メイドの重み思いみが『痛み』で『嬉しみ』過ぎる

tomimato404

哀しむの、ひとりで脅える、抱えみ、方。

 無反応の少女は成されるまま、その薄汚れたモノを落とした。

「やましくない」
「着替えを手伝うだけ、これはセクハラでもない。ないの!」

 一向に反応を示さない彼女がいて、私がとても貧相な身体を見つめた。さらに見つめて、声に出して自分を正当化することになった。

「貴女、こんな汚い格好で、私のメイドをするつもりなのかしら?」

 高圧的態度で聞いてみた。
 しかし反応は無かった。

 懐かしの、飲食店バイトの昼時に面接に言った、返答を真似て見たのだが────、
 私の涙しか流れなかった。

 そっと回り込み。
 その背中に、そっと触れてしまう。
 薄汚れていても、人肌。
 その温もりホイホイに逆らえない。
 回した手が、ガッチリとするほどに。

「ここどこよ……じゃなくて、、、。」

 ────お互いの体が冷えた事に気づくまで、思考は止まっていた。人は、柔らかいモノに触れていると落ち着ける事を、実感するまで。
 確かにあった、私にも。ぷにぷにとした確かなアブラミ。あれは、良いものだった。他人が揉み込む分には……。

「ふにっ、貴女……ちょっと……ここまでされても反応無いのね」

 今さら過ぎる質問がこぼれてしまう。
 ビニールに入った、おしぼりをいつのまにか開けて取り出される程、自然なサービス感で、こぼれていた。
 後ろから抱きついた私に、少女は身動きひとつ返さなかった。
 鼓動と脈動と微かな吐息で、生存説が濃厚であった。
 しかし、後ろから抱きついた。
 もしかたら────。

「ゾンビだった時前にいると噛まれるからよ!」
「りろんじょう、視界を遮ると襲われないのよ!」

 私の手に、チェンソーもC4も校内放送を遠隔配信するマイクも無いのだから。
 0距離こそが最大の盲点で、安全地帯。
 ────浩二は、私の旦那だった筈なのに。

「少し、疲れたわね。いらっしゃい、貴女の主人が誰であるか教えてあげるわ」

 箪笥を開けたら、隠れて飛び出すゾンビとか。
 壁に張り付くこと切れ具合で、飛びかかるゾンビとか。
 階下から這い登って、飛び跳ねるゾンビとか。
 
 この振り向いた瞬間、噛みついてくるゾンビとか。

 恐怖体験が、スキップできずに幾つも思い起こされ、怖わ気持ちよい恐怖漬けの脳細胞が、とっくの遠に悲鳴をあげていた。
 警戒感が振りきれて、私は倒れ込む。
 右手か左手か悩む暇もなく、砂漠の砂の上でもなく、冷たいがさっきまで寝ていたベットに帰りつく。
 ただ着替えなくて得した。と、漠然と思いながら。

 ────少女の手は、引いたまま。

 モゾモゾとしたモノに包まれた時。薄れた触感で呟いた。

「もう、食べられるのは……嫌……」





 すみません、健全な方向に行きます。健全な!!
 ────健全、デショ?

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