百五十三話中は・・・・・・

コボルトジェネラルの咆哮により動きが止まった。

その隙にコボルトジェネラルは爪スキルで会得できるブレイククロウでソウスケの心臓を貫こうとした。
選択肢としては正しく、ソウスケがギリギリ直撃を避ける事が出来ても大きなダメージを与える事は出来る。

しかし動きが止まったソウスケが何も出来ない・・・・・・と言う事にはならない。

(咆哮のスキルか。ジェネラルともなれば使えても不思議ではないか。少し油断していたな)

自分の実力を過信し過ぎたと思いながらも掌に魔力の弾丸を作り始める。
属性魔力ではなく、そこまで弄ってはいないので作り出すのに殆ど時間は掛かっていない。

そしてコボルトジェネラルのブレイククロウが自身の胸に届く前にソウスケは魔力の弾丸を打ち出す。

打ち出された魔力の弾丸はコボルトジェネラルの掌を貫く・・・・・・前に手の中で爆散した。

「―――――ッ！！！！」

自分の計算通りにいったソウスケの口端は僅かに吊り上がっていた。

ソウスケは自身が打ち出した魔力の弾丸ではおそらく動きを止める事は出来ないと予想した。

(アドレナリンがどばどばと出ている状態だったら、一般的な打撃や体を貫く面積が小さかったら殆ど動きは止まらないだろうからな。でも・・・・・・中は別だろ)

右手の中で魔力が爆散したコボルトジェネラルはほんの少しだが失速し、ソウスケの心臓を貫くために固めていた抜き手が緩んだ。

そのチャンスをソウスケは逃さずに左足で跳び、コボルトジェネラルの顎を右膝で粉々に砕いた。
攻撃はそこで終わらず、空中で左足で顔面を思いっきり踏みつけた。

「お、らっあああ！！！！」

ソウスケに顔面を踏みつけられたコボルトジェネラルの脳は蹴られた勢いで地面にぶつかった事で完全につぶれた。

「・・・・・・よし、もう生きていないよな」

しっかりとコボルトジェネラルを殺し終えたソウスケは自身で潰した顔面を見て顔を片手で覆った。

「・・・・・・ふぅーーーーー、やってしまった。牙が蹴りで粉々になっているな。獣・・・・・・特にネコ科やイヌ科？　のモンスターのは牙は結構重要な素材だよな・・・・・・まぁ、やってしまったものはしょうがない」

牙は粉々になっているが、幸いにも爪には無事なのでそれで良しにした。

「お疲れ様です。怪我は・・・・・・無さそうですね」

「ああ、怪我は無いよ。ただ・・・・・・少し危ない場面は多かったけどな」

殺したコボルトジェネラルをソウスケはじっと見つめた。

(当たり前だけどワイバーンよりは強くなかった。でも、ダンジョンで戦ったオークジェネラルよりは強かった。いや、それよりも問題はなんでコボルトジェネラルが他の上位種を引き連れていたの方が問題か）

ソウスケは自分よりモンスターに詳しいミレアナに自分の予測について尋ねる。

「なぁ・・・・・・もしかし、もしかしてだぞ。もう少し奥の方へ行けばコボルトキングがいるのか？」

「そう、ですね・・・・・・可能性は無いとは言えません。寧ろ高いかと。どうしますか、ギルドに一応報告しておきますか?」

ミレアナからの提案にソウスケはどうするべきか悩んだ。

(ミレアナの言う通り普通ならギルドに報告した方が良いんだろうな。でも、セーレさんやメルさんじゃないとFランクの俺の話を信じてくれないだろうな。そもそもコボルトジェネラルを倒した事すら信じて貰え無さそうだ。証拠を見せたらそれはそれで面倒事に発展しそうだしな)

ギルドに報告した場合、嫌～～～～な未来が予想出来たので一先ずギルドに報告するのは却下した。