テンプレ幼なじみに俺は憧れを抱かない
第5話 俺にあってはならない放課後
さて、授業も終わったし、もう帰るか……。
放課後になると、みんな先程までの授業を受けるという、統一された行動が嘘のようにバラバラに動き始める。
例えば、友達と帰り道カラオケやゲーセンに寄ったり、まだ学校に残って勉強したり、
部活動に勤しみ、汗を流したりしている。
そして、俺は……、
そう、もちろん1人ですぐ寮に帰って寝る。
はずだった……。
今俺は、まだ学校にいる。
普段ならもう家に帰り、ごろごろしている、この時間にだ。
意味もなく、こんなことをしている訳では無い。
どうして、俺がこんなことをしているかと言うと、
「進くーーん!」
来ましたよ。
はい、俺が遅くなった原因です。
―――いや、原因と言うのは些か言いすぎたかもしれない。
ただ、普段ならもうこの時間には学校にいないはずなのに、いるというイレギュラーな事態が変な気分にさせるのだ。
「ごめんねー、待った?」
「いや、全然だよ。それじゃ、行こっか」
「そっか。じゃあ、よろしくお願いします!」
「うん、じゃあ、まずは売店からかな……」
俺は今何をしているのだろう……。
あぁ、そうだ、あれは帰りのSHRでの事……
***
「あ、そうだ。1つ言い忘れてました〜。
放課後、鈴村さんに誰か校舎内を案内してくれませんか?」
確かに、校舎内のことを知らないと何かと不便だよなあ……。
と他人事のように、俺が考えていると、
「あの、長浜先生、それだったら私から希望したい人がいるんですが……」
へえ、もう鈴村さん仲のいい友達できたんだなあ……。
すごいな、俺なんか高校に来て1年と1ヶ月近くたっているのに、友達はいないからね……。まあ、俺にはいなくてもいいか。
そんなどうでも、いいことを考えていると、
なぜか、クラスのみんなの視線が俺に向いている。
え?なぜ?
しかも、あまり友好的とはいえないような……。
まるで、珍獣でも観るかのような目だ。
「じゃあ天羽くん、放課後、案内任せましたよ〜」
ん?
どういうこと?
 
アンナイマカセマシタヨ?
あ、分かった。
案内任せましたよ、か。
うんうん、案内ね。
なんの案内だろ。
面倒臭いので早く帰りたいんだが、先生から言われたら断れない。
まあ、いいか。
「天羽くん、急にごめんね?
でも、私まだほかの人のことよく知らなくて……、
やっぱり迷惑だったかな?」
「んー、いや?全然迷惑じゃないよ。
大丈夫、大丈夫」
俺はなんの案内なのか、気になって、鈴村さんの言葉を聞いている余裕はなかった。
「本当?よかった!
じゃあ、今日の放課後正面玄関のところで待ち合わせね!本当にありがとう!」
鈴村さんがそう言ってくれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
え、もしかして、案内って……。
鈴村さんに、学校の中を案内しろってこと?
いや、それだとおかしいだろ。
鈴村さん、友達を案内人に選んだんだろ?
え、なら、なぜ、俺?
あ、ちょっと待って、たしかさっき、他の人のことよく知らないだとかなんとか……。
あ、これ完全に俺放課後案内しないとダメだわ。
あー、だからさっきクラスのみんなの視線がこっちに向いてたのね……。
納得、納得。
うん、やはり面倒だなあ……。
今からでも断れねえかな……。
無理だよなあ。
まあ、可愛い女の子である、鈴村さんに、校舎を案内するのは別に構わないのだ。
それどころか、少し楽しみでもある。
だが、ほかの人からの視線が辛い。
はあ……。
別に鈴村さんは悪くないんだけどなあ。
もう、諦めるか……。
そうして、俺は心の中での抵抗をやめた。
***
まあ、そんなことがあって今、
俺は鈴村さんに校舎内を案内している。
「鈴村さん、着いたよ。
ここが売店ね」
「へえ、結構色々売ってるんだねえ」
「そうだね」
うん、どうしても周りの生徒達の視線が気になり、素っ気なくなってしまう。
仕方が無いじゃん……。
これは校舎を、案内しているだけなんですよ……。
鈴村さんの方を見たあと、俺の方を見て、あの落胆したような表情は……、
さすがに俺だって辛い。
どうせ、俺は冴えないですよ!
「じゃあ、鈴村さん、次は図書館ね」
「あの、進くん」
「ん?どうしたの?鈴村さん」
「私あまり、クラスメートに苗字で呼ばれないの……。
だから、あまり、鈴村さんって、呼ばれるのって慣れていないから。
できれば、名前で呼んで欲しいの」
な、名前呼びだと……?
ハードル高過ぎないだろうか……。
しかし、ここであえて苗字で呼ぶのわなあ。
はあ、仕方がない。
「じゃ、じゃあ、紀愛蕾さん」
「うん、それで、お願い!」
笑顔でそう言った。
***
その後も、校内を案内し続けて、
あらかた、まわり終え、
「今日はありがと!進くん!」
「どういたしまして」
まあ、俺がしたことと言えば、校内の場所教えただけですけどね……。
「―――あのさ、また、何かあったら進くんのこと頼ってもいい?」
「うん、もちろん、いいよ」
断れるわけがない。
「ありがとう、進くんって優しいんだね」
妃愛蕾さんは今日1番、優しい笑顔で俺にそう言ってくれた。
「また明日ね、進くん」
「あぁ、また明日……」
***
今日は疲れたな……。
また、明日も同じことがあったら身が持たない……。 
寮へと帰った俺は夕食を食べ、風呂に入り、もう何もする体力もなく、そのままベッドの中に入り、夢すら見ないであろう深い眠りへとつくのであった。
放課後になると、みんな先程までの授業を受けるという、統一された行動が嘘のようにバラバラに動き始める。
例えば、友達と帰り道カラオケやゲーセンに寄ったり、まだ学校に残って勉強したり、
部活動に勤しみ、汗を流したりしている。
そして、俺は……、
そう、もちろん1人ですぐ寮に帰って寝る。
はずだった……。
今俺は、まだ学校にいる。
普段ならもう家に帰り、ごろごろしている、この時間にだ。
意味もなく、こんなことをしている訳では無い。
どうして、俺がこんなことをしているかと言うと、
「進くーーん!」
来ましたよ。
はい、俺が遅くなった原因です。
―――いや、原因と言うのは些か言いすぎたかもしれない。
ただ、普段ならもうこの時間には学校にいないはずなのに、いるというイレギュラーな事態が変な気分にさせるのだ。
「ごめんねー、待った?」
「いや、全然だよ。それじゃ、行こっか」
「そっか。じゃあ、よろしくお願いします!」
「うん、じゃあ、まずは売店からかな……」
俺は今何をしているのだろう……。
あぁ、そうだ、あれは帰りのSHRでの事……
***
「あ、そうだ。1つ言い忘れてました〜。
放課後、鈴村さんに誰か校舎内を案内してくれませんか?」
確かに、校舎内のことを知らないと何かと不便だよなあ……。
と他人事のように、俺が考えていると、
「あの、長浜先生、それだったら私から希望したい人がいるんですが……」
へえ、もう鈴村さん仲のいい友達できたんだなあ……。
すごいな、俺なんか高校に来て1年と1ヶ月近くたっているのに、友達はいないからね……。まあ、俺にはいなくてもいいか。
そんなどうでも、いいことを考えていると、
なぜか、クラスのみんなの視線が俺に向いている。
え?なぜ?
しかも、あまり友好的とはいえないような……。
まるで、珍獣でも観るかのような目だ。
「じゃあ天羽くん、放課後、案内任せましたよ〜」
ん?
どういうこと?
 
アンナイマカセマシタヨ?
あ、分かった。
案内任せましたよ、か。
うんうん、案内ね。
なんの案内だろ。
面倒臭いので早く帰りたいんだが、先生から言われたら断れない。
まあ、いいか。
「天羽くん、急にごめんね?
でも、私まだほかの人のことよく知らなくて……、
やっぱり迷惑だったかな?」
「んー、いや?全然迷惑じゃないよ。
大丈夫、大丈夫」
俺はなんの案内なのか、気になって、鈴村さんの言葉を聞いている余裕はなかった。
「本当?よかった!
じゃあ、今日の放課後正面玄関のところで待ち合わせね!本当にありがとう!」
鈴村さんがそう言ってくれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
え、もしかして、案内って……。
鈴村さんに、学校の中を案内しろってこと?
いや、それだとおかしいだろ。
鈴村さん、友達を案内人に選んだんだろ?
え、なら、なぜ、俺?
あ、ちょっと待って、たしかさっき、他の人のことよく知らないだとかなんとか……。
あ、これ完全に俺放課後案内しないとダメだわ。
あー、だからさっきクラスのみんなの視線がこっちに向いてたのね……。
納得、納得。
うん、やはり面倒だなあ……。
今からでも断れねえかな……。
無理だよなあ。
まあ、可愛い女の子である、鈴村さんに、校舎を案内するのは別に構わないのだ。
それどころか、少し楽しみでもある。
だが、ほかの人からの視線が辛い。
はあ……。
別に鈴村さんは悪くないんだけどなあ。
もう、諦めるか……。
そうして、俺は心の中での抵抗をやめた。
***
まあ、そんなことがあって今、
俺は鈴村さんに校舎内を案内している。
「鈴村さん、着いたよ。
ここが売店ね」
「へえ、結構色々売ってるんだねえ」
「そうだね」
うん、どうしても周りの生徒達の視線が気になり、素っ気なくなってしまう。
仕方が無いじゃん……。
これは校舎を、案内しているだけなんですよ……。
鈴村さんの方を見たあと、俺の方を見て、あの落胆したような表情は……、
さすがに俺だって辛い。
どうせ、俺は冴えないですよ!
「じゃあ、鈴村さん、次は図書館ね」
「あの、進くん」
「ん?どうしたの?鈴村さん」
「私あまり、クラスメートに苗字で呼ばれないの……。
だから、あまり、鈴村さんって、呼ばれるのって慣れていないから。
できれば、名前で呼んで欲しいの」
な、名前呼びだと……?
ハードル高過ぎないだろうか……。
しかし、ここであえて苗字で呼ぶのわなあ。
はあ、仕方がない。
「じゃ、じゃあ、紀愛蕾さん」
「うん、それで、お願い!」
笑顔でそう言った。
***
その後も、校内を案内し続けて、
あらかた、まわり終え、
「今日はありがと!進くん!」
「どういたしまして」
まあ、俺がしたことと言えば、校内の場所教えただけですけどね……。
「―――あのさ、また、何かあったら進くんのこと頼ってもいい?」
「うん、もちろん、いいよ」
断れるわけがない。
「ありがとう、進くんって優しいんだね」
妃愛蕾さんは今日1番、優しい笑顔で俺にそう言ってくれた。
「また明日ね、進くん」
「あぁ、また明日……」
***
今日は疲れたな……。
また、明日も同じことがあったら身が持たない……。 
寮へと帰った俺は夕食を食べ、風呂に入り、もう何もする体力もなく、そのままベッドの中に入り、夢すら見ないであろう深い眠りへとつくのであった。
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