職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第五十話 天使長ミカエル

 俺は、 まず初めに切り落とされた腕の回復をしようと切断面へと腕を近づけた。
 しかし、 一向に腕は治ろうとしなかった。
 また、 奴の攻撃は神聖魔法ではないのだろう。


 「これは、 一体どういうことだよ……」


 だが俺が嘆いている間にも奴は、 俺へと透明な剣を飛ばしてきた。
 俺は、 これに対しリボルトナイフを使い撃ち落とそうと試みたのだが、


 「な!」


 結果から言うと俺の剣は、 奴の剣を撃ち落とすことができなかった。
 しかも最悪な状況は、 さらに続き奴の剣は、 俺の右足を貫通したため、 俺は今の場所から動くことができなくなってしまった。


 「はははは……」
 

 この状況さすがに打開策がなさすぎる。
 多少の剣ならバニッシュを使い、 消すことはできるだろうが奴の剣は今数千本という数が奴の周りに浮いていた。
 この時俺は、 ルーが言った意味を理解した。
 確かに奴には存在しない。
 しかも剣を当てようにも今の俺は動けない。
 まさしく絶体絶命だ。


 「チクショォォォォォォ!」


 俺は、 ここで死ぬわけにはいかない!
 いくらみっともなく戦おうが最後の最後まであがいてやる!
 

 「ケタケタケタケタ」


 そう奴は、 最後に笑い俺へと千本の剣を飛ばしてきた。
 どうやら奴の狙いは、 俺の顔以外の部位以外のようで顔の部分には、 一切襲ってこなかった。
 俺は、 その千本の剣に対し右腕一本の方向に飛んでくるものだけは、 バニッシュを使い防いだ。
 だがそれ以外の場所への被害は、 すさまじく体中穴だらけだ。
 そして、 俺は今にも倒れそうだったが反逆の大剣ルシファーを地面に突き刺し杖代わりにすることで何とか地面に倒れることだけは、 回避した。


 「はあはあ。 これは完全に俺も油断したな。 この絶望的な状況本当にどうするか……」


 今の俺の使える武器は、 糸とリボルトナイフ、 それに禁呪の弾が装填してある銃だけだ。
 奴に弾を一発与えさえすれば、 俺は奴に勝てる。
 だが奴は、 正気を失っているようだが、 俺が何か隠し玉を持っていると本能で感じているのか一切近寄ってこない。
 そして、 俺が奴を倒す算段を考えている間にも、 奴は再び剣を宙へと停滞させ始めた。
 その数さき程の二倍の数は、 あるだろう。
 だが俺も一つだけこの状況の打開策を思いついた。
 それは……


 「バニッシュ」


 俺は、 バニッシュを奴の腕に向けてはなった。
 奴は、 俺がそんなことをしてくるとは、 思わなかったのか俺の魔法で右腕が消え、 さらに宙に浮かんでいた、 剣も消えた。
 どうやら奴は剣を作るのにかなり集中力がいるらしい。
 だが、 俺とて本当はこの魔法を使いたくなかった。
 理由としては、 記憶が消えてしまうからだ。
 記憶が消えるということは、 自分でなんの記憶が消えたのかわからなし、 雪達との会話をするとき俺が忘れたのが雪達にとって重要なことだったら、 彼女たちを悲しませてしまうからだ。
 だが今は、 そんなことを言っている場合ではない。
 

 「さあ、 最終決戦と行こうか。 ミカエル」
 「ケタケタケタケタ」


 相変わらず彼女は笑っているが、 腕はすでに再生しているようだった。
 そして今度は、 奴も方向性を変えたのか一気に仕留めるのではなく、 一本一本こちらへと剣を飛ばしてきた。


 「バニッシュ! バニッシュ! バニッシュ!バニ……」


 俺は、 その攻撃をすべてバニッシュを使い消し、 攻撃がやんだ瞬間に奴の本体へとバニッシュを使った。
 だが奴もかなりの再生力があるのかすぐに腕は生えてきた。
 正直このままではいくらやっても奴に勝てない。
 だから俺は、 バニッシュを使いながらもう一つの作業をしていた。
 

 「これでもくらいやがれ!」


 俺は、 そう叫びながらリボルトナイフを奴へと投げた。
 しかしそんな攻撃当然奴にあっさり避けられた。
 だがしかし、 奴はナイフをよける時ギリギリでよけた。
 それが俺の勝利への道を切り開いた。


 「かかったなぁぁぁぁ!」


 俺がしていた作業は至って単純それは、 リボルトナイフに糸をくくりつけておいたのだ。
 そして奴の行動パターンは、 バニッシュを使って把握していたので、 奴にナイフを投げたらギリギリでよけてくれると俺は、 予想した。
 そのため俺は、 多少のナイフの方向操作が、 できるように糸をリボルトナイフをつけ、 確実に奴へと着弾させようとしたのだ。
 そして俺の予想通りに動いた奴は、 俺の操作したリボルトナイフに右腕を貫かれた。
 

 「今だぁぁぁぁ!」
 

 そして、 俺は、 その瞬間に糸を引っ張り自分の方へと、 奴を引き寄せた。
 奴は、 俺へと肉薄した瞬間、 リボルトナイフについていた糸を手刀を使って切り落としたがもう遅い。
 奴の逃げるスピードより俺が銃の引き金を引くスピードの方が速いと理解していたからだ。
 そして、 俺はアクセルを使い自分の動きを限界まで加速させ、 銃のホルダーから銃を引き抜き奴の頭へと銃弾を撃ち込むことに成功した。
 だが奴も回避するのを不可能と瞬時に悟ったのか俺の頭へと剣を飛ばし、 その剣は俺の頭に突き刺さった。
 俺は、 今まで頭に飛ばしてこなかったということから完全に油断していたのだろう。
 だが、 奴の剣が俺の頭に突き刺さりはしたが、 俺はここで止まるわけにはいかなかった。
 そして、 俺は最後に指で音を鳴らし、 禁呪のトリガーを引いた。


 ~~~~~~~~~~~


 俺は、 目が覚めると真っ黒な空間にいた。
 きっとこれは、 奴の心の中の世界なのだろう。
 だがルーは、 真っ白だったのに対し、 なぜこいつの心の中が真っ黒なのか気になった。
 ミカエルは、 俺の目の前から少し離れた場所で泣いていた。


 「おい。 なんでお前は、 泣いてるんだ?」
 

 返事は、 なかった。
 俺は、 それに対し無理やりミカエルを立たせた。


 「おい!」
 「ごめんなさい。 私ずっとさびしかった。 あなたが消えて千年間ずっと待ってた。 でも私は、 あなたを待って五百年で耐えられなくなってしまった。 そして、 壊れてしまった。 やっとあなたが迎えに来てくれたにも関わらず今まで私を一人にしたあなたに対して筋違いの恨みを感じてしまった。 本当にごめんなさい……」
 

 どうやらミカエルの奴は、 正気を取り戻したようだ。
 それと同時に一度心が壊れた天使は、 この世界が黒くなるのだろうと理解した。
 

 「なあ、 さっきからお前が言ってる俺がお前を迎えに来たってどういうことだ? 俺とお前は、 初対面のはずだろ?」
 「まさか覚えてないの? あの時あなたがしたことと私とした約束も全部?」
 「何を言ってるのかさっぱりわからん」
 「そうなの。 でも私との約束はともかく、 もう一つの方は、 思い出さないほうがいいかも……」
 「お~い」
 「まあいい。 それで今のあなたの名前を教えて」
 「俺の名前は、 優だ」
 「優。 覚えた。 これからよろしく。 私の最愛の人」
 

 ミカエルは、 そう言った後俺へとキスをしてきた。
 これは、契約のためには仕方ないとは言え、 やっぱり緊張する。
 ミカエルは、 キスをしてからすぐに離れてくれた。


 「これで契約は、 終わり」
 「そうか」


 俺がそう納得すると、 ルーの契約紋があるのとは反対側の手に白色の羽が六枚書かれた契約紋が浮かび上がった。
 

 「それでお前と契約して何がもらえるんだ?」
 「まずステータスがすべて+50000される。 次にスキルとしては、 魔力操作というものが使えるようになる」
 「魔力操作?」
 「私が優に対して使っていた透明な剣のようなものの事」
 「あ、 あれか!」
 「あれは、 自身の魔力を使うことによって自分のイメージしたものが使えるようになるもの。 因みにこのスキルは、 優の創造魔術をどうしても使いたかった私が、 真似したもの」
 「ん? なんでお前は、 そのスキルを俺が持っていることを知っているんだ?
 「秘密。 それと次にこの装備をあげる」


 ミカエルが渡してきたものは、 そよ風シリーズに金の装飾が入ったような装備一式だった。
 

 「これの名前は?」
 「祝福シリーズと言って優の今着てる反逆シリーズの対となるもの。 因みに効果としては、 ステータスのアップさせるのは、 反逆シリーズと一緒。 違う点は、 状態異常完全無効がつく」
 「なるほど」
 「あとこの剣もあげる」


 ミカエルがくれたのは、 真っ白な直剣だった。


 「これは、 祝福の直剣 ミカエル。 効果としては、 攻撃力が+40000されて、 悪魔などの邪悪な存在が相手だと攻撃力が三倍になる」
 「これも反逆の大剣ルシファーと対になる存在か。  さて最後に俺の計画を話して、 お前の名前も決めないとな」
 「優の目的は、 すでに知ってるから問題ない」
 「なんでお前は、 それを知ってるんだ?」
 「それも秘密」
 「お前秘密多すぎないか?」 
 「これも優のため」
 「そうか。 なら深いことは聞かない」
 「そうして。 それと名前の件は、 ミカと呼んで欲しい」
 「なんでだ?」
 「それが昔あなたにつけてもらった私の大事な名前だから」
 「なるほど。 俺がつけたという部分はよくわからんが今は、 保留しておく。 とりあえずこれからよろしくなミカ」
 「こちらこそよろしく。 それと私の心の世界からでたら早速既成事実を作る」
 「は?」
 「優は、 約束した。 もし私が千年間まってたら、 結婚してくれるって。 そして子供もすぐに作ろうって言った」
 「そ、そんなこと言ってない!」
 「言った。 だから約束守る。 約束を守る気がないなら私から無理やり襲う」
 「おいおい、 まじかよ」


 俺は、 そう最後に言葉を残し気絶した。 



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