一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
15 体育祭 棒倒し
ストリーを言いくるめる為に嘘を付いたアツシ。
男達との相談の末体育祭を行う事になる。
二百メートルを無事終了する事ができ、リレーを始めるが、始まった瞬間足を掴んだり進行を邪魔したりで全員がノックアウトされてしまう。
アツシはルールを教えれば良かったと後悔した。
次の騎馬戦ガーブルに無理やり参加させられ騎馬役のブレッドとコンビを組んだ。
バール、ベルトを撃破し、敵の大将格のサックスを狙うった。
だがアツシの攻撃は躱され、その内無視されていたが、隙を付いて攻撃を仕掛ける。
だがやはり躱されて、最終的にはアンドレスを狙い見事ハチマキをゲットした…………
タナカアツシ(異界から来た男) サックス (イベントの議長)
ガーブル(王国、親衛隊) アンドレス(王国 兵士)
「あ~疲れた~」
「良くやったなアツシ、大活躍だったじゃないか。この調子でもう一競技頑張ってくれよ」
俺を労ってストリーが水を持ってきてくれた。
疲れたって言ったが、実際は全く疲れてない。
座って手を伸ばしたりしてただけだからなぁ。
「ありがとな、でも俺は次の競技には出ないぞ。俺と此処で見学しとこうぜ」
「ん? 出ないのか? さっき親父がアツシも出すって言ってたぞ。ほらバールが来たてる。アツシを呼びに来たんじゃないか?」
俺が首を横に向けるとバールが此方へ向かって来ていた。
だが俺に出場の意思はない。
さっき勝てたのはブレッドという足と相手の油断があったからだ。
生身の俺があんな中に入ったら一瞬でボロクズの様にされてしまうだろう。
「アツシ出番だぞ、棒倒しにいこう」
バールは俺に声をかけた。
「大丈夫だアツシ、毎日私と訓練しただろう。これはタダの競技なんだ、自信をもってぶつかれば良いさ」
ストリーも俺をやらせる気らしいけど、この国にはただの競技で大怪我出来る様な奴がゴロゴロ居るのだ。
「バール、俺は出ないぞ。俺に必要な本は全て揃っているんだ。此処で出ても俺には得がないからな」
しかし頭に血がのぼって言わなくても良いことが出てしまった。
「本って何だ? 何か賞品でも出るのか?」
ストリーが怪しんでいる。
「あ、ああ、俺ちょっとこの世界の事を勉強してるんだ。サックスが活躍した者に何かくれるっていうんで、その本を貰ったんだよ」
何か言い訳をと考え出したのがこれだ。
「ふ~ん、勉強してるのか、じゃあ今度私が教えてやるよ。今どんなのを勉強してるんだ?」
「……ああ悪いストリー、やっぱりガーブルに悪いから、棒倒し行って来る。じゃあまた後でな」
「あ、ああ、気を付けて行って来いよ」
俺は棒倒しへと逃げ出した。
あんまり話してるとボロが出てしまうからな。
「アツシ、迂闊な言動は駄目だ。ボロが出れば男全員の命に関わりかねないんだ。イモータル様のあんな本がなければもう少し危険は低かったんだが。全く誰が作ったんだろな! もし本人に出会う事があるなら、お茶でも一緒に飲みたいじゃないか全く」
怒ってるのか喜んでるのか分からない事を言っている。
いや、やっぱり喜んでいるだろう……。
此奴の趣味はそういう系なのか。
だが確か、不敬罪は死刑だったはずだ。
俺もそれで酷い目にあった事がある。
やっぱり一回使ったら燃やした方がいいのかもしれないな。
で、連れて行かれた棒倒しの会場。
どうやら棒倒しは騎馬戦と同じメンバーで、相手も同じらしい。
もしかしたらサックスが俺を狙って来るかもしれない。
でもあくまでもこれは棒を倒す競技だ。
棒から離れていれば襲って来ないよな?
ドゴオォォォォォォォン……。
時間が来てドラが鳴ると棒倒しが始まった。
「ゴルディオン、アルダイガー、お前達なら二人で棒を護り切れるだろう。残りは俺と一緒に突撃だ!」
ガーブルが味方に指示を出している。
「おう! この棒は俺達が護り通してみせる!」
ゴルディオンと言う三メートル近い金色の岩男は、ゴーレムみたいになっている奴だ。
「任せておけ。俺達二人の前にはアリ一匹通しはしない!」
アルタイガーは人間なのだが、二メートルを超える大男で、その肉体はボディービルの様にキレッキレだ。
騎馬戦でこの二人が落ちたのは、向こうにも同じ様な奴が居るからだ。
向うの守りに付いたのは、皮膚が木の皮の様な男と、下半身が大蛇っぽい奴。
長さだけならこの蛇男が誰よりも長いだろう。
俺は離れて見物していたのだけど、そういう訳にはいかないようだ。
「アツシ殿、貴公にはこのイベントの恩義もあるが、やはり負けるのは性に合わんのでな。先ほどのお返しだ。少々痛い目に合ってもらうぞ」
アンドレスがこっちに来て、ハチマキを取ったお返しとばかり睨みつけて来ていた。
「絶対嫌だね! 相手なんてしてられないぜ」
兎に角逃げるが勝ちだとフィールドを走り回った。
捕まったら勝ち目なんてないからな。
今回はハチマキを取ったら退場なんてルールは無い。
やられても立ち上がったらまたボコボコにされるだけなのだ。
……ん?
そうだ、その手があった。
立ち上がらなければ良いんじゃないか?
大群の方に突っ込んで、やられた振りをして倒れていよう。
もしかしたらその内チャンスが来るかもしれないぞ。
俺は大群に突っ込み、何となく棒の近くに居る敵の死角に倒れこんだ。
それは上手くいってアンドレスにも気づかれなかった。
まだちょっと距離があるが、気付かれない内にジリジリ距離を詰めていこう。
両方互角の勝負が続いている。
と思う。
此処からじゃあ見えないんだが、戦いが続いているのは分かる。
ゆっくりゆっくりと腕と足首を動かし、ジリジリと棒に寄って残り十メートル。
そろそろ良いだろうと、このままチャンスを待っている。
「ぬお、一から三隊は棒を護れ! 敵の攻撃を食い止めるぞ!」
ガーブルの声が聞こえる。
どうやら此方がピンチの様だ。
しかし此方がピンチだからと言って、今動いても俺に出来る事なんてない。
「おい、アツシ殿大丈夫か?」
「気絶しているんじゃないか? ふ~む競技が終わったら救護室にでも運んでやるか」
この声はたぶん、敵側の棒を護っていた二人の声だろう。
自軍の勝ちが見えたから油断して、俺を見に来たんだな。
微妙に薄めを開けて状況を確認すると、木の男が棒を持ってるのが見える。
片手でそれを持ち、棒の大きさからちゃんと握りしめてはいない。
足で弾けば棒は倒せる!
「ンハァッ ああ、大丈夫だ、よッと!」
俺の足払いは確かに決まった。
棒の根元を蹴り、敵の手から弾くはずだった。
だが尋常じゃない握力により、それは少しだけ傾いただけだった。
「おっと危ない危ない。そういえば先ほども策を弄していましたからなぁ。今回は失敗でしたな。ハッハッ八!」
木人の男が笑っている。
見つかったらもう無理だ!
こうなったらなりふり構ってられないな。
隙をついて敵の棒によじ登り、一番上で体を動かしてみるが全然動かない。
「存分にどうぞ。これぐらいなら余裕ですのでな。ハッハッ八!」
くそう、この状況どうにか出来ないだろうか。
敵は攻撃の最中でこの近くには居ない。
味方は棒が倒されそうで大ピンチ。
俺は敵の棒の上で全然動かせない。
あの敵の群れがもしも……。
やってみるか!
「うおおおおおおおおおおおおおおおお! 敵の棒は貰ったぞおおおおおおおおおおおおお! もう少しで倒せるぞおおおおおおおおおおお!」
もちろん全然倒せる気配なんてないんだけど、俺の大声を聞きつけて、攻撃していた敵の兵達が俺の存在に気付いた。
五人、六人と俺の方に向かって走って来ている。
敵の攻撃が緩み、俺達のチャンスが来た!
「ば、馬鹿者、行くな。それは罠だ!」
サックスが呼び止めるがもう遅い。
「今だ! 押し込めえええええええええええええ!」
ガーブルの声が掛かり、俺達の兵が士気が上がる。
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」
雄叫びを上げ大群が此方へと押し寄せる。
俺の方向に向かっていた敵の兵は、背中を押されなぎ倒され。
形勢は一気に逆転した。
木人と蛇男は兵に揉みくちゃにされ、棒はゆっくりと倒れて行った。
「俺達の勝利だ!」
俺は拳を上げて勝利を宣言した。
男達との相談の末体育祭を行う事になる。
二百メートルを無事終了する事ができ、リレーを始めるが、始まった瞬間足を掴んだり進行を邪魔したりで全員がノックアウトされてしまう。
アツシはルールを教えれば良かったと後悔した。
次の騎馬戦ガーブルに無理やり参加させられ騎馬役のブレッドとコンビを組んだ。
バール、ベルトを撃破し、敵の大将格のサックスを狙うった。
だがアツシの攻撃は躱され、その内無視されていたが、隙を付いて攻撃を仕掛ける。
だがやはり躱されて、最終的にはアンドレスを狙い見事ハチマキをゲットした…………
タナカアツシ(異界から来た男) サックス (イベントの議長)
ガーブル(王国、親衛隊) アンドレス(王国 兵士)
「あ~疲れた~」
「良くやったなアツシ、大活躍だったじゃないか。この調子でもう一競技頑張ってくれよ」
俺を労ってストリーが水を持ってきてくれた。
疲れたって言ったが、実際は全く疲れてない。
座って手を伸ばしたりしてただけだからなぁ。
「ありがとな、でも俺は次の競技には出ないぞ。俺と此処で見学しとこうぜ」
「ん? 出ないのか? さっき親父がアツシも出すって言ってたぞ。ほらバールが来たてる。アツシを呼びに来たんじゃないか?」
俺が首を横に向けるとバールが此方へ向かって来ていた。
だが俺に出場の意思はない。
さっき勝てたのはブレッドという足と相手の油断があったからだ。
生身の俺があんな中に入ったら一瞬でボロクズの様にされてしまうだろう。
「アツシ出番だぞ、棒倒しにいこう」
バールは俺に声をかけた。
「大丈夫だアツシ、毎日私と訓練しただろう。これはタダの競技なんだ、自信をもってぶつかれば良いさ」
ストリーも俺をやらせる気らしいけど、この国にはただの競技で大怪我出来る様な奴がゴロゴロ居るのだ。
「バール、俺は出ないぞ。俺に必要な本は全て揃っているんだ。此処で出ても俺には得がないからな」
しかし頭に血がのぼって言わなくても良いことが出てしまった。
「本って何だ? 何か賞品でも出るのか?」
ストリーが怪しんでいる。
「あ、ああ、俺ちょっとこの世界の事を勉強してるんだ。サックスが活躍した者に何かくれるっていうんで、その本を貰ったんだよ」
何か言い訳をと考え出したのがこれだ。
「ふ~ん、勉強してるのか、じゃあ今度私が教えてやるよ。今どんなのを勉強してるんだ?」
「……ああ悪いストリー、やっぱりガーブルに悪いから、棒倒し行って来る。じゃあまた後でな」
「あ、ああ、気を付けて行って来いよ」
俺は棒倒しへと逃げ出した。
あんまり話してるとボロが出てしまうからな。
「アツシ、迂闊な言動は駄目だ。ボロが出れば男全員の命に関わりかねないんだ。イモータル様のあんな本がなければもう少し危険は低かったんだが。全く誰が作ったんだろな! もし本人に出会う事があるなら、お茶でも一緒に飲みたいじゃないか全く」
怒ってるのか喜んでるのか分からない事を言っている。
いや、やっぱり喜んでいるだろう……。
此奴の趣味はそういう系なのか。
だが確か、不敬罪は死刑だったはずだ。
俺もそれで酷い目にあった事がある。
やっぱり一回使ったら燃やした方がいいのかもしれないな。
で、連れて行かれた棒倒しの会場。
どうやら棒倒しは騎馬戦と同じメンバーで、相手も同じらしい。
もしかしたらサックスが俺を狙って来るかもしれない。
でもあくまでもこれは棒を倒す競技だ。
棒から離れていれば襲って来ないよな?
ドゴオォォォォォォォン……。
時間が来てドラが鳴ると棒倒しが始まった。
「ゴルディオン、アルダイガー、お前達なら二人で棒を護り切れるだろう。残りは俺と一緒に突撃だ!」
ガーブルが味方に指示を出している。
「おう! この棒は俺達が護り通してみせる!」
ゴルディオンと言う三メートル近い金色の岩男は、ゴーレムみたいになっている奴だ。
「任せておけ。俺達二人の前にはアリ一匹通しはしない!」
アルタイガーは人間なのだが、二メートルを超える大男で、その肉体はボディービルの様にキレッキレだ。
騎馬戦でこの二人が落ちたのは、向こうにも同じ様な奴が居るからだ。
向うの守りに付いたのは、皮膚が木の皮の様な男と、下半身が大蛇っぽい奴。
長さだけならこの蛇男が誰よりも長いだろう。
俺は離れて見物していたのだけど、そういう訳にはいかないようだ。
「アツシ殿、貴公にはこのイベントの恩義もあるが、やはり負けるのは性に合わんのでな。先ほどのお返しだ。少々痛い目に合ってもらうぞ」
アンドレスがこっちに来て、ハチマキを取ったお返しとばかり睨みつけて来ていた。
「絶対嫌だね! 相手なんてしてられないぜ」
兎に角逃げるが勝ちだとフィールドを走り回った。
捕まったら勝ち目なんてないからな。
今回はハチマキを取ったら退場なんてルールは無い。
やられても立ち上がったらまたボコボコにされるだけなのだ。
……ん?
そうだ、その手があった。
立ち上がらなければ良いんじゃないか?
大群の方に突っ込んで、やられた振りをして倒れていよう。
もしかしたらその内チャンスが来るかもしれないぞ。
俺は大群に突っ込み、何となく棒の近くに居る敵の死角に倒れこんだ。
それは上手くいってアンドレスにも気づかれなかった。
まだちょっと距離があるが、気付かれない内にジリジリ距離を詰めていこう。
両方互角の勝負が続いている。
と思う。
此処からじゃあ見えないんだが、戦いが続いているのは分かる。
ゆっくりゆっくりと腕と足首を動かし、ジリジリと棒に寄って残り十メートル。
そろそろ良いだろうと、このままチャンスを待っている。
「ぬお、一から三隊は棒を護れ! 敵の攻撃を食い止めるぞ!」
ガーブルの声が聞こえる。
どうやら此方がピンチの様だ。
しかし此方がピンチだからと言って、今動いても俺に出来る事なんてない。
「おい、アツシ殿大丈夫か?」
「気絶しているんじゃないか? ふ~む競技が終わったら救護室にでも運んでやるか」
この声はたぶん、敵側の棒を護っていた二人の声だろう。
自軍の勝ちが見えたから油断して、俺を見に来たんだな。
微妙に薄めを開けて状況を確認すると、木の男が棒を持ってるのが見える。
片手でそれを持ち、棒の大きさからちゃんと握りしめてはいない。
足で弾けば棒は倒せる!
「ンハァッ ああ、大丈夫だ、よッと!」
俺の足払いは確かに決まった。
棒の根元を蹴り、敵の手から弾くはずだった。
だが尋常じゃない握力により、それは少しだけ傾いただけだった。
「おっと危ない危ない。そういえば先ほども策を弄していましたからなぁ。今回は失敗でしたな。ハッハッ八!」
木人の男が笑っている。
見つかったらもう無理だ!
こうなったらなりふり構ってられないな。
隙をついて敵の棒によじ登り、一番上で体を動かしてみるが全然動かない。
「存分にどうぞ。これぐらいなら余裕ですのでな。ハッハッ八!」
くそう、この状況どうにか出来ないだろうか。
敵は攻撃の最中でこの近くには居ない。
味方は棒が倒されそうで大ピンチ。
俺は敵の棒の上で全然動かせない。
あの敵の群れがもしも……。
やってみるか!
「うおおおおおおおおおおおおおおおお! 敵の棒は貰ったぞおおおおおおおおおおおおお! もう少しで倒せるぞおおおおおおおおおおお!」
もちろん全然倒せる気配なんてないんだけど、俺の大声を聞きつけて、攻撃していた敵の兵達が俺の存在に気付いた。
五人、六人と俺の方に向かって走って来ている。
敵の攻撃が緩み、俺達のチャンスが来た!
「ば、馬鹿者、行くな。それは罠だ!」
サックスが呼び止めるがもう遅い。
「今だ! 押し込めえええええええええええええ!」
ガーブルの声が掛かり、俺達の兵が士気が上がる。
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」
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