王国の騎士

吟遊詩人

想像以上実力未満

馬を走らせ颯爽と街を駆け抜け、D地区へとたどり着く。
…だが、私より先にたどり着いたものはそれなりの数、【いた】
いたのだ。赤い帽子、破れた赤い布飛び散り壁に張り付いた肉片。
「…どういう…ことだ…?」
私はあまり言葉を話すのが得意ではない。だからと言って今、口から漏れた言葉はあまりにも間抜けだった。

【目の前に赤いボロ切れのようなものを持ち癇癪をあげる怪物を目にしてそんなことを口にしたのだから】

【おんぎゃあ、おんぎゃあ。赤子のような癇癪。それは何かを食べている】

【ぐちゃりぐちゃりと音が響く誰もいない。尚更で音がよく聞こえる】

銃剣を構える
やっと麻痺した思考が働く
赤い赤い巨大な赤ん坊、よちよちと二本足で立ちこちらを見下ろしている
馬が逃げようとする怯えている
わかっている
私も怖い 恐怖で狂いそうだ
今笑って、今泣いて、逃げることが出来ればと心から思う。
だが…だが、
声を張り上げる

「怪物よ!今貴様が立つ大地が、今貴様が奪った命が、何か分かるか!」

馬鹿みたいだ。逃げるべきた。

「我らが王国のものだ。貴様にこれ以上渡すものなど、壊させるものなどただの1つとして存在しない」

少し、手が震える。怪物の巨大な目が私を映す。少しだけ陰気臭い何時もの顔だ。

「王国の騎士として、私が相手になる。
我が名はラーク・グレイ…貴様を殺すものだ
冥土の土産に覚えとけ」

怪物の目に写るソイツは少しだけ誇らしげな顔をしている

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