正義の味方の結末……
正義の味方の結末……
 雨が激しく降る中、 一人の青年が森の中に佇んでいた。
 青年からは物凄い死臭がし、 特徴的な金色の髪には、 帯だたしい量の血液が付着していた。
 ただそんな状態にあるにもかかわらず、 彼は森の中ただ一人、 静かに時が来るのを待っていた。
 青年には、 物心つくころから親がいなかった。
 その事に青年は、 疑問を抱くことはなかったし、 親がいる子供達を見て嫉妬することなく、 むしろ自分と同じ境遇ではない事に安堵してしまうほどであった。
 だからこそなのか青年は、 小さいころから正義の為に悪を倒す“正義の味方”に憧れを持っており、 将来は、 “正義の味方”になりたいと思っていた。
 彼が少年と呼べるほどの年にまで成長すると彼は周りにいる困っている人を助けることを始めた。
 荷物運びや飼い猫探し、 盗賊退治などにも彼は積極的に参加した。
 そんな彼の様子に町の人間は、 多大なる感謝の念を送った。
 中には、 褒美を上げようとする者もあらわれたが彼は、 それを辞退した。
 それは、 偏に彼が“正義の味方”を目指していたからに他ならなかった。
 彼にとっては町の人間の笑顔こそが彼にとっては最大の報酬であったからだ。
 そんな謙虚な彼の様子に町の人間は、 さらに彼に感謝した。
 そして彼が青年という年になるころには、 “悪の心”を持つものを見ただけでわかる能力がいつのまにか身についていた。
 このことに彼は、 激しく喜んだ。
 “この能力があれば犯罪を未然に防ぐことができる”そう考えたからだ。
 そこから彼は、 自身の能力に頼り、 多くの悪人を事件が起こる前に裁いてきた。
 ただその彼の行為に対し町の人間の目は冷ややかな物であった。
 彼は、 町の人間が今まで自分を見ていた目と違うことには、 すぐ気づいた。
 だがそれは悪人を捕まえる数が少ないせいだと彼は、 勝手に思い込んでしまった。
 そこから彼の悪人を裁くペースは、 さらに上がっていく。
 一日中寝ない日も多々あった。
 そんな彼の様子に町の人間は、 いつしか彼に対し恐怖を感じるようになった。
 彼は、 “人を殺しむのを楽しんでいる快楽殺人者”だと。
 町人は、 彼のいないところで彼の陰口をずっと言い続けた。
 その間にも彼は町人の為に悪人を裁き続けた。
 何度も、 何度も、 何度も、 何度も、 何度も、 何度も、 何度も。
 彼は、 自身の肉体が限界を迎えるその瞬間まで悪人を裁き続けた。
 そして限界が来ては、 睡眠をとり、 また悪人を裁くという作業を何年も続けた。
 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年もだ。
 そんな彼の気持ちを理解してくれるものなど誰一人彼の前に現れなかった。
 彼が昔助けた人間や彼と親しかった者も今は、 彼の事を怯えた瞳で見つめるようになっていた。
 何故自分の事をそのような目で見るのか彼にはどうしても理解することができなかった。
 そんな中遂に町の中には、 彼を恐れ、 排除しようと声を上げる者が現れた。
 その声は瞬く間に広がっていき、 ついには町の人間すべてが彼を排除しようと動き始めた。
 彼は、 森の中で、 大勢の人間に囲まれていた。
 その人間たちは、 彼の愛した町の人間たちであった。
 そんな町人たちに対し彼は、 今日も悪い人たちを退治したと笑顔を浮かべながら、 今日自分がした行いについて話をした。
 だがそんな彼に与えられた報酬は、 町人たちの罵倒雑言であった。
 ある者は、“お前は唯の殺人鬼”だと。
 またある者は、 “お前など死んでしまえ”と。
 彼は、 その町人たちの言葉に頭を強く殴られたような衝撃を受けた。
 そして町人たちが自分に向けていた目の真実。
 自分は“正義の味方”などではなく“悪人”なのだと……
 その事実を知った彼は、 怒りを表す素振りなど微塵も見せなかった。
 それどころか彼は喜びに打ち震えていた。
 “自分が消えれば自分の愛した町人達は、 皆笑ってくれる”そう考えたのだ。
 彼はそう考えると笑みを抑えずにはできず、 自然と笑顔になっていた。
 ただそんな彼の様子に町人たちの間には激しい恐怖が広がり、 彼の前から逃げ出すもの後を絶たなかった。
 そして数分後彼の前に残ったのは、 一人の青年だけであった。
 彼は、 その青年を見て酷く驚いた。
 その青年の容姿は、 髪色を除けば自分と瓜二つだったのだ。
 彼と瓜二つの青年は、 彼の前にゆっくりと近づいていく。
 そして青年は、 彼の前に立つと銃を彼の頭に押し付けた。
 青年の指は、 銃の引き金に添えられており、 青年は彼を殺す準備はいつでもできていた。
 青年は、 彼に問う。
 “遺言はあるか? あるのなら僕が聞こう”と。
 その言葉に青年は、 ただ一言こう残した。
 “ありがとう”と……
 彼の頬からは雨のせいか将又彼自身が流したものか水が一滴流れ落ちていく。
 その後一つの銃音が森の中を支配する。
 だがそれも激しさをます雨によって瞬く間にかき消されていった…………
 青年からは物凄い死臭がし、 特徴的な金色の髪には、 帯だたしい量の血液が付着していた。
 ただそんな状態にあるにもかかわらず、 彼は森の中ただ一人、 静かに時が来るのを待っていた。
 青年には、 物心つくころから親がいなかった。
 その事に青年は、 疑問を抱くことはなかったし、 親がいる子供達を見て嫉妬することなく、 むしろ自分と同じ境遇ではない事に安堵してしまうほどであった。
 だからこそなのか青年は、 小さいころから正義の為に悪を倒す“正義の味方”に憧れを持っており、 将来は、 “正義の味方”になりたいと思っていた。
 彼が少年と呼べるほどの年にまで成長すると彼は周りにいる困っている人を助けることを始めた。
 荷物運びや飼い猫探し、 盗賊退治などにも彼は積極的に参加した。
 そんな彼の様子に町の人間は、 多大なる感謝の念を送った。
 中には、 褒美を上げようとする者もあらわれたが彼は、 それを辞退した。
 それは、 偏に彼が“正義の味方”を目指していたからに他ならなかった。
 彼にとっては町の人間の笑顔こそが彼にとっては最大の報酬であったからだ。
 そんな謙虚な彼の様子に町の人間は、 さらに彼に感謝した。
 そして彼が青年という年になるころには、 “悪の心”を持つものを見ただけでわかる能力がいつのまにか身についていた。
 このことに彼は、 激しく喜んだ。
 “この能力があれば犯罪を未然に防ぐことができる”そう考えたからだ。
 そこから彼は、 自身の能力に頼り、 多くの悪人を事件が起こる前に裁いてきた。
 ただその彼の行為に対し町の人間の目は冷ややかな物であった。
 彼は、 町の人間が今まで自分を見ていた目と違うことには、 すぐ気づいた。
 だがそれは悪人を捕まえる数が少ないせいだと彼は、 勝手に思い込んでしまった。
 そこから彼の悪人を裁くペースは、 さらに上がっていく。
 一日中寝ない日も多々あった。
 そんな彼の様子に町の人間は、 いつしか彼に対し恐怖を感じるようになった。
 彼は、 “人を殺しむのを楽しんでいる快楽殺人者”だと。
 町人は、 彼のいないところで彼の陰口をずっと言い続けた。
 その間にも彼は町人の為に悪人を裁き続けた。
 何度も、 何度も、 何度も、 何度も、 何度も、 何度も、 何度も。
 彼は、 自身の肉体が限界を迎えるその瞬間まで悪人を裁き続けた。
 そして限界が来ては、 睡眠をとり、 また悪人を裁くという作業を何年も続けた。
 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年も、 何年もだ。
 そんな彼の気持ちを理解してくれるものなど誰一人彼の前に現れなかった。
 彼が昔助けた人間や彼と親しかった者も今は、 彼の事を怯えた瞳で見つめるようになっていた。
 何故自分の事をそのような目で見るのか彼にはどうしても理解することができなかった。
 そんな中遂に町の中には、 彼を恐れ、 排除しようと声を上げる者が現れた。
 その声は瞬く間に広がっていき、 ついには町の人間すべてが彼を排除しようと動き始めた。
 彼は、 森の中で、 大勢の人間に囲まれていた。
 その人間たちは、 彼の愛した町の人間たちであった。
 そんな町人たちに対し彼は、 今日も悪い人たちを退治したと笑顔を浮かべながら、 今日自分がした行いについて話をした。
 だがそんな彼に与えられた報酬は、 町人たちの罵倒雑言であった。
 ある者は、“お前は唯の殺人鬼”だと。
 またある者は、 “お前など死んでしまえ”と。
 彼は、 その町人たちの言葉に頭を強く殴られたような衝撃を受けた。
 そして町人たちが自分に向けていた目の真実。
 自分は“正義の味方”などではなく“悪人”なのだと……
 その事実を知った彼は、 怒りを表す素振りなど微塵も見せなかった。
 それどころか彼は喜びに打ち震えていた。
 “自分が消えれば自分の愛した町人達は、 皆笑ってくれる”そう考えたのだ。
 彼はそう考えると笑みを抑えずにはできず、 自然と笑顔になっていた。
 ただそんな彼の様子に町人たちの間には激しい恐怖が広がり、 彼の前から逃げ出すもの後を絶たなかった。
 そして数分後彼の前に残ったのは、 一人の青年だけであった。
 彼は、 その青年を見て酷く驚いた。
 その青年の容姿は、 髪色を除けば自分と瓜二つだったのだ。
 彼と瓜二つの青年は、 彼の前にゆっくりと近づいていく。
 そして青年は、 彼の前に立つと銃を彼の頭に押し付けた。
 青年の指は、 銃の引き金に添えられており、 青年は彼を殺す準備はいつでもできていた。
 青年は、 彼に問う。
 “遺言はあるか? あるのなら僕が聞こう”と。
 その言葉に青年は、 ただ一言こう残した。
 “ありがとう”と……
 彼の頬からは雨のせいか将又彼自身が流したものか水が一滴流れ落ちていく。
 その後一つの銃音が森の中を支配する。
 だがそれも激しさをます雨によって瞬く間にかき消されていった…………
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