一つの世界で起こる、万の人々が紡ぐ数多くの物語。書物に残された文字は、忘れられた歴史の記録を残す。
33 王道を行く者達8
リーゼとハガンそれとリサ、三人は旅を続け、港町にと到着した…………
リーゼ(赤髪の勇者?) ハガン(リーゼの父親)
リサ(リーゼの叔母) ガットン(フリージアの町に居た船長)
グルガンの町から北にあるフリージアの町は、海に面していて外の国と交流がある唯一の港である。
その港には幾つもの船が並んでいて、魚介類を取り生活をしている者も多いと聞く。
そんな町に到着したリーゼ達は、まず何をするのかと考えていた。
「このままこの大陸を回るか、それとも外の国に行くか」
「この大陸の武器といっても、大会で貰った剣以上となると、メンドラにある教会に刺さっている剣ぐらいしか聞かないね」
リサが答えるが、その場所はもう行っていた。
メンドラの町の剣が黒水晶の剣より上だったのは驚きだが、あの剣はもう使えなくなっている。
他にあったとしても、王族がコレクションしているか、商人に売られているだろう。
いずれにしても買えるようなお金は無いし、王族や貴族に知り合いも居なかった。
ラグナード王は会った事があるが、とても助けてくれそうな雰囲気ではない。
「ここの大陸に無いのなら、外の国に行くしかないわね」
リーゼが外に行く事を提案した。
外に行くとなると、この町で船に乗る事になる。
船に乗るのは初めてで、リーゼは少しドキドキしていた。
「まずは乗船チケットを買わないとな。しかし何処で売ってるんだ?」
「港に行けばわかるんじゃない? 一度行ってみましょうよ」
「じゃあ行きましょうハガンさん」
リサがハガンにくっ付こうとして来るが、リーゼはそれを体を入れてブロックした。
リサを母親にするつもりはなく、ハガンの復讐の旅を終わらされても困ると思っている。
リーゼはリサの手を握り、歩くいて行く。
リサは嬉しそうにしていたが、これはリーゼの作戦だった。
ハガンにリサと仲良くなったと思われるのも不味いと、その辺りも注意しようと思っている。
そのまま歩き続け、海の近く。
三人が港に着くと、船を手入れしている人にチケット売り場を聞き、売り場へと移動した。
しかしそのチケットの値段は、書いてあるものと違い、相当に高かった。
当然リーゼはそれに怒り、売り子の人間に怒っていた。
「ちょっとチケット高いんだけどッ! 書いてある値段と違うじゃない!」
「そう言われましても航路に魔物が出まして、ほとんどの船は港で待機しているのです。それでも船を出している所は、船に護衛を付けますので、その料金が加算されて現在の値段になっているのですよ。この値段で無理だと言うのなら、もう諦めてもらうしかないでしょう」
怒鳴っていたリーゼも、チケット売り場の男の話に納得した。
「そうか、チケットは高くて買えやしないが、俺達は戦士だ。金は要らないから護衛として船に乗せては貰えないか?」
「分かりました。船の船長の居場所を教えますので、その人と直接交渉をしてください」
男の話で居場所を聞き、船乗りが集まる酒場へ向かった。
その酒場は船にも乗れない船員で埋め尽くされ、相当に騒がしくなっている。
人が多すぎて、目視での男を探すのは難しいだろう。
リーゼは入り口の近くの男に話しかけ、ガットンの居場所を聞いてみる事にした。
「すみません、ガットンって船長知りませんか?」
りーぜが笑顔で、近くに酒を飲んでいた男に話しかけた。
「ガットン? ほら、あいつだよ。そんな事より俺と飲もうぜ、おねぇちゃん」
男は奥に居た人を指さしたが、リーゼの尻を撫でようとしている。
しかし横にいたハガンの気配に気づき、ガンと椅子に足をぶつけると、その手を止めた。
余程怖かったのか、すぐ後ろを向いて酒を飲み始める。
「ハガンさん、かっこいいです。結婚してください!」
二人はリサを無視して船長の元に向かって行く。
奥のカウンター席で飲んでいる男がガットンという男だろう。
結構がっしりとした男で、白い髭を生やしている。
六十歳位はいってるだろう。
その男に事情を話し、船に乗せてもらう交渉をしている。
「へ~え、護衛がしたいって? その体で? 女と子供が? 大方チケット代を浮かそうとか思ってるんだろうが、そりゃ無理だぜ」
ガットン船長は、ハガンの腕が無いのを見てそう思ったのだろう。
確かにパッと見戦えそうではないが、その実力は本物だった。
「じゃあ試してみてください。貴方の護衛と戦っても私達が勝っちゃいますから!」
「まあ構わんが、お前達が怪我をしても俺は知らんからな」
「ああ、問題無い」
ニヤリと笑うガットンは、自分の部下を引き連れ、港の広場に移動して行く。
それにリーゼ達も同行し、その試験を受けることになる。
相手は十人。
全員が剣を持って武装している。
人数の多さに文句を言った所で、この試験を辞めさせられるだけだろう。
「少し多いわね」
「大丈夫よリーゼちゃん。このお母さんに任せてよ」
リーゼはお母さんと認めた覚えは無い。
「油断するなよ」
相手の十人の内六人が走り、此方に向かって来る。
残りは動かず、三人のの様子を窺っていた。
「お嬢ちゃん、謝るなら今の内だぜ」
「何かの拍子で、おっぱい触っちゃうかもしれないぜ」
リーゼに六人の内の二人が付き、一人は手をワキワキさせている。
見て居るだけで三人の実力を舐めていると分った。
ハガンとリサも二人に付かれ、その相手をすることとなる。
まずは牽制としてリーゼは炎の魔法を発動する。
「ファイヤーッ!」
エロ親父じゃない方を狙い、炎を放った。
魔法を放った瞬間エロ親父に突っ込み、その剣を斬り飛ばして使えなくしてしまう。
そのまま顔面を殴りつけ、喉元に剣を突きつけた。
「さっき何か言いましたか?」
「ご、ごめんなさい……」
リーゼはニッコリと微笑み、質問したら謝られてしまった。
謝るぐらいなら、言わなけらばいいのにと思っている。
魔法を放ったもう一人には、炎を避けられたらしい。
次は避けた男を叩こうと、リーゼが動き出した。
だがその男は強く、剣を振るが刃を合わせようとはしてこない。
角の剣の切れ味を見切り、柄と柄をぶつけられて勢いを殺された。
しかしリーゼにはもう一本の剣がある。
だが二発目の攻撃は、相手の剣の先端を僅かに切っただけに留まった。
「この人強いわ」
足を少しずつ移動させ、男がにじり寄って来ている。
剣を振るが避けるのみで、一切触れようとしてこない。
この男は手強いと、後ろに飛び、他の二人を横目で確認した。
二人共、相手の一人を倒し、残りの一人に集中している。
右手に魔法を集中し、男に突っ込むリーゼだが、剣の攻撃は軽く躱されてしまったのだ。
もう一度左を振り、今度は斬り上げを狙う。
それも駄目で、次も左、今度は脚を狙い剣を振った。
軽く相手が後に飛んで躱してしまうが、リーゼはそのタイミングを狙っていた。
「ファイヤーッ!」
相手の着地地点に目掛けて、大きな炎が走る。
避けられないと悟った相手は、腕をクロスして防御の体勢を取っていた。
炎がさく裂し、相手の体が一瞬燃え上がる。
これだけでは勝てない事を知っているリーゼは、相手に向かって走った。
男が気付いた時には、リーゼが目の前に迫り、躱させる間もなく剣を斬り飛ばす。
丁度ハガン達も相手を倒し、残っているのは四人。
今まで戦いを観察し、見ているだけだった四人が、三人に向かって来ている。
戦い方を十分見ていて、もう簡単には行かないだろう。
リサが、右から二番目の敵を狙い、最初に動いた。
「ファイヤー!」
リーゼもそれにでタイミングを合わせ、真ん中のもう一人に炎を放つ。
リサが相手と剣の腹を合わせると、剣を回転させ、そのまま強引に剣を弾いた。
そのまま一番右にいた男に狙いを変え、一気に斬り付ける。
男には剣を防がれてしまったが、走っていたハガンが、リサの剣を受けて動けない相手を蹴り倒した。
リーゼが剣を弾いた相手に向かうが、魔法の炎が収まり、怯んでいた敵二人が再び参戦してリーゼ達に襲い掛かる。
リサとハガンがそれに対応し、丁度一対一の状態になった。
リーゼが目の前の男を狙うが、やはり剣を受けては貰えない。
この男は先ほどの戦いを見て、角の剣の切れ味を知っているのだ。
リーゼは何度か剣を振ったが、もう相手が迂闊に飛ぶような事もしてはくれなかった。
ならばともう一度剣を振ると、ハガンの援護に走った。
当然後からも敵が迫って来るが、魔法でそいつをけん制し、ハガンの相手を斬りつける。
だがその剣も受けては貰えず、躱されてしまう。
ハガンが脚を払い、その相手を転ばせると、剣を持つ手を蹴り付け、その剣を落とさせた。
残り二人。
今度はハガンとリーゼが、後から追って来た男と再び対峙する。
「リサ、こっちだ」
「任せてください!」
ハガンの指令で、此方に向かうリサ。
ハガンがリサと敵を交代し、追って来た男をけん制した。
その間に、リーザとリサが即座に一人を追い詰め仕留め、残りは一人。
流石に観念し、最後の一人は白旗を上げた。
「ふむ、お前達の実力は分かった。護衛として雇う、金も払おう」
ガットンに認めてもらい、三人は船の護衛を引き受ける事が出来た。
明日の朝出発という事で、今日は宿で休むことになった。
出発前夜の宿屋の中。
もう夜も更けて来た時間帯。
「ハガンさん、それじゃあ始めましょうか。大丈夫です、リーゼちゃんは寝ているので」
何時の間にか寝ていたハガンの上に、何故かリサが乗っていた。
当然腕の無いハガンは、抵抗する事が出来ない。
「おい待て、やめろ」
「大丈夫です、準備は出来ていますよ」
全く言う事を聞かないリサ。
このままではハガンの何かが危なかった。
「何が大丈夫なんですか、リサさん? 私はさっきからずっと起きていたんですけど」
「あら、リーゼちゃん、こういう時は、見て見ぬ振りをするのがマナーよ?」
この人は駄目だ。
確かに強いけど、毎日ハガンが狙われてはたまらないと、船に乗る前に置いて行こうとリーゼは判断する。
そしてそれを実行に移そうと、固く心に誓うリーゼだった。
リーゼ(赤髪の勇者?) ハガン(リーゼの父親)
リサ(リーゼの叔母) ガットン(フリージアの町に居た船長)
グルガンの町から北にあるフリージアの町は、海に面していて外の国と交流がある唯一の港である。
その港には幾つもの船が並んでいて、魚介類を取り生活をしている者も多いと聞く。
そんな町に到着したリーゼ達は、まず何をするのかと考えていた。
「このままこの大陸を回るか、それとも外の国に行くか」
「この大陸の武器といっても、大会で貰った剣以上となると、メンドラにある教会に刺さっている剣ぐらいしか聞かないね」
リサが答えるが、その場所はもう行っていた。
メンドラの町の剣が黒水晶の剣より上だったのは驚きだが、あの剣はもう使えなくなっている。
他にあったとしても、王族がコレクションしているか、商人に売られているだろう。
いずれにしても買えるようなお金は無いし、王族や貴族に知り合いも居なかった。
ラグナード王は会った事があるが、とても助けてくれそうな雰囲気ではない。
「ここの大陸に無いのなら、外の国に行くしかないわね」
リーゼが外に行く事を提案した。
外に行くとなると、この町で船に乗る事になる。
船に乗るのは初めてで、リーゼは少しドキドキしていた。
「まずは乗船チケットを買わないとな。しかし何処で売ってるんだ?」
「港に行けばわかるんじゃない? 一度行ってみましょうよ」
「じゃあ行きましょうハガンさん」
リサがハガンにくっ付こうとして来るが、リーゼはそれを体を入れてブロックした。
リサを母親にするつもりはなく、ハガンの復讐の旅を終わらされても困ると思っている。
リーゼはリサの手を握り、歩くいて行く。
リサは嬉しそうにしていたが、これはリーゼの作戦だった。
ハガンにリサと仲良くなったと思われるのも不味いと、その辺りも注意しようと思っている。
そのまま歩き続け、海の近く。
三人が港に着くと、船を手入れしている人にチケット売り場を聞き、売り場へと移動した。
しかしそのチケットの値段は、書いてあるものと違い、相当に高かった。
当然リーゼはそれに怒り、売り子の人間に怒っていた。
「ちょっとチケット高いんだけどッ! 書いてある値段と違うじゃない!」
「そう言われましても航路に魔物が出まして、ほとんどの船は港で待機しているのです。それでも船を出している所は、船に護衛を付けますので、その料金が加算されて現在の値段になっているのですよ。この値段で無理だと言うのなら、もう諦めてもらうしかないでしょう」
怒鳴っていたリーゼも、チケット売り場の男の話に納得した。
「そうか、チケットは高くて買えやしないが、俺達は戦士だ。金は要らないから護衛として船に乗せては貰えないか?」
「分かりました。船の船長の居場所を教えますので、その人と直接交渉をしてください」
男の話で居場所を聞き、船乗りが集まる酒場へ向かった。
その酒場は船にも乗れない船員で埋め尽くされ、相当に騒がしくなっている。
人が多すぎて、目視での男を探すのは難しいだろう。
リーゼは入り口の近くの男に話しかけ、ガットンの居場所を聞いてみる事にした。
「すみません、ガットンって船長知りませんか?」
りーぜが笑顔で、近くに酒を飲んでいた男に話しかけた。
「ガットン? ほら、あいつだよ。そんな事より俺と飲もうぜ、おねぇちゃん」
男は奥に居た人を指さしたが、リーゼの尻を撫でようとしている。
しかし横にいたハガンの気配に気づき、ガンと椅子に足をぶつけると、その手を止めた。
余程怖かったのか、すぐ後ろを向いて酒を飲み始める。
「ハガンさん、かっこいいです。結婚してください!」
二人はリサを無視して船長の元に向かって行く。
奥のカウンター席で飲んでいる男がガットンという男だろう。
結構がっしりとした男で、白い髭を生やしている。
六十歳位はいってるだろう。
その男に事情を話し、船に乗せてもらう交渉をしている。
「へ~え、護衛がしたいって? その体で? 女と子供が? 大方チケット代を浮かそうとか思ってるんだろうが、そりゃ無理だぜ」
ガットン船長は、ハガンの腕が無いのを見てそう思ったのだろう。
確かにパッと見戦えそうではないが、その実力は本物だった。
「じゃあ試してみてください。貴方の護衛と戦っても私達が勝っちゃいますから!」
「まあ構わんが、お前達が怪我をしても俺は知らんからな」
「ああ、問題無い」
ニヤリと笑うガットンは、自分の部下を引き連れ、港の広場に移動して行く。
それにリーゼ達も同行し、その試験を受けることになる。
相手は十人。
全員が剣を持って武装している。
人数の多さに文句を言った所で、この試験を辞めさせられるだけだろう。
「少し多いわね」
「大丈夫よリーゼちゃん。このお母さんに任せてよ」
リーゼはお母さんと認めた覚えは無い。
「油断するなよ」
相手の十人の内六人が走り、此方に向かって来る。
残りは動かず、三人のの様子を窺っていた。
「お嬢ちゃん、謝るなら今の内だぜ」
「何かの拍子で、おっぱい触っちゃうかもしれないぜ」
リーゼに六人の内の二人が付き、一人は手をワキワキさせている。
見て居るだけで三人の実力を舐めていると分った。
ハガンとリサも二人に付かれ、その相手をすることとなる。
まずは牽制としてリーゼは炎の魔法を発動する。
「ファイヤーッ!」
エロ親父じゃない方を狙い、炎を放った。
魔法を放った瞬間エロ親父に突っ込み、その剣を斬り飛ばして使えなくしてしまう。
そのまま顔面を殴りつけ、喉元に剣を突きつけた。
「さっき何か言いましたか?」
「ご、ごめんなさい……」
リーゼはニッコリと微笑み、質問したら謝られてしまった。
謝るぐらいなら、言わなけらばいいのにと思っている。
魔法を放ったもう一人には、炎を避けられたらしい。
次は避けた男を叩こうと、リーゼが動き出した。
だがその男は強く、剣を振るが刃を合わせようとはしてこない。
角の剣の切れ味を見切り、柄と柄をぶつけられて勢いを殺された。
しかしリーゼにはもう一本の剣がある。
だが二発目の攻撃は、相手の剣の先端を僅かに切っただけに留まった。
「この人強いわ」
足を少しずつ移動させ、男がにじり寄って来ている。
剣を振るが避けるのみで、一切触れようとしてこない。
この男は手強いと、後ろに飛び、他の二人を横目で確認した。
二人共、相手の一人を倒し、残りの一人に集中している。
右手に魔法を集中し、男に突っ込むリーゼだが、剣の攻撃は軽く躱されてしまったのだ。
もう一度左を振り、今度は斬り上げを狙う。
それも駄目で、次も左、今度は脚を狙い剣を振った。
軽く相手が後に飛んで躱してしまうが、リーゼはそのタイミングを狙っていた。
「ファイヤーッ!」
相手の着地地点に目掛けて、大きな炎が走る。
避けられないと悟った相手は、腕をクロスして防御の体勢を取っていた。
炎がさく裂し、相手の体が一瞬燃え上がる。
これだけでは勝てない事を知っているリーゼは、相手に向かって走った。
男が気付いた時には、リーゼが目の前に迫り、躱させる間もなく剣を斬り飛ばす。
丁度ハガン達も相手を倒し、残っているのは四人。
今まで戦いを観察し、見ているだけだった四人が、三人に向かって来ている。
戦い方を十分見ていて、もう簡単には行かないだろう。
リサが、右から二番目の敵を狙い、最初に動いた。
「ファイヤー!」
リーゼもそれにでタイミングを合わせ、真ん中のもう一人に炎を放つ。
リサが相手と剣の腹を合わせると、剣を回転させ、そのまま強引に剣を弾いた。
そのまま一番右にいた男に狙いを変え、一気に斬り付ける。
男には剣を防がれてしまったが、走っていたハガンが、リサの剣を受けて動けない相手を蹴り倒した。
リーゼが剣を弾いた相手に向かうが、魔法の炎が収まり、怯んでいた敵二人が再び参戦してリーゼ達に襲い掛かる。
リサとハガンがそれに対応し、丁度一対一の状態になった。
リーゼが目の前の男を狙うが、やはり剣を受けては貰えない。
この男は先ほどの戦いを見て、角の剣の切れ味を知っているのだ。
リーゼは何度か剣を振ったが、もう相手が迂闊に飛ぶような事もしてはくれなかった。
ならばともう一度剣を振ると、ハガンの援護に走った。
当然後からも敵が迫って来るが、魔法でそいつをけん制し、ハガンの相手を斬りつける。
だがその剣も受けては貰えず、躱されてしまう。
ハガンが脚を払い、その相手を転ばせると、剣を持つ手を蹴り付け、その剣を落とさせた。
残り二人。
今度はハガンとリーゼが、後から追って来た男と再び対峙する。
「リサ、こっちだ」
「任せてください!」
ハガンの指令で、此方に向かうリサ。
ハガンがリサと敵を交代し、追って来た男をけん制した。
その間に、リーザとリサが即座に一人を追い詰め仕留め、残りは一人。
流石に観念し、最後の一人は白旗を上げた。
「ふむ、お前達の実力は分かった。護衛として雇う、金も払おう」
ガットンに認めてもらい、三人は船の護衛を引き受ける事が出来た。
明日の朝出発という事で、今日は宿で休むことになった。
出発前夜の宿屋の中。
もう夜も更けて来た時間帯。
「ハガンさん、それじゃあ始めましょうか。大丈夫です、リーゼちゃんは寝ているので」
何時の間にか寝ていたハガンの上に、何故かリサが乗っていた。
当然腕の無いハガンは、抵抗する事が出来ない。
「おい待て、やめろ」
「大丈夫です、準備は出来ていますよ」
全く言う事を聞かないリサ。
このままではハガンの何かが危なかった。
「何が大丈夫なんですか、リサさん? 私はさっきからずっと起きていたんですけど」
「あら、リーゼちゃん、こういう時は、見て見ぬ振りをするのがマナーよ?」
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