一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
21 王道を行く者達65
ジュリアンの体がぬらぬらと光り、炎の中でも全く怯まない。 腕に刺さった剣を、自分の剣で無理やり引き抜き捨てると、横に居たラムと打ち合い弾き飛ばす。 飛ばしたラムを無視し、自分の体に傷を付けたリーゼを狙いだす。
リーゼは襲い掛かる突きの一撃を躱し、敵の背後からリサが攻撃を仕掛ける。 だがジュリアンが前から後ろへと剣を円の様に振り回し、そのタイミングがずらされた。 更には蹴り上げた脚がリサを吹き飛ばし、声の無い雄叫びを上げた。
「クハァッッッッッッッ!!」
この戦いの最中、ジュリアンの側近のみが戦いを続けているが、他の兵士達は、何方の陣営にも見方する訳でもなく、ただ戦いを見続けている。 きっとまだ頭の思考が追いついていないのだろう。 兵士の思考が追いつく前に、此方へ流れを作ろうとリーゼが動いた。
「貴方達!! あれが貴方達の王だと言うの!! あれは貴方達の王に成り代わっていただけの、ただの化け物よ!! 貴方達も兵隊なら、自分の国を護りたいでしょう? 自分の正義の為にあの化け物と戦いなさいよ!!」
殆どの兵士はその言葉を聞いても動かない、だがたったひと握りの人数だったが、確かに動き出す者達がいた。 名を上げる為か、正義の為か、ジュリアンに向かい戦闘を仕掛ける。
「ッァァゥァッ・・・・・!!」
ジュリアンが声を出そうとしているが、その声は出ない。 反論すら出来ず、襲い掛かる兵士の一人を斬り伏せた。
もし今人の姿だとしたら、こうはならなかったかもしれない。 しかし、今目の前に見えるのは、声すらだせないヌラヌラとした化け物だ。 その化け物が自分達の仲間を殺し、それが決定打となった。
「あの化け物を倒せえええええええええええええ!!」
この一瞬で全ての攻守が逆転した、ジュリアンの兵は後から抑えこまれ、残ったのは一匹の化け物だけだった。
「全軍、あの化け物を撃滅せよ!! ジュリアン様の仇だ、徹底的に叩きのめせッ!!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
「相手はただの一匹だ、数で攻め立てろ!!」
流石のジュリアンも、圧倒的な数の差により小さな傷が増え始め、耐えきれなくなったのか空中に浮かび上がる。 そして腕の黒剣がどす黒いオーラに包まれて行く。 少しずつ大きく、際限もなくドンドン大きく長く伸びて行く。 集中している為か動きは止まっているが、空に居る為攻撃手段が余りない。
「ま、待て、そ、そんなものを使えば城が無くなってしまうぞおおおおおおおおお!!」
それを見ていた、押さえつけられた兵士の一人が叫んでいる。
「くッ、まさかあれが巨大な魔物を倒したと言う技か!! こんな中であんなの物を使われたら不味いぞ、直ぐに叩き落すぞリーゼ!!」
「そうね、叩き落してやるわよ!!」
膨らみ続けるジュリアンの剣はいっそう大きく、ドス黒い輝きを増して行く。 リーゼはジュリアンに向かい炎の魔法を放った。
「ファイヤーッ!!」
爆発する炎は使えないが、直進する炎はジュリアンへと命中し、その体を包み込む。 だがヌラヌラとテカる体には炎は通じず、仕方なく落ちている剣を投げつけたが、その剣は腕により払われ、もう一本の大きな剣がその腹へと突き刺さった。 それはリサが投げつけた物、完全に突き抜けて、剣は血を滴らせるが、まだ動きを止めたまま、大きな剣は壁を突き破り、尚
も大きさを増している。
「ハッ・・・・・な、何をしている、俺達も攻撃を仕掛けるのだ。 投擲武器が無い者は剣を投げよ、あれ以上剣を成長させてはならぬ!!」
降り注ぐ剣や石の雨、ジュリアンの体には無数の剣が突き刺さる。 しかしそれでも成長は止まらない、剣の大きさは城を切り裂く程の大きさになっている。 その剣を天井へと振り上げ、ガラガラと瓦礫が落下していく。
「やっと回復が終わったぞ!! 俺の剣ももっていけえええええええええええええ!!」
ラフィールの投げつけた剣は、魔物の胸部へと突き刺さる。 その攻撃によりジュリアンの動きがピタリと止まる。
「やったか?!」
「まだよ、まだ死んでいないわ!!」
ゆっくりとリーゼ達の方へ振り返り、その顔が恐ろしい笑顔となっていく。
「ふおおおおおおおお!! 私だって剣を投げるぐらい出来るんですよ。 くらいなさい、てやああああああああああ!!」
マッドまで近くにあった剣を掴み、それを思いっきり放り投げ、それはフラフラと回転し、ジュリアンの頭上へと上がる。 その力の無さに、ジュリアンはそれを払う事もせず、リーゼに向けて剣を振り下ろす。 大きく音を立てて城が切り裂かれる。
マッドの投げた剣がジュリアンの頭へ落ちて行く、剣は小さな傷を残し弾かれるはずだった。 だがその剣は、サタニアた付けた傷の辺りに偶然ぶつかる。 その偶然もただそれだけのはずだった。 しかしその剣こそが全てを逆転させる。 マッドが拾った剣はジュリアンが投げ捨てたリーゼの剣だった。
頭蓋が上下にずれていく。 剣に込められた力は無産し、その体はどさりと地上に落ちる。 ジュリアンは自分でも気づかぬままに、その命を終えていた。
「勝ったぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
「喜んでる所悪いんだけど、早く逃げないと崩れるわよ!! 死にたく無ければ急いで避難しなさい!!」
上部から瓦礫が落ち、ジュリアンの体を飲み込んで行く。 それはドンドンスピードを増し、城の形が無くなって行く。
「急ぐよリーゼちゃん!!」
「ええ・・・・・」
後で剣を探すのが面倒だと思いつつ、リーゼ達は城から脱出して行った。
リーゼは襲い掛かる突きの一撃を躱し、敵の背後からリサが攻撃を仕掛ける。 だがジュリアンが前から後ろへと剣を円の様に振り回し、そのタイミングがずらされた。 更には蹴り上げた脚がリサを吹き飛ばし、声の無い雄叫びを上げた。
「クハァッッッッッッッ!!」
この戦いの最中、ジュリアンの側近のみが戦いを続けているが、他の兵士達は、何方の陣営にも見方する訳でもなく、ただ戦いを見続けている。 きっとまだ頭の思考が追いついていないのだろう。 兵士の思考が追いつく前に、此方へ流れを作ろうとリーゼが動いた。
「貴方達!! あれが貴方達の王だと言うの!! あれは貴方達の王に成り代わっていただけの、ただの化け物よ!! 貴方達も兵隊なら、自分の国を護りたいでしょう? 自分の正義の為にあの化け物と戦いなさいよ!!」
殆どの兵士はその言葉を聞いても動かない、だがたったひと握りの人数だったが、確かに動き出す者達がいた。 名を上げる為か、正義の為か、ジュリアンに向かい戦闘を仕掛ける。
「ッァァゥァッ・・・・・!!」
ジュリアンが声を出そうとしているが、その声は出ない。 反論すら出来ず、襲い掛かる兵士の一人を斬り伏せた。
もし今人の姿だとしたら、こうはならなかったかもしれない。 しかし、今目の前に見えるのは、声すらだせないヌラヌラとした化け物だ。 その化け物が自分達の仲間を殺し、それが決定打となった。
「あの化け物を倒せえええええええええええええ!!」
この一瞬で全ての攻守が逆転した、ジュリアンの兵は後から抑えこまれ、残ったのは一匹の化け物だけだった。
「全軍、あの化け物を撃滅せよ!! ジュリアン様の仇だ、徹底的に叩きのめせッ!!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
「相手はただの一匹だ、数で攻め立てろ!!」
流石のジュリアンも、圧倒的な数の差により小さな傷が増え始め、耐えきれなくなったのか空中に浮かび上がる。 そして腕の黒剣がどす黒いオーラに包まれて行く。 少しずつ大きく、際限もなくドンドン大きく長く伸びて行く。 集中している為か動きは止まっているが、空に居る為攻撃手段が余りない。
「ま、待て、そ、そんなものを使えば城が無くなってしまうぞおおおおおおおおお!!」
それを見ていた、押さえつけられた兵士の一人が叫んでいる。
「くッ、まさかあれが巨大な魔物を倒したと言う技か!! こんな中であんなの物を使われたら不味いぞ、直ぐに叩き落すぞリーゼ!!」
「そうね、叩き落してやるわよ!!」
膨らみ続けるジュリアンの剣はいっそう大きく、ドス黒い輝きを増して行く。 リーゼはジュリアンに向かい炎の魔法を放った。
「ファイヤーッ!!」
爆発する炎は使えないが、直進する炎はジュリアンへと命中し、その体を包み込む。 だがヌラヌラとテカる体には炎は通じず、仕方なく落ちている剣を投げつけたが、その剣は腕により払われ、もう一本の大きな剣がその腹へと突き刺さった。 それはリサが投げつけた物、完全に突き抜けて、剣は血を滴らせるが、まだ動きを止めたまま、大きな剣は壁を突き破り、尚
も大きさを増している。
「ハッ・・・・・な、何をしている、俺達も攻撃を仕掛けるのだ。 投擲武器が無い者は剣を投げよ、あれ以上剣を成長させてはならぬ!!」
降り注ぐ剣や石の雨、ジュリアンの体には無数の剣が突き刺さる。 しかしそれでも成長は止まらない、剣の大きさは城を切り裂く程の大きさになっている。 その剣を天井へと振り上げ、ガラガラと瓦礫が落下していく。
「やっと回復が終わったぞ!! 俺の剣ももっていけえええええええええええええ!!」
ラフィールの投げつけた剣は、魔物の胸部へと突き刺さる。 その攻撃によりジュリアンの動きがピタリと止まる。
「やったか?!」
「まだよ、まだ死んでいないわ!!」
ゆっくりとリーゼ達の方へ振り返り、その顔が恐ろしい笑顔となっていく。
「ふおおおおおおおお!! 私だって剣を投げるぐらい出来るんですよ。 くらいなさい、てやああああああああああ!!」
マッドまで近くにあった剣を掴み、それを思いっきり放り投げ、それはフラフラと回転し、ジュリアンの頭上へと上がる。 その力の無さに、ジュリアンはそれを払う事もせず、リーゼに向けて剣を振り下ろす。 大きく音を立てて城が切り裂かれる。
マッドの投げた剣がジュリアンの頭へ落ちて行く、剣は小さな傷を残し弾かれるはずだった。 だがその剣は、サタニアた付けた傷の辺りに偶然ぶつかる。 その偶然もただそれだけのはずだった。 しかしその剣こそが全てを逆転させる。 マッドが拾った剣はジュリアンが投げ捨てたリーゼの剣だった。
頭蓋が上下にずれていく。 剣に込められた力は無産し、その体はどさりと地上に落ちる。 ジュリアンは自分でも気づかぬままに、その命を終えていた。
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