ダンジョンコアになった俺は最強のダンジョンを目指す!

宇宙 のごみ

ダンジョン、思考する





 ルナの言葉が脳内で反芻はんすうする。


 魔族……? どうして?
 あの盗賊達はなんで魔族の女の子をこのダンジョンに放り込んだ?
 ……本気で養殖の餌にするつもりなのか!?


 思考が巡り巡っている。
 そして様々な思考がぐちゃぐちゃになったような状況でも侵入者を殺そうと、与えられた使命を達そうとするゴブリンとウルフが動いていく。
 時は進んで行く。


 ――――自分の感情がわからない。
 ……いや、今起こっていることに本当はおかしいことが無い事にも気付いている。
 盗賊の行動。その意味も分かっている。


 分からないのは自分の感情。


 普段はモンスターを殺して餌にする。今回は魔族を餌にして餌にする、それだけの話だ。
 何時も通り、やっていることだ。


 
 ……俺はあの女の子を殺したくないのか?
 人間に見えるから? 綺麗事も言い訳も思いつかない……多分、そうなのだろう。
 モンスターだったら殺して、魔族は殺したくない。そんなのは道理として正しくない。
 わかっている! なのに……!




 「あ……」


 俺の出そうとした言葉は声にならない、言葉にならない。俺の感情は言葉に出して良いものなのか? 行動していいものなのか……?
 コボルは元モンスターだ、どう思う、どう思われる。
 人間に見えるから生かす、モンスターは殺す。実に勝手だ。




 このままだとあの少女は殺されてしまうだろう。
 何が嫌なのか、何が悪いのか。分かってる。
 今回助けて、人間が迷い込むたびに助けるのか? きりが無い。
 悪人に見えない、子供だから、モンスターに見えないから。そんな理由で選別して助けるのは俺のエゴ。






 言い訳、思考。






 ――――そんな時、ふとルナを見る。


 ルナと目が合った。
 ルナは少し困った表情をして、ほんの少し……微笑む。


 それは俺の考え、思考。それらすべてを理解した上で。
 すべてを赦すような微笑だった。




 決心する。




「俺、行くよ……」


 そういってコボルを見る。
 どんな気持ちなのだろうか、どんな気分なのだろうか。
 俺のやっていることは最悪だ。俺のやっていることは種族差別みたいなもんだからな。






「……キリが無いな」
 コボルの言うことはもっともだ、本当にキリが無い。
 今後も救い続けるのか、と自問自答すれど答えは出ない。
 できることなら、困っている人がいたら、救いたい。




「……ごめん」
 コボルは目を閉じている。
 なにを考えているかなんて分からない。


 でも、助けたい。




 ――――そう、思ったんだ。












「……フッ、同族の子供ガキが死ぬのは目覚めが悪い。俺が行く」




「え……?」
 コボルの反応は予想とは違っていて、言葉が少し遅れてしまう。




「……主が行っても間に合わん」


 そういうとコボルは魔力強化を施し、走り出す。
 俺は、コボルを隠しておきたくて、ずっと大広間に匿ってたのに。


 そうか……


「……コボルも、救いたかったんだね」








 ルナは……どうだったのだろうか。
 飽きれただろうか。




 心の強くない俺は聞いてしまう。
「ルナは……どう思ったんだ」






「私は、……ユーヤのしたいことだったら、何も言わないよ」
「いつだってユーヤは、自分の命を捨ててまで助けてくれようとしていた。私はユーヤの望みを叶えてあげたい。」




 ――――そうだった、ルナは優しいんだ。




「……そうか」






「――――ユーヤに魔王は一番向かないんだから!」


 そう言うルナは本当にうれしそうな表情をしていた。




「……本当、ルナに言われたくないよ」


 そう言って、二人で笑いあった。
 ルナも、俺も、コボルだって。魔王に向かない。
 それが何故だか、とても嬉しく感じられた。






「――――私達、こんなんで最強のダンジョンなんてつくれるのかな?」






「――――ダンジョンは守るためにあるものさ」








 それは大切な人でも、宝でも、矜持でも


 このダンジョンはそんな何かを守るためのダンジョンだ。









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