無欲、転生させられ世界をとる

makoch

寿命

 この世界では教育というものを受けられる人は少数らしい。
 俺はたまたま受けられる余裕のある家庭に産まれたため来年から『戦闘教育高等学校せんとうきょういくこうとうがっこう」に入学することができる。

 16歳からの入学なので今の俺は15歳だ。ちなみにナーファ、リリムも俺と同じ時期に入学するらしい。
 騒がしそうだが、楽しそうだ。

 アルスさんとサラさんの娘であるルーチェは昨日誕生日を迎えたばかりだ。
 すくすくと育っており、サラさんも幸せそうだった。

 度々たびたびルーチェの家に遊びに行っており良好な関係を築いている。
 ルーチェは俺になつきすぎている気がする。
 それは良いのだがルーチェは俺と仲良く話しているだけなのにナーファやリリムが横からうるさく口を出してくるのがうざい。

 幼馴染おさななじみとの会話くらいゆっくりされてほしいものだ……

 父の片腕を奪った魔物などが暴れることもなく、慌ただしくも順風満帆じゅんぷうまんぱんな日々が送れていたのに……

 事件は俺が15歳になってから7カ月程たったある日起こったのだった。

 母が倒れたのだ……

 俺は毎日修行や魔法の勉強をし、幼い頃から知識がある、ということをフル活用してかなり強くなったと自負している。

 魔物討伐にも積極的に参加して、戦闘技術も身についた。
 今では剣術の腕では父に及ばないが、総合戦闘能力では俺のほうが上だ。

 しかし、どんなに強くなり、守ろうとしても生物の寿命。
 世界のことわりには抗えないということをこの時痛感した。

「ナーファ、母さんを助けることはできないのか?」
 
 ダメ元の問いだった。

「私は生物の寿命に対して関与してはいけない決まりになっているのだ。」
「そんな……」
「なんとかならないのかしら?」

 リリムが聞いた。

「私が力を使い生物の命を助けることはできない。今すぐ助けてあげたいのは山々なんだが……」

 やはりダメなのか。そう諦めかけたその時ナーファはこう言った。

「エルフの寿命、生命力限界せいめいりょくげんかいを伸ばすことのできる方法を教えることはできる。」

 僅かな光りが見えたのだった。

『あとがき』

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