ダンジョンコアになった俺は最強のダンジョンを目指す!
魔法訓練、始めました。
10日後、早速俺は魔法を教えてもらえることになった。
早朝、森の中二人で特訓をする。
「まずは自分の中の魔力、それを感じ取るの」
「魔力を感じとる……?」
「うん、ユーヤはいつもダンジョンリストを出すとき魔力を使ってると思うんだけど……」
ふむ。
確かにリストを出すぞ、って思ったとき指先が熱くなる感覚がある。
あれは魔力で書いていたのか。
瞳を閉じて集中していく。
「まずはその感覚を全身纏うようにすること」
声だけが聞こえてくる。
目を閉じ、集中して自分の中にある力を感じとる。
そしてそれを全身に漲らせるようなイメージで。
「うわっ!」
熱を持ったが何かが全身を走るように駆けまわる。
恐る恐る、瞳を開けるとオーラが身を包んでいるのが分かる。
若干白く光っているだろうか。
そしてその状態が落ち着いてきて、力が溢れる。
「そうそう! そんな感じ」
どうやらこれであってるらしい。
結構簡単にできたな、どうやら上手くいったようだ。
「これでいいの?」
「うん、でもそれは初期段階、魔法を出せる状態じゃないからね。魔力を魔法として具現化するためには肉体の強化が必要不可欠なの。今度は全身の力を燃やすようにして維持をしてみて」
教えられた通り今、自分の包んでいる魔力を増大させ纏うようイメージする。
燃え上がる魔力は体から爆発するように一瞬燃え上がると、一気に飛散する
「グッ……!!」
一気に襲ってくる脱力感に耐え切れず、思わず片膝をついてしまう。
しばらく肩で息をしているような状態になる、全力疾走した後のような感覚だ。
「いいかんじだねーその状態を維持するよう。これから魔力が空になるまで続けるからね。ほら! あと100セット!!」
「え……」
俺すでに疲労困憊なんだけど……。
一回でものすごい脱力感なんですけど!!!
「ほら! ファイト!」
有無を言わさぬその言葉。
ルナ……、こんなスパルタな子だったの?
そんなことを考えてる間にも早くやれ、といわんばかりの圧をかけてくる。
……やるしかない!! 次で成功させるさ。
◇
「…………、マオウサマのトックンはキビシイ」
いつの間にやら特訓を見ていたコボルは同情的な目を向けている。
そう、あれから俺は30回ほどチャレンジするも失敗に終わっていた。
まるで全力疾走でマラソンを走り続けたような全身の痛み、そして体の脱力感に襲われて地べたに這いつくばっていた。
「ルナ……。も、もう無理……」
「ユーヤは情けないなあ。コボちゃん達は魔力強化、もうできるよ?」
嘘、だろ……?
そういえば、俺との特訓のあとコボルは長い間帰ってこなかった。
魔法を使ったトレーニングをしていることも知っていたがこんな事をほんとに100セットやったのか……!!?
ちょいちょいとコボルをジェスチャーで呼びつけると俺は相談を持ち掛ける。
「コボルよ……なんとかルナに口を利いて特訓を一日30セットにするよう交渉してくれないか……」
コボルにそう耳打つ。
そしてそれを聞いたコボルはハッと笑うような表情を見せる。
そしてこう言った。
「……マオウサマ……アルジはモウ、イケるとイっている」
き、貴様……裏切りおったな!!
恨みの目線を送っていることに気付いたコボルはさらに続ける。
「ハッ……!アノトキのシカエシダ!」
くッそ!! こいつ!! クッソ!!!!
「ユーヤはなんだかんだ言っても真面目だからね! 信じてた!」
ルナがそう言ってくる手前、少し軽くしようなんて言えたもんじゃない。
そんなこんなで100セットを6時間ほどかけてこなした俺はボロボロになっていた。
「ユーヤ、お疲れさま。明日からは毎日コボちゃん達と一緒に特訓ね」
そう言ってルナはコボルト達と魔法の特訓を始める。
コボルトとルナは当たり前のように魔力強化を施すと魔法を交えながら模擬戦を始める。
ルナは魔法主体、コボルト達はコボちゃんが魔法、そしてコボルは剣術で見事なコンビネーションを見せていた。
なんであの状態をあんなに維持できるのだろうか。
観察すると、ルナやコボル達は常に余裕を持っていて纏っているオーラを必要な時だけ強めに出しているように見える。
そういえば魔法訓練初日、コボル達が魔力を練るところまで出来たって言ってたなあ。
最初は体の中に魔力を貯めるようにして放出しているのかな……?
それを見てばらばらになりそうな全身を動かし、魔力強化をもう一度試してみるが簡単にいくわけもなく、失敗に終わる。
今度こそ力尽きた俺は地べたに寝そべりながらボーっとルナとコボルの戦いを眺める。
魔法を使うための道のりは遠い。
コメント