テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない
第27話 変わらない日常
亜梨須side
夏休みも終わり、今日からまた学校が始まる。
まだ夏の暑さが残る中、私は学校へと向かっていた。
いつもなら、進と一緒に来るのだけれど……、今は気まずかったので、先に行ってるからと進には扉越しに伝え、一人で向かっているという訳だ。
私の気分はあの日からずっと晴れていないのだが、少しは気持ちの整理が出来るようになったと自分では思っている。
たぶん、進と妃愛蕾に会ってもいつも通りに振る舞うことが出来ると思う。
·····たぶん。
***
学校に着くと、既に妃愛蕾が席に着いていた。
「あ! 亜梨須、おはよー」
「お、おはよう、妃愛蕾」 
少し、ぎこちなくなってしまった。
「海の時以来だねー。
お祭りの時は、亜梨須、途中で帰っちゃったから、会うことが出来なかったもんねー」
妃愛蕾は、私の精神にどうしてそんなに的確に攻撃してくるのよ!?
「え、えぇ、あの時はごめんなさい。
妃愛蕾」
「ううん、別に全然気にしてないよー」
微笑みながら妃愛蕾はそう言ってくれた。
どうやら、本当に気にしていないようだ。
「あ、進くん! おはよー」
その時、やっと進が到着したようだった。
妃愛蕾が私の後ろを見ながら、笑顔で声をかける。
「す、進、おはよう」
また、ぎこちなくなってしまった。
「あー、二人ともおはよ」
とても気だるけそうな進が私達にそう返すと、席に着いた。
その後もしばらく三人で他愛のない話を続けた。
***
放課後……。
今日一日、二人の様子を見ていて気づいたことがある。
あの二人、前と全然様子が変わらないんですけど。
付き合っているとは全く思えない。
さすがに、昼食ぐらいは二人で食べると思ったのだけれど、なぜか、私も二人の間に挟まれて一緒に食べることになった。
私一人だけとても気まずくて、何を話したのか全然覚えていない。
気がついたら、お昼休みは終わってた。
うーん……。
これはあの二人がおかしいのか、学校の中ではできるだけそういうことはしないようにしているのか。
前者は、なんとも言えない。
後者は、普通にありそう。
進はみんなの前で恋人っぽいことするのとかとか嫌いだろうし、妃愛蕾は別に平気そうだけど、進の意思を尊重しそう。
実は二人は付き合っていないのではないか?
と、そんな骨董無形で私を慰めるような考えも思い浮かんだのだけれど、だとしたら、私があのお祭りの日に聞いた物がなんだったのかとなる。
二人が付き合っている、この事実を私はまだ受け止めることが出来ていないらしい。
我ながら、諦めが悪いなと思う。
二人が付き合っていない、そんな私にとって夢みたいな事実に期待するより、これからどうするべきか考えた方がいいだろう。
今日は昼食を食べて午前中で終わりなので、もうやることはない。
明日、二人をまた観察して考えよう。
そんなことを思っていたらいつの間にか帰りのSHRは終わっていた。
「亜梨須ー」
「恵実花、どうしたの? 」
「どうしたの、じゃないよ。
今日、放課後に生徒会の仕事あるでしょ? 」
「あ……」
進と妃愛蕾のことですっかり忘れていたが、今日は生徒会の仕事が溜まっているからそれを消化しなければいけなかったのだった。
「ごめん、すっかり忘れてた。
それじゃ、生徒会室に行きましょ」
私は恵実花と生徒会室に向かった。
進side
「進くん」
「ん? 」
亜梨須が生徒会の仕事ということで俺は一人で帰ろうとしている時に、妃愛蕾さんから声をかけられた。
「この間、私が言ったことを覚えてる? 」
言ったこと……、言ったことって……、あれだよな? 
「うん、もちろん」
「あのね、進くん、今週の日曜日に…… 」
自分から二人っきりで出かけようと言うのは気まずいのか、妃愛蕾さんはそこで言い淀む。
まあ、こういうのは男の俺から言うべきだよな。
「うん、じゃあ、今週の日曜日、二人で行こう。
集合は……、柳沢駅前でいい? 」
こういうことをスラスラと俺が言えるようになるとはなあ……。
昔の俺が見たらお前みたいなのは俺じゃない!
とか、言いそうだなー。
「うん、それでいいよー。進くん。
楽しみにしてるからね」
「俺も楽しみにしてるよ、妃愛蕾さん」
こうして、進と妃愛蕾は亜梨須には秘密の約束を静かに交わしたのであった。
夏休みも終わり、今日からまた学校が始まる。
まだ夏の暑さが残る中、私は学校へと向かっていた。
いつもなら、進と一緒に来るのだけれど……、今は気まずかったので、先に行ってるからと進には扉越しに伝え、一人で向かっているという訳だ。
私の気分はあの日からずっと晴れていないのだが、少しは気持ちの整理が出来るようになったと自分では思っている。
たぶん、進と妃愛蕾に会ってもいつも通りに振る舞うことが出来ると思う。
·····たぶん。
***
学校に着くと、既に妃愛蕾が席に着いていた。
「あ! 亜梨須、おはよー」
「お、おはよう、妃愛蕾」 
少し、ぎこちなくなってしまった。
「海の時以来だねー。
お祭りの時は、亜梨須、途中で帰っちゃったから、会うことが出来なかったもんねー」
妃愛蕾は、私の精神にどうしてそんなに的確に攻撃してくるのよ!?
「え、えぇ、あの時はごめんなさい。
妃愛蕾」
「ううん、別に全然気にしてないよー」
微笑みながら妃愛蕾はそう言ってくれた。
どうやら、本当に気にしていないようだ。
「あ、進くん! おはよー」
その時、やっと進が到着したようだった。
妃愛蕾が私の後ろを見ながら、笑顔で声をかける。
「す、進、おはよう」
また、ぎこちなくなってしまった。
「あー、二人ともおはよ」
とても気だるけそうな進が私達にそう返すと、席に着いた。
その後もしばらく三人で他愛のない話を続けた。
***
放課後……。
今日一日、二人の様子を見ていて気づいたことがある。
あの二人、前と全然様子が変わらないんですけど。
付き合っているとは全く思えない。
さすがに、昼食ぐらいは二人で食べると思ったのだけれど、なぜか、私も二人の間に挟まれて一緒に食べることになった。
私一人だけとても気まずくて、何を話したのか全然覚えていない。
気がついたら、お昼休みは終わってた。
うーん……。
これはあの二人がおかしいのか、学校の中ではできるだけそういうことはしないようにしているのか。
前者は、なんとも言えない。
後者は、普通にありそう。
進はみんなの前で恋人っぽいことするのとかとか嫌いだろうし、妃愛蕾は別に平気そうだけど、進の意思を尊重しそう。
実は二人は付き合っていないのではないか?
と、そんな骨董無形で私を慰めるような考えも思い浮かんだのだけれど、だとしたら、私があのお祭りの日に聞いた物がなんだったのかとなる。
二人が付き合っている、この事実を私はまだ受け止めることが出来ていないらしい。
我ながら、諦めが悪いなと思う。
二人が付き合っていない、そんな私にとって夢みたいな事実に期待するより、これからどうするべきか考えた方がいいだろう。
今日は昼食を食べて午前中で終わりなので、もうやることはない。
明日、二人をまた観察して考えよう。
そんなことを思っていたらいつの間にか帰りのSHRは終わっていた。
「亜梨須ー」
「恵実花、どうしたの? 」
「どうしたの、じゃないよ。
今日、放課後に生徒会の仕事あるでしょ? 」
「あ……」
進と妃愛蕾のことですっかり忘れていたが、今日は生徒会の仕事が溜まっているからそれを消化しなければいけなかったのだった。
「ごめん、すっかり忘れてた。
それじゃ、生徒会室に行きましょ」
私は恵実花と生徒会室に向かった。
進side
「進くん」
「ん? 」
亜梨須が生徒会の仕事ということで俺は一人で帰ろうとしている時に、妃愛蕾さんから声をかけられた。
「この間、私が言ったことを覚えてる? 」
言ったこと……、言ったことって……、あれだよな? 
「うん、もちろん」
「あのね、進くん、今週の日曜日に…… 」
自分から二人っきりで出かけようと言うのは気まずいのか、妃愛蕾さんはそこで言い淀む。
まあ、こういうのは男の俺から言うべきだよな。
「うん、じゃあ、今週の日曜日、二人で行こう。
集合は……、柳沢駅前でいい? 」
こういうことをスラスラと俺が言えるようになるとはなあ……。
昔の俺が見たらお前みたいなのは俺じゃない!
とか、言いそうだなー。
「うん、それでいいよー。進くん。
楽しみにしてるからね」
「俺も楽しみにしてるよ、妃愛蕾さん」
こうして、進と妃愛蕾は亜梨須には秘密の約束を静かに交わしたのであった。
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