テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない
第15話 異臭の中で目覚める俺
進side
うぅ……。
頭が痛い……。
それに、体全体がだるい。
思い出した。
俺は風邪を引いていたんだ。
それで、妃愛蕾さんがお見舞いに来てくれて……、
でも、俺は泥棒だと勘違いしてしまって、
押し倒したんだ。
それで、その後、亜梨須が来て、俺が妃愛蕾さんを押し倒しているところを見られて……、
そこまで、思考が追いついたところで、
俺は目を開けた。
そして、目に刺さる外からの赤とオレンジが混ざったような光。
今は夕方か……、
俺は即座にそう判断した。
そして、そこで俺は気づいた。
部屋の中に漂う異臭に……。
「なんだ、これ……、目と鼻に染みる……」
どうやら、匂いはキッチンの方から来ているらしかった。
俺は重い体を起こし、キッチンへと向かった。
***
キッチンに着いた俺を待っていたのは、
鍋、そして、ピンク色の可愛いエプロンをつけた妃愛蕾さんであった。
妃愛蕾さんは、そこで俺に気づき、
「進くん? 起きたの? まだ寝てないとダメだよー?」
「あぁ、うん、そうなんだけどさ……。
えーと、妃愛蕾さんはなにをしていらっしゃるのかな?」
「もちろん、風邪を引いて、弱っている進くんのために、お粥をつくっているんだよ!」
とても、自信満々にそう言われた。
そして、この部屋中に充満している匂いは、絶対にお粥の匂いではない。
「進くん、もう少しだけ、待っててねー、
今できるから!」
やばい、あれ俺が食べるのか……。
断れないかな。
俺はこの間、妃愛蕾さんの手作りクッキーを食べた時のことを思い出していた。
今回はあれよりもやばい気がする……。
「き、妃愛蕾さん、俺あんまり、お腹空いてないから、別に大丈夫だよ?」
ここは、妃愛蕾さんには悪いけど、逃げさせてもらおう。
「進くん、しっかりと食べないとダメだよー?」
妃愛蕾さんが、頬を膨らませて、こっちの方を見てくる。
「あ、もしかして、前回のクッキーみたいになること心配してるの?」
その通りです。
でも、俺は妃愛蕾さんを傷つけたくないので、
「ち、違うよ。
別に心配してるわけじゃなくて、本当にお腹が空いていないだけなんだ」
「そうー?
でも、お粥だから、普通のものより食べやすいと思うんだー。
それに、今回は前回のクッキーのリベンジも兼ねてなんだよ!
前回は、栄養だけを考えて、食べれないものとか入れちゃったけど……、今回は絶対に食べれないものは入れないから大丈夫なはず!」
ええ、前回のあれって食べれないもの入ってたの……。
「うん、そろそろいいかなー。
よし、出来たよ。進くん!」
俺は妃愛蕾さんから、押し出されるようにして、キッチンを出て、
誘導されながら、リビングにある、テーブルの前に座った。
「じゃあ、召し上がれ!」
そう言って妃愛蕾さんがお鍋の蓋を取って、見せてくれたのは、小さいお鍋の中でグツグツと煮えたぎっている、濃い紫色の汁、そして、その中にお米らしきものも見える。
見た目は完全に魔女のスープと変わりない。
「進くん、冷めないうちに食べてね!」
うん、俺さらに具合悪くなりそうだわ。
亜梨須のこと気にかけている場合じゃなかった。
俺にさらなる、脅威が迫っている。
俺は、妃愛蕾さんが、テーブルの上に置いた、木のスプーンを受け取り、
小さい鍋の中に入れた。
ズプッ
音をたてて、スプーンが紫色の液体の中に沈む。
スプーンを引き上げると、
そこに乗っていたのは、紫色の液体とお米。
俺はこれを慎重に口の側までへと運ぶ。
匂いが強く伝わってくる。
今まで、体験したことの無い、
未知の匂いだ。
ええい!ままよ!
俺は口を開け、
スプーンの上に乗っていたものを、全て飲み込んだ!
「す、進くん、おいしい?」
妃愛蕾さんが、心配そうに聞いてくる。
俺は、この得体の知れない物体を咀嚼する。
もぐもぐもぐもぐ。
え、これって……、
「まじか……、普通においしいお粥の味がする……」
「ほんと!?よかった!」
こんな見た目と匂いなのに味は本当に普通においしいお粥だ。
逆に怖い。
あんなになんか、入れてたのに……、
それらの味が一切ない。
不思議だなあ……。
***
俺は鍋の中にあった、お粥を全て、食べ終え、
「進くん、少しは良くなった?」
「あぁ、いつの間にか、かなり良くなってる」
「そっか、よかったー!」
うん、本当に強がりとかじゃなく、体調めちゃくちゃいいんだが……、
もしかして、あのお粥のおかげか?
それにしても、そんな早く効くって……、
妃愛蕾さん、風邪に対する特効薬でも作ったのだろうか。
「・・・・・・進くん、亜梨須ちゃんね、さっき私たちのこと見て、勘違いしちゃったでしょ?」
「そうだな、勘違いしちゃったな……」
まあ、あれは勘違いしちまうだろうな……。
「その勘違いは早めに解いた方がいいと思うの。
勘違いってね、積み重なっていくものだから……」
妃愛蕾さんは、体験談であるかのような実感を帯びた声でそう言う。
「そっか……、なら、もう今日中に亜梨須にちゃんと説明しちまうか……」
「うん、そうしたほうがいいよ。
それじゃ、私はそろそろ帰るね。
進くんお大事にー」
「妃愛蕾さん、本当に今日はありがとうな!」
「それ、亜梨須ちゃんにも言うんだよ?」
そう最後に言い残し、妃愛蕾さんは、外へ出ていった。
そんじゃ、亜梨須の所へ行きますか……。
俺はもう軽くなった体を、起こして、隣にある亜梨須の部屋へと向かった。
うぅ……。
頭が痛い……。
それに、体全体がだるい。
思い出した。
俺は風邪を引いていたんだ。
それで、妃愛蕾さんがお見舞いに来てくれて……、
でも、俺は泥棒だと勘違いしてしまって、
押し倒したんだ。
それで、その後、亜梨須が来て、俺が妃愛蕾さんを押し倒しているところを見られて……、
そこまで、思考が追いついたところで、
俺は目を開けた。
そして、目に刺さる外からの赤とオレンジが混ざったような光。
今は夕方か……、
俺は即座にそう判断した。
そして、そこで俺は気づいた。
部屋の中に漂う異臭に……。
「なんだ、これ……、目と鼻に染みる……」
どうやら、匂いはキッチンの方から来ているらしかった。
俺は重い体を起こし、キッチンへと向かった。
***
キッチンに着いた俺を待っていたのは、
鍋、そして、ピンク色の可愛いエプロンをつけた妃愛蕾さんであった。
妃愛蕾さんは、そこで俺に気づき、
「進くん? 起きたの? まだ寝てないとダメだよー?」
「あぁ、うん、そうなんだけどさ……。
えーと、妃愛蕾さんはなにをしていらっしゃるのかな?」
「もちろん、風邪を引いて、弱っている進くんのために、お粥をつくっているんだよ!」
とても、自信満々にそう言われた。
そして、この部屋中に充満している匂いは、絶対にお粥の匂いではない。
「進くん、もう少しだけ、待っててねー、
今できるから!」
やばい、あれ俺が食べるのか……。
断れないかな。
俺はこの間、妃愛蕾さんの手作りクッキーを食べた時のことを思い出していた。
今回はあれよりもやばい気がする……。
「き、妃愛蕾さん、俺あんまり、お腹空いてないから、別に大丈夫だよ?」
ここは、妃愛蕾さんには悪いけど、逃げさせてもらおう。
「進くん、しっかりと食べないとダメだよー?」
妃愛蕾さんが、頬を膨らませて、こっちの方を見てくる。
「あ、もしかして、前回のクッキーみたいになること心配してるの?」
その通りです。
でも、俺は妃愛蕾さんを傷つけたくないので、
「ち、違うよ。
別に心配してるわけじゃなくて、本当にお腹が空いていないだけなんだ」
「そうー?
でも、お粥だから、普通のものより食べやすいと思うんだー。
それに、今回は前回のクッキーのリベンジも兼ねてなんだよ!
前回は、栄養だけを考えて、食べれないものとか入れちゃったけど……、今回は絶対に食べれないものは入れないから大丈夫なはず!」
ええ、前回のあれって食べれないもの入ってたの……。
「うん、そろそろいいかなー。
よし、出来たよ。進くん!」
俺は妃愛蕾さんから、押し出されるようにして、キッチンを出て、
誘導されながら、リビングにある、テーブルの前に座った。
「じゃあ、召し上がれ!」
そう言って妃愛蕾さんがお鍋の蓋を取って、見せてくれたのは、小さいお鍋の中でグツグツと煮えたぎっている、濃い紫色の汁、そして、その中にお米らしきものも見える。
見た目は完全に魔女のスープと変わりない。
「進くん、冷めないうちに食べてね!」
うん、俺さらに具合悪くなりそうだわ。
亜梨須のこと気にかけている場合じゃなかった。
俺にさらなる、脅威が迫っている。
俺は、妃愛蕾さんが、テーブルの上に置いた、木のスプーンを受け取り、
小さい鍋の中に入れた。
ズプッ
音をたてて、スプーンが紫色の液体の中に沈む。
スプーンを引き上げると、
そこに乗っていたのは、紫色の液体とお米。
俺はこれを慎重に口の側までへと運ぶ。
匂いが強く伝わってくる。
今まで、体験したことの無い、
未知の匂いだ。
ええい!ままよ!
俺は口を開け、
スプーンの上に乗っていたものを、全て飲み込んだ!
「す、進くん、おいしい?」
妃愛蕾さんが、心配そうに聞いてくる。
俺は、この得体の知れない物体を咀嚼する。
もぐもぐもぐもぐ。
え、これって……、
「まじか……、普通においしいお粥の味がする……」
「ほんと!?よかった!」
こんな見た目と匂いなのに味は本当に普通においしいお粥だ。
逆に怖い。
あんなになんか、入れてたのに……、
それらの味が一切ない。
不思議だなあ……。
***
俺は鍋の中にあった、お粥を全て、食べ終え、
「進くん、少しは良くなった?」
「あぁ、いつの間にか、かなり良くなってる」
「そっか、よかったー!」
うん、本当に強がりとかじゃなく、体調めちゃくちゃいいんだが……、
もしかして、あのお粥のおかげか?
それにしても、そんな早く効くって……、
妃愛蕾さん、風邪に対する特効薬でも作ったのだろうか。
「・・・・・・進くん、亜梨須ちゃんね、さっき私たちのこと見て、勘違いしちゃったでしょ?」
「そうだな、勘違いしちゃったな……」
まあ、あれは勘違いしちまうだろうな……。
「その勘違いは早めに解いた方がいいと思うの。
勘違いってね、積み重なっていくものだから……」
妃愛蕾さんは、体験談であるかのような実感を帯びた声でそう言う。
「そっか……、なら、もう今日中に亜梨須にちゃんと説明しちまうか……」
「うん、そうしたほうがいいよ。
それじゃ、私はそろそろ帰るね。
進くんお大事にー」
「妃愛蕾さん、本当に今日はありがとうな!」
「それ、亜梨須ちゃんにも言うんだよ?」
そう最後に言い残し、妃愛蕾さんは、外へ出ていった。
そんじゃ、亜梨須の所へ行きますか……。
俺はもう軽くなった体を、起こして、隣にある亜梨須の部屋へと向かった。
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