一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
15 壮絶なる究極の………
フレーレ達は魔獣を撃破しエルの治療の為に町人を送って行った町へと戻った。
そこでエルは目を覚ます…………
ベリー・エル(王国、兵士) フルール・フレーレ(王国、兵士)
グラスシャール・ボ・レアス(王国、兵士)
誰も居ない部屋のベットの上で、私(エル)は目を覚ました。
民家の一部屋のような、小さな部屋でしょうか。
私はラクダと戦ってそれから……。
あのラクダを倒した所までは覚えているけど、それからどうなったのでしょうか?
体の怪我は消えている。
腕や脚の動きを確認するも、体の感覚は問題なさそうです。
死んだ訳でも……なさそうですね?
フレーレさんとレアスさんも見当たらない。
私はベットから起き上がり、この部屋の扉を出ます。
部屋を出ると、此処が一軒家の一室だったと確認できました。
そこには湖の水を売っていた男の一人が居います。
「お、起きたのか。昨日は中々楽しかったぜ。お前も良い体してたからなぁ。たっぷり楽しませてもらったぜ」
私は即座に大剣を作り出すと、その男に向かって振り下ろした。
残念ながら最初の一撃は外れてしまいました。
まあ良いでしょう、ゆっくりと刻んであげましょう!
「じょ、冗談だ。今のは冗談! フレーレの連れに手を出す訳ないだろ! そんな事したら恐ろしい目に合っちまうからな!」
そういえば元王国の人間でしたね。
王国を捨てた人には、余り好意は沸きません。
しかし数々の試練に対し、耐えられ無くなった気持ちも分かります。
あの冗談は許せませんが、まあ、助けられたのならお礼を言っておきましょうか。
「……あり……がとう……ね?」
「お、おう。分かってくれれば良いんだ。それと二人は町へ出かけているぜ」
この人が居るのなら、町の人達を連れて行った場所でしょうか?
私も町の外へ出かけて来ましょうかね。
二人にも会えるかもしれません。
私は部屋に置いてあったローブを羽織ると、町へと出かける事にしました。
「出かけるのか? まだ病み上がりなんだ、気を付けて行って来い」
この人は案外いい人なのですかね?
私は頷くと、町へと繰りだした。
町の中へ出てみると、随分と騒がしかった。
何かのお祭りをしている様ですね。
見ると案内看板には案内が書いてあります。
大食い大会、会場は此方と。
そうですね、当ても無いので見に行ってみましょうか。
もしかしたら二人も会場にいるかもしれません。
会場の中は大勢の人が溢れかえり、目的の二人を探す事は困難だった。
すでに何戦かの戦いが終わって、次の戦いが始まる様だ。
飲み物でも買って見学しようか。
「さあ次なる戦いは、超重量級メガトンイーター、グラストラムと、超絶美麗、神食のフレーレの一騎打ちだ! 賭けの倍率はグラストラム二倍、そしてフレーレは何と五倍だぁ!」
「うぐッ!」
思わず吹き出しそうになってしまった。
まあ見つける手間が省けましたが……。
「まずはジューシーに焼き上げられた三キロの羊肉だ。最初っから手強い相手だぞぉ!」
フレーレさんの前に運ばれたのは、骨付きの巨大な肉。
しかし私は知っている、フレーレさんは結構な小食だという事を。
私は持っていたお金を、グラストラムに全てつぎ込んだ。
ゴングが鳴り壇上の二人が食事を始める。
グラストラムは肉を切り分け一気に口の中へと肉を詰め込んでいく。
そしてフレーレさんは肉を切り分け、フォークで一つずつゆっくりと味わっている。
フレーレさん、競争になっていませんよ。
まさか無料で食事が出来るからと参加したんでしょうか。
あ、大差が付いたのでレフリーが止めました。
でもフレーレさんは食事を続け、役員の人に連れられて壇上の外へと降ろされた。
はっ! いけない、フレーレさんが此方を見ている。
身内が出ている時に賭けるのは、ルール上良いとはされていない。
このまま他人の振りをして掛け金をもらってしまいましょう。
私は大食い会場を後にして、別の場所を周る事にした。
他に何か……あれは……。
料理対決と書かれた看板を目にした。
今度は食べるのではなく作るのだそうだ。
まあ暇なので行ってみましょうか。
この会場も大勢の人達で溢れている。
作った料理は全員に配られ、投票して何方が勝ったのか投票するシステムでした。
髪の毛を逆立てている男が、恰好に似合わずジェラートを作っていたり、猫の耳の飾りを頭に付けた女の人が激辛料理を作っていたり色々です。
そこに私が見たことがある……というかレアスさんが居た。
レアスさんは、肉と野菜等の食材を微塵に刻み、煮込み、それを取り出して押しつぶしている。
そこから調味料を入れて混ぜ合わせ、それを固めて焼き上げ、その上にチーズを掛けて、更に塩釜にして謎のソースを掛けた。
皿に盛り付けられたその料理は芸術にまで昇華され、食べるのが勿体ない程だった……味は兎も角。
私はレアスさんの手料理を一度食べた事がある。
見た目と匂いは完璧に美味しそうなのです。
しかしその料理を一口くちに含むと、世界が反転する程の生臭さを感じられます。
それに木片を噛んでいる様な食感、壮絶な咽喉越し、飲み込んだ後の究極の後味の悪さが有るのを知っている。
初めてそれを食べた人は一瞬でその料理の虜になってしまうでしょう……そう意識を持っていかれる程に……。
私はレアスさんの料理以外を平らげ、レアスさんの料理のソースが掛かっていない塩の部分をひと舐めすると、投票権にレアスと書き、投票の時を待った。
会場の皆の顔色が悪い、投票の時間が来て私は席を立つ。
そして投票箱に票を入れてその瞬間を待った。
「え~と、優勝はレアスさんです。じゃあ拍手をお願いします」
パチパチと私は拍手をした。
レアスさんが此方にお辞儀をしている。
そう、司会者以外の人が全員がノックアウトされ、私の票しか入っていないからです。
料理勝負で一番不味い物が優勝してしまった。
これでレアスさんは自身をつけて更なる物体に挑むことでしょう。
私は食べませんけど。
そのレアスさんは賞品のお肉を受け取ると、私の元へとやって来た。
「エルさん、起きられたのですね。とても心配いたしましたわ。フレーレさんも何かの大会に出ている様ですわよ」
私は頷いた。
それは見て来ました、お金も儲かりましたよ。
私達はフレーレさんと合流し、私を助けた男の人の家へと帰って行く。
男の人の名前はブレッジャと言うそうで、私はブレッジャさんの家でお茶を飲み、レアスさんとフレーレさんの話を聞いた。
だいたい予想していた通りブードが花に願いを言ってしまったらしいです。
どんな願いを言ったのかは知りませんけど、魔獣へと姿を変えてしまったようですね。
それと魔獣の根から芽が出ていた事も聞きました。
魔獣が復活していないと良いのですが、どちらにしろ一度見に行きたいですね。
「では行って参ります。フレーレさんは寛いでくださいませ」
私とレアスさんは、魔獣が居た泉まで調査に向かう事になりました。
スピードを優先させる為にフレーレさんにはこの町に残って貰います。
「二人共いってらっしゃい。気を付けて行ってきてねー」
「ええ、直ぐに戻ってまいりますわ。退屈でしょうが待っていてくださいませ」
私達は手を振ると、泉に向かって飛び立った。
フレーレさんを掴んでいないから、移動のペースが速い。
前に来た時よりも半日は早く泉に到着し、魔獣の根が有る場所を見つめた。
確かに芽は出ています。
でもその成長は止まっているようです。
魔獣にならないのなら、ここからまた花が咲くのかもしれない。
何時咲くのでしょう?
また百年後でしょうか?
しかし芽は出ているのです。
何時かこの花が咲く頃に、誰かがこの場所に送られるのでしょう。
その時は……出来れば私は外して欲しいですね。
私達は泉にある洞窟で休息を取り、明け方にこの場を旅立ちました。
そこでエルは目を覚ます…………
ベリー・エル(王国、兵士) フルール・フレーレ(王国、兵士)
グラスシャール・ボ・レアス(王国、兵士)
誰も居ない部屋のベットの上で、私(エル)は目を覚ました。
民家の一部屋のような、小さな部屋でしょうか。
私はラクダと戦ってそれから……。
あのラクダを倒した所までは覚えているけど、それからどうなったのでしょうか?
体の怪我は消えている。
腕や脚の動きを確認するも、体の感覚は問題なさそうです。
死んだ訳でも……なさそうですね?
フレーレさんとレアスさんも見当たらない。
私はベットから起き上がり、この部屋の扉を出ます。
部屋を出ると、此処が一軒家の一室だったと確認できました。
そこには湖の水を売っていた男の一人が居います。
「お、起きたのか。昨日は中々楽しかったぜ。お前も良い体してたからなぁ。たっぷり楽しませてもらったぜ」
私は即座に大剣を作り出すと、その男に向かって振り下ろした。
残念ながら最初の一撃は外れてしまいました。
まあ良いでしょう、ゆっくりと刻んであげましょう!
「じょ、冗談だ。今のは冗談! フレーレの連れに手を出す訳ないだろ! そんな事したら恐ろしい目に合っちまうからな!」
そういえば元王国の人間でしたね。
王国を捨てた人には、余り好意は沸きません。
しかし数々の試練に対し、耐えられ無くなった気持ちも分かります。
あの冗談は許せませんが、まあ、助けられたのならお礼を言っておきましょうか。
「……あり……がとう……ね?」
「お、おう。分かってくれれば良いんだ。それと二人は町へ出かけているぜ」
この人が居るのなら、町の人達を連れて行った場所でしょうか?
私も町の外へ出かけて来ましょうかね。
二人にも会えるかもしれません。
私は部屋に置いてあったローブを羽織ると、町へと出かける事にしました。
「出かけるのか? まだ病み上がりなんだ、気を付けて行って来い」
この人は案外いい人なのですかね?
私は頷くと、町へと繰りだした。
町の中へ出てみると、随分と騒がしかった。
何かのお祭りをしている様ですね。
見ると案内看板には案内が書いてあります。
大食い大会、会場は此方と。
そうですね、当ても無いので見に行ってみましょうか。
もしかしたら二人も会場にいるかもしれません。
会場の中は大勢の人が溢れかえり、目的の二人を探す事は困難だった。
すでに何戦かの戦いが終わって、次の戦いが始まる様だ。
飲み物でも買って見学しようか。
「さあ次なる戦いは、超重量級メガトンイーター、グラストラムと、超絶美麗、神食のフレーレの一騎打ちだ! 賭けの倍率はグラストラム二倍、そしてフレーレは何と五倍だぁ!」
「うぐッ!」
思わず吹き出しそうになってしまった。
まあ見つける手間が省けましたが……。
「まずはジューシーに焼き上げられた三キロの羊肉だ。最初っから手強い相手だぞぉ!」
フレーレさんの前に運ばれたのは、骨付きの巨大な肉。
しかし私は知っている、フレーレさんは結構な小食だという事を。
私は持っていたお金を、グラストラムに全てつぎ込んだ。
ゴングが鳴り壇上の二人が食事を始める。
グラストラムは肉を切り分け一気に口の中へと肉を詰め込んでいく。
そしてフレーレさんは肉を切り分け、フォークで一つずつゆっくりと味わっている。
フレーレさん、競争になっていませんよ。
まさか無料で食事が出来るからと参加したんでしょうか。
あ、大差が付いたのでレフリーが止めました。
でもフレーレさんは食事を続け、役員の人に連れられて壇上の外へと降ろされた。
はっ! いけない、フレーレさんが此方を見ている。
身内が出ている時に賭けるのは、ルール上良いとはされていない。
このまま他人の振りをして掛け金をもらってしまいましょう。
私は大食い会場を後にして、別の場所を周る事にした。
他に何か……あれは……。
料理対決と書かれた看板を目にした。
今度は食べるのではなく作るのだそうだ。
まあ暇なので行ってみましょうか。
この会場も大勢の人達で溢れている。
作った料理は全員に配られ、投票して何方が勝ったのか投票するシステムでした。
髪の毛を逆立てている男が、恰好に似合わずジェラートを作っていたり、猫の耳の飾りを頭に付けた女の人が激辛料理を作っていたり色々です。
そこに私が見たことがある……というかレアスさんが居た。
レアスさんは、肉と野菜等の食材を微塵に刻み、煮込み、それを取り出して押しつぶしている。
そこから調味料を入れて混ぜ合わせ、それを固めて焼き上げ、その上にチーズを掛けて、更に塩釜にして謎のソースを掛けた。
皿に盛り付けられたその料理は芸術にまで昇華され、食べるのが勿体ない程だった……味は兎も角。
私はレアスさんの手料理を一度食べた事がある。
見た目と匂いは完璧に美味しそうなのです。
しかしその料理を一口くちに含むと、世界が反転する程の生臭さを感じられます。
それに木片を噛んでいる様な食感、壮絶な咽喉越し、飲み込んだ後の究極の後味の悪さが有るのを知っている。
初めてそれを食べた人は一瞬でその料理の虜になってしまうでしょう……そう意識を持っていかれる程に……。
私はレアスさんの料理以外を平らげ、レアスさんの料理のソースが掛かっていない塩の部分をひと舐めすると、投票権にレアスと書き、投票の時を待った。
会場の皆の顔色が悪い、投票の時間が来て私は席を立つ。
そして投票箱に票を入れてその瞬間を待った。
「え~と、優勝はレアスさんです。じゃあ拍手をお願いします」
パチパチと私は拍手をした。
レアスさんが此方にお辞儀をしている。
そう、司会者以外の人が全員がノックアウトされ、私の票しか入っていないからです。
料理勝負で一番不味い物が優勝してしまった。
これでレアスさんは自身をつけて更なる物体に挑むことでしょう。
私は食べませんけど。
そのレアスさんは賞品のお肉を受け取ると、私の元へとやって来た。
「エルさん、起きられたのですね。とても心配いたしましたわ。フレーレさんも何かの大会に出ている様ですわよ」
私は頷いた。
それは見て来ました、お金も儲かりましたよ。
私達はフレーレさんと合流し、私を助けた男の人の家へと帰って行く。
男の人の名前はブレッジャと言うそうで、私はブレッジャさんの家でお茶を飲み、レアスさんとフレーレさんの話を聞いた。
だいたい予想していた通りブードが花に願いを言ってしまったらしいです。
どんな願いを言ったのかは知りませんけど、魔獣へと姿を変えてしまったようですね。
それと魔獣の根から芽が出ていた事も聞きました。
魔獣が復活していないと良いのですが、どちらにしろ一度見に行きたいですね。
「では行って参ります。フレーレさんは寛いでくださいませ」
私とレアスさんは、魔獣が居た泉まで調査に向かう事になりました。
スピードを優先させる為にフレーレさんにはこの町に残って貰います。
「二人共いってらっしゃい。気を付けて行ってきてねー」
「ええ、直ぐに戻ってまいりますわ。退屈でしょうが待っていてくださいませ」
私達は手を振ると、泉に向かって飛び立った。
フレーレさんを掴んでいないから、移動のペースが速い。
前に来た時よりも半日は早く泉に到着し、魔獣の根が有る場所を見つめた。
確かに芽は出ています。
でもその成長は止まっているようです。
魔獣にならないのなら、ここからまた花が咲くのかもしれない。
何時咲くのでしょう?
また百年後でしょうか?
しかし芽は出ているのです。
何時かこの花が咲く頃に、誰かがこの場所に送られるのでしょう。
その時は……出来れば私は外して欲しいですね。
私達は泉にある洞窟で休息を取り、明け方にこの場を旅立ちました。
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