痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

8 本能 /頭で考える事を、初めて下らないと思った夜

―言葉は
必要無かった。

家までの道のり、少年の鼓動が指先まで伝わって
キミの躯に触れるまでに、時間はかからなか
ったね。

狂おしい程に
愛おしい空間

キミは小さく
私が抱きしめると

消えそうな位、怯えていたね。

私の顔を見上げる
キミは
私に何かを求める
ようにして。

―痛いね。
私とおんなじだ。

どうしようもなく
哀しくて
痛くて
苦しくて
そんなのがキミの色で示す。

今此処に
ふたりだけしか居
なくて

誰にも否定されない時間。

―自由。

罪深き行為よ
神経が奮え上がる。

キミの躯を抱き上げて
ベットに運んだ。

良く見なくても、子どもみたいな
きみの風貌。

―•••幾つなんだろう

少年の躯が少し抵抗した様に感じた。
怯えた瞳で、今にも崩れそう。

「大丈夫だよ、大丈夫だからね。」

そうして、髪を撫で回す。

彼の指先を握る。
子供の指。

濡れた睫毛に、沢山の接吻を与えてあげるね。


私は
彼に触れる抵抗がなかった。
純白の肌に触れて、首筋に伝わる脈。

私は初めて

「おんな」になっ
た。

その時、頭で考える事がとても下らない事だと初めて思った。

嗚呼、罪深き
あるまじき行為。

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