賢者様の回想録
10 魔法使いの教え
「俺を魔法使いにしろ、そして生きる手段を俺に教えろ」
 俺は女性の問いに対してそう返した。
「私に魔法を教えろと?」
「ああ、そうだ」
 女性は笑っていた。それはもう嬉しそうに。
「そんな事を言うやつは初めてだ、大抵のやつは何も言えないか羨むだけだ」
「何だよ、悪いのか」
「悪い悪い、ただ面白かっただけだ」
「面白いだと?」
「お前は知らないのか?魔法使いは師匠がいるか魔法に精通しないといけない事の理由を」
「理由?」
 確かに登録の際にそんな事を言われた覚えがある。だがその理由があるとは思わなかった。
「簡単だ。そいつに素質があるかどうかだ」
「俺にはないと?」
「いいや、それはまだ分からん、だが確実に言えるのは、お前は今、剣士だという事だ」
「・・・っつ!」
 俺はもうすでにクラスを選んでいる。もうすでにハンデを背負っているのと同じだと言われた。
 
「そうだ。もうすでにクラスが決まっている。もちろん変更は出来るがレベル上げが必要だ」
「レベルが足りるなら出来る・・・」
  出来るならまだ魔法使いになれるはずだ。問題はないだろ。その思いは女性の言葉とともに崩れさった。
「しかし、そのレベルまで上げた所で許可がいる。国からだ。それがどれだけ難しいか分かるか?」
 国からだって?そんなの無理だろ。俺のような人間を国が許可してくれるはずない。結局生まれの差かよ!
「ふざけるな、何で国がそんな事を!」
「魔法使いが増える事を恐れたという噂があるが、事実かは知らん」
「じゃあ俺は魔法使いなれないのか!」
 あの時見た魔法使いのようにはなれないのか、とてつもない程の範囲を一瞬にして灰燼と変えるようなあの力が手に入ると思ったのに。
「待て待て、何も魔法使いだけが魔法を使える訳ではない。例えば魔法剣士という手段もある。」
「魔法剣士?」
「そうだ、魔法の威力などは魔法使いには劣るがこっちなら簡単に許可は取れる、レベル上げは必要だがな」
 その話を聞いてホッとした。まだ魔法を使う事は諦めなくて良さそうだ。
「魔法剣士にはなれるんだな?」
「魔法の基礎の部分は一緒だから教える事は出来る」
「じゃあ、それで頼む」
「人に教えを請うときはどんな態度が必要か知らないのか」
 女性はため息を吐きながら、俺に教えてきた。
「よろしくお願いします、だ」
「よろしくお願いします」
「言う時はしっかりと頭を下げろ、これは色んな時に役立つ、覚えてろ」
「分かった、覚えとく。後、名前、何て呼べばいい?」
「好きに呼べばいい、師匠、先生、何でもいい」
 好きに呼べ、か。あの女と同じ呼び方は嫌だ。なら・・・
「じゃあ、師匠と呼ぶよ」
「言いたい事はそれで終わりか?なら帰るぞ」
 これで俺はこの女性の弟子になった。魔法を使えるようになるために。
 これからの事はその時考えれば良い。とにかく強くならなければ。
 スラムでの生活は最悪だ。明日生きているかも分からない。あんな思いはもうごめんだ。意地でも食らいついてやる。
「俺は何をすればいい?」
「明日から教える、急かすな。それより家でユフィナを待たせてる。忘れてないよな」
「分かったよ」
 師匠からの威圧で逃げられないのと教えを請うために逃げられなくなった。二つの理由で俺は逃げられなくなってしまった。
 逃げないけどな。仕方ないけどこれも魔法を覚えるためと思えばそんなに嫌な気持ちにはならなかった。
 もちろん帰ったらあの女から色々言われた。だが言い終わったらすっきりしたのか、明日は荷物持ちしなさい、の一言で終わった。
 予想外にあっさりして終わったので驚いた。あの時の鬼の形相が嘘のようだった。
だからその理由を聞こうとした。
「聞いていいか?」
「何?」
「いや、思ったよりあっさりしてたなと」
「あんたが外行ってた間考えてたのよ。お金盗られたのは嫌だったけど、一応、パーティーになるんだし、ダンジョンで言い争いしたせいで死んだら嫌だな、って」
 この女はダンジョンの危険を良く知っているらしい。俺は知らないが何度も死線をくぐってきたのだろう。
 話が終わり女達は自分の部屋に行き、俺も与えられた部屋の明かりを消して眠りに着き、明日からの生活に備えた。
投稿間隔は出来るだけ、一週間以内に
したいと思ってます(^^)
次回は女性達からのキッツい教えが
待っている!?Σ(゜Д゜)
 俺は女性の問いに対してそう返した。
「私に魔法を教えろと?」
「ああ、そうだ」
 女性は笑っていた。それはもう嬉しそうに。
「そんな事を言うやつは初めてだ、大抵のやつは何も言えないか羨むだけだ」
「何だよ、悪いのか」
「悪い悪い、ただ面白かっただけだ」
「面白いだと?」
「お前は知らないのか?魔法使いは師匠がいるか魔法に精通しないといけない事の理由を」
「理由?」
 確かに登録の際にそんな事を言われた覚えがある。だがその理由があるとは思わなかった。
「簡単だ。そいつに素質があるかどうかだ」
「俺にはないと?」
「いいや、それはまだ分からん、だが確実に言えるのは、お前は今、剣士だという事だ」
「・・・っつ!」
 俺はもうすでにクラスを選んでいる。もうすでにハンデを背負っているのと同じだと言われた。
 
「そうだ。もうすでにクラスが決まっている。もちろん変更は出来るがレベル上げが必要だ」
「レベルが足りるなら出来る・・・」
  出来るならまだ魔法使いになれるはずだ。問題はないだろ。その思いは女性の言葉とともに崩れさった。
「しかし、そのレベルまで上げた所で許可がいる。国からだ。それがどれだけ難しいか分かるか?」
 国からだって?そんなの無理だろ。俺のような人間を国が許可してくれるはずない。結局生まれの差かよ!
「ふざけるな、何で国がそんな事を!」
「魔法使いが増える事を恐れたという噂があるが、事実かは知らん」
「じゃあ俺は魔法使いなれないのか!」
 あの時見た魔法使いのようにはなれないのか、とてつもない程の範囲を一瞬にして灰燼と変えるようなあの力が手に入ると思ったのに。
「待て待て、何も魔法使いだけが魔法を使える訳ではない。例えば魔法剣士という手段もある。」
「魔法剣士?」
「そうだ、魔法の威力などは魔法使いには劣るがこっちなら簡単に許可は取れる、レベル上げは必要だがな」
 その話を聞いてホッとした。まだ魔法を使う事は諦めなくて良さそうだ。
「魔法剣士にはなれるんだな?」
「魔法の基礎の部分は一緒だから教える事は出来る」
「じゃあ、それで頼む」
「人に教えを請うときはどんな態度が必要か知らないのか」
 女性はため息を吐きながら、俺に教えてきた。
「よろしくお願いします、だ」
「よろしくお願いします」
「言う時はしっかりと頭を下げろ、これは色んな時に役立つ、覚えてろ」
「分かった、覚えとく。後、名前、何て呼べばいい?」
「好きに呼べばいい、師匠、先生、何でもいい」
 好きに呼べ、か。あの女と同じ呼び方は嫌だ。なら・・・
「じゃあ、師匠と呼ぶよ」
「言いたい事はそれで終わりか?なら帰るぞ」
 これで俺はこの女性の弟子になった。魔法を使えるようになるために。
 これからの事はその時考えれば良い。とにかく強くならなければ。
 スラムでの生活は最悪だ。明日生きているかも分からない。あんな思いはもうごめんだ。意地でも食らいついてやる。
「俺は何をすればいい?」
「明日から教える、急かすな。それより家でユフィナを待たせてる。忘れてないよな」
「分かったよ」
 師匠からの威圧で逃げられないのと教えを請うために逃げられなくなった。二つの理由で俺は逃げられなくなってしまった。
 逃げないけどな。仕方ないけどこれも魔法を覚えるためと思えばそんなに嫌な気持ちにはならなかった。
 もちろん帰ったらあの女から色々言われた。だが言い終わったらすっきりしたのか、明日は荷物持ちしなさい、の一言で終わった。
 予想外にあっさりして終わったので驚いた。あの時の鬼の形相が嘘のようだった。
だからその理由を聞こうとした。
「聞いていいか?」
「何?」
「いや、思ったよりあっさりしてたなと」
「あんたが外行ってた間考えてたのよ。お金盗られたのは嫌だったけど、一応、パーティーになるんだし、ダンジョンで言い争いしたせいで死んだら嫌だな、って」
 この女はダンジョンの危険を良く知っているらしい。俺は知らないが何度も死線をくぐってきたのだろう。
 話が終わり女達は自分の部屋に行き、俺も与えられた部屋の明かりを消して眠りに着き、明日からの生活に備えた。
投稿間隔は出来るだけ、一週間以内に
したいと思ってます(^^)
次回は女性達からのキッツい教えが
待っている!?Σ(゜Д゜)
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コメント
silf
ありがとうございます(^^)
色んな形で新たな人が出てくる
予定なのでそれも楽しみに
していて下さい(*´ω`*)
ノベルバユーザー298228
silfさん。 おつ(>Д<)ゝ”です
主人公のグリムが、関わって行く登場人物の個性がおもろいです
silf
魔法使いという道は難しいなら
別口でと考えた結果こうなりました(^^)
どんな魔法剣士かはこれから
分かりますo(^o^)o
師匠と弟子という形はどこかで見た
かもΣ(゜Д゜)というのを意識して書きました(*´ω`*)
あいな☆
魔法使いになるためには許可が必要だったりで、グリムはどうなるのかと思ったけど…(゚Д゚;)
魔法剣士という道があったんですね~o(*゚∀゚*)o
魔法剣士になるとは考えてなかったので、おもしろいと思いました(*^▽^*)♪
どんな魔法剣士になるんだろう?
わくわくします~(*≧∀≦*)
ここで、師匠と弟子という関係にもなって次回からグリムがびしびし鍛えられるのかな?Σ(;゚∀゚)ノ