一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
73 小さく大きな物語33
受付に達成した依頼書を渡し、これで終わりだと思ったのだが、もう一度依頼を受けないかと言われてしまう。俺はもう関わり合いになりたくないと、それを断るのだが、今度は報酬の受け渡しだとワルザーという領主に会えという。当然それも断るのだが、酒を飲んでる冒険者の皆さんが俺達の逃げ場を塞いでしまう。もう腕ずくだと入り口を塞いだ職員を投げ飛ばし、俺達はその扉から脱出する。大勢の奴等に追いかけられた。迷わないようにとストリアと手をつなぐ事になり、そしてストリアが暴走を始めた。愛の力だと冒険者を蹴り倒し、最後は全員を叩き伏せた…………
レティシャス(シャインの息子)ストリア (村娘)
リッド (村人) リーゼ (リッドの母ちゃん)
サンタクロス(セバスチャン) トナカイマスク(プロレスの人)
ストリアが男共を蹴り倒し、宿で二人に合流した俺達だが急いでこの町を出る準備をしていた。
「レティ、この宿に色々な奴が集まりつつある、脱出するなら急がないとだぞ」
「おい急げ皆、また変な奴等が来る前に、こんな変な町から脱出するぞ! この町マジでヤバイから、早く急いで!」
「えっ、何? 何かあったの? もうちょっとで夜になっちゃうけど、本当に行くの?」
「魔物より面倒なんだよ、いいから行くぞ! リーゼさんも急いで!」
「はいはい、もう用いしてあるから、何時でも出れるわよ。その代わり、魔物が出たとか後で文句いわないでよね」
「言わないから、早く早く早く!」
そして俺達は馬車で強行突破し、この町を脱出したのだった。
町の門を突破し、逃げたのは良いが、外はもう真っ暗である。
夜に活動するのは凶暴な魔物が多いが、今はそんな事を言ってる場合じゃない。
後ろからは、裸マッチョ軍団が、俺達を追跡して町の外まで探している。
まあ遠くまでは追っては来ないと思う。
馬車を飛ばした俺達は、次の町へ向かって行く。
町の外は暗いが、星と月の明りが恐ろしく光っていて、微妙に物の影を浮かばせている。
虫の音や、鳥の声が聞こえるが、魔物の気配は感じられない。
だが俺達には感じられないだけで、きっと何処か潜んでいるはずだ。
もう誰も追って来ない距離にまで離れると、何時も通りに慎重に進みだす。
そして、そろそろ野営の準備でもしようかと思った頃、激しい地鳴りが鳴り響く。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
同じ間隔で、何度も激しく地面が震動し、ドンドン強く激しくなっている気がする。
その振動に、馬が怯えるのを俺が何とか抑えている。
「な、なんだ、地震か?!」
「な、これは大きいよ!」
「れ、レティ、私は怖いぞ!」
「いや、周りには倒れる物もないから大丈夫だ。だから手を離してくれ! 痛いから!」
「待ちなさい、どうもこれ地震じゃないわ! あれを見なさい、特大サイズの魔物が近くに居るのよ!」
「ええッ?! で、でけぇ!」
俺は星空を見上げると、その光の半数が闇の色に飲み込まれていた。
圧倒的な体躯は黒く、俺達なんて蟻にしか見えないんじゃないかと思うほどデカイ。
星の光さえ消してしまうから、その全貌は見えないが、その体躯に見合う以上に巨大な、巨大すぎる翼を広げ、さらに暗闇が深くなっている。
目立つ焚き火をつける前で良かった、変に目立って踏み潰されたら大変だ。
そんな危険な状態に、リーゼさんが指示を出す。
「あいつ、私達に気付いていないわ。いえ、もしかしたら人間なんて目にも入ってないのかもしれないけど。兎に角急いで逃げるわよ、こんな場所に居たら踏み潰されるかもしれないわ!」
「おう、こんなの人間が相手に出来るレベルじゃない! 逃げるが吉だな!」
「わわわわ、分かったけど、どっちに行くの?! あんなのの進む方向なんて分からないんだけど!」
「だが此処に居ても危険は変わらない、進めそうな道を進むしかないぞ! レティ、馬車に乗るぞ手を!」
「おう!」
巨大な魔物から逃げ出した俺達は、道を外れて道なき道を進み始めた。
馬車は今までよりも激しく揺れ、その振動は頭痛を招く。
吐き気や目眩もきついが、生き残りたいなら行動しなければならない。
眠気さえも忘れて、何処をどう走ったのかも分からず、地響きが聞こえなくなるまで夜の時間を走り続けた。
「なんとか逃げ切れたみたいね、皆生きてるわよね?」
「僕は平気だけど、レティが不味いみたい」
「う、乗り物酔いしたみたいだけど大丈夫だ、ちょっと吐きそうなだけ…………」
「大丈夫かレティ、私が看病してやるぞ! さあ背中を向けろ、私がさすってやるぞ!」
「いや、やめてくれ、今揺すられたら絶対吐く、ちょっと休憩してれば大丈夫だから」
かなりの距離を走り続けたが、あんなものが居たからか、他の魔物は現れず、時間はもう太陽が昇り始めた頃になっていた。
糸の細さの道を通った気分だが、その糸が切れなくて良かったと安堵する俺の目の前には、新たな町の影が見え始めている。
「あ、町が見えて来たけど、なんか、廃墟みたいだよ」
「まあ丁度良いわね、あそこで一度休むとしましょう。あんまり無理しても体に毒だからね」
「あ、ありがたい、馬車からおりればちょっとはマシになるかも…………」
「地図によると、かなり南に下ったらしいぞ。目的だった町とは違うな」
ストリアは地図と方位を確認し、それが目的の町とは違うと知ったらしい。
目指したのは鉄銀の町と呼ばれる町だったが、そこから少し南にあったこの町は、もう名前すらも忘れられ、滅び去ってしまった町。
その町は、町だったものは、ここ最近滅びたのではなく、魔物が出る以前に滅びたのだと思う。
殆どの建物が崩れ去り、魔物に襲われたというよりも、老朽化して崩れたと言う方が納得がいく壊れ方だ。
「見た所何か変なものも居なさそうだし、とりあえずこの場所で休んで行きましょう。流石に私も疲れたからね」
「わかったよ母さん、じゃあ泊まれそうな場所を探してくるよ。じゃあ二人共、倒れてないで手伝ってね!」
「仕方ない、安全に休むためだもんな。じゃあ俺とガルスは、まだ崩れてない建物を探してくるから、ストリアはリーゼさんと一緒に飯の用意でもしててくれ。眠いけど腹も減ってるんだ。これじゃあ眠りたくても眠れない」
「わかった、私の愛がこもった、とびっきりの料理を作っといてやるから、待っていてくれ」
「おう、任せた!」
「じゃあ行って来るね」
「「 行ってらっしゃ~い 」」
ガルスを連れて、この廃墟の町を見回るが、泊れるような家屋は…………
「あ、あれを見てよレティ、あそこの家なら安全に泊れるんじゃない?」
「お? どれ…………」
結構遠くに、まだ崩れていない建物が見える。
奇跡的にと言って良いほどに、その一つだけが残っており、雨風もしのげそうだった。
「良く見つけたな、言ってみようぜリッド!」
「うん!」
その建物の状態を見る為、俺達はその建物へと向かった。
見ると、かなりしっかりした建物で、比較的新しい建物だ。
壁も崩れもないし、俺は入り口の扉を開いたのだが、その建物の中に、黒髪の真っ裸の女が立って居た。
いやスリッパだけは履いてるけど、あんまり意味がないと思う。
二十ぐらいだと思うが、こんな廃墟で何をしてるんだろうか?
一体ナニをしてたんだろうか?
そんな彼女が、真っ赤になってしゃがみ込んだ。
「だ、誰だ、まさかこんな所に泥棒が?! いや、まさか私の体を狙って?! だ、誰かああああ、って誰も居ないんだ! いやああああああああああ襲わないでえええええええええ!」
「いや、俺達は泥棒でも強盗でもなくて、とりあえず服を着てくれると嬉しいんだけど、そのままでも俺は別に構わないぞ」
「だったら出て行きなさい! 出て行けええええええええ!」
「は、はい、直ぐに、行くよレティ!」
「そうだな、でも先に謝らないと不味いだろ。ごめんなさい、俺達別にワザとやったわけじゃなかったんだ、旅をしてて泊れる建物を探して、此処がちょうどいいいと思って入ってみたんだけど、まさか裸の女が居るとは思わなくて、本当にごめんなさい。出来れば許してくれると嬉しいけど」
「謝る前に出て行きなさい!」
「あ、はい、ごめんなさい」
「お、お邪魔しましたああああああ!」
俺はバタンと扉を閉めると、ちょっとだけ脳裏に焼き付けて、彼女が出て来るのを待つのだった。
レティシャス(シャインの息子)ストリア (村娘)
リッド (村人) リーゼ (リッドの母ちゃん)
サンタクロス(セバスチャン) トナカイマスク(プロレスの人)
ストリアが男共を蹴り倒し、宿で二人に合流した俺達だが急いでこの町を出る準備をしていた。
「レティ、この宿に色々な奴が集まりつつある、脱出するなら急がないとだぞ」
「おい急げ皆、また変な奴等が来る前に、こんな変な町から脱出するぞ! この町マジでヤバイから、早く急いで!」
「えっ、何? 何かあったの? もうちょっとで夜になっちゃうけど、本当に行くの?」
「魔物より面倒なんだよ、いいから行くぞ! リーゼさんも急いで!」
「はいはい、もう用いしてあるから、何時でも出れるわよ。その代わり、魔物が出たとか後で文句いわないでよね」
「言わないから、早く早く早く!」
そして俺達は馬車で強行突破し、この町を脱出したのだった。
町の門を突破し、逃げたのは良いが、外はもう真っ暗である。
夜に活動するのは凶暴な魔物が多いが、今はそんな事を言ってる場合じゃない。
後ろからは、裸マッチョ軍団が、俺達を追跡して町の外まで探している。
まあ遠くまでは追っては来ないと思う。
馬車を飛ばした俺達は、次の町へ向かって行く。
町の外は暗いが、星と月の明りが恐ろしく光っていて、微妙に物の影を浮かばせている。
虫の音や、鳥の声が聞こえるが、魔物の気配は感じられない。
だが俺達には感じられないだけで、きっと何処か潜んでいるはずだ。
もう誰も追って来ない距離にまで離れると、何時も通りに慎重に進みだす。
そして、そろそろ野営の準備でもしようかと思った頃、激しい地鳴りが鳴り響く。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
同じ間隔で、何度も激しく地面が震動し、ドンドン強く激しくなっている気がする。
その振動に、馬が怯えるのを俺が何とか抑えている。
「な、なんだ、地震か?!」
「な、これは大きいよ!」
「れ、レティ、私は怖いぞ!」
「いや、周りには倒れる物もないから大丈夫だ。だから手を離してくれ! 痛いから!」
「待ちなさい、どうもこれ地震じゃないわ! あれを見なさい、特大サイズの魔物が近くに居るのよ!」
「ええッ?! で、でけぇ!」
俺は星空を見上げると、その光の半数が闇の色に飲み込まれていた。
圧倒的な体躯は黒く、俺達なんて蟻にしか見えないんじゃないかと思うほどデカイ。
星の光さえ消してしまうから、その全貌は見えないが、その体躯に見合う以上に巨大な、巨大すぎる翼を広げ、さらに暗闇が深くなっている。
目立つ焚き火をつける前で良かった、変に目立って踏み潰されたら大変だ。
そんな危険な状態に、リーゼさんが指示を出す。
「あいつ、私達に気付いていないわ。いえ、もしかしたら人間なんて目にも入ってないのかもしれないけど。兎に角急いで逃げるわよ、こんな場所に居たら踏み潰されるかもしれないわ!」
「おう、こんなの人間が相手に出来るレベルじゃない! 逃げるが吉だな!」
「わわわわ、分かったけど、どっちに行くの?! あんなのの進む方向なんて分からないんだけど!」
「だが此処に居ても危険は変わらない、進めそうな道を進むしかないぞ! レティ、馬車に乗るぞ手を!」
「おう!」
巨大な魔物から逃げ出した俺達は、道を外れて道なき道を進み始めた。
馬車は今までよりも激しく揺れ、その振動は頭痛を招く。
吐き気や目眩もきついが、生き残りたいなら行動しなければならない。
眠気さえも忘れて、何処をどう走ったのかも分からず、地響きが聞こえなくなるまで夜の時間を走り続けた。
「なんとか逃げ切れたみたいね、皆生きてるわよね?」
「僕は平気だけど、レティが不味いみたい」
「う、乗り物酔いしたみたいだけど大丈夫だ、ちょっと吐きそうなだけ…………」
「大丈夫かレティ、私が看病してやるぞ! さあ背中を向けろ、私がさすってやるぞ!」
「いや、やめてくれ、今揺すられたら絶対吐く、ちょっと休憩してれば大丈夫だから」
かなりの距離を走り続けたが、あんなものが居たからか、他の魔物は現れず、時間はもう太陽が昇り始めた頃になっていた。
糸の細さの道を通った気分だが、その糸が切れなくて良かったと安堵する俺の目の前には、新たな町の影が見え始めている。
「あ、町が見えて来たけど、なんか、廃墟みたいだよ」
「まあ丁度良いわね、あそこで一度休むとしましょう。あんまり無理しても体に毒だからね」
「あ、ありがたい、馬車からおりればちょっとはマシになるかも…………」
「地図によると、かなり南に下ったらしいぞ。目的だった町とは違うな」
ストリアは地図と方位を確認し、それが目的の町とは違うと知ったらしい。
目指したのは鉄銀の町と呼ばれる町だったが、そこから少し南にあったこの町は、もう名前すらも忘れられ、滅び去ってしまった町。
その町は、町だったものは、ここ最近滅びたのではなく、魔物が出る以前に滅びたのだと思う。
殆どの建物が崩れ去り、魔物に襲われたというよりも、老朽化して崩れたと言う方が納得がいく壊れ方だ。
「見た所何か変なものも居なさそうだし、とりあえずこの場所で休んで行きましょう。流石に私も疲れたからね」
「わかったよ母さん、じゃあ泊まれそうな場所を探してくるよ。じゃあ二人共、倒れてないで手伝ってね!」
「仕方ない、安全に休むためだもんな。じゃあ俺とガルスは、まだ崩れてない建物を探してくるから、ストリアはリーゼさんと一緒に飯の用意でもしててくれ。眠いけど腹も減ってるんだ。これじゃあ眠りたくても眠れない」
「わかった、私の愛がこもった、とびっきりの料理を作っといてやるから、待っていてくれ」
「おう、任せた!」
「じゃあ行って来るね」
「「 行ってらっしゃ~い 」」
ガルスを連れて、この廃墟の町を見回るが、泊れるような家屋は…………
「あ、あれを見てよレティ、あそこの家なら安全に泊れるんじゃない?」
「お? どれ…………」
結構遠くに、まだ崩れていない建物が見える。
奇跡的にと言って良いほどに、その一つだけが残っており、雨風もしのげそうだった。
「良く見つけたな、言ってみようぜリッド!」
「うん!」
その建物の状態を見る為、俺達はその建物へと向かった。
見ると、かなりしっかりした建物で、比較的新しい建物だ。
壁も崩れもないし、俺は入り口の扉を開いたのだが、その建物の中に、黒髪の真っ裸の女が立って居た。
いやスリッパだけは履いてるけど、あんまり意味がないと思う。
二十ぐらいだと思うが、こんな廃墟で何をしてるんだろうか?
一体ナニをしてたんだろうか?
そんな彼女が、真っ赤になってしゃがみ込んだ。
「だ、誰だ、まさかこんな所に泥棒が?! いや、まさか私の体を狙って?! だ、誰かああああ、って誰も居ないんだ! いやああああああああああ襲わないでえええええええええ!」
「いや、俺達は泥棒でも強盗でもなくて、とりあえず服を着てくれると嬉しいんだけど、そのままでも俺は別に構わないぞ」
「だったら出て行きなさい! 出て行けええええええええ!」
「は、はい、直ぐに、行くよレティ!」
「そうだな、でも先に謝らないと不味いだろ。ごめんなさい、俺達別にワザとやったわけじゃなかったんだ、旅をしてて泊れる建物を探して、此処がちょうどいいいと思って入ってみたんだけど、まさか裸の女が居るとは思わなくて、本当にごめんなさい。出来れば許してくれると嬉しいけど」
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