ。
僕は今これから愛される。

真冬ちゃんと手を繋ぎながら。
真冬ちゃんの温もりが、暖かな掌を感じる事が出来る。

確かに感じられる。

望『クイズです。』

真冬『うん。』

望『僕の名前はなーんだ?』

真冬『ゆりかごの…cage。』

望『正解。』

真冬『因みに"望"は、望みの意味合い、望ところから…でしょ?』

望『…クイズです。』

真冬『要らないよ。』

望『どうして?』

真冬『だって、私はいつも貴方の事を見て来たんだもの。』

望『そうだったね。』

真冬ちゃんの美しい銀髪が薄れて、まるで陽炎の様に揺らめいている。

徐々に薄れていく。

真冬『ゆりかごの中のベイビー。きみは甘い匂い。私は甘い匂いに誘われ貴方に逢いに来た。』

真冬ちゃんの羽根が徐々に黒く染まりゆく。

"さぁ白い貴方よ、いきなされ…。"

望『いよいよだね。』

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