一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
23 帰って来た男。
アーモンは王国の正門を潜ると、あの四人から隠れ、一人レインの元へと向かっていた。 二人の内何方に先に会いに行くのかと迷っていたけど、結局近い方を取った。
「待っていてくださいレインさん。 この無事な姿を見せて安心させてあげますからね。」
アーモンはレインの務めるパン屋へと向かって行く。 しかし、その後ろにはパインとアラートがひっそりとそれを付けていた。
「アーモンさんったら、一体誰に会いに行くのかしら? もし女と会う様なら、ちょっと教育が必要かもしれないわね。 そうだわ、一度強引に奪ってみるのも良いかもしれないわね。 行くわよアラート、貴方のテクニックて、ノックアウトしてやりなさい!」
「了解しましたあああああ!」
血走った目をしながら、二人はアーモンを追って行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正門を越えた時、辺りにアーモンの姿は消えていた。
「ふう、やっとついたわねお兄ちゃん。 ・・・・・あれ? お兄ちゃん何処?」
「本当だわ、まさかトイレかしら? でもこの近くには隠れる場所なんて無いし・・・・・。 それともまさか逃げた?」
「ミモザ、パインが居ないわ! あの男も見当たらない! 二人にお兄ちゃんが攫われた!」
何故かパインとあのアラートの姿も見えない。 アーモンが攫われる可能性は十分にあった。 二人共特殊な性癖を持っていて、それを達成しようとしているに違いない。 安全な場所に着いて、きっとタガが外れたのだろう。
「ミモザ、お兄ちゃんの貞操が危ないわ! 直ぐに助けだして、あの二人をぶっ殺すのよ!」(お兄ちゃんの貞操は私のものよ。 絶対誰にも渡さないわ! 隙があったらミモザも出し抜いてやる!)
「分かっているわレイリア、この場は共闘と行きましょう。 待ってなさいパイン、そしてアラート、貴方達には死をくれてやるわ!」(私がレイリアの考えを読めないとでも思ってるのかしら、此奴は絶対に裏切る。 その時は正当防衛で抹殺よ!)
「「フフフフフ・・・・・。」」
長旅の疲れも吹き飛ばし、二人が王国の中を爆走して行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アーモンが帰って来ているとは知らず、雲一つない青空の元、レインは何時も通りに仕事をしていた。 時刻は昼を越えて、大勢が犇めいていた売り場には、お客さんが途切れ始めた。
「ふう、一息ついたわね。 それにしても、凄く良いお天気ね。 こんなに澄み切ったお天気は久しぶりだわ。 ・・・・・あれ? ちょっと曇って来たかしら?」
晴れ渡っていた空は一瞬で淀み、空は黒い雲に覆われて行ってる。 誰かが天気を変える程の魔法を使ったのだろうか? 雨でも降られてしまったら、パンを売ってる此方としては、とても迷惑だ。 客足は遠のくし、カビとかも生えやすくなる。 でも誰が使ったのかも分からないし、文句を言っても仕方がない。 私は店先に並べてあるパンをしまった。
私がパンをしまい終えると、空からはポツポツと雨粒が降って来ていた。 それは少しずつ勢いを増して行ってる。 道には人通りも少なくなり、今日はもう店じまいをした方が良いかもしれない。 私は父さんに声を掛け、店の看板をクローズにした。
そんな中、遠くからやって来ている男の姿が見えた。 雨に濡れるのも構わず、手を大きく振って、此方に向かって来ている。 少しずつ近づいて来ている男の顔は、私にとっては見たくもない顔だ。
「レインさ~ん。 お久しぶりで~す! 貴女のアーモンが帰って来ましたよ~!」
何故あの男が?! べノムさんが遠くへ棄てて来たんじゃなかったのだろうか? 私は店の扉の鍵を閉めて、見えないようにカーテンを掛けた。
「レインさん? あれ、気づかなかったですか? 俺ですよ、アーモンですよ。 レインさん、レインさん?!」
それでもしつこく扉が叩かれ、三分程我慢していると、その音が何時の間にか鳴らなくなっていた。 カーテンを開けるのは止めておこう。 まだ居たら嫌だから。
一時間が経ち、カーテンの外を覗いたが、まだ雨が降っている。 あの男の姿は見えない。 流石にもう居なくなっていた様だ。 まだ居たら如何しようかと思ってしまった。
「ふう・・・・・。」
少し落ち着いたけど、これから今後の対策を考えなければならない。 この場所を離れたあの男は、きっとべノムさんの方にも行ってると思う。 なるべくあの男と合わない様にして、べノムさんと相談しなければ。 私は顔が隠れる大きめのフードを被り、雨の中べノムさんの元へと急いだ。
人も少なく、怪しまれることも無かったけど、ビショビショに濡れてしまった。 明日の仕事に支障が出ない様に、風邪を引かない様にしないと。
べノムさんの家の周りを見ると、あの男の居る気配はない。 まさか中に通されていはずは無いと思い、私は家の扉を叩いた。 たぶんべノムさんは、まだ帰って来ていないと思う。
「こんにちはー、ロッテさん居ませんか? 私レインです。」
「は~い。 どうしたのレインさん? 何か用事でもあった?」
家の中から赤ん坊を抱いて、ロッテさんが出て来た。 勿論この子はべノムさんの子供だ。 名前をマッド君という。 べノムさんとは違い、ちゃんと人の形をしている。
「あの~、ちょっとご相談があるんですけど、中に入れて貰っても良いでしょうか?」
「良いわよ~。 べノムも居ないしちょっと退屈してたところなの。 マッド、お母さんのお友達のレインさんよ、挨拶して~。」
「あ~!」
元気が良い子だなぁ。 他にもアツシさん達の所も、子供が生まれたと聞く、王国はベビーラッシュが続いていた。 私も何時かこんな子が欲しい。 勿論アーモンさんとは別の人とだが。
私はロッテさんにアーモンの事を伝えると、べノムさんが帰って来るのを待った。
「待っていてくださいレインさん。 この無事な姿を見せて安心させてあげますからね。」
アーモンはレインの務めるパン屋へと向かって行く。 しかし、その後ろにはパインとアラートがひっそりとそれを付けていた。
「アーモンさんったら、一体誰に会いに行くのかしら? もし女と会う様なら、ちょっと教育が必要かもしれないわね。 そうだわ、一度強引に奪ってみるのも良いかもしれないわね。 行くわよアラート、貴方のテクニックて、ノックアウトしてやりなさい!」
「了解しましたあああああ!」
血走った目をしながら、二人はアーモンを追って行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正門を越えた時、辺りにアーモンの姿は消えていた。
「ふう、やっとついたわねお兄ちゃん。 ・・・・・あれ? お兄ちゃん何処?」
「本当だわ、まさかトイレかしら? でもこの近くには隠れる場所なんて無いし・・・・・。 それともまさか逃げた?」
「ミモザ、パインが居ないわ! あの男も見当たらない! 二人にお兄ちゃんが攫われた!」
何故かパインとあのアラートの姿も見えない。 アーモンが攫われる可能性は十分にあった。 二人共特殊な性癖を持っていて、それを達成しようとしているに違いない。 安全な場所に着いて、きっとタガが外れたのだろう。
「ミモザ、お兄ちゃんの貞操が危ないわ! 直ぐに助けだして、あの二人をぶっ殺すのよ!」(お兄ちゃんの貞操は私のものよ。 絶対誰にも渡さないわ! 隙があったらミモザも出し抜いてやる!)
「分かっているわレイリア、この場は共闘と行きましょう。 待ってなさいパイン、そしてアラート、貴方達には死をくれてやるわ!」(私がレイリアの考えを読めないとでも思ってるのかしら、此奴は絶対に裏切る。 その時は正当防衛で抹殺よ!)
「「フフフフフ・・・・・。」」
長旅の疲れも吹き飛ばし、二人が王国の中を爆走して行った。
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アーモンが帰って来ているとは知らず、雲一つない青空の元、レインは何時も通りに仕事をしていた。 時刻は昼を越えて、大勢が犇めいていた売り場には、お客さんが途切れ始めた。
「ふう、一息ついたわね。 それにしても、凄く良いお天気ね。 こんなに澄み切ったお天気は久しぶりだわ。 ・・・・・あれ? ちょっと曇って来たかしら?」
晴れ渡っていた空は一瞬で淀み、空は黒い雲に覆われて行ってる。 誰かが天気を変える程の魔法を使ったのだろうか? 雨でも降られてしまったら、パンを売ってる此方としては、とても迷惑だ。 客足は遠のくし、カビとかも生えやすくなる。 でも誰が使ったのかも分からないし、文句を言っても仕方がない。 私は店先に並べてあるパンをしまった。
私がパンをしまい終えると、空からはポツポツと雨粒が降って来ていた。 それは少しずつ勢いを増して行ってる。 道には人通りも少なくなり、今日はもう店じまいをした方が良いかもしれない。 私は父さんに声を掛け、店の看板をクローズにした。
そんな中、遠くからやって来ている男の姿が見えた。 雨に濡れるのも構わず、手を大きく振って、此方に向かって来ている。 少しずつ近づいて来ている男の顔は、私にとっては見たくもない顔だ。
「レインさ~ん。 お久しぶりで~す! 貴女のアーモンが帰って来ましたよ~!」
何故あの男が?! べノムさんが遠くへ棄てて来たんじゃなかったのだろうか? 私は店の扉の鍵を閉めて、見えないようにカーテンを掛けた。
「レインさん? あれ、気づかなかったですか? 俺ですよ、アーモンですよ。 レインさん、レインさん?!」
それでもしつこく扉が叩かれ、三分程我慢していると、その音が何時の間にか鳴らなくなっていた。 カーテンを開けるのは止めておこう。 まだ居たら嫌だから。
一時間が経ち、カーテンの外を覗いたが、まだ雨が降っている。 あの男の姿は見えない。 流石にもう居なくなっていた様だ。 まだ居たら如何しようかと思ってしまった。
「ふう・・・・・。」
少し落ち着いたけど、これから今後の対策を考えなければならない。 この場所を離れたあの男は、きっとべノムさんの方にも行ってると思う。 なるべくあの男と合わない様にして、べノムさんと相談しなければ。 私は顔が隠れる大きめのフードを被り、雨の中べノムさんの元へと急いだ。
人も少なく、怪しまれることも無かったけど、ビショビショに濡れてしまった。 明日の仕事に支障が出ない様に、風邪を引かない様にしないと。
べノムさんの家の周りを見ると、あの男の居る気配はない。 まさか中に通されていはずは無いと思い、私は家の扉を叩いた。 たぶんべノムさんは、まだ帰って来ていないと思う。
「こんにちはー、ロッテさん居ませんか? 私レインです。」
「は~い。 どうしたのレインさん? 何か用事でもあった?」
家の中から赤ん坊を抱いて、ロッテさんが出て来た。 勿論この子はべノムさんの子供だ。 名前をマッド君という。 べノムさんとは違い、ちゃんと人の形をしている。
「あの~、ちょっとご相談があるんですけど、中に入れて貰っても良いでしょうか?」
「良いわよ~。 べノムも居ないしちょっと退屈してたところなの。 マッド、お母さんのお友達のレインさんよ、挨拶して~。」
「あ~!」
元気が良い子だなぁ。 他にもアツシさん達の所も、子供が生まれたと聞く、王国はベビーラッシュが続いていた。 私も何時かこんな子が欲しい。 勿論アーモンさんとは別の人とだが。
私はロッテさんにアーモンの事を伝えると、べノムさんが帰って来るのを待った。
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