痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

127 白紙の意味

ほら。

真冬ちゃんが本の様な日記帳の様なものを取り出した。

真冬『ずっと秘密にしてた、御免ね。』

望『これは…』

そう言い、真冬ちゃんが本を開いて見せてくれた。

僕と全くと言って良い程の本だった。

真冬『私も、描いていたんだ。』

望『…うん、詳しい事はわからない。けど、本屋で見た。』

真冬『ちゃんと見て。私の総て。』

僕は真冬ちゃんと並んで二人でページをめくりあげる。
真冬ちゃんの角度から、総てが日記みたいに綴られているもの。

その時、白紙のページを見付けた。

望『何?何故か此処は空欄なんだね?』

真冬『だってこれは私と望が綴るページだもの。』

望『そっか…。』

二人で正面を向いて、無言のまま、本を手に取り、何も言わずに僕等は白紙に綴った。










続きで手が止まった。

真冬『言わなくても、解るよね。書かなくても、もう大丈夫。』

望『大丈夫、僕はもう救われた。真冬ちゃんに出逢って良かった。』

真冬『これから二人で歩いていくんだよ。』

そうして僕達は手を繋ぎ、水に引き寄せられる様に歩いた。

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