痛々しく甘いチョコレェト

山田 みつき

6 真夏のお姉さん /それは有り得ない事だった

ぼくの中の、この
孤独。

一体何がしたい。

酔いしれる事はしたくない。

でも
そうする事しか、無かった。

独り意味もなく、暗闇に包まれる。

この空間

誰にも邪魔されたくない。
ぼくだけの空間。

皆足早に闇をすり抜ける。
誰も構っちゃいないからね。
逆にどんな格好で座っていても平気だね。

此処でしか…泣けなくなった。

ぼくは身勝手にも
自分の地にしている。

どうして良いのか解らなくて
涙で濡れた顔を擦った。
ぐちゃぐちゃのぼく。

いつも見かけるあの人が今日は遅い。

いつも
悲しい目で、早歩きで
ぼくの前を通りすぎる。

気が強そうに見えるその人は、ぼくに気付かず目の前を通過していく。

ぼくは
顔を伏せて、止まらない涙を又拭うんだ。

人の足音もBGMみたい。
顔を上げるとそこには•••

あの
心に刺さる香り
黒いスーツ
少しだけ背の高い
綺麗で哀しげな•••

少し屈んでぼくの顔を覗き込んでくる。
そして女はこう言った。

「どうしたの?」

訳も解らずに、又泣きそうになった。
もう、どうでも良かった。

返す言葉がないね。
女は又口を開く。

「家に来る?」

衝動だ。
心臓がバックバック音を立てて

そして
疲れ切ったぼくは

「有り難う•••。」
としか、言いようがなかった。

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