俺の周りの女性は全員美少女なんだが必ず何か重大な欠点がある!

サクえもん

47話 適度な女の嫉妬は時に恋愛を成功させるスパイスになりうる。

 「くっさ  何だよこの匂い 」

 いくら何でも臭すぎだろう  ヤバい  鼻曲がりそう 

 「仕方ないだろう。 何せここはあの村の男連中が連れ去られ、 食された場だ。 フォレストスパイダーは大物ぐらいではないと聞く。 おそらく食されず残った部分があるのだろう」
 「え? それじゃあ何か? この匂いは人の体の腐った匂いだと? そう言いたいのですか?」
 「その通り。 事実あそこを見ろ。 あそこに人の腕が……」
 「見たくねぇよそんなの 」
 「ん? シュンはこういうのに慣れていないのか?」
 「当たり前だ 」

 なんで好き好んで人の死体に見慣れなきゃならんのだ。
 てかそれよりも何故ハクはここまで冷静にいられるんだ?
 もしかしてコイツ人を喰ったことが……

 「どうした青い顔をして?」 
 「な、 なぁハクさんや。 お前さんもしかして人は食ったことないよね……?」
 「あるわけないだろう……全くお前は何を考えているんだ……」
 「だ、 だって今のハク。俺と違ってすごく落ち着いてるだろう? それがまるで人の死体に見慣れているかのように思えてさ……」
 「むぅ……私だって別にこの状況を好き好んでいるわけではない。 むしろシュンと同じで嫌悪感すら抱いている。 でもだからと言って取り乱しても仕方ないだろう?」

 あらやだハクさん。 俺より男前……もし俺が女だったら惚れちゃいそう……
 まあ実際は男だから意味ないんだけどね 

 「なあシュン。 シュン」
 「ん? どうしたエルザ?」
 「もしシュンが怖いなら余に抱き着いてもいいんだぞ?」
 「な!? エルザずるいぞ  シュン。 エルザに抱き着くんじゃなくて私に……」
 
 う~ん。 普通の男ならば曲がりなりにも美少女と美女である二人にこんな事言われたら嬉しいんだろうけど何故だろう……全く嬉しくない 
 やっぱりこいつらが両方とも人間じゃないのが原因なんだろうなぁ……
 特にハク……お前本当なんで元がフェンリルなんだよ……人間だったらお前本当に完璧なのにさ……
 まあこのやり取りのおかげで和みはしたけどさ……なんか複雑だよ……
 
 「あー……二人とも。 俺はもう大丈夫だから先行こうか......」
 「む? そうなのか?」
 「ああ……本当にもう大丈夫だ」
 「ま、 まあシュンが大丈夫というなら私は構わないが……」

 はい、 ダウト。 ハクさん貴方今内心すごく残念がってるでしょう?
 え? なんでそんな事がわかるんだって?
 なんとなくだよなんとなく。


 「ほう。 ここが神殿の最奥か……」
 「うげぇ……気持ち悪……」
 「お、 おいシュン大丈夫か?」

 うう……なんだよこの惨状……床一面血まみれだし、 匂いも今までの数倍も強いし、 天井には眠っているのか知らんが夥しい数のフォレストスパイダーがいるしで……あ、 ヤバいなんか出そう……

 「おろrrrrrrrrrrrrr……」
 「シュ、 シュン 」
 「す、 すまねぇ……ついこの地獄のような惨状に吐いちまったぜ……」
 「な、 なんでお前はこういう時もそうふざけるのか……」
 「そうでもしないとこの惨状を乗り切れんのだろう。 事実余も少し吐きそう……」
 「お前は吐くなよ  エルザが吐いたら色々絵面がヤバいから 」
 「安心しろ。 唯の冗談だ。 真祖ジョークってやつだ。 大いに笑うがいい。 ハッハハ 」 
 「笑えるか  てか何だよ真祖ジョークって  英〇王ジョークみたいな事言ってんじゃねぇ 」
 「うんうん。 いつもの調子が戻って来たではないか」

 ハッ そう言えばそうだ  もうなんともない 
 も、 もしかしてエルザは俺の気分を和ませるためにあんなくだらないことを言ったのか?
 いや、 ないな。 だってあのエルザだよ? 馬鹿の代名詞ともいえるあのエルザちゃんだよ?
 ない。 絶対ない。 もしエルザが計算してこんな事してたなら全裸で焼き土下座してやるよ 

 「やはりシュンは元気なほうがいいな。 元気じゃないシュンなど何も面白くないからな 」
 「お前俺の事ネタ人間か何かと勘違いしてない!?」
 「む? そんなことはないぞ? シュンは余にとってとてもとても大切な人だぞ?」
 「お、 お前……」

 それってお前のとして大切と言っているのか? それとも俺の存在を認めてくれているのか?
 う~む。 多分前者なんだろうな……はあ......

 「おい。 シュン」
 「ん? どうしたハク?」
 「お前はエルザの事が好きなのか?」
 「へ? どうしてそう思った?」
 「だ、 だって明らかに私の時と対応が違うではないか  それに私にはそんなに構ってくれないし……」
 
 ええと……もしかしてハクさん嫉妬しちゃった? 嫉妬しちゃったの?
 いやん  もう ……ハクの嫉妬の仕方可愛すぎぃぃぃぃぃ…… 
 普段千鶴の嫉妬を直に浴びているせいで女の嫉妬には、 嫌気しかない俺だけど今のハクのこの嫉妬の仕方物凄く可愛い……  これぐらいの嫉妬ならいくらでもしてくれても構わないな 

 「シュ、 シュン?」
 「ハクさんまじ天使……尊い……」
 「は!? な、 ななな何をお前は言っているんだ!?」
 「あ!? わ、 悪いつい本音が…… 」
 「ほ、 ほほほ本音なのか今のは…… 」
 「あ、 ヤバい……」
 「ふふふ……そうか。 シュンは私の事そう思ってるのか……えへへ……///」

 あ、 ダメだハクさん完全に壊れてしまった。
 まあハクをこうしたのは俺の責任なんだけどさ。
 でも女の嫉妬って今まで嫌な物という印象しかなかったけど適度ならむしろ余計可愛いと思わせるスパイスになるだな。 うん。 一つ勉強になったわ。
 
 「シュン  シュン  余は  余はシュンにとっての何なのだ 」
 
 あれまぁエルザさんも知りたいの? しょうがないな……
 
 「ペット」
 「は?」
 「エルザは俺のペット。 もしくはマスコットかな?」
 「うううううううううううううううう……シュンの阿呆  すかたん  お前なんかフォレストスパイダーに食われてしまえ馬鹿 」
 「ええ……」

 なんでエルザさんここまで俺の事ディスってんの? 俺何か酷い事言った?

 「シュン。 女の子にペットはいくら何でもないと思うぞ?」

 あ、 ハクさん復活したんですね。
 でもそう言われてもエルザって定期的に俺の血を与えれいるわけで……その時の感覚がどうにもペットに食事を与えている感覚なんだよなぁ……え? 恋愛感情は無いのかって? あるわけないじゃん 
 だって相手はペットだぞ? ペットに性的に欲情する奴とかいたら完全にヤバい奴じゃん 

 「うわぁぁぁぁぁぁぁん  シュンの……シュンの阿呆……  馬鹿ぁ…… 」
 「な、 なあハク。 之ってもしかして……」
 「もしかしなくてもガチ泣きだろう 」
 「デ、 デスヨネー……」

 ど、 どどどどどうしよう  俺女の子がガチで泣いてしまったときの対応知らない……
 てかそもそもなんでこいつは俺にペット扱いされてそんなに泣いているんだ?
 ペットの何処が嫌だった? え? 誰だってペットは嫌だ?
 俺はラピスさんにペット扱いされても別に何とも思わないんだけどなぁ……
 てかそんな事よりもここはひとまず泣き止まさなければ…… 

 「エ、 エルザ 」
 「ぐすん……なんだ……?」
 「俺の血をやろう。 だから泣き止め。 な?」
 「シュン……お前物で釣るのはいくら何でも酷すぎるぞ……」

 うわぁ……ハクさんまるでゴミを見るような目でこっちみてるぅ…… 
 俺マゾじゃないから流石にその眼は止めて…… 
 じゃないと泣いちゃうんだからね  嘘じゃないんだからね 
 
 「し、 仕方ないだろう  俺にはこれしかないんだから 」
 「はぁ……もういい。 それにこんな簡単な罠にいくら何でもエルザも……」
 「ぐすん……それって……いくらでも……飲んでいいのか……?」
 「エルザ……」

 あ、 ハクさんが呆れてらっしゃる。 でもそんなことはどうでもいい。
 今ここで俺がすべきことはエルザの機嫌を直すただそれだけだ 

 「あ、 ああ。 俺が死なないギリギリまでなら呑んでいいぞ」
 「……分かった。 それで許してやる……」
 「あ、 ああ。 でも今はダメだ」
 「それぐらいわかっている。 だから後で……な」

 ん? この含みのある言い方……なんか嫌な予感がする……
 とりあえずこいつに血を乗せる時はハクにも同席させよう。 じゃないと絶対何か不味いことが起きる気がする……

 「まあ無駄話は、 ひとまずこれぐらいにしてこいつら……一体どうするか……」
 「ひとまず火をつけてみるのはどうだ?」
 「それは考えたがそうするとこの神殿が燃え尽きちまうだろう? それは村の人たちにとって望ましくないんじゃないか?」
 「なら親玉を倒すしかないな」
  「ん?・ フォレストスパイダーは群れで行動するのか?」
 「そうだ。 そしてあそこを見ろ。 あそこに赤い奴がいるだろう? あれが親玉だ」
 「へぇ……あれが……ってちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ 」

 俺が動揺するのも無理はない。
 何せフォレストスパイダーの親玉の姿は、 俺だけでなく、 俺と同じ世界に属する人間ならば誰でもよく見知った姿をしていたからだ。
 
 「なんでスパ〇ダーマンがフォレストスパイダーのボスやってんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ 」

 僕は決め顔でそう叫んだ。

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