一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
29 やって来たシリアス
馬車が進む中、俺達は出会ってしまった、これは王国の変化した人達とも違う、かと言って魔物とも違う感じがしている。 胸があるし性別はたぶん女だ、頭には大きな花びらがあって人型ではあるが、下半身は触手塗れで何本あるのかすら分からない。 緑色の体と、腕には蛇の腹の様な蛇腹の筋があった。
そんな化け物じみた姿なのに、俺達は手を出せないでいた。 俺にはその顔に見覚えがあったからだ。 あれはジュリアンの屋敷にいたランセフォーゼさんにそっくりだ。 女達が馬車を降り、剣を構えるが、俺達はそれを制止した。
「ちょっと待ってくれストリー!! 俺達この人に見覚えがあるんだ。」
「僕もたぶん知ってる、なんでそんな姿になってるんだよランセフォーゼさん・・・・・」
「・・・・・クソッ垂れがッ!!」
「ィバジュジャアアア、ダジュゲチェエエアアアアア!!」
ランセさんの言葉は俺には分からなかった、イバスには何となく分かったのか、恐る恐る手を伸ばしているのだが、それを拒否するように触手の一本がイバスを襲う。 イバスの伸ばされた手を、その触手が貫いた。
「ぐああああああああッ!!」
「イバス様! アスメライさん回復をお願いいたします!! こんな魔物は私達が成敗してさしあげますわ!!」
「貴女が何方か知りませんけど、イバスさんの仇を討たせてもらいます!!」
「アギャアアアアアアアゴゲンジャザイイイイイ、アアアアアアアアアアア!!」
謝ってるようにも見えるが、そんな事とは裏腹に、ランセの何本もの触手が俺達を襲いだした。 何とか助けられる方法があれば良いのだが。 彼女を知っている俺達男だけが手を出せないでいる。
「私も行くぞ、お前達が戦えないのなら私が倒して来てやる。 アツシ、私の活躍をそこで見ていろ。」
「待てストリー!! あの人俺達の知ってる人なんだ、たぶんあの人も被害者なんだよ!! 何とか助ける方法はないのか?!」
「王国に行けば方法があるかもしれないが、こんな場所ではどうしようもない。 もう諦めろ!!」
ストリーは走り、ランセを倒す為に全力で剣を振っている。 あれがもし俺だとしても、ストリーは剣を取るだろう。 ストリーとはそんな奴だ。 だが俺は知り合いが死ぬ所なんて見たくない、俺に助けられる方法は思いつかないなら・・・・・イバスに相談してみよう!! 俺は、まだ傷が塞がったばかりのイバスに話しかけた。
「イバス、痛いだろうけど、お前ぐらいにしか方法は思いつかないんだ、ランセさんを助ける方法は何かないのか!!」
「方法は・・・・・方法は・・・・・あるよ!! 物凄く可能性は低いけれど、成功すれば助かるかもしれない!!」
「で? 如何すれば良い?」
「僕達は何もしない、ただ馬車を追って来てもらうんだ、幸い彼女は植物と合成されてるみたいだから、水さえ何とか出来れば生きられるかもしれない。 近づいたら襲われちゃうから、彼女の足で追って来てもらうしかないけれど・・・・・馬も休ませなきゃいけないのが・・・・・もうそれは後で考えるよ!!」
「それしか方法が無いのならそれで行こうぜ!! 良いよなクロッケル!!」
「・・・・・俺も覚悟を決めた、それで行こう。 だがランセが砦を通れるかって事だが・・・・・俺達が知らせるより先に見つけられたら、攻撃されるかもしれんぞ。」
「だったら僕が盾になる、馬車の上で手を広げて立って居れば気づいてくれるかもしれないしね。」
「ねぇあんた達、本当に良いの? このまま生きて行っても彼女をただ苦しませるだけかもしれないわよ? 此処で殺しておいたほうが彼女の為になるかもしれないのよ。」
「僕は助けるよ、僕は絶対助けたいんだ!!」
「・・・・・そう、じゃあ私もそれに従うわ。 なら戦ってる三人を呼んでくるから、その間に作戦を考えときなさい!!」
馬車は進ませる、ランセの攻撃を避けつつ、ランセを護る、そのまま通れたとしても、門を通過した後が問題だ。 ランセが一人、恰好の的になってしまう。
「砦の人に連絡を付けるしかないね。 レーレさんに走ってもらおう、一番早いのは彼女だから。」
「おい、全員戻って来たぞ!! ランセも追って来ている、此処で止まったままじゃ不味い、馬車を出すぞ!!」
三人が馬車へと乗り込むと、イバスがレーレに事情を説明すると、レーレ一人が馬車を飛び降り、砦へと向かって行った。
「成功したらキスをお願いいたしますよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
レーレは走り出した、だが馬車との距離は開いて行かない。 いくら速いと言っても、馬と同等なレベルだ、これは馬車の速度を抑えるしかないが、押えたら抑えたで追いつかれたら攻撃されてしまう。 だがもうやるしかないだろう!!
「クロッケル!! 馬車の速度を抑えてくれ、出来る限りギリギリに!!」
「おっしゃー任せろ!! 馬車が壊されない様に、攻撃は防いでくれよ。 車輪なんぞ壊されたらどうにもならんからな!!」
「アスメライ、触手を攻撃してくれよ、本体には当てるなよ?」
「私はそんなにヘボじゃないわよ、それじゃあいくわよ、アクアス・ライサー!!」
水の斬撃はランセの触手を切り裂くが、植物タイプのランセは、それを受けてむしろ元気になってる気がする。 触手も再生を始めるし、水分を吸収してるのかもしれない。
「私が降りて抑えておこうか?」
「止めてくれよストリー、一人で残るなんて危険だろ。 出来る限りこのまま進もうぜ。」
「お前がそう言ってくれるのは嬉しいが・・・・・大分攻撃が激しくなってきているぞ? このままでは馬車が致命的なダメージを負ってしまう。」
「知ってるさ!! だから今必死で考えて貰ってるんだよ!!」
自分が考えないのは、俺が考えるよりイバスが考えた方が上手い作戦を考えられるからだ。 俺がかってに動いたら、イバスの邪魔になってしまう。 もしそれで失敗したら本当に許されない。 そしてその失敗は俺達か、それともランセの死へと繋がって行く。
ガンガンと馬車の後ろから攻撃されている、そんな中、イバスの思考が終わった。
「アスメライ、ランセさんを吹き飛ばして!!」
「分かったわ!!」
アスメライが魔法を唱え、馬車後方の扉を開けると、その魔法が発動した。
「アクエリア・スぺリクル!!」
アスメライの杖の先から水の塊が現れる。 それはランセの体全てを包み込み、物凄い回転と共に、後方へと弾き飛ばす。 それでも触手の束が衝撃を和らげ、直ぐに立ち上がりまた追って来ようとしている。
「アスメライ、足を狙って水の斬撃を!!」
「任せなさい、アクアス・ライサー!!」
「クロッケルさん馬車を止めて!! アスメライはもう一度吹き飛ばして!!」
「アクエリア・スぺリクル!! これで二回目、イバス、私はもう魔法を撃てないわよ。」
「クロッケルさん十秒後に出発を!!」
「よっしゃー!! ・・・・・行くぞ!!」
クロッケルが馬車を止めるが、ランセの触手が復活し、再び追って来る。 その間約二十二秒。 馬車がスピードに乗るのも計算され、ランセとの距離は一定に保たれている。 その攻撃が届くか届かないかのギリギリの距離に。 その止めていた何秒かはレーレとの距離を離す為でもあるのだろう。 今馬車とレーレとの距離は四百メートルぐらいだろうか、レーレが砦まで着くには、まだ五百メートル程ある。
砦では、もう俺達の事を発見してても良い距離だ。 弓の有効射程距離は五百メートル程だが、ちゃんと狙うのなら三百メートルを切ってからだろう。 俺達が居るからたぶんそのぐらいは大丈夫だと思うが、レーレが報告して、それを伝えられるのにどの位掛かるのか。 後は砦側の動きに掛かって来る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
国境の砦屋上、もうアツシ達は発見されていた。
「あれは・・・・・あの馬車、クロッケル殿が運転しているぞ。 レーレ殿が先頭を走っている?状況が良く分からんが・・・・・ おい!! アツシ殿達が襲われているぞ!! 全員戦闘準備だ、まだ遠い、弓を準備しろ!!」
「何だと!! 英雄達を助けるぞ、至急デンドロ殿をお呼びしろ!!」
デンドロが屋上に到着した時、砦からの矢の射程へと入ろうとしていた。 その距離約六百メートル、この屋上から山なりに射ればギリギリ届く距離だ、ただその命中精度は低く、全軍が討ち放てば、護るべき英雄さえも串刺しにされる。
「状況から見るに追われている様だが、何故攻撃を仕掛けずただ逃げているのか。 何方にしろ敵の攻撃は届いていない様だな。 うむ、命中出来る距離になったら各自の判断で射ってよし!! 絶対に英雄達には当てるなよ!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
馬車は砦へと近づいて来る、そろそろレーレが到着した頃だった。 馬車の形もしっかりと分かる距離。 馬車の天井に登り、イバスが両手を広げて何かを伝えようとしている。
「ま、待ってくださいデンドロ様!! イバス殿が馬車の上に立たれています!! あれはどういう事でしょう。」
「何ッ!! ・・・・・撃つなという事か? 全軍停止!! まずレーレ殿の話を聞く必要がある、武器を持って待機だ!! 連絡管をから何か報告は来ていないか!!」
「ハッ!! レーレ殿から攻撃停止の要請が今来ました!! あの魔物を王国に連れ帰る予定らしいです!! それから魔物だけを一時間程門に閉じ込めて欲しいそうです!!」
「了解した、全軍攻撃解除!! 門を開ける様に指示を出せ!! 魔物だけを閉じ込める様に伝えろよ!!」
「はい、分かりました!!」
砦からは一切の攻撃がなく、ただ砦の門が開かれた。 馬車はその門を潜り抜け、ランセという魔物だけが門の中へと取り残された。
そんな化け物じみた姿なのに、俺達は手を出せないでいた。 俺にはその顔に見覚えがあったからだ。 あれはジュリアンの屋敷にいたランセフォーゼさんにそっくりだ。 女達が馬車を降り、剣を構えるが、俺達はそれを制止した。
「ちょっと待ってくれストリー!! 俺達この人に見覚えがあるんだ。」
「僕もたぶん知ってる、なんでそんな姿になってるんだよランセフォーゼさん・・・・・」
「・・・・・クソッ垂れがッ!!」
「ィバジュジャアアア、ダジュゲチェエエアアアアア!!」
ランセさんの言葉は俺には分からなかった、イバスには何となく分かったのか、恐る恐る手を伸ばしているのだが、それを拒否するように触手の一本がイバスを襲う。 イバスの伸ばされた手を、その触手が貫いた。
「ぐああああああああッ!!」
「イバス様! アスメライさん回復をお願いいたします!! こんな魔物は私達が成敗してさしあげますわ!!」
「貴女が何方か知りませんけど、イバスさんの仇を討たせてもらいます!!」
「アギャアアアアアアアゴゲンジャザイイイイイ、アアアアアアアアアアア!!」
謝ってるようにも見えるが、そんな事とは裏腹に、ランセの何本もの触手が俺達を襲いだした。 何とか助けられる方法があれば良いのだが。 彼女を知っている俺達男だけが手を出せないでいる。
「私も行くぞ、お前達が戦えないのなら私が倒して来てやる。 アツシ、私の活躍をそこで見ていろ。」
「待てストリー!! あの人俺達の知ってる人なんだ、たぶんあの人も被害者なんだよ!! 何とか助ける方法はないのか?!」
「王国に行けば方法があるかもしれないが、こんな場所ではどうしようもない。 もう諦めろ!!」
ストリーは走り、ランセを倒す為に全力で剣を振っている。 あれがもし俺だとしても、ストリーは剣を取るだろう。 ストリーとはそんな奴だ。 だが俺は知り合いが死ぬ所なんて見たくない、俺に助けられる方法は思いつかないなら・・・・・イバスに相談してみよう!! 俺は、まだ傷が塞がったばかりのイバスに話しかけた。
「イバス、痛いだろうけど、お前ぐらいにしか方法は思いつかないんだ、ランセさんを助ける方法は何かないのか!!」
「方法は・・・・・方法は・・・・・あるよ!! 物凄く可能性は低いけれど、成功すれば助かるかもしれない!!」
「で? 如何すれば良い?」
「僕達は何もしない、ただ馬車を追って来てもらうんだ、幸い彼女は植物と合成されてるみたいだから、水さえ何とか出来れば生きられるかもしれない。 近づいたら襲われちゃうから、彼女の足で追って来てもらうしかないけれど・・・・・馬も休ませなきゃいけないのが・・・・・もうそれは後で考えるよ!!」
「それしか方法が無いのならそれで行こうぜ!! 良いよなクロッケル!!」
「・・・・・俺も覚悟を決めた、それで行こう。 だがランセが砦を通れるかって事だが・・・・・俺達が知らせるより先に見つけられたら、攻撃されるかもしれんぞ。」
「だったら僕が盾になる、馬車の上で手を広げて立って居れば気づいてくれるかもしれないしね。」
「ねぇあんた達、本当に良いの? このまま生きて行っても彼女をただ苦しませるだけかもしれないわよ? 此処で殺しておいたほうが彼女の為になるかもしれないのよ。」
「僕は助けるよ、僕は絶対助けたいんだ!!」
「・・・・・そう、じゃあ私もそれに従うわ。 なら戦ってる三人を呼んでくるから、その間に作戦を考えときなさい!!」
馬車は進ませる、ランセの攻撃を避けつつ、ランセを護る、そのまま通れたとしても、門を通過した後が問題だ。 ランセが一人、恰好の的になってしまう。
「砦の人に連絡を付けるしかないね。 レーレさんに走ってもらおう、一番早いのは彼女だから。」
「おい、全員戻って来たぞ!! ランセも追って来ている、此処で止まったままじゃ不味い、馬車を出すぞ!!」
三人が馬車へと乗り込むと、イバスがレーレに事情を説明すると、レーレ一人が馬車を飛び降り、砦へと向かって行った。
「成功したらキスをお願いいたしますよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
レーレは走り出した、だが馬車との距離は開いて行かない。 いくら速いと言っても、馬と同等なレベルだ、これは馬車の速度を抑えるしかないが、押えたら抑えたで追いつかれたら攻撃されてしまう。 だがもうやるしかないだろう!!
「クロッケル!! 馬車の速度を抑えてくれ、出来る限りギリギリに!!」
「おっしゃー任せろ!! 馬車が壊されない様に、攻撃は防いでくれよ。 車輪なんぞ壊されたらどうにもならんからな!!」
「アスメライ、触手を攻撃してくれよ、本体には当てるなよ?」
「私はそんなにヘボじゃないわよ、それじゃあいくわよ、アクアス・ライサー!!」
水の斬撃はランセの触手を切り裂くが、植物タイプのランセは、それを受けてむしろ元気になってる気がする。 触手も再生を始めるし、水分を吸収してるのかもしれない。
「私が降りて抑えておこうか?」
「止めてくれよストリー、一人で残るなんて危険だろ。 出来る限りこのまま進もうぜ。」
「お前がそう言ってくれるのは嬉しいが・・・・・大分攻撃が激しくなってきているぞ? このままでは馬車が致命的なダメージを負ってしまう。」
「知ってるさ!! だから今必死で考えて貰ってるんだよ!!」
自分が考えないのは、俺が考えるよりイバスが考えた方が上手い作戦を考えられるからだ。 俺がかってに動いたら、イバスの邪魔になってしまう。 もしそれで失敗したら本当に許されない。 そしてその失敗は俺達か、それともランセの死へと繋がって行く。
ガンガンと馬車の後ろから攻撃されている、そんな中、イバスの思考が終わった。
「アスメライ、ランセさんを吹き飛ばして!!」
「分かったわ!!」
アスメライが魔法を唱え、馬車後方の扉を開けると、その魔法が発動した。
「アクエリア・スぺリクル!!」
アスメライの杖の先から水の塊が現れる。 それはランセの体全てを包み込み、物凄い回転と共に、後方へと弾き飛ばす。 それでも触手の束が衝撃を和らげ、直ぐに立ち上がりまた追って来ようとしている。
「アスメライ、足を狙って水の斬撃を!!」
「任せなさい、アクアス・ライサー!!」
「クロッケルさん馬車を止めて!! アスメライはもう一度吹き飛ばして!!」
「アクエリア・スぺリクル!! これで二回目、イバス、私はもう魔法を撃てないわよ。」
「クロッケルさん十秒後に出発を!!」
「よっしゃー!! ・・・・・行くぞ!!」
クロッケルが馬車を止めるが、ランセの触手が復活し、再び追って来る。 その間約二十二秒。 馬車がスピードに乗るのも計算され、ランセとの距離は一定に保たれている。 その攻撃が届くか届かないかのギリギリの距離に。 その止めていた何秒かはレーレとの距離を離す為でもあるのだろう。 今馬車とレーレとの距離は四百メートルぐらいだろうか、レーレが砦まで着くには、まだ五百メートル程ある。
砦では、もう俺達の事を発見してても良い距離だ。 弓の有効射程距離は五百メートル程だが、ちゃんと狙うのなら三百メートルを切ってからだろう。 俺達が居るからたぶんそのぐらいは大丈夫だと思うが、レーレが報告して、それを伝えられるのにどの位掛かるのか。 後は砦側の動きに掛かって来る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
国境の砦屋上、もうアツシ達は発見されていた。
「あれは・・・・・あの馬車、クロッケル殿が運転しているぞ。 レーレ殿が先頭を走っている?状況が良く分からんが・・・・・ おい!! アツシ殿達が襲われているぞ!! 全員戦闘準備だ、まだ遠い、弓を準備しろ!!」
「何だと!! 英雄達を助けるぞ、至急デンドロ殿をお呼びしろ!!」
デンドロが屋上に到着した時、砦からの矢の射程へと入ろうとしていた。 その距離約六百メートル、この屋上から山なりに射ればギリギリ届く距離だ、ただその命中精度は低く、全軍が討ち放てば、護るべき英雄さえも串刺しにされる。
「状況から見るに追われている様だが、何故攻撃を仕掛けずただ逃げているのか。 何方にしろ敵の攻撃は届いていない様だな。 うむ、命中出来る距離になったら各自の判断で射ってよし!! 絶対に英雄達には当てるなよ!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
馬車は砦へと近づいて来る、そろそろレーレが到着した頃だった。 馬車の形もしっかりと分かる距離。 馬車の天井に登り、イバスが両手を広げて何かを伝えようとしている。
「ま、待ってくださいデンドロ様!! イバス殿が馬車の上に立たれています!! あれはどういう事でしょう。」
「何ッ!! ・・・・・撃つなという事か? 全軍停止!! まずレーレ殿の話を聞く必要がある、武器を持って待機だ!! 連絡管をから何か報告は来ていないか!!」
「ハッ!! レーレ殿から攻撃停止の要請が今来ました!! あの魔物を王国に連れ帰る予定らしいです!! それから魔物だけを一時間程門に閉じ込めて欲しいそうです!!」
「了解した、全軍攻撃解除!! 門を開ける様に指示を出せ!! 魔物だけを閉じ込める様に伝えろよ!!」
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