復讐には花を添えて〜〜ガゼリア帝国第8番隊記〜〜

きりんのつばさ

プロローグ




“おい火事だ!! 誰か水を持ってこい!!”

“くそッ!! 要所要所が瓦礫で塞がれている!!これだと向こう側に行けない!!”


“早く瓦礫をどかせ!! 向こう側には王子がいるんだぞ!!”

窓から見える城の外では沢山の人達が騒がしく慌てていた。
あちらこちらで火事が発生し、さらに先程の爆破によって壊れた城の一部が瓦礫となって消火を急ぐ人達の足を止めていた。
本来なら私も消火の手伝いをしないといけないのだが私はその景色を眺めているだけだった。
何故なら……

「見てくださいよ、貴方の部下が外で慌ててますよ?随分滑稽な景色だと思いませんか?」

「まさかお前が今回の出来事を起こしたのか……!!」

「えぇ、私ですよ」

「な、何をするつもりだ……」

「私の右手を見て分かりませんか?
ーー貴方を殺しに来たんですよ」

とわざと右手にある銃を見せつける様に掲げる。

「や、やめろ……」

そう言いながらその男は私から離れようと徐々に後退していった。だがそれと同じぐらい私も彼に近づいていった。
帝国内で1番の美男と言われる顔が怯えきって台無しだ。

「おや、何故ですか?
貴方も同じ事をしていたじゃないですか?
ーー私の仲間に」

私は表情を一切変えずに目の前の男に銃を構える。

「あれは仕方なかったんだ……!! 帝国が勢力を拡大する為には必要な犠牲なんだよ!!」

「そう言って実は私達が邪魔だったんじゃないですか?自分が率いる部隊よりも成果を挙げているにが憎らしかったのでは?」

「そ、そんなはずがないだろ……お、俺はただ帝国の為を思ってしただけだ!!」

「あぁ、何と言う素晴らしい心をお持ちで……
ーーなんて言うと思いました?」

「へっ……?」

「貴方があんな事をしでかさなければ私達は……!! 8番隊は……!! 今でも賑やかに過ごせていたんですよ!!」

そう言いながら隊員達の懐かしい声が聞こえてきた。



“隊長〜〜!! 今日も勝ちましたねオレら!!”

“……お前は少し音量を落とせ。隊長も疲れているんだから”

“いや俺は大丈夫だ、ありがとうな”

“……別に礼を言われる程の事ではありませんから”

“ホッホッホ、若いとは良いものですな〜〜”

“おい黙ってろ爺さん”


本来なら今でも私の近くで彼らの賑やかな声が聞こえるはずだった。だが今では聞こえない。
今目の前で怯えきった表情をしている男が私から彼らを奪ったからだ。
ーーそんな事を許せる程私は優しくない。

「ま、待て!! 許せ!! 幾らでも謝るからこ、殺さないでくれ!! 俺はまだ……!!」

「いい加減、貴方の言い訳には聞き飽きました。なのでこれで終わりにしましょうか」

と私は持っていた銃の先端をその男の額につけた。

「ま、待て。俺を見逃してくれたらお前がここから無事に逃げれる様に取り計らってやるから……」

「何を言っていると思ったらこの場に及んでまだ命乞いですか。ですが私は元々これ以上生きるつもりはございませんので貴方様からのご提案丁重に断らせていただきます」

元より帝国の首都の更に城でこんなに大暴れしたのだから無事に済まないだろう。
ーーそもそもこれ以上生きても私には辛い事だ。

「では、言いたい事は言い切りましたか?」

「や、やめてくれ……!!」

「さようならです。
ーーあの世で隊長達に詫びなさい」

と言うと私は引き金に指をーー

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