テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない
第28話 ストーキング・アリス
亜梨須side
「妃愛蕾さん、これとかいいんじゃない? 」
「うーん、そっちもいいけどこっちも捨てがたいなあ」
進と妃愛蕾が二人で買い物をしている。
「あー、確かに。そっちもいいな。
うーん、どっちも似合うな」
「あ、だったらさ……」
そこで、妃愛蕾が進の耳元に唇を近づけて……。
って、なにしてんのよぉぉぉぉぉぉー!!
私、亜梨須は先程から進と妃愛蕾のこんな感じでイチャイチャしているのをずっと見ている。
―――後方の物陰から。
時は1時間ほど前まで遡る……。
***
あれから、あの二人のことでずっとモヤモヤしていた私は気分転換のために、買い物に来ていた。
特別欲しいものは無かったが、家の中でずっと思い詰めているよりはいいかなと外に出てみたのだ。
そして、ぼんやりとしながら歩いた私が着いた場所はここ柳沢駅前だった。
「よりにもよって、こことはね……」
進とデートをした時のことが今でも鮮明に頭に浮かぶ。
いや、あれはデートではなかったのだろう。
私一人が舞い上がっていただけで……。
進にとってはただの幼なじみと出かけただけなんだから。
でも、少しだけ期待している私もいる。
進は私のことを好きなんじゃないかって。
こんな妄想を未練がましくする自分は、我ながらとっても女々しいなとは思う。
妃愛蕾と進が付き合った今でもそうなのだから。
けれども、進のことを諦めることは私には出来ない。
気分転換に来たのに心の中のモヤモヤは無くなるばかりか強くなる一方だった。
***
「あれ? あれって進じゃない? 」
噴水の前に進が立っていた。
いや、(たぶん)意味もなく立っているわけないだろうからここで誰かと待ち合わせでもしているんだろうか。
嫌な予感がした。
咄嗟に近くのパン屋さんの看板の後ろに身を隠し、様子を伺うことにした。
しばらくすると、一人の少女がやってきた。
妃愛蕾だ。
妃愛蕾なそのまま進の元へ行き、何か話し始めた。
ここからじゃ、何を言っているのか分からないわね……。
しばらくすると、2人は一緒に歩き始めた。
つまり、これは2人のデートなのではないだろうか。
その事に気づいた時、わたしは酷く狼狽した。
そこからあまり記憶がないのだが、いつの間にか私は2人の後を追けていた。
***
というわけで、現在に至る。
二人はあれから、色々な所を周って買い物をしていた。
といっても、実際に何か買っていた訳では無いので、そこから考えるに……、
二人は自分達が恋人になった記念として何か買おうとしているのではないだろうか?
その考えを思いついた時、私は自分がとても冴えていると感じた。
しかし、それと同時に胸が痛くなった。
あ、2人が動き出した。
私は2人の後を見つからないようにそっと追けていった。
今、2人がいるのはファミレスの中だ。
どうやら、休憩をするらしいので、私もバレないようにマスクと帽子を被り店内に入った。
(後からその時のことを思い出すと自分がいかに不審者のような格好だったかを思い出して恥ずかしくなる)
2人が座っている席の後ろの席に座ることが出来たので、こっそりと、2人の話を聞く。
「うーん、なかなか、いいのが見つからないねえ……」
「そうだなあ……」
!  やっぱり、2人の恋人記念のプレゼントを探しているのね!?
「こういうのって実は私、初めてなんだよね」
「あいにく、俺も初めてだから、何もいえなくてごめんね……」
妃愛蕾、モテると思ってたのに、実は今まで付き合ったことがなかったなんて……。
·····進は知ってたけど。
だから、その初めてに私がなりたかったのに。
なんだか、また暗い気持ちになってきた。
「お客様、ご注文は何に致しますか? 」
進達のほうに店員さんが来たようだ。
「あー、カツ丼で」
「私は、オムライス下さいー」
「かしこまりました。
お客様、現在、当店では男女2名様の場合、キャンペーンに参加するとパフェが無料になるのですが、如何致しますか? 」
何それ!?
よく見たら、周りに、
『当店の特大ジャンボパフェを異性と一緒に食べきると、結ばれるかも!? 』
という、ような売り文句がたくさん貼ってある。
「あー、あの俺達は……」
進はどうやら、周りの張り紙に気づいたようで恥ずかしがり、店員さんの申し出を断ろうとしたが……。
「パフェ!? お願いします! 」
妃愛蕾が顔を見ずとも分かるぐらいに喜んでいる。
「かしこまりました、キャンペーンの詳しいご説明は……」
「大丈夫です! 」
妃愛蕾、そんなにパフェが好きだったのね……。
そうして店員さんは注文を再度読み上げた後、去っていった。
***
「進くん、あーん」
「はぐっ、お、おいしいよ。
じゃ、次は俺から……。
妃愛蕾さん、あ、あーん」
「パクッ! 
んっー! おいしい! 」
「それは良かったよ……」
「確認させて頂きましたので、パフェは無料とさせていただきます。
後はご自由におくつろぎ下さい」
··········はっ!
今、意識がどこかへ飛んでいたわ。
後ろが甘ったるい空気すぎて、昇天しかけたわ。
ここのキャンペーンというのが、2人の男女でお互いにパフェを何度か、あーんするというものらしくて、それを聞いた時、進の顔が引きつっているのが見なくてもよく分かった。
ん?私?
私が注文したのはドリンクバーだけよ。
2人の空気が甘すぎで、ほかの物を食べる気になれなかったし、ブラックコーヒーを飲まないと耐えられなかったわ。
というか、今このコーヒー飲めないわね……。
苦すぎよ……。
ここの店のオリジナル激苦コーヒーっていうのを持ってきたんだけど、普通のコーヒーより数段苦いわ。
そういえば、さっきから30代ぐらいの男性がこちらを哀れみと励ましてくれるような目で見てるのよね……。
うん……。なんとなく、予想はついたけど、自分で言うのはなんか虚しいわね……。
***
ファミレスから出た後、二人はアクセサリーショップに入っていった。
店内には所狭しとたくさんのアクセサリーが並んでいた。
私も2人から少し遅れて入っていく。
ほかの店で見たことの無い商品ばかりだ。
入口にもう一度戻って見てみると、どうやら、ここはオーダーメイドのアクセサリーの専門店らしい。
進達を見つけたので近くに行ってみる。
もちろん、気づかれないように。
「ここ、可愛いのが多いねー」
「可愛いかどうかは俺にはよく分からないけども、ここの落ち着いた雰囲気は好きだなあ。
って、ん、これ良くないか?」
「進くん、それいいかも……! 」
どうやら、進が何かを手に取ったようだ。
くぅ……。
気になるのに、ここからじゃ、よく見えない。
というわけで、私は2人の前を何気なく通ることにした。
え?2人にバレないのかって?
ふふふふふ…………。
私もちゃんと対策はしている!
その対策というのが変装を変えるというものだ。
先程までの帽子とマスクをつけた格好ではなく、黒いサングラスと、後ろに髪を1本に束ねて、キャップを被っています。
(この2つは途中で見つけたので買いました)
これで、進と妃愛蕾にバレることは無いのよ!
というわけで、
何気ない振りをして、進達の前を通りながら、その商品を見ると、それは青い髪飾りだった。
その髪飾りには、小さな水色と青色の中間ぐらいの花の装飾が付いていて……。
その時、私は進達の持っているものを見るのに集中していて、自分の足元が疎かになっていた。
その結果……、小さな段差に引っかかり
「きゃっ! 」
ストン!
と、前に転んでしまった。
そんな私に、
「だ、大丈夫ですか? 」
と、声をかけて、手を差し伸べてくれる人がいた。
「大丈夫です……。
ありがとうござ、いま……」
その手に捕まってから気づいた。
それは進だった。
なぜか、私を見て驚いてる。
どうして? 
私は、今変装をしているのにっ……て!?
私が転んだ時に取れてしまったのだろう。
床にはキャップと黒いサングラスが落ちていた。
つまり、今の私の顔を覆う物は何もないわけで……。
「亜梨須、こんな所で何してるんだ……? 」
進の戸惑った声が私に投げかけられた。
「妃愛蕾さん、これとかいいんじゃない? 」
「うーん、そっちもいいけどこっちも捨てがたいなあ」
進と妃愛蕾が二人で買い物をしている。
「あー、確かに。そっちもいいな。
うーん、どっちも似合うな」
「あ、だったらさ……」
そこで、妃愛蕾が進の耳元に唇を近づけて……。
って、なにしてんのよぉぉぉぉぉぉー!!
私、亜梨須は先程から進と妃愛蕾のこんな感じでイチャイチャしているのをずっと見ている。
―――後方の物陰から。
時は1時間ほど前まで遡る……。
***
あれから、あの二人のことでずっとモヤモヤしていた私は気分転換のために、買い物に来ていた。
特別欲しいものは無かったが、家の中でずっと思い詰めているよりはいいかなと外に出てみたのだ。
そして、ぼんやりとしながら歩いた私が着いた場所はここ柳沢駅前だった。
「よりにもよって、こことはね……」
進とデートをした時のことが今でも鮮明に頭に浮かぶ。
いや、あれはデートではなかったのだろう。
私一人が舞い上がっていただけで……。
進にとってはただの幼なじみと出かけただけなんだから。
でも、少しだけ期待している私もいる。
進は私のことを好きなんじゃないかって。
こんな妄想を未練がましくする自分は、我ながらとっても女々しいなとは思う。
妃愛蕾と進が付き合った今でもそうなのだから。
けれども、進のことを諦めることは私には出来ない。
気分転換に来たのに心の中のモヤモヤは無くなるばかりか強くなる一方だった。
***
「あれ? あれって進じゃない? 」
噴水の前に進が立っていた。
いや、(たぶん)意味もなく立っているわけないだろうからここで誰かと待ち合わせでもしているんだろうか。
嫌な予感がした。
咄嗟に近くのパン屋さんの看板の後ろに身を隠し、様子を伺うことにした。
しばらくすると、一人の少女がやってきた。
妃愛蕾だ。
妃愛蕾なそのまま進の元へ行き、何か話し始めた。
ここからじゃ、何を言っているのか分からないわね……。
しばらくすると、2人は一緒に歩き始めた。
つまり、これは2人のデートなのではないだろうか。
その事に気づいた時、わたしは酷く狼狽した。
そこからあまり記憶がないのだが、いつの間にか私は2人の後を追けていた。
***
というわけで、現在に至る。
二人はあれから、色々な所を周って買い物をしていた。
といっても、実際に何か買っていた訳では無いので、そこから考えるに……、
二人は自分達が恋人になった記念として何か買おうとしているのではないだろうか?
その考えを思いついた時、私は自分がとても冴えていると感じた。
しかし、それと同時に胸が痛くなった。
あ、2人が動き出した。
私は2人の後を見つからないようにそっと追けていった。
今、2人がいるのはファミレスの中だ。
どうやら、休憩をするらしいので、私もバレないようにマスクと帽子を被り店内に入った。
(後からその時のことを思い出すと自分がいかに不審者のような格好だったかを思い出して恥ずかしくなる)
2人が座っている席の後ろの席に座ることが出来たので、こっそりと、2人の話を聞く。
「うーん、なかなか、いいのが見つからないねえ……」
「そうだなあ……」
!  やっぱり、2人の恋人記念のプレゼントを探しているのね!?
「こういうのって実は私、初めてなんだよね」
「あいにく、俺も初めてだから、何もいえなくてごめんね……」
妃愛蕾、モテると思ってたのに、実は今まで付き合ったことがなかったなんて……。
·····進は知ってたけど。
だから、その初めてに私がなりたかったのに。
なんだか、また暗い気持ちになってきた。
「お客様、ご注文は何に致しますか? 」
進達のほうに店員さんが来たようだ。
「あー、カツ丼で」
「私は、オムライス下さいー」
「かしこまりました。
お客様、現在、当店では男女2名様の場合、キャンペーンに参加するとパフェが無料になるのですが、如何致しますか? 」
何それ!?
よく見たら、周りに、
『当店の特大ジャンボパフェを異性と一緒に食べきると、結ばれるかも!? 』
という、ような売り文句がたくさん貼ってある。
「あー、あの俺達は……」
進はどうやら、周りの張り紙に気づいたようで恥ずかしがり、店員さんの申し出を断ろうとしたが……。
「パフェ!? お願いします! 」
妃愛蕾が顔を見ずとも分かるぐらいに喜んでいる。
「かしこまりました、キャンペーンの詳しいご説明は……」
「大丈夫です! 」
妃愛蕾、そんなにパフェが好きだったのね……。
そうして店員さんは注文を再度読み上げた後、去っていった。
***
「進くん、あーん」
「はぐっ、お、おいしいよ。
じゃ、次は俺から……。
妃愛蕾さん、あ、あーん」
「パクッ! 
んっー! おいしい! 」
「それは良かったよ……」
「確認させて頂きましたので、パフェは無料とさせていただきます。
後はご自由におくつろぎ下さい」
··········はっ!
今、意識がどこかへ飛んでいたわ。
後ろが甘ったるい空気すぎて、昇天しかけたわ。
ここのキャンペーンというのが、2人の男女でお互いにパフェを何度か、あーんするというものらしくて、それを聞いた時、進の顔が引きつっているのが見なくてもよく分かった。
ん?私?
私が注文したのはドリンクバーだけよ。
2人の空気が甘すぎで、ほかの物を食べる気になれなかったし、ブラックコーヒーを飲まないと耐えられなかったわ。
というか、今このコーヒー飲めないわね……。
苦すぎよ……。
ここの店のオリジナル激苦コーヒーっていうのを持ってきたんだけど、普通のコーヒーより数段苦いわ。
そういえば、さっきから30代ぐらいの男性がこちらを哀れみと励ましてくれるような目で見てるのよね……。
うん……。なんとなく、予想はついたけど、自分で言うのはなんか虚しいわね……。
***
ファミレスから出た後、二人はアクセサリーショップに入っていった。
店内には所狭しとたくさんのアクセサリーが並んでいた。
私も2人から少し遅れて入っていく。
ほかの店で見たことの無い商品ばかりだ。
入口にもう一度戻って見てみると、どうやら、ここはオーダーメイドのアクセサリーの専門店らしい。
進達を見つけたので近くに行ってみる。
もちろん、気づかれないように。
「ここ、可愛いのが多いねー」
「可愛いかどうかは俺にはよく分からないけども、ここの落ち着いた雰囲気は好きだなあ。
って、ん、これ良くないか?」
「進くん、それいいかも……! 」
どうやら、進が何かを手に取ったようだ。
くぅ……。
気になるのに、ここからじゃ、よく見えない。
というわけで、私は2人の前を何気なく通ることにした。
え?2人にバレないのかって?
ふふふふふ…………。
私もちゃんと対策はしている!
その対策というのが変装を変えるというものだ。
先程までの帽子とマスクをつけた格好ではなく、黒いサングラスと、後ろに髪を1本に束ねて、キャップを被っています。
(この2つは途中で見つけたので買いました)
これで、進と妃愛蕾にバレることは無いのよ!
というわけで、
何気ない振りをして、進達の前を通りながら、その商品を見ると、それは青い髪飾りだった。
その髪飾りには、小さな水色と青色の中間ぐらいの花の装飾が付いていて……。
その時、私は進達の持っているものを見るのに集中していて、自分の足元が疎かになっていた。
その結果……、小さな段差に引っかかり
「きゃっ! 」
ストン!
と、前に転んでしまった。
そんな私に、
「だ、大丈夫ですか? 」
と、声をかけて、手を差し伸べてくれる人がいた。
「大丈夫です……。
ありがとうござ、いま……」
その手に捕まってから気づいた。
それは進だった。
なぜか、私を見て驚いてる。
どうして? 
私は、今変装をしているのにっ……て!?
私が転んだ時に取れてしまったのだろう。
床にはキャップと黒いサングラスが落ちていた。
つまり、今の私の顔を覆う物は何もないわけで……。
「亜梨須、こんな所で何してるんだ……? 」
進の戸惑った声が私に投げかけられた。
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