ダンジョンコアになった俺は最強のダンジョンを目指す!

宇宙 のごみ

進化、そして軌跡





 ゆっくりな世界に人影が割り込んでくる。
 そしてコボちゃんはコボルを突き飛ばす。




「――――やめ……!」






 無慈悲むじひ剣閃けんせん






――――ズシャ!




 一瞬の死の音、
 つかの静寂。




「ッヒ」




「イヒヒヒヒ……。ヒヒヒイヒヒッ!!」






 嗤い声が辺りにこだまする。


 風が冷たく感じる、鼓動は早くなり、世界は回っていく。








 レッドキャップは喜びを噛みしめ、表情を更にゆがめて嗤う。




 あれは、助からない……。








 呆然と考える、色が抜け落ちていく。
 思考だけが回っていく。






 コボルは何も語らない。


 …………。仲間が、灰になっていく。




「…………。」








 押し黙るコボルからは魔力が立ち昇る。
 怒りの感情が伝わってくる。


――――主。






 あぁ、許せないなぁ。






 レッドキャップは嗤っている。




 不愉快だ。
 この笑みも、音も、全部。










「「力だ……!」」






 コボルの悔しさ、怒り。
 力は、ダンジョンコアは、俺は。


 そんな感情に呼応する。






――――主よ、俺は力を望む。


――――なら俺は、お前に力を与えるよ。






 この世界は、このダンジョンは、感情で進化する。




==========================================
・ダンジョンマスターが行動不可のため、一時的に権限が移動します。
・一定の忠誠心を持つモンスターが進化可能です。
 進化させますか? [Count 10]


  対象モンスター:コボルト< Lv90 >


==========================================


 トリガーは、怒り。






「……力を与えよ」




 俺の意志がこの完結した世界を、動かす。






 ダンジョンコアは。








――――俺だ。




==========================================
――――
コボルトを進化させます。
――――
進化には最善を選択します。
==========================================








 全ての魔力だ、後のことは考えない。
 コボルが負けた時、それは俺たちの最後だろう。




めいを与える! 貴が名は "コボル・アルフス" !」


 これは "名の宣告" 瞬間、可視化した俺の魔力は意志を持っているかのようにコボルへ与えられる。




 脱力感、意識が落ちていく。
 魔力欠乏。ネームドモンスターを作る際は任意の魔力を消費する。






 視界が闇に染まる。
 後は……任せたぞ……。






 コボル……。




==========================================
――――
使用DP:ALL
――――
使用MP:ALL
―――― 
"名の宣告" 初回ボーナス。能力値が上昇します。
―――― 
"名の宣告"によりダンジョンマスター"ルナ・アルフィス"と近縁種族への進化ルートが作成されました。
―――― 
ネームドモンスター作成上限に達しました。
―――― 
進化を行います。
―――― 
獣人(ウェアウルフ種)が誕生しました。
―――― 
"成長グリドル"の効果により能力値が倍加します。
――――
"怒り"の感情をトリガーに進化。STRへ補正が入ります。
―――― 
成長限界からの進化により、能力値にボーナスが入ります。
――――
進化条件達成
―――― 
進化を行います。
―――― 
"成長グリドル"の効果により能力値が倍加します。
―――― 
獣魔人(ウェアウルフ種)が誕生しました。
―――― 
初回Sランクモンスターボーナス。能力値に補正が入ります。
==========================================












◇ Side コボル


――――声が聞こえた。


 コボが死んで灰になった時、怒りの感情で支配された。


 力を望んだとき、主の声を聴いた。


 俺に名を与えた。
 めいはダンジョンモンスターの最高のほまれだ。


 階層ボスとしての役割が出来るのはネームドだけ。
 こんな時、コボが生きててくれればどんなに最高だったろうか。




 その時、自身の体からまばゆい光が溢れてきて、俺は今から進化することを悟った。

















 まばゆい光




 俺の求めた力。




 魔力が……、力が……。






――――そして光が収まった時、俺はコボルトではなく魔人となっていた。






「やっとお前を殺せる。」


「望んでた、最初から。」




「主が傷ついた時、力不足を恨んだ。」




「…………。コボを殺された時、お前を恨んだ。」
 コボは俺を突き飛ばしたとき、ありがとうと言っていた。


 なんでお前が礼を言うんだ?
 礼を言うのは俺だ。


 もう、俺の言葉は届かない。






「ヒヒ……!!」


 お前は今までと変わらず、嗤うんだな。


「耳障りなんだよテメーの声は。」




 アイツの速度、今までなら見えなかったような速度だ。
 でも、こいつの攻撃はいつも直線的。












――――レッドキャップ、お前はやり過ぎた。






「お前の事はゆるせそうにねえわ」
 世界を、時間を置いていく。






「ヒ…!」


――――スパン




 遅れて聞こえてくる音。




 こいつは死んだことすら認識していないだろう。
 ゴトリ、とレッドキャップの首が落ちる。




 あれだけ死を、絶望を振りまいたモンスターは息絶え、灰になる。




 灰は風に流れ、静寂が訪れる。








「……なんでこんなことになっただろうな」




「お前は、何が目的だったんだ……?」


 その問いは空へと消える。












「あー、最悪な気分だ」














 感傷に浸っている暇もない。


 ゴブリンの生き残りと魔王様と主を休ませないといけない。
 俺達を守るために戦ってくれた2人は特にボロボロだ。




 それぞれを担ぎ上げ、自室へ運びベッドへ寝かせる。
 主は特に傷が酷く、ボロボロであったため、"ヒール"をかける。










 そしてやっと自分の森へ戻ってきた俺の住処にはコボはもういない。
 20日間だったが、相棒と呼べる存在だった。




 寂しいじゃねえか。








「……コボの墓、作るか」










 こうして、狂気の一日が終わる。

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