一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
22 廃村にある剣の回収
次の日の朝、僕は家の外に出ると、心成しか近所の皆さんから白い目で見られている気がする。
たぶんきっと気のせいだと思う。
うん、そうに違いない。
僕はそこから逃げる様に走り出し、アツシと待ち合わせている正門へと向かった。
今日は南の遺跡に行ってみる予定で、馬は正門へと届いている。
後は遺跡に直行するだけだ。
正門の前にはアツシと、もう一人、あの人物は知っている。
「あれ、何で居るんですかアスメライさん。何か用事でもありましたか?」
「はあ? あんた忘れたんじゃないでしょうね。まだ私達、報酬のあの剣貰ってないんだけれど!早く渡しなさいよ!」
「あ、ああ、あれですか……いやぁ、二人を救出する時に、水の中に捨てて来ちゃったんで、崩れた家の下敷きになっていたり……で、でも、二人を救出したりしたし、此処はもうチャラって事で……駄目、ですかね…………」
「駄目よ、それはそれ、これはこれ、きっちりと払って貰うわよ。剣が埋まっているのなら、きっちりと掘り返して来なさい!」
まあ仕方がないか……今回は期限が決められていないし、少しなら寄り道しても大丈夫かな。
あの剣があれば戦力がアップするし、そのまま遺跡に行って、帰ってきたら渡せば良いか。
「アツシ、予定を変えるぞ。まずあの廃村に置いて来た剣を回収して、それから南にある遺跡に向かおう。じゃあアスメライさん、夜には戻ると思いますから、その時に部屋に渡しに行きます。じゃあ行ってきます」
「おう、じゃあ行って来るぜ。俺達の無事を祈ってくれよな」
「待って、貴方達だけじゃ心配だもの、私もついて行ってあげるわ。私が付いて行くからには、敵が出てきても直ぐ倒してあげるわよ」
昨日まで閉じ込められてたじゃないですか……とは言わない方が良いよね。
「いや、それは助かるが、アスメライは馬に乗れないんじゃなかったのか? あの馬に三人乗るのはキツイと思うんだが」
借りて来た馬は一頭だけだ、二人が乗れないとなると、歩き?
いや、それはちょっと時間が掛かるかな。
「荷馬車でも借りれば良いじゃないの。それなら三人でも乗れるでしょ」
「あ~確かにそれなら行けると思いますが、また申請するのは面倒臭いなぁ。何処かその辺りで借りられないかな?」
「ふふん、そんな事もあるかと思って、私が借りてきてあげたわ! ほら、あそこに置いてあるでしょ。アツシ、あれを馬に繋げなさい! 早く、急いで!」
「何で俺が、まあ良いけどさぁ」
文句を言いながらも、いそいそと荷台を繋げ始めるアツシ。
なんだかアスメライさんの召使の様だ。
荷台を用意しているって事は、最初からついて来る気だったのか?
何処で情報を知られてたのか気になるけど、まあ良いか。
…………ん? そういえば、エリメスさんは如何したんだろう?
何時も一緒に居ると思ったんだけど。
「アスメライさん、エリメスさんは如何しているんです? もしかしてあのまま体調崩したとか?」
「お姉ちゃんは大事を取って休ませてるだけよ。今頃は部屋で寝ているんじゃないかしら。貴方もしかして、まだお姉ちゃんの事を狙っているんじゃないでしょうね?! そんな事なら酷い目に合うわよ!」
「いや、無いですって。あくまでも友達として心配しているんですよ。一度死にかけて閉じ込められてたでしょ? 誰でも心配しますよ」
「…………ねぇイバス、なんで私と話すと、そんな違った感じになるのかしら? それ止めてくれない? アツシと話す時は普通にしてるじゃないの」
「ああ、一応先輩だし、それなりに敬意を払ってた積もりだったんだけど…………まあ嫌なら止めるよ」
「そうしなさい、歳だってそんなに変わらないでしょ」
そう言えば幾つ何だろうか? エルメスさんは二十五だから、二十ぐらいかな?
まあ十五からしか入隊出来ないから、年下って事はないだろう。
機会があったら聞いてみようかな。
「うお~い、お前等、もう荷台も繋がったし、準備出来てるぞ。喋るんなら移動しながらでも良いんじゃんねぇの?」
「それもそうだな。廃村に向かうとしようか。じゃあまずは剣の回収からだな」
僕達は廃村に向かい、剣が埋もれた場所に到着した。
改めて見ると、家一軒分の木材は相当多い。
山の様に積み重なった木材から、剣を回収するのは、かなり時間が掛かりそうだ。
「なんか…………すっごい大変そうだぞ。これ一日で終わるのか?」
「山の上から除けて行くしかないかなぁ…………じゃあ力仕事は僕達がやるから、アスメライはその辺で見ていてよ」
「そんな事していたら、どれだけ掛かるか分からないじゃない。魔法で余計なものを退けるから、ちょっと退いていなさいよ」
「また水の魔法を使うのかな? じゃあちょっと武具を外すから待ってくれ」
「脱がなくてもいいわよ、今回は別の魔法を使うから。あの中に居ないのなら、こんな物簡単よ。まあ見ていなさい。」
アスメライが魔法を唱えだす。
その体から湯気の様な魔法の光が立ち上り、その魔法が完成した。
「アース・グレイブ!」
その魔法は地面を変化させた。
剣があると思われる場所、その地面が一瞬で隆起し、材木の山を空中高く打ち上げた。
その打ちあがった材木の中には、あの剣がクルクルと回転し、木材と共に雨の様に降り注ぐ。
「うぎゃあああああああああああああ!」
「おわああああああああああああああ!」
「きゃああああああああああああああ!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン ザク
回転する剣は、僕の頭の横をすり抜け、そのまま地面に深く突き刺さる。
あの剣、触るだけで斬れる。
もし体に触れていたなら…………
「うおおおい、もうちょっと考えて魔法を使えよな! あんなの一発でも当たったら死んでたぞ!」
「気、気を付けてくれよ。あの剣当たってたら死んでたよ」
「あはは、まあ終わった事だし、気にしないでよ。剣も回収出来たし、このまま別の所に行くんでしょ? あんまり時間掛けてると夜になっちゃうわ。さあ急ぐわよ!」
「待てコラー! ちゃんと謝りやがれ!」
逃げるアスメライを追って行くアツシ。
僕は刺さった剣を引き抜き、二人を追い掛ける。
荷台の中が多少険悪になったが、その内二人が和解し、僕達は遺跡に向かった。
たぶんきっと気のせいだと思う。
うん、そうに違いない。
僕はそこから逃げる様に走り出し、アツシと待ち合わせている正門へと向かった。
今日は南の遺跡に行ってみる予定で、馬は正門へと届いている。
後は遺跡に直行するだけだ。
正門の前にはアツシと、もう一人、あの人物は知っている。
「あれ、何で居るんですかアスメライさん。何か用事でもありましたか?」
「はあ? あんた忘れたんじゃないでしょうね。まだ私達、報酬のあの剣貰ってないんだけれど!早く渡しなさいよ!」
「あ、ああ、あれですか……いやぁ、二人を救出する時に、水の中に捨てて来ちゃったんで、崩れた家の下敷きになっていたり……で、でも、二人を救出したりしたし、此処はもうチャラって事で……駄目、ですかね…………」
「駄目よ、それはそれ、これはこれ、きっちりと払って貰うわよ。剣が埋まっているのなら、きっちりと掘り返して来なさい!」
まあ仕方がないか……今回は期限が決められていないし、少しなら寄り道しても大丈夫かな。
あの剣があれば戦力がアップするし、そのまま遺跡に行って、帰ってきたら渡せば良いか。
「アツシ、予定を変えるぞ。まずあの廃村に置いて来た剣を回収して、それから南にある遺跡に向かおう。じゃあアスメライさん、夜には戻ると思いますから、その時に部屋に渡しに行きます。じゃあ行ってきます」
「おう、じゃあ行って来るぜ。俺達の無事を祈ってくれよな」
「待って、貴方達だけじゃ心配だもの、私もついて行ってあげるわ。私が付いて行くからには、敵が出てきても直ぐ倒してあげるわよ」
昨日まで閉じ込められてたじゃないですか……とは言わない方が良いよね。
「いや、それは助かるが、アスメライは馬に乗れないんじゃなかったのか? あの馬に三人乗るのはキツイと思うんだが」
借りて来た馬は一頭だけだ、二人が乗れないとなると、歩き?
いや、それはちょっと時間が掛かるかな。
「荷馬車でも借りれば良いじゃないの。それなら三人でも乗れるでしょ」
「あ~確かにそれなら行けると思いますが、また申請するのは面倒臭いなぁ。何処かその辺りで借りられないかな?」
「ふふん、そんな事もあるかと思って、私が借りてきてあげたわ! ほら、あそこに置いてあるでしょ。アツシ、あれを馬に繋げなさい! 早く、急いで!」
「何で俺が、まあ良いけどさぁ」
文句を言いながらも、いそいそと荷台を繋げ始めるアツシ。
なんだかアスメライさんの召使の様だ。
荷台を用意しているって事は、最初からついて来る気だったのか?
何処で情報を知られてたのか気になるけど、まあ良いか。
…………ん? そういえば、エリメスさんは如何したんだろう?
何時も一緒に居ると思ったんだけど。
「アスメライさん、エリメスさんは如何しているんです? もしかしてあのまま体調崩したとか?」
「お姉ちゃんは大事を取って休ませてるだけよ。今頃は部屋で寝ているんじゃないかしら。貴方もしかして、まだお姉ちゃんの事を狙っているんじゃないでしょうね?! そんな事なら酷い目に合うわよ!」
「いや、無いですって。あくまでも友達として心配しているんですよ。一度死にかけて閉じ込められてたでしょ? 誰でも心配しますよ」
「…………ねぇイバス、なんで私と話すと、そんな違った感じになるのかしら? それ止めてくれない? アツシと話す時は普通にしてるじゃないの」
「ああ、一応先輩だし、それなりに敬意を払ってた積もりだったんだけど…………まあ嫌なら止めるよ」
「そうしなさい、歳だってそんなに変わらないでしょ」
そう言えば幾つ何だろうか? エルメスさんは二十五だから、二十ぐらいかな?
まあ十五からしか入隊出来ないから、年下って事はないだろう。
機会があったら聞いてみようかな。
「うお~い、お前等、もう荷台も繋がったし、準備出来てるぞ。喋るんなら移動しながらでも良いんじゃんねぇの?」
「それもそうだな。廃村に向かうとしようか。じゃあまずは剣の回収からだな」
僕達は廃村に向かい、剣が埋もれた場所に到着した。
改めて見ると、家一軒分の木材は相当多い。
山の様に積み重なった木材から、剣を回収するのは、かなり時間が掛かりそうだ。
「なんか…………すっごい大変そうだぞ。これ一日で終わるのか?」
「山の上から除けて行くしかないかなぁ…………じゃあ力仕事は僕達がやるから、アスメライはその辺で見ていてよ」
「そんな事していたら、どれだけ掛かるか分からないじゃない。魔法で余計なものを退けるから、ちょっと退いていなさいよ」
「また水の魔法を使うのかな? じゃあちょっと武具を外すから待ってくれ」
「脱がなくてもいいわよ、今回は別の魔法を使うから。あの中に居ないのなら、こんな物簡単よ。まあ見ていなさい。」
アスメライが魔法を唱えだす。
その体から湯気の様な魔法の光が立ち上り、その魔法が完成した。
「アース・グレイブ!」
その魔法は地面を変化させた。
剣があると思われる場所、その地面が一瞬で隆起し、材木の山を空中高く打ち上げた。
その打ちあがった材木の中には、あの剣がクルクルと回転し、木材と共に雨の様に降り注ぐ。
「うぎゃあああああああああああああ!」
「おわああああああああああああああ!」
「きゃああああああああああああああ!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン ザク
回転する剣は、僕の頭の横をすり抜け、そのまま地面に深く突き刺さる。
あの剣、触るだけで斬れる。
もし体に触れていたなら…………
「うおおおい、もうちょっと考えて魔法を使えよな! あんなの一発でも当たったら死んでたぞ!」
「気、気を付けてくれよ。あの剣当たってたら死んでたよ」
「あはは、まあ終わった事だし、気にしないでよ。剣も回収出来たし、このまま別の所に行くんでしょ? あんまり時間掛けてると夜になっちゃうわ。さあ急ぐわよ!」
「待てコラー! ちゃんと謝りやがれ!」
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