発展途上の異世界に、銃を持って行ったら ~改訂版~
9話
「……ザコ魔法使いとはよく言ったもんだな。まさか1日1発しか使えない魔法とはな」
「仕方ないでしょ。『破滅魔法』は魔力消費が激しいんだから」
なんかのアニメに1日1回しか魔法が使えない魔法使いがいたな、とか思いながら、イツキは町中を歩いていた。何故かランゼも一緒に。
「……つーかお前はいつまで怯えてんだよ。いい加減に離れろ」
「イヤでありまぁす……! 絶対にイヤでありまぁす……!」
未だに涙目なアルマが、イツキの腕に抱きついたまま離れない。
──集まってきたモンスターは、イツキの魔力銃の前に死体となった。
生き物を殺す事には抵抗があったが、殺さなければ自分が殺される状況で、そんな甘い事は言ってられない。
もちろん、モンスターだって生き物だ。殺せば当然血が出る。
それにすっかり怯えてしまったアルマが、ブルブルと震えながらイツキの腕にくっ付いているのだ。
というか、モンスターを惨殺したのはイツキなのに、そのイツキに抱き付くのは怖くないのだろうか。
「それにしても、不思議な武器ね。魔道具なの?」
「……まあ、そんな感じだ」
興味深そうに魔力銃を見るランゼに、それとなく合わせて返事をする。
「……そういえば気になっていたんだが、魔法ってのは誰でも使えるのか?」
「うーん……人によるわね。魔法の才を持っていれば使えるけど」
「魔法の才……ってなんだ?」
「魔法が使える人が持つ才能の事よ。あたしの場合は、破滅魔法の才を持ってるってなるの」
なるほど。魔法の才を持たなければ魔法が使えない、持っている魔法の才以外の魔法は使えない、というわけだ。
「……その魔法の才ってのは、俺にもあるのか?」
「さあ? 魔法屋で魔法の才を見てもらわないとわからないわ」
「そうか……じゃあ魔法屋に行ってもいいか? ギルドへの報告は終わったし、する事もないしな」
「別にいいけど……お金は持ってきてるの? 魔法の才を見てもらうなら、お金がいるわよ?」
「金ならある。案内してくれ」
「……しょうがないわね……わかったわ」
────────────────────
「いらっしゃい。どうしたんだい?」
紫色のテント……魔法屋だ。
イツキとアルマ、そしてランゼは、薄暗いテントの中にいた。
「魔法の才を見てもらいたい。1人いくらだ?」
「銀貨10枚だよ」
「銀貨10枚……アルマのと合わせて20枚か……ほらよ」
皮袋から銀貨を取り出し、怪しい格好の女性に手渡した。
「どの子の魔法の才を見ればいいんだい?」
「俺とこの子だ。頼めるか?」
「もちろんだよ。それじゃ──」
女性が水晶玉に手をかざし──何やら水晶玉が輝き始めた。
「──よし。まずはキミの魔法の才からだね」
輝く水晶玉に目を向けたまま、女性が続ける。
「キミの魔法の才は……『回復魔法』だね」
「俺が回復ねぇ……」
「それで、そっちの子が……ん……?」
水晶玉を覗き込む女性が、予想外の何かを見たかのように目を見開いた。
その様子を見て、アルマが不安そうにイツキの袖を握る。
「その子の魔法の才は珍しいねぇ、『光魔法』だよ」
「え、ちょ、ちょっと待つであります! え、魔法の才があるのでありますか?! じ、自分、『地霊族』でありますよ?! 魔法の才なんて持たない種族であります!」
「そうは言ってもねぇ……あるものはあるからねぇ……」
「そんな……」
魔法の才がある事が嫌なのか、アルマの表情がこの世の全てに絶望したような表情になる。
イツキはそんなアルマの頭を撫でた。
「ぁ、え……イツキ、様……?」
「そんな顔すんじゃねぇ。お前の過去に何があったか知らんが……お前はもう1人じゃない。俺がいる」
「……はい、であります」
泣きそうな顔から一変、ふにゃっと柔らかくなった表情に、イツキの表情も柔らかくなる。
……アルマを売っていた奴隷商人が、アルマは家族にも同族にも見捨てられたと言っていた。
何が原因かわからないが──魔法の才を持っている事も、差別されてきた原因なのだろうか?
いや、アルマの様子を見るに、自分に魔法の才がある事を今知ったのだろう。
……まあ、いつか本人に聞こう。
「それで、魔法書はどうするんだい?」
「魔法書……?」
「自分の使える魔法が書かれた本の事よ」
「は? 回復魔法の才があったら、全種類の『回復魔法』が使えるんじゃないのか?」
「違うわよ。使える魔法は人それぞれなの。あたしだって、『破滅魔法』の『ビッグバン』しか使えないし」
いよいよザコ魔法使いだな。
心の中でそう思いながら、隣のアルマに目を向けた。
イツキへの信頼で輝いている蒼眼は、真っ直ぐにイツキへと向けられていた。
「んじゃあ、俺とアルマの分を頼む。いくらだ?」
「2人で銀貨20枚だよ」
「また20枚か……ほらよ」
「確かに20枚だね。それじゃ、この本に魔力を流してくれるかい?」
女性の取り出した本に手を置き、言われるがまま魔力を流し始める。
隣では、アルマがイツキと同じく魔力を流していた。
「よし、これで魔法書に使える魔法が刻まれたはずだよ。確認してごらん」
「……ああ、なんか書いてるな」
「それがキミの使える魔法さ。持って帰ってしっかり覚えるんだよ」
「わかった。ありがとう」
女性にお礼を言って、イツキたちは足早に魔法屋を出た。
「……んじゃ、帰って魔法書でも見るか」
「了解であります!」
「またなランゼ」
「えぇ。それじゃあね」
こちらに手を振るランゼに手を振り返し、イツキたちは宿に向かって歩き出そうと──する寸前だった。
『──緊急連絡! 緊急連絡! 現在、『人国 アンバーラ』の南部に、『ゾディアック』の『乙女座』が現れました! 近隣の住民の方々は、ただちに避難してください! 繰り返します! 現在、『人国 アンバーラ』の南部に──』
──暴力的とも言える音量が、イツキの耳に飛び込んでくる。
何がなんだかわからず、硬直するイツキ──と、警報を聞いたランゼが眉を寄せ、アルマが恐怖に顔を引き攣らせた。
「『ゾディアックセンサー』……! まさか、『ゾディアック』が攻めて来るなんて……!」
「お、おい、この警報は?」
「『ゾディアック』が来た事を知らせる警報よ。『破滅魔法』が使えるなら、あたしが迎撃に向かっても良かったんだけど……今日はもう撃てないから……」
──『ゾディアック』。
そうだ……ヘルアーシャが言っていた。
君には、異世界で暴れてる『ゾディアック』っていう、モンスターなんかより凶悪なやつらと戦ってもらうんだけど──と。
「……い、イツキ様? ど、どうしたでありますか?」
「ああいや、何でもない……」
「『ゾディアック』は王国騎士隊か北部ギルドのベテラン冒険者に任せて、あたしたちは避難しましょう」
「……いや……アルマ、お前はランゼと一緒に避難してろ」
予想外の言葉に、アルマとランゼは目を見開いた。
「え、え? い、イツキ様は?」
「俺は『ゾディアック』の所に行く。俺の魔力銃があれば、多少の援護はできるだろ」
──敵の戦力を見ておきたい。
ヘルアーシャの言う事を信じるのなら、イツキは『ゾディアック』と戦わなければならない、という事だろう。
もちろん、自分から進んで戦うつもりはない──だが、『ゾディアック』の強さがどの程度のものか知っておきたいのも事実。
なら──陰に隠れて、『ゾディアック』の様子を見ておこう。
「な、何考えてるの?! 相手は『ゾディアック』、魔王の配下なのよ?!」
「……魔王とかいるのか……」
胸ぐらを掴み上げてくるランゼを見下ろし──咄嗟に思い付いた言い訳を口にする。
「よく聞け、ランゼ。俺は記憶喪失だ。それも、『ゾディアック』が原因で、だ」
「えぇ、そうね」
「もしかしたら、『ゾディアック』を倒したら記憶が戻る──までは行かなくても、何かを思い出すキッカケになるかも知れないだろ?」
「……そうは言っても……」
「悪いが、止めてもムダだ。ランゼ、『アンバーラ』の南部ってどっちだ?」
黒のマントを翻すイツキを見て、ランゼが深々とため息を吐いた。
「…………この道を真っ直ぐ。そしたら、国の南部に着くわ」
「サンキュー」
「い、イヤであります! イツキ様が行くのであれば、自分も一緒に行くでありまぁす!」
イツキのマントを掴み、アルマが瞳に涙を浮かべる。
「……心配すんな。お前はランゼと一緒に──」
「イヤでありますっ、イヤであります! お願いでありますから、自分を置いて行かないでほしいであります!」
「……………」
「もう……独りになるのはっ、嫌なのであります……!」
マントに顔を埋め、嗚咽を殺して泣きじゃくる。
奴隷商人が言っていたアルマの過去を思い出し、何とも言えない気持ちになったイツキは──諦めたように苦笑を浮かべ、アルマの頭をグリグリと撫でた。
「……わかったわかった。けど、ケガしても知らないからな」
「……! 了解であります!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それだったら、あたしだって──」
「一日一回の『破滅魔法』を使ったんだから、今のお前はただの一般人だろうが。ここは大人しく避難しとけ。ついでに、俺とアルマの魔法書を預ける。後でギルドに行くから、その時に返してくれ」
「……はぁ……わかったわ。けど、無理はしないように気を付けなさいよ」
「ああ。行くぞ、アルマ」
「はっ!」
ランゼを残し、イツキとアルマは国の南部を目指して駆け出した。
「仕方ないでしょ。『破滅魔法』は魔力消費が激しいんだから」
なんかのアニメに1日1回しか魔法が使えない魔法使いがいたな、とか思いながら、イツキは町中を歩いていた。何故かランゼも一緒に。
「……つーかお前はいつまで怯えてんだよ。いい加減に離れろ」
「イヤでありまぁす……! 絶対にイヤでありまぁす……!」
未だに涙目なアルマが、イツキの腕に抱きついたまま離れない。
──集まってきたモンスターは、イツキの魔力銃の前に死体となった。
生き物を殺す事には抵抗があったが、殺さなければ自分が殺される状況で、そんな甘い事は言ってられない。
もちろん、モンスターだって生き物だ。殺せば当然血が出る。
それにすっかり怯えてしまったアルマが、ブルブルと震えながらイツキの腕にくっ付いているのだ。
というか、モンスターを惨殺したのはイツキなのに、そのイツキに抱き付くのは怖くないのだろうか。
「それにしても、不思議な武器ね。魔道具なの?」
「……まあ、そんな感じだ」
興味深そうに魔力銃を見るランゼに、それとなく合わせて返事をする。
「……そういえば気になっていたんだが、魔法ってのは誰でも使えるのか?」
「うーん……人によるわね。魔法の才を持っていれば使えるけど」
「魔法の才……ってなんだ?」
「魔法が使える人が持つ才能の事よ。あたしの場合は、破滅魔法の才を持ってるってなるの」
なるほど。魔法の才を持たなければ魔法が使えない、持っている魔法の才以外の魔法は使えない、というわけだ。
「……その魔法の才ってのは、俺にもあるのか?」
「さあ? 魔法屋で魔法の才を見てもらわないとわからないわ」
「そうか……じゃあ魔法屋に行ってもいいか? ギルドへの報告は終わったし、する事もないしな」
「別にいいけど……お金は持ってきてるの? 魔法の才を見てもらうなら、お金がいるわよ?」
「金ならある。案内してくれ」
「……しょうがないわね……わかったわ」
────────────────────
「いらっしゃい。どうしたんだい?」
紫色のテント……魔法屋だ。
イツキとアルマ、そしてランゼは、薄暗いテントの中にいた。
「魔法の才を見てもらいたい。1人いくらだ?」
「銀貨10枚だよ」
「銀貨10枚……アルマのと合わせて20枚か……ほらよ」
皮袋から銀貨を取り出し、怪しい格好の女性に手渡した。
「どの子の魔法の才を見ればいいんだい?」
「俺とこの子だ。頼めるか?」
「もちろんだよ。それじゃ──」
女性が水晶玉に手をかざし──何やら水晶玉が輝き始めた。
「──よし。まずはキミの魔法の才からだね」
輝く水晶玉に目を向けたまま、女性が続ける。
「キミの魔法の才は……『回復魔法』だね」
「俺が回復ねぇ……」
「それで、そっちの子が……ん……?」
水晶玉を覗き込む女性が、予想外の何かを見たかのように目を見開いた。
その様子を見て、アルマが不安そうにイツキの袖を握る。
「その子の魔法の才は珍しいねぇ、『光魔法』だよ」
「え、ちょ、ちょっと待つであります! え、魔法の才があるのでありますか?! じ、自分、『地霊族』でありますよ?! 魔法の才なんて持たない種族であります!」
「そうは言ってもねぇ……あるものはあるからねぇ……」
「そんな……」
魔法の才がある事が嫌なのか、アルマの表情がこの世の全てに絶望したような表情になる。
イツキはそんなアルマの頭を撫でた。
「ぁ、え……イツキ、様……?」
「そんな顔すんじゃねぇ。お前の過去に何があったか知らんが……お前はもう1人じゃない。俺がいる」
「……はい、であります」
泣きそうな顔から一変、ふにゃっと柔らかくなった表情に、イツキの表情も柔らかくなる。
……アルマを売っていた奴隷商人が、アルマは家族にも同族にも見捨てられたと言っていた。
何が原因かわからないが──魔法の才を持っている事も、差別されてきた原因なのだろうか?
いや、アルマの様子を見るに、自分に魔法の才がある事を今知ったのだろう。
……まあ、いつか本人に聞こう。
「それで、魔法書はどうするんだい?」
「魔法書……?」
「自分の使える魔法が書かれた本の事よ」
「は? 回復魔法の才があったら、全種類の『回復魔法』が使えるんじゃないのか?」
「違うわよ。使える魔法は人それぞれなの。あたしだって、『破滅魔法』の『ビッグバン』しか使えないし」
いよいよザコ魔法使いだな。
心の中でそう思いながら、隣のアルマに目を向けた。
イツキへの信頼で輝いている蒼眼は、真っ直ぐにイツキへと向けられていた。
「んじゃあ、俺とアルマの分を頼む。いくらだ?」
「2人で銀貨20枚だよ」
「また20枚か……ほらよ」
「確かに20枚だね。それじゃ、この本に魔力を流してくれるかい?」
女性の取り出した本に手を置き、言われるがまま魔力を流し始める。
隣では、アルマがイツキと同じく魔力を流していた。
「よし、これで魔法書に使える魔法が刻まれたはずだよ。確認してごらん」
「……ああ、なんか書いてるな」
「それがキミの使える魔法さ。持って帰ってしっかり覚えるんだよ」
「わかった。ありがとう」
女性にお礼を言って、イツキたちは足早に魔法屋を出た。
「……んじゃ、帰って魔法書でも見るか」
「了解であります!」
「またなランゼ」
「えぇ。それじゃあね」
こちらに手を振るランゼに手を振り返し、イツキたちは宿に向かって歩き出そうと──する寸前だった。
『──緊急連絡! 緊急連絡! 現在、『人国 アンバーラ』の南部に、『ゾディアック』の『乙女座』が現れました! 近隣の住民の方々は、ただちに避難してください! 繰り返します! 現在、『人国 アンバーラ』の南部に──』
──暴力的とも言える音量が、イツキの耳に飛び込んでくる。
何がなんだかわからず、硬直するイツキ──と、警報を聞いたランゼが眉を寄せ、アルマが恐怖に顔を引き攣らせた。
「『ゾディアックセンサー』……! まさか、『ゾディアック』が攻めて来るなんて……!」
「お、おい、この警報は?」
「『ゾディアック』が来た事を知らせる警報よ。『破滅魔法』が使えるなら、あたしが迎撃に向かっても良かったんだけど……今日はもう撃てないから……」
──『ゾディアック』。
そうだ……ヘルアーシャが言っていた。
君には、異世界で暴れてる『ゾディアック』っていう、モンスターなんかより凶悪なやつらと戦ってもらうんだけど──と。
「……い、イツキ様? ど、どうしたでありますか?」
「ああいや、何でもない……」
「『ゾディアック』は王国騎士隊か北部ギルドのベテラン冒険者に任せて、あたしたちは避難しましょう」
「……いや……アルマ、お前はランゼと一緒に避難してろ」
予想外の言葉に、アルマとランゼは目を見開いた。
「え、え? い、イツキ様は?」
「俺は『ゾディアック』の所に行く。俺の魔力銃があれば、多少の援護はできるだろ」
──敵の戦力を見ておきたい。
ヘルアーシャの言う事を信じるのなら、イツキは『ゾディアック』と戦わなければならない、という事だろう。
もちろん、自分から進んで戦うつもりはない──だが、『ゾディアック』の強さがどの程度のものか知っておきたいのも事実。
なら──陰に隠れて、『ゾディアック』の様子を見ておこう。
「な、何考えてるの?! 相手は『ゾディアック』、魔王の配下なのよ?!」
「……魔王とかいるのか……」
胸ぐらを掴み上げてくるランゼを見下ろし──咄嗟に思い付いた言い訳を口にする。
「よく聞け、ランゼ。俺は記憶喪失だ。それも、『ゾディアック』が原因で、だ」
「えぇ、そうね」
「もしかしたら、『ゾディアック』を倒したら記憶が戻る──までは行かなくても、何かを思い出すキッカケになるかも知れないだろ?」
「……そうは言っても……」
「悪いが、止めてもムダだ。ランゼ、『アンバーラ』の南部ってどっちだ?」
黒のマントを翻すイツキを見て、ランゼが深々とため息を吐いた。
「…………この道を真っ直ぐ。そしたら、国の南部に着くわ」
「サンキュー」
「い、イヤであります! イツキ様が行くのであれば、自分も一緒に行くでありまぁす!」
イツキのマントを掴み、アルマが瞳に涙を浮かべる。
「……心配すんな。お前はランゼと一緒に──」
「イヤでありますっ、イヤであります! お願いでありますから、自分を置いて行かないでほしいであります!」
「……………」
「もう……独りになるのはっ、嫌なのであります……!」
マントに顔を埋め、嗚咽を殺して泣きじゃくる。
奴隷商人が言っていたアルマの過去を思い出し、何とも言えない気持ちになったイツキは──諦めたように苦笑を浮かべ、アルマの頭をグリグリと撫でた。
「……わかったわかった。けど、ケガしても知らないからな」
「……! 了解であります!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それだったら、あたしだって──」
「一日一回の『破滅魔法』を使ったんだから、今のお前はただの一般人だろうが。ここは大人しく避難しとけ。ついでに、俺とアルマの魔法書を預ける。後でギルドに行くから、その時に返してくれ」
「……はぁ……わかったわ。けど、無理はしないように気を付けなさいよ」
「ああ。行くぞ、アルマ」
「はっ!」
ランゼを残し、イツキとアルマは国の南部を目指して駆け出した。
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