Truth Of Mind

リンシア

出逢い

前回のあらすじ
ようやくトレーナーとして旅たつことになった冴夢。
しかしブイズ以外使いたくないという絶望的な心持ち。
そんな中、博士からひとつのボールが手渡される。
そのボールの中身とは…?


宙に放られたボールが開く。
中から青い一筋の光が地面へ放たれ、ポケモンが現れる。
その中身は…

「呼んだー?」

なんと当初の期待、予想通りの…

「イー…ブイ…?!」

冴夢が最も欲していた、イーブイだった。
黄土色と白色の艶のいい毛。黒く澄んだ目。
これは間違いない。メタモンなどではない。正真正銘、生粋のイーブイだ。

「おぉ、君のお母さんはイーブイを託していたのか!
進化先も多いし、いいポケモンを貰ったね」
「いーなー最初からイーブイなんて!」
「俺も親にポケモン頼めばよかった…」

博士や仲間から色々な声が飛び交う。そんな声を聞いてか、目の前のイーブイが反応する。

「この人、私のトレーナー?ふーん…結構やり手ね?」

特に驚いた感じでもなく、ただただ事実確認という口調で話す。それより周りの人達が驚いていた。
というのも…

「こいつ…メスなのか…!?」
「え、そうだけど何か問題でも?」

この世界ではトレーナーのポケモン、つまりモンスターボールに入っているポケモンの言葉は誰もが聞き取ることが出来る。よってこの〔私〕という言葉も当然聞き取れていた。

ポケモンをやっている人なら知っている人も多いと思うが、イーブイとその進化系、俗に言うブイズのオスとメスの比率は7:1、つまり8体イーブイがいてやっとメスが1体いるかどうかという世界だ。
なのでメスのイーブイはこれ以上ないくらい貴重だと言える。そんなイーブイを旅の最初から使えるもんだから、周りから見たら凄いことなのだ。
冴夢にとって、これ以上に嬉しいことは無い。

「さて…名前、付けてあげたらどう?その反応見るに、ブイズ好きなんでしょ?」

えっ、と驚愕する周りに当然でしょ、と言わんばかりの表情で怜那は堂々としていた。

それもそのはず、怜那の父はカロスでは有名な精神科の先生なのだ。
その為周りの状態をよく気にし、よく怜那も心理状態を当てられていた。故に、怜那にもその癖が無意識についてしまい、10代という若いうちからこんないるかいらないかもわからない能力のようなものが着いてしまったのだ。
しかもこの時の冴夢からは幸せオーラが丸見えで、反応も今までとは違うものだった。
故に直ぐにこの結論に達せたのだ。

「…わかった、そうさせてもらうよ」

控えめにそう言って少し考える。その目は真剣そのものだった。
恐らくこれからブイズをまた手に入れるのだから、いい名前にして個性を出してあげたいと考えたのだろう。
周りが話す中1人で考え抜き、1分後くらいであろうか。
決めた、と丁寧に口を開いた。

「この子は今日から夢穂みずほだ、よろしくな」
「おーいい名前じゃん!なんでなんで?」

紗羅がここぞと言わんばかりに食いつく。しかしその答えは…

「…わからない、何となく、この子は夢穂だって浮かんだ」

という、直感に委ねたと言わんばかりの回答だった。
冴夢は周りのことには敏感だ。育った環境が環境だった影響か、直感というものをすごく大事にしている。
そのため不思議とこの言葉にも初対面にもかかわらず、愚痴ることなく皆納得していた。

「夢穂、ね…気に入ったわ!よろしくね!…ええっと…」

気に入った反応を見せる中戸惑い出す夢穂。無理もない、ここまでこれからトレーナーになる人の名前すら聞いていないのだ。
話の中で名前が飛び交っていても誰が誰などわかるはずもなかった。

「そういえば、自己紹介まだだったな。俺は冴夢だ。これからよろしくな」
「…えぇ、改めてよろしくね冴夢!」

それを傍から見ていた一行だったが、2人ほど驚いた表情をしている人物がアイコンタクトで会話を取っていた。

(透くん…見えたかい?)
(はい、博士…弱くてあとの3人には見えていないようですが…)
このとき2人が見たのは、オーラのようなものだ。
それも冴夢のみ、夢穂のみではなく、2人が合わさったオーラ。
それはピンクと青のコントラストからなる風のような…2人の周りを2色の風が竜巻のように包み込む、そんなオーラだ。
この瞬間、2人は直感した。この2人は、今まででは考えられないような領域に進んでいくと。





「さてそれじゃあ気を取り直して、君たちにもポケモンをあげよう」

そう言って1つの箱を4人の目の前に差し出す博士。
開くと3つのボールがそこにはあった。

「と言っても3つしかないんだ…どうするかは君たちにおまかせするよ」

そういって博士が3つのボールを宙に放る。そこからまたさっきのように青い光が放たれ、新たなパートナーが目の前に姿を現す。

「紹介するよ、君たちのパートナー候補、左からフォッコ、ハリマロン、ケロマツだ」

狐から炎が出ているような赤が目立つフォッコ。
昔の航空隊の革帽子のような形の黄緑色、そこからアホ毛のように跳ねる3本の針のハリマロン。
まんま水色の蛙、という見た目に首元にこれはマフラーか何かか?と言わんばかりのモコモコを付けたケロマツ。
どの子も個性的で面白い戦いができそうな三体だ。

「わーかわいい!どの子にしよう…」
「じゃあ私フォッコ貰うわ」
「えっずるい!じゃあ私ケロマツにする!」

と女子二人がでしゃばって勝手に決めてしまった。

「なぁ夢穂…」
「…えぇ、大丈夫かしらねこれ」

もう冴夢の性格を察したのか…どうかは知らないが、この一言で何かを察してしまった夢穂。
もう2人はすっかりパートナーとしてお互いを受け入れている。
と言うより最初から一緒にいたような、そんな雰囲気があった。
面白いことになりそうだ、と博士はボソッと呟きながら、4人のポケモン選びを見つめ直す。

「あ勝手にとるなよ!…透どうする?」
「僕はまだ使いこなす自信ないので、拓郎くんどうぞ貰っちゃってください」
「そうか、なら遠慮なく。ハクタイの森俺についてこいよ、危ないし」
「はい、ありがとうございます!」

と、こんな感じでそれぞれ手持ちを決めた3人。
透は後日何らかの形でポケモンを博士から貰えることになった。
すごく遠慮していた透だったが、「これが博士の務め」という言葉を聞いて断るに断れなくなったようだ。

「よし、それじゃあ皆、最後にこれを渡しておこう」

そういって5人の元に渡されたのは、赤い謎の物体…いや、

「これは…ポケモン図鑑ですね!ありがとうございます、博士!」

透が言ったことでようやく5人にも意図が伝わったようだ。
各々図鑑への意欲はまちまちだが、それでも5人それぞれが自分の考えを持っている、そんな目をしていた。

「それじゃあ皆とはここでお別れだ。あ、最後に一つ、君たちの連絡先を教えて欲しいのだが…」

傍から見たらこんなの女子にはセクハラ紛いの行為ともとれる。が、この世界にはそんな概念はないので、突っ込まずに続ける。

「分かりました、どうせならみんなで交換しましょ?」
「そうだな…んじゃみんな、スマホ振るか」

この世界のスマホは某L〇NEのようなアプリがあるので、このような複数での交換なら振る方が圧倒的に楽なのはみなさんもご存知だろう。

「おっけー、登録完了!」
「みんなありがとう、それじゃ次はミアレシティで会おう」

そういって博士は立ち去って行った。
とりあえず各々行動しようということになり、一行はミアレシティに向かうことになった。





〜ハクダンの森入口にて〜
「よしやっとここまで来たな」
「そうだねー今のところトレーナーとは会ってないけど…」

あの後透がハクダンの森に先に行ってます!
と言いそれについていく形で拓郎とも別れた。現状ここにいるのは、冴夢、紗羅、怜那と夢穂のみだ。
夢穂は某サ〇シのピカチ〇ウのように冴夢の左肩に乗っている。ボールに入るのを躊躇い、というか冴夢の愛故か一緒にいて欲しいらしく、ボールの中よりはマシだろうということで夢穂も快く承諾して、この状況になっているのだ。

「なぁなぁそこの君!」

後ろから不意に声をかけられた。少なくとも男の声なのであの二人のどちらか…にしては何かおかしいと思いつつも振り返る3人。
そこには全く面識のない少し年下くらいの男の子がいた。

「…俺か?」
「そう君!良かったらバトルしない?」

いきなりのバトルの申し込みだった。この世界ではこんなことは日常茶飯事である。まぁ目が合ったらバトルレベルでは流石にないが…

「…いいぜ、でもその前に…」

また乗り気じゃないのかと思いきや、普通に話に乗っかる冴夢。その事に女子二人は少し驚いた表情をしていた。

「…前に、なんだよ?」
「技の確認だけさせてくれ…さっき貰ったばかりだからさ」
「おう、いいぜ!」

そう、実は夢穂の技の確認をすっかり忘れていたのだ。
そしてこの確認で冴夢は衝撃の事実を目の当たりにする。

「…なんだこれ…!?」
「何?何かあったの?」
「…これは…!」

夢穂の登録情報から技一覧に飛び、早速技を確認するとそこには…

「ハイパー…ボイス…!?」

そう、本来イーブイは教え技でしか入手出来ないハイパーボイスを夢穂は持っていたのだ。
あとの技は体当たり、つぶらな瞳、砂かけと至って普通の技構成だったのだが、その中にハイパーボイスなんてニンフィアのメイン火力技が備わっているもんだから、そっちに目がいくのも無理はない。
さらに特性の欄に目を向けるとこれまた驚きの特性だった。

「特性危険予知!?夢特性じゃねぇか!」
「その夢特性って?」

驚きを隠せない冴夢に対し、ポケモンの知識が乏しい紗羅には用語がわからず、すかさず質問する。
それに対しすかさず

「夢特性って言うのは隠れ特性と同じ意味だわ。つまり通常持っていない…ほとんどないとまでは言わないけど、かなりレアなポケモンてわけ。しかもイーブイのメスで、よ」

と、まるで解説動画でも見ているような連携の解説を入れる怜那。
当のハイパーボイスを持っている夢穂は今更気づいた?という感じの目で3人を見ている。
 
「なんでこんなこと隠してたんだよ…」
「だって別に聞かれなかったし?」
「それでいいのかよ…まぁともかく…」

と、これ以上待たせても時間がもったいないことに気づき、改めて少年の方を見る冴夢。
これがトレーナーとして、そして夢穂と組んでの初バトルだ。青いはずの冴夢の目に、赤い光が灯ったように見えた。

「待たせたな、やろうか!」
「あぁ、望むところだ!」

ここに、冴夢さえみずコンビの唯一無二の伝説への第1歩の戦いの火蓋が切って落とされる!

「行け、ジグザグマ!」
「さぁ、頼むぜ、夢穂!」


〜To be continued〜

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