一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
4 小さく大きな物語15
ラグナードからの道中。
俺は空を見上げると、そこには青や赤、緑や黄色、白までキラキラと光る色とりどりの輝く物が見えている。
これが星だったなら、わー綺麗だなーで済む話かもしれないが、今は真昼間で、雲一つない青空なのだ。
じゃあ、それが何かと聞かれるのならば、キラキラ光った鳥の魔物だとでも言うしかないだろう。
全部同じ種類だとは思うけど、色の種類は多いらしい。
体長は一メートルを超えるぐらいで、嘴は大きく、トサカが渦巻いて伸びている。脚の爪は大きく、人の体に突き刺されば大怪我しそうだ。
そんな鳥の十数体か、二十を超える数の魔物に、俺達は絶賛襲われ中だった。
リーゼさんが馬車を走らせ、荷台に居る俺達は飛び道具を使ってそれを迎撃している。
「全力で飛ばすから、しっかり摑まってなさいよ!」
「分かってるよ、リーゼさん!」
俺はクロスボウを使い、敵に向けて矢を放ち続けている。
数が多いというのに中々当たってくれない。
「おいレティ、手を止めるな! 矢を放ち続けろ!」
「止めてないわ! むしろずっと撃ってるわ!」
撃ってるからこそ補充した矢もドンドン減って行くし、もうかなり少なく、無くなりそうになっている。
正直このままやられるんじゃないかと思う程だった。
「はああああああ、フリーズラビット!」
リッドの放った魔法は、空中で方向を変えると、鳥の魔物の一体に直撃した。
今回の誰が活躍してるのかといえばリッドだが、魔法の回数にも限りがある。
アレを全部撃ち落とす事は出来ない。
それと不味い事に、敵の攻撃を躱しながら走らせている為に、馬車の進路も国境に向かえていない。
進んでいるのはラグナードから北東で、大きな森がある方向だった。
その森は精霊の森なんて呼ばれる綺麗な森。
そう噂で聞いた事がある。
ただ、今現在そうなのかは全く分かっていない。
馬車の進路には、もうその森が見え始めている。
「いい、このまま森の中に突っ込むわよ! あんなの相手にするよりは、地面に居る奴と戦った方がマシだからね! 道も無い場所に突っ込むから、全員衝撃に備えなさい!」
「お、おう!」
「私は何時でも良いぞ!」
馬車になるべくダメージの無い、長く生えた草むらの辺りに突っ込むと、荷台に乗ったにリッドが、氷の魔法を放った。
「進路を塞ぐ壁となれ。 ……アイスウォール!」
馬車の後ろに、大きな氷の壁が現れる。
何匹かはその壁にぶつかり、森に入るのは諦めて空中を旋回していた。
暫くするとそれも終わり、森とは別の方向へ飛んで行く。
鳥が諦めてくれたのは有難いが、リッドの作った氷の壁は大きく、もうこの森から出る道は塞がれてしまっている。
出るには別の場所を探さなければならないだろう。
あまり奥に入る前に、リーゼさんは馬車を止めた。
「…………ふう、今の所敵の気配はないわね。でも皆、敵が見えなくっても絶対油断はしないでね。森の中なんて幾らでも敵が隠れられるんだから」
「おう、大丈夫だぜ! 手に届く範囲の奴なら俺に任せとけ!」
「うん、まあ、お前は剣の方が得意だしな。しかしもう少し射撃の練習したほうがいいんじゃないかレティ?」
「うるさいなストリア、俺だって頑張ってるんだから、ちょっと黙ってて!」
「はぁ、僕はもう魔力がないから、もう魔法は使えないからね。今日はもう期待しないでね」
「ん~、そうか魔法がもう無いのか。じゃあ出来る限り魔物には出会いたく無いなぁ」
「じゃあ敵に見つからない内に、サッサとこの森から脱出するわよ」
俺達三人は地面に降りて、馬車の通れそうな道を探し、ゆっくり移動していた。
此処から見る限り、森の奥はとても深く、本当に何が潜んでいるのか分からない。
聞いた事がありそうな鳥の声や、虫の声、蛙の鳴き声みたいなのも聞こえて来ている。
今の所、特に魔物が襲って来ることはなさそうだ。
案外平和かもしれない。
俺はそう思い、少しばかり息を抜いた。
本当に少しだけ、ちょっと息を吹き出しただけなのだが、俺達の足元近くに、何本もの矢が射ち込まれてしまう。
その瞬間馬車は止められ、俺は果てしなく驚いたのだった。
「うおおおおおおおおお! てててて敵なのか?!」
「落ち着いてくれよレティ、魔物が矢を放つなんてないからね。きっと誰か居るんだ」
「誰だ、隠れていないで出て来い! 私達に用事でもあるのか?!」
ストリアの声にも姿は現さず、ただ声のみが森に響いた。
「…………お前達…………ここは人間の来るべき場所じゃない。今直ぐ引き返せ」
この声、たぶん女の声だ。
それに矢の角度からすると、他にも何人か周りに居るのかもしれない。
もしかしたら、この森の中に村でも作られているのかもしれない。
あまり逆らわない方が良いだろう。
「俺達も引き返したいけど、魔物に追われて来たんだ。その入って来た入り口を塞いでしまったから、他に出口を探してるんだよ。直ぐ出て行きたいんだけど、道が分からないからちょっと困っているんだ。通れそうな道があるなら教えてくれないか?」
ザワザワザワ
俺の声を聞き、木の上から多くの声が聞こえて来る。
ただその言葉は俺達には理解出来ないもので、何を言ってるのかサッパリ分からなかった。
確かに別大陸の遠くの方では、俺達とは違う言語が使われていると聞いた事があるが、この大陸でそういう言語を聞いた事は全くない。
う~む、別大陸から引っ越して来たのか?
その声もおさまり、少し待っていると、木の上から一人の人物が飛び降りて来た。
その人物は、フードとマスク、マントで体を隠して、どんな人物なのかも分からない。
「…………案内してやる。私に、付いて来い」
ただ声からすると、さっき俺達に話しかけた女なのだろう。
何故そんな恰好をしているのかと色々ツッコミたい所だけど、相手の事情は聞かないでおこうと思う。
絶対厄介事にまきこまれるから。
「こっちだ」
そして俺達はその女の声に従い、馬車を進め出した。
俺は空を見上げると、そこには青や赤、緑や黄色、白までキラキラと光る色とりどりの輝く物が見えている。
これが星だったなら、わー綺麗だなーで済む話かもしれないが、今は真昼間で、雲一つない青空なのだ。
じゃあ、それが何かと聞かれるのならば、キラキラ光った鳥の魔物だとでも言うしかないだろう。
全部同じ種類だとは思うけど、色の種類は多いらしい。
体長は一メートルを超えるぐらいで、嘴は大きく、トサカが渦巻いて伸びている。脚の爪は大きく、人の体に突き刺されば大怪我しそうだ。
そんな鳥の十数体か、二十を超える数の魔物に、俺達は絶賛襲われ中だった。
リーゼさんが馬車を走らせ、荷台に居る俺達は飛び道具を使ってそれを迎撃している。
「全力で飛ばすから、しっかり摑まってなさいよ!」
「分かってるよ、リーゼさん!」
俺はクロスボウを使い、敵に向けて矢を放ち続けている。
数が多いというのに中々当たってくれない。
「おいレティ、手を止めるな! 矢を放ち続けろ!」
「止めてないわ! むしろずっと撃ってるわ!」
撃ってるからこそ補充した矢もドンドン減って行くし、もうかなり少なく、無くなりそうになっている。
正直このままやられるんじゃないかと思う程だった。
「はああああああ、フリーズラビット!」
リッドの放った魔法は、空中で方向を変えると、鳥の魔物の一体に直撃した。
今回の誰が活躍してるのかといえばリッドだが、魔法の回数にも限りがある。
アレを全部撃ち落とす事は出来ない。
それと不味い事に、敵の攻撃を躱しながら走らせている為に、馬車の進路も国境に向かえていない。
進んでいるのはラグナードから北東で、大きな森がある方向だった。
その森は精霊の森なんて呼ばれる綺麗な森。
そう噂で聞いた事がある。
ただ、今現在そうなのかは全く分かっていない。
馬車の進路には、もうその森が見え始めている。
「いい、このまま森の中に突っ込むわよ! あんなの相手にするよりは、地面に居る奴と戦った方がマシだからね! 道も無い場所に突っ込むから、全員衝撃に備えなさい!」
「お、おう!」
「私は何時でも良いぞ!」
馬車になるべくダメージの無い、長く生えた草むらの辺りに突っ込むと、荷台に乗ったにリッドが、氷の魔法を放った。
「進路を塞ぐ壁となれ。 ……アイスウォール!」
馬車の後ろに、大きな氷の壁が現れる。
何匹かはその壁にぶつかり、森に入るのは諦めて空中を旋回していた。
暫くするとそれも終わり、森とは別の方向へ飛んで行く。
鳥が諦めてくれたのは有難いが、リッドの作った氷の壁は大きく、もうこの森から出る道は塞がれてしまっている。
出るには別の場所を探さなければならないだろう。
あまり奥に入る前に、リーゼさんは馬車を止めた。
「…………ふう、今の所敵の気配はないわね。でも皆、敵が見えなくっても絶対油断はしないでね。森の中なんて幾らでも敵が隠れられるんだから」
「おう、大丈夫だぜ! 手に届く範囲の奴なら俺に任せとけ!」
「うん、まあ、お前は剣の方が得意だしな。しかしもう少し射撃の練習したほうがいいんじゃないかレティ?」
「うるさいなストリア、俺だって頑張ってるんだから、ちょっと黙ってて!」
「はぁ、僕はもう魔力がないから、もう魔法は使えないからね。今日はもう期待しないでね」
「ん~、そうか魔法がもう無いのか。じゃあ出来る限り魔物には出会いたく無いなぁ」
「じゃあ敵に見つからない内に、サッサとこの森から脱出するわよ」
俺達三人は地面に降りて、馬車の通れそうな道を探し、ゆっくり移動していた。
此処から見る限り、森の奥はとても深く、本当に何が潜んでいるのか分からない。
聞いた事がありそうな鳥の声や、虫の声、蛙の鳴き声みたいなのも聞こえて来ている。
今の所、特に魔物が襲って来ることはなさそうだ。
案外平和かもしれない。
俺はそう思い、少しばかり息を抜いた。
本当に少しだけ、ちょっと息を吹き出しただけなのだが、俺達の足元近くに、何本もの矢が射ち込まれてしまう。
その瞬間馬車は止められ、俺は果てしなく驚いたのだった。
「うおおおおおおおおお! てててて敵なのか?!」
「落ち着いてくれよレティ、魔物が矢を放つなんてないからね。きっと誰か居るんだ」
「誰だ、隠れていないで出て来い! 私達に用事でもあるのか?!」
ストリアの声にも姿は現さず、ただ声のみが森に響いた。
「…………お前達…………ここは人間の来るべき場所じゃない。今直ぐ引き返せ」
この声、たぶん女の声だ。
それに矢の角度からすると、他にも何人か周りに居るのかもしれない。
もしかしたら、この森の中に村でも作られているのかもしれない。
あまり逆らわない方が良いだろう。
「俺達も引き返したいけど、魔物に追われて来たんだ。その入って来た入り口を塞いでしまったから、他に出口を探してるんだよ。直ぐ出て行きたいんだけど、道が分からないからちょっと困っているんだ。通れそうな道があるなら教えてくれないか?」
ザワザワザワ
俺の声を聞き、木の上から多くの声が聞こえて来る。
ただその言葉は俺達には理解出来ないもので、何を言ってるのかサッパリ分からなかった。
確かに別大陸の遠くの方では、俺達とは違う言語が使われていると聞いた事があるが、この大陸でそういう言語を聞いた事は全くない。
う~む、別大陸から引っ越して来たのか?
その声もおさまり、少し待っていると、木の上から一人の人物が飛び降りて来た。
その人物は、フードとマスク、マントで体を隠して、どんな人物なのかも分からない。
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