MACHINE ACTOR 〜最強の種族だけど弱い自分の成長までの物語〜

幻想のおやゆび姫

牢獄にて

目を開ける、死んだのだろうか
そう思い目を向けるとどうやらまだ生きてる
そこは牢獄の中のようだった
両手を楔で繋がれており、宙に浮いている状態だった。
また裸体になっていたのでもう一度魔法で服を作ろうとしたが
「服が...出来ない...?」
どうにかして楔を外そうとしても
「...外れないなぁ」
気が抜けない、これからどうなるのだろうか
不安にしていると牢獄の外の扉が重たそうに開きあそこにいた青い男が姿を現した。
「どうだ?その楔は虚無の楔といってな、対象者の魔力を吸い尽くす。まぁ魔法が使えなくて当然だな」
「あ、あの...」
「なんだ?」
「お、俺はこの後どうなるんですか?」
恐る恐る聞いてみる
あの時は暗くてよく見えていなかったが今はその男がハッキリわかる
大柄だったと思っていたが目の前に立たれると更に大きく見える
歳は40代辺りだろうか、古傷らしきものが額から見て取れる。そこら辺の獣程度なら見ただけで殺してしまえそうなその眼光は、強さだけではなく優しさも兼ね備えた色をしていた。
「まぁ怯えるな、俺達はお前が何者かが知りたいんだ」
なにか違和感を覚えるが、何かはわからない。
「俺が何者か...ですか?」
「そうだ。最初は街の防衛システムが作動して魔物が来たのかと思えば魔人だったし、魔人だと思って戦っていたら魔神のように魔法陣無しで魔法を使いやがる。オマケに首を落としたら魔力が残ってないのに繋がりはじめた挙句息を吹き返してやがる...お前、なんの種族だ?初めて見るが...」
「えっと...機甲種(ファクター)ですが...」
「...冗談だよな?機甲種ってのはもっと魔物に近い形をした魔人族なんだが」
違和感はこれだったわけだ。俺が機甲種だってことが分かっていないらしい
「なにか機甲種として証明出来ることはありませんか?」そう尋ねてみると
「いやぁ、それがな、特徴は捉えているんだよ、だがな、機甲種はそれ以前に喋らないし魔法陣も使用する。姿は人間種(ヒューマノイド)だが、性能は機甲種と魔神を混ぜているようだ...だから聞いたんだ、お前はなんの種族だ?と」
なるほど、現地民が言うのであれば間違いではないのだろう。だが──
「俺、機甲種じゃないんですか?最強の」
「お前何言ってるんだ?人間種以上に強い種族なんていねぇよ。人間種は他と違って常に成長してゆく、だから限界がねぇから魔物や魔神に対抗することが出来るんだ。」
そもそもが間違っているじゃないか!人間種が最強の種族なのかよ!
「それはそうと、俺はお前に対してあることを確認しに来た」
「...あること?」
「そうだ。お前は話を聞くところ機甲種や人間種のハーフみたいなもんだろう。俺らはそれを半魔種(ハーフパラディン)と読んでいるのだが、半魔種には2種類いてなぁ、まぁ、検討はついているのだが...」
「?」
「お前は人間種に対しての敵意を持つものかどうかを確認したい。我々に対して敵意はあるか」
そういうことか、俺が安全かどうかを確かめたかったんだな
「俺は人間に対して敵意なんてものは無い、この街に来たのだって初めて見た街で話を聞こうと思っていただけだし」
「街を見るのが初めて?」
「まぁ、色々とあってね...」
「そうか、そこら辺の詮索はやめておくことにしよう」
よかった、どうやら俺への不信感は(多分)無くなったようだ
それにしても...
「あ、あのぉ...」
「なんだ?牢獄から出たいのか?それならもう手筈は済んでるから今すぐに...」
別に男同士だからいいのだが、(胸はないが)全体的に侑那に似たこの姿、
「恥ずかしいから、なるべく早く服をくれないか?」
「なんだ?恥ずかしかったのか?性なしなのにか?」
「...いいからお願いできますかね」
侑那を見ているようで罪悪感を覚え更には自分を見ていないような、他人を見ている気がしてならなくて、顔がボンッと火が吹きそうなくらい熱くなってしまっていた

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