一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
11 上級討伐任務。
あの占い師に前金を支払い、薬を飲んだ俺は兵舎に到着していた。 何時もの四人は見当たらない、まさか本当に薬が効いたのだろうか? 少し不気味に感じながら、俺は先輩に任務達成の報告をした。
「先輩お早うございます、たぶん報告は受けていると思いますが、アットハインの村のヒルデさんからの任務は終了しました。 一応使えると思い、巨像のアストライオスは正門の前に持ってきました」
「ん、任務ご苦労、確かに報告は受けているぞ。 それでそのアストライオスと言う物は、一体何に使える物なのだ? お前は使えると思っている様だが、無駄に場所を取るだけで、あまり使えそうもないのなら邪魔にしかならないぞ」
「はい、あの巨体なので相当力があります。 それであの先輩も知ってるかと思いますが、あのフレーレさんと拳を打ち合って勝利出来る位には強いです。 一応向うは手加減してくれてたみたいです、何でもありだったら負けてました」
「なる程、フレーレさんと打ち合えるレベルというのなら、戦力として期待が出来るという訳だな? しかしアレをどう動かして来た? 何か特別な方法でもあったのか?」
「いえ、胸の部分から内部に入り込んで動かせる様になっていました。 僕一人では反応がありませんでしたけど、アスメライさんを乗り込ませたら動き始めたので、たぶん魔力が高い者ならば誰でも動かせると思います。 たぶん先輩でも動かせると思いますよ」
「ふむ、ではアストライオスの性能を見せて貰うとしようか。 そこでお前に次の任務だ、上級討伐任務をしている隊に合流し、お前はアストライオスを使ってその魔物を撃破せよ」
「はい、任務了解しました! …………それであの先輩、先ほども言った様に僕一人では動かせないんですが、何時もの四人ってまだ来ていないんですか?」
「そうだな、あの四人から休暇届が出ている。 聞いた理由では、四人で集まって戦闘訓練をするらしいぞ? 誰か勝ちたい人物が居るらしい」
フレーレさんにボコボコにされてたからなぁ、一日二日でそう強くなるとは思えないけど、相当悔しかったのだろう。 それとも薬の効果が現れて…………。
「動かす相棒が必要だというのなら、お前の相棒に頼んでみてはどうだ? 彼奴もそろそろ復帰する時期だろう」
「ああ、アツシの事ですか? なんだかんだ理由を付けて子供の面倒ばかり見てますからね、女の子ですから相当可愛がってるんでしょう。 無理やり呼び寄せても恨まれますから、出来れば別の人物が良いですね。 先輩の方で誰か良い人物居ないでしょうか?」
「彼奴にも困ったものだ、もうそろそろ解雇も検討しなくてはな。 …………ふむ、実は来週からお前の後輩が赴任するのだが、奴なら魔法も使えるし、実地テストとして呼び寄せてみるのも悪くないだろう。 では今から文を書いてやる、それを持って、兵士学校のバベルという人物を呼びに行くといい」
「バベルですね、了解しました。 ではバベルを呼び寄せ、討伐任務に向かいます。 それでえ~っと、合流する隊というのは何処に居るんでしょうか?」
「昼前あたりに正門に集まるそうだぞ、その時間に集まるのはその隊しか居ないから、お前も間違えようがないだろう。 まだ時間はあるから、ゆっくり準備して行く事だな」
「では行って参ります!」
「うむ、気を付けてな」
昔通ってた兵士学校に向かった俺は、そこの教官からバベルの居場所を聞き出し、その人物と会う事が出来た。 バベルと言う男は、ガッチリとした体躯で、良く鍛えられている男だ。 金髪の短髪で、俺より少し背が高くて、どうにも強そうだ。 そして随分顔が濃い。
教官の話では壱弐を争う程成績が良く、とても優秀な生徒だそうだ。 その教官からも良くしてやってくれと頼まれている。 あまり成績の良くなかった俺では、普通に戦っても負けてしまうかもしれない。
「君がバベル君だね? 僕はイバスと言うのだけど、今度君が配属される隊で働いているんだ。 今日は君に頼みがあって来たんだけど、緊急の用事は無いよね?」
「はいっす先輩、俺っち今日は暇であります! 今日は緊急の案件なのでしょうか!」
「うん、まずこれを見てくれないかな? 僕の上官であるマルケシウスからの指令だよ。 一応君はまだ正式に隊に加入していないからね、断る事も出来るけど、どうする?」
「勿論やらせていただくっす! 今日はよろしゃしゃしゃす!」
先輩の文を読み終えるまでもなく、バベル君は納得したらしい。
俺としてはこのこういうノリはあんまり得意ではないのだけど、後輩になるのなら付き合っていくしかないだろう。
「それでは任務を説明するよ、バベル君には今回僕と一緒に討伐任務に向かってもらうことになっている。 本来僕達が出来る任務ではないけど、頼れる先輩達が護ってくれるから、そう心配する必要はないよ。 それに今回は生身で戦う訳じゃないんだ、先日任務で貰って来た巨大兵器を使うから、君にはその中に入って貰うよ。 分かってくれたかな?」
「了解っす! 俺っちがそれを動かせば良いんすね?!」
「いや、動かすのは僕がやるから、君は見ていて貰うだけで構わないよ」
「はい、わっかりました! 俺っちは先輩の事を見守っています! じゃあ早速向かいましょう先輩! この俺っちの初任務っすよ! 張り切って行きまっしょう!」
バベル君が張り切って歩いて行く、明後日の方向へ。
「いや待って、そっちじゃないから! そっちは兵舎、僕達が向かうのは正門だよ!」
「あっはは、間っ違えました、すいやっせん先輩! じゃあ今度こそ行きまっしょい!」
「ああ、そうだね…………」
正門だと教えると、バベル君は全力で走って行く。 此処からではまだ遠いというのに、何だか散歩に出る犬みたいだ。 こんな所で疲れるのも嫌だし、俺はゆっくりと歩いて行った。
「先輩、こっちっすよ先輩! これっすよね、このデッカイのに乗り込むんっすよね? 俺っちもうワクワクしてきました!」
「うん、これに乗るんだけど、一度よじ登らないと駄目なんだよね。 じゃあバベル君も一緒に登ってね」
「了解っす!」
アストライオスの足元にあるスイッチを押して、俺とバベル君はそれによじ登って行った。 試しに少し動かしてみると、昨日の様にちゃんと動いている。 やはり魔力があれば誰でも動かせるらしい。
それから上級討伐任務という事で、誰が来るのかと待ち続けていると、正門にその隊の人が現れてた。
「うぐッ…………」
人数は三人、しかも知ってる人物だ。 兵士の中では知らない人は居ない三人で、エルさん、レアスさん、そして、フレーレさんがやって来ていた。 少し忘れかけていたけど、俺のピンチは全く終わっていないのだ。
「お~いイバスく~ん、今日はよろしくねー!」
動いているアストライオスを見ると、フレーレさんが手を振っている。 今日はお世話になるし、挨拶はしておかないと。 アストライオスの胸のハッチを開かせ、俺達は三人に挨拶をしておいた。
「よろしくお願いします皆さん。 今日は後輩のバベル君も連れて来ましたので、どうぞ宜しくお願いします」
「初めましてっす! 俺っちバベルと言います! どうぞよろしゃしゃしゃす!」
フレーレさんは宜しくと言ってくれているが、他の二人は此方を睨んでいる気がする。 まさか、もうあの事を言ってしまったのでは?!
「先輩お早うございます、たぶん報告は受けていると思いますが、アットハインの村のヒルデさんからの任務は終了しました。 一応使えると思い、巨像のアストライオスは正門の前に持ってきました」
「ん、任務ご苦労、確かに報告は受けているぞ。 それでそのアストライオスと言う物は、一体何に使える物なのだ? お前は使えると思っている様だが、無駄に場所を取るだけで、あまり使えそうもないのなら邪魔にしかならないぞ」
「はい、あの巨体なので相当力があります。 それであの先輩も知ってるかと思いますが、あのフレーレさんと拳を打ち合って勝利出来る位には強いです。 一応向うは手加減してくれてたみたいです、何でもありだったら負けてました」
「なる程、フレーレさんと打ち合えるレベルというのなら、戦力として期待が出来るという訳だな? しかしアレをどう動かして来た? 何か特別な方法でもあったのか?」
「いえ、胸の部分から内部に入り込んで動かせる様になっていました。 僕一人では反応がありませんでしたけど、アスメライさんを乗り込ませたら動き始めたので、たぶん魔力が高い者ならば誰でも動かせると思います。 たぶん先輩でも動かせると思いますよ」
「ふむ、ではアストライオスの性能を見せて貰うとしようか。 そこでお前に次の任務だ、上級討伐任務をしている隊に合流し、お前はアストライオスを使ってその魔物を撃破せよ」
「はい、任務了解しました! …………それであの先輩、先ほども言った様に僕一人では動かせないんですが、何時もの四人ってまだ来ていないんですか?」
「そうだな、あの四人から休暇届が出ている。 聞いた理由では、四人で集まって戦闘訓練をするらしいぞ? 誰か勝ちたい人物が居るらしい」
フレーレさんにボコボコにされてたからなぁ、一日二日でそう強くなるとは思えないけど、相当悔しかったのだろう。 それとも薬の効果が現れて…………。
「動かす相棒が必要だというのなら、お前の相棒に頼んでみてはどうだ? 彼奴もそろそろ復帰する時期だろう」
「ああ、アツシの事ですか? なんだかんだ理由を付けて子供の面倒ばかり見てますからね、女の子ですから相当可愛がってるんでしょう。 無理やり呼び寄せても恨まれますから、出来れば別の人物が良いですね。 先輩の方で誰か良い人物居ないでしょうか?」
「彼奴にも困ったものだ、もうそろそろ解雇も検討しなくてはな。 …………ふむ、実は来週からお前の後輩が赴任するのだが、奴なら魔法も使えるし、実地テストとして呼び寄せてみるのも悪くないだろう。 では今から文を書いてやる、それを持って、兵士学校のバベルという人物を呼びに行くといい」
「バベルですね、了解しました。 ではバベルを呼び寄せ、討伐任務に向かいます。 それでえ~っと、合流する隊というのは何処に居るんでしょうか?」
「昼前あたりに正門に集まるそうだぞ、その時間に集まるのはその隊しか居ないから、お前も間違えようがないだろう。 まだ時間はあるから、ゆっくり準備して行く事だな」
「では行って参ります!」
「うむ、気を付けてな」
昔通ってた兵士学校に向かった俺は、そこの教官からバベルの居場所を聞き出し、その人物と会う事が出来た。 バベルと言う男は、ガッチリとした体躯で、良く鍛えられている男だ。 金髪の短髪で、俺より少し背が高くて、どうにも強そうだ。 そして随分顔が濃い。
教官の話では壱弐を争う程成績が良く、とても優秀な生徒だそうだ。 その教官からも良くしてやってくれと頼まれている。 あまり成績の良くなかった俺では、普通に戦っても負けてしまうかもしれない。
「君がバベル君だね? 僕はイバスと言うのだけど、今度君が配属される隊で働いているんだ。 今日は君に頼みがあって来たんだけど、緊急の用事は無いよね?」
「はいっす先輩、俺っち今日は暇であります! 今日は緊急の案件なのでしょうか!」
「うん、まずこれを見てくれないかな? 僕の上官であるマルケシウスからの指令だよ。 一応君はまだ正式に隊に加入していないからね、断る事も出来るけど、どうする?」
「勿論やらせていただくっす! 今日はよろしゃしゃしゃす!」
先輩の文を読み終えるまでもなく、バベル君は納得したらしい。
俺としてはこのこういうノリはあんまり得意ではないのだけど、後輩になるのなら付き合っていくしかないだろう。
「それでは任務を説明するよ、バベル君には今回僕と一緒に討伐任務に向かってもらうことになっている。 本来僕達が出来る任務ではないけど、頼れる先輩達が護ってくれるから、そう心配する必要はないよ。 それに今回は生身で戦う訳じゃないんだ、先日任務で貰って来た巨大兵器を使うから、君にはその中に入って貰うよ。 分かってくれたかな?」
「了解っす! 俺っちがそれを動かせば良いんすね?!」
「いや、動かすのは僕がやるから、君は見ていて貰うだけで構わないよ」
「はい、わっかりました! 俺っちは先輩の事を見守っています! じゃあ早速向かいましょう先輩! この俺っちの初任務っすよ! 張り切って行きまっしょう!」
バベル君が張り切って歩いて行く、明後日の方向へ。
「いや待って、そっちじゃないから! そっちは兵舎、僕達が向かうのは正門だよ!」
「あっはは、間っ違えました、すいやっせん先輩! じゃあ今度こそ行きまっしょい!」
「ああ、そうだね…………」
正門だと教えると、バベル君は全力で走って行く。 此処からではまだ遠いというのに、何だか散歩に出る犬みたいだ。 こんな所で疲れるのも嫌だし、俺はゆっくりと歩いて行った。
「先輩、こっちっすよ先輩! これっすよね、このデッカイのに乗り込むんっすよね? 俺っちもうワクワクしてきました!」
「うん、これに乗るんだけど、一度よじ登らないと駄目なんだよね。 じゃあバベル君も一緒に登ってね」
「了解っす!」
アストライオスの足元にあるスイッチを押して、俺とバベル君はそれによじ登って行った。 試しに少し動かしてみると、昨日の様にちゃんと動いている。 やはり魔力があれば誰でも動かせるらしい。
それから上級討伐任務という事で、誰が来るのかと待ち続けていると、正門にその隊の人が現れてた。
「うぐッ…………」
人数は三人、しかも知ってる人物だ。 兵士の中では知らない人は居ない三人で、エルさん、レアスさん、そして、フレーレさんがやって来ていた。 少し忘れかけていたけど、俺のピンチは全く終わっていないのだ。
「お~いイバスく~ん、今日はよろしくねー!」
動いているアストライオスを見ると、フレーレさんが手を振っている。 今日はお世話になるし、挨拶はしておかないと。 アストライオスの胸のハッチを開かせ、俺達は三人に挨拶をしておいた。
「よろしくお願いします皆さん。 今日は後輩のバベル君も連れて来ましたので、どうぞ宜しくお願いします」
「初めましてっす! 俺っちバベルと言います! どうぞよろしゃしゃしゃす!」
フレーレさんは宜しくと言ってくれているが、他の二人は此方を睨んでいる気がする。 まさか、もうあの事を言ってしまったのでは?!
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