一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。

秀典

18 まおうぐんのにちじょう6 プール際の美女達

 この物語は時間軸関係無くなんとなく書きたくなった物を書いた物です…………


べノムザッパー(王国、探索班)     タナカアツシ(異界から来た男)
ストリー(ガーブルの娘)        ベルト(アツシの同志)


 今現在、アツシは金が無かった。
 元の世界では働くという選択肢はまだ無かったが、この世界ではそうもいかない。

「働き口を探さないと……ガーブルに頼むのは嫌だな。……良しべノムの所行こう」

 まずはべノムに頼む事にした。
 その家に向かった俺は、家の扉を叩く。

「べノム居るか、居るだろ。ちょっと頼みを聞いてくれよ」

「べノムなら居ないわよ、なんか仕事に出かけるってさ」

 扉から出て来たのはべノムではなかった。
 ラフな格好をしたグレモリアさんが、そう答えてくれた。
 殆ど遊んでいるイメージだったのに、このタイミングで仕事なのか。

「それじゃあ俺が来た事を伝えといてよ。そんで俺の所に来てくれって言っといて」

「分かったわ、覚えてたらね」

 覚えてたらって……まあ良いか。
 一度町を周っててみよう。

 町には瓦礫を撤去している仕事をしている人をよく見かける。
 魔法を使い瓦礫を砕いたり、移動させたり色々だ。
 そんな魔法を使えない俺が、手伝いに入っても邪魔になるだけだろう。

 知り合いと言っても他に誰か……そうだ、居るじゃないか!
 俺には同志が居るじゃないか!
 もう牢屋から出てきているはずだ。
 秘密基地に行ってみるとしよう。

 巨大な岩の前、俺は岩を三度叩くと、その岩が動いた。
 中には六人の同志達がたむろしていた。

「久しぶりだな同志。実は頼みがあってな、ちょっと聞いて貰えないだろうか」

「誰ですか貴方、勝手に入って来ないでください」

 この間に知り合ったベルトだが、俺は忘れられているのか?

「お、俺だよ、アツシだよ。この間魔法を教えてくれただろ」

「アツシさん? 誰ですかその人、そんな人は家のメンバーにはいませんよ。そんな恋人なんて作る人は全く持って知りません! さあ帰ってください!」

「……チッ、恋人作るなんて、うらやま……けしからん! こんな所に来ないで、恋人とでもイチャ付いてろよ、くそ!」

 他のメンバーの声が聞こえる。
 なる程、こいつ等は俺に恋人が出来てねたんでいるのか。

「いや待ってくれ。俺達は同志だ。なにせ俺は女の裸を目の前にして、反応しなかった臆病者なんだ。エロい事をしようとしても俺の体は反応してくれないんだ!」

「「「「「「なっなんだってえええええ!」」」」」」

 嘘は言っていない。
 ストリーにたいして俺の兄妹は反応してくれなかった。

 その夜心配になってエロ雑誌を買ったら、ちゃんと反応してくれたので、俺が女に反応しないわけでは無いだろう。

「お、お前まさか不感症なのか……なんてことだ、まさか一生エロい事が出来ない体なんて。分かった。俺がお前の力になろう。さあ同志なんでも言ってくれよ!」

 同士達が俺を囲んで涙してくれている。

「分かってくれて嬉しいよ同志。さっそくなんだが俺は今金が無いんだ。何かいい仕事は無いだろうか」

 悩みを打ち明けてみるのだけど。

「アツシ、お前は運が良い。本当は俺がやろうと思っていたんだが、今回はお前に譲ってやろう。
その仕事とはプールの監視員だ! そう、例えプールの女の子達を見つめていても、安全を守っている為なんだ! まさに合法! そして監視した分お金も貰える素晴らしい仕事なんだ!」

 同士ベルトが、すごい仕事をくれたらしい。

「「「「「「 なっなんだってえええええ! 」」」」」」

「ち、畜生、俺もやりたかったぜ。だがアツシの為だ、涙を飲んで諦めるぜ」

 他の同士達も、涙を呑んで諦めてくれたらしい。
 ありがとうベルト、俺はお前の期待に応えてみせる。

「アツシ頼む、今度じっくりと仕事の感想を聞かせてくれ!」

「アツシさん、私達は貴方の帰りをずっとお待ちしております。どうぞお気をつけて!」

「アツシ!!」 「アツシ!!」

 同士の皆が応援してくれる。
 これほど力が湧いて来る事は無い!

「畜生、皆待っていてくれ、俺はちゃんとやり遂げて見せるぜ。水際の安全は俺が守ってやるぜ!」

「さあ、これがそこの場所だ。さあ行ってこい!」

 ベルトに地図を渡された。

「皆、行って来るよ。俺の雄姿を見守って居てくれ!」

 俺はその場所に到着した。
 まずは面接を通過しなければ先は無いのだ。
 全力でこの面接を乗り切るぜ!
 しかしそこに居るはずに無い人物がそこに居た。

「何故お前がそこに居るんだべノム!!」

 面接官として現れたのは、べノムの奴だった。

「俺か、俺は知り合いに頼まれて仕事を手伝ってるんだよ。お前こそ如何して此処にいる? まさか此処で監視員になって覗き放題なんて考えてるんじゃないだろうな?」

「ち、違う。俺は金が欲しくて純粋に仕事がしたかっただけだ!」

「確かにそうだな、お前こっちに来てから金を稼ぐ手段が無いからなぁ。良し分かった、俺の権限でお前に此処の仕事を手伝って貰おうか」

「おおお、べノム、お前はなんて良い奴なんだ。今度飴玉を驕ってやろう」

「そんなもんいらんわ! そんな事よりしっかり働くんだぞ」

「もちろんだ!」

 初めての仕事だ。
 ちょっと気合を入れて働くか。

「え~と、何? 監視の仕事じゃなかったのか? そう聞いていたのだけども」

 今俺がやらされているのは荷物運び、通路の清掃、トイレ掃除等、監視とは関係ない仕事ばかりだ。
 もしかして俺騙された?

「何だお前監視の仕事がしたかったのか? プールの監視は交代制だからな、お前の出番は週が明けたその日だぞ」

 この人は俺の上司のコーグルさんだ。
 この人の機嫌を取れば、監視の仕事を増やしてくれるかもしれない。
 なるべく気をつかわなければ。

 そして俺の担当は明後日らしい。
 確かに監視するだけで金が貰えるんだ。
 結構人気があるんだろうな。
 まあ一日堪能出来れば良いだろう。

 俺はその日まで仕事に励んだ。
 荷物運び等でも結構水着の女の人を見守る事が出来たからだ。
 そう、見守るだけならば浮気にはならない。
 つまり俺は、別にストリーを裏切っている訳では無いのだ。

 そしてついに俺の出番の日が来た。
 遠眼鏡を身に付け、ついに監視台に上がる事が出来た。

 監視台の上はまさしく天国だった。
 金髪のおっぱい、赤毛の尻、スレンダーな黒髪も中々だ。

 あ、あれは、見た事があるぞ!
 あれはフレーレさんだ。
 うを~すげ~!

 メリハリのついたボディーがセクシーだ。
 腹はうっすらと筋肉が見えて、た、谷間が良い感じです。
 流石ですフレーレ様!

 うおおおおお、レアス様がも凄い。
 ほっそりとした体に白い肌、髪を上げたうなじが素敵です。
 フレーレ様に負けていない程の戦闘力をお持ちの様だ。

 エルさんも発見したぞ!
 戦闘力チチはあまり無いが、まさしく美少女って姿だ。
 腕は少しごつごつしているが、それを差し引いても二人に劣らない。
 短くカールの掛った赤い髪はとてもに合っている。

 ロ、ロッテさんまで居るのか。
 金髪のショート、そして掴むのに丁度良いぐらいのおっぱい。
 元気な笑顔が素敵です。
 まさしく天使だ。

 こっちはグーザフィアさんだと!
 本物の天使が水着に着替えたら爆乳でした。
 何を言っているのか分からないが、俺にも分からないぜ。
 まさしく大人の魅力というやつだ。

 あれは?
 誰だろう、何となく見た事が有るぞ。
 体つきはなんかムッチリとして頭の上には耳が二つ……あれは見なかった事にしておこう。

 あれ?
 こっちの金髪も何か見た事がある気がする。
 長い髪を一本の三つ編みにして肩にかけている。
 意外と筋肉質な背中、無駄のない両腕、硬く引き締まった腹筋、意外と大きな胸。
 あ、あれはストリーじゃないのか?!

「ま、まさか来ていたのか!」

 くっ、見つかる前に逃げないと。
 ゆっくりと監視台を降り、その場から逃げ出そうとした。

「何処へ行くんだアツシ、仕事中なんだろう、ゆっく見て行けばいいじゃあないか。遠慮するな、あの女なんか良いんじゃあないか? 私より胸が大きいぞ。どうした見ないのか?」

 後から話しかけられた、この声はストリーだろう。
 怒っているのか?
 いやいや、そんな性格じゃないはずだ、たぶん……。
 良し普通に振り向いて挨拶しよう。

「ストリーじゃないか、どうしたんだこんな所で。涼みに来たのか?」

「何を言ってるんだアツシ、私はべノムに聞いてお前を見に来たんだぞ。さあしっかり監視を続けようじゃあないか」

 ストリーの声から微妙に怒気が感じられる気がする。
 クッ、べノムの奴、余計な事を!

「そ、そうだな、監視を続けよう。ストリーは遊んでくると良い」

 俺は監視台に再び昇り辺りの監視を続けた。
 ストリーはこっちを見ている、ず~っと。

「ス、ストリー、暇だろう。向うへ行ってると良い」

「何だ、私が居ると邪魔なのか? 邪魔ならそう言えばいいぞ」

「……ごめんなさい」

 俺は監視台を降りて土下座した。
 ストリーの視線にもう耐えられ無かったのだ。
 そして監視の仕事を諦めた。

「……そうか、なら一発で許してやろう」

「ぬあああああああああ!」

 ストリーは拳を握り、そして俺の顔面へと叩きこまれ、十メートル程吹っ飛ばされた。

 やっぱり怒ってたのか。
 今度から気を付けます。

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